人文科学研究科Graduate School of Humanities
LIT500B2（文学 / Literature 500）能楽作品特殊研究ＢResearch: The Texts of Noh Plays B
山中 玲子
授業コードなどClass code etc
| 学部・研究科Faculty/Graduate school | 人文科学研究科Graduate School of Humanities |
| 添付ファイル名Attached documents | |
| 年度Year | 2024 |
| 授業コードClass code | X0637 |
| 旧授業コードPrevious Class code | |
| 旧科目名Previous Class title | |
| 開講時期Term | 秋学期授業/Fall |
| 曜日・時限Day/Period | 木3/Thu.3 |
| 科目種別Class Type | |
| キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
| 教室名称Classroom name | BT23F能研会議室 |
| 配当年次Grade | 院人日・博士後期課程・選択必修科目 |
| 単位数Credit(s) | 2 |
| 備考（履修条件等）Notes | |
| 実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
| カテゴリーCategory |
日本文学専攻 （博士後期課程） |
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Outline (in English)
《Outline》 Students will read Noh scripts that have been performed uninterruptedly for nearly 700 years and learn what kind of theatre Noh is. Using Noh scripts in Zeami's own handwriting, if available, and referring to old chant books from the Muromachi and Edo periods, learn about the characteristics of Noh scripts that differ from current chant books, the subsequent changes in lyrics and direction, and the problem of Zeami's revisions of Noh scripts.
Learning objects of this class are as follows:
(1) Familiarise yourself with the unique script and symbols of Zeami's Noh books and learn to read their contents.
(2) To be able to prepare texts of Noh plays to be studied by collating ancient chant books.
(3) Learn about historical changes, such as revisions of lyrics and changes in staging.
(4) Learn about the issue of revision by Zeami.
(5) Doctoral students will be able to find problems in each work and write essays linking them to their own research topics.
《Learning activities outside of classroom》Deciphering old manuscripts and researching previous studies should be carried out by each student at the Noh theatre Research Institute.
《Grading Criteria》Presentation on the part you have been assigned 70%. Ordinary marks 30%.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的（何を学ぶか）Outline and objectives
700年近く途切れることなく演じ続けられてきた能の脚本を読み、能がどのような演劇であるのかを学ぶ。能の大成者世阿弥の自筆能本がある場合はそれを用い、室町期、江戸期の古写謡本も参照しながら、現在の謡本とは違う能の台本としての特徴や、その後の詞章・演出の変遷、世阿弥による改作の問題についても知る。
到達目標Goal
１）世阿弥自筆能本独特の字体や記号に慣れ、内容を読み取れるようになる。
２）古写謡本を校合し研究対象となる能のテキストを作成できるようになる。
３）詞章の改訂や演出の変更など、歴史的な変遷の様子を知る。
４）世阿弥による改作の問題について学ぶ。
５）博士後期課程の学生は、各作品の中から問題点を見つけ出し、自分の研究課題に結びつけて小論が書けるようになる。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか（該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連）Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」「DP2」に関連
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)（学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. ）
前半は、世阿弥の自筆能本を読みつつ、作品研究、演出研究上の問題について考えていく。後半は、能の作品研究全体を見渡して問題となるテーマにつき、各回、講義形式で概観する。授業は基本的に教員が主導するが、先行研究についての報告や問題所の解釈など、出席者に分担してもらっておこなう部分もある。
アクティブラーニング（グループディスカッション、ディベート等）の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク（学外での実習等）の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching：対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[対面/face to face]：《盛久》を読む：第1～3段
自筆能本の中でも節付が詳しく、詞章の訂正も多い《盛久》を後の古写本や現行謡本と比較しつつ読んでいく。
第2回[対面/face to face]：《盛久》を読む：第4～6段
訂正や欠損の多いテキストを後の古写本を参照しながら読んでいく
第3回[対面/face to face]：《盛久》を読む：7～9段
演出の問題、元雅作の能に世阿弥の推敲の跡が見えることなども考えつつ読む。
第4回[対面/face to face]：《盛久》の作品研究
《盛久》に関する先行研究を把握し、作品研究上の問題点じついて考える。
第5回[対面/face to face]：元雅作の他の作品
《隅田川》《歌占》《弱法師》など他の元雅作品にも見られる特徴、特に古作との共通点を知る。
第6回[対面/face to face]：自筆能本《柏崎》の前半を読む。
世阿弥による訂正が非常に多いことの意味を考えながら読む。
第7回[対面/face to face]：室町後期の謡本との比較
世阿弥自筆能本の訂正前と室町後期謡本の詞章との関連を考える
第8回[対面/face to face]：自筆能本《柏崎》の後半を読む
舞事の有無など演出の問題についても考えながら読む。
第9回[対面/face to face]：《柏崎》の作品研究
《柏崎》に関する重要な先行研究の紹介。
第10回[対面/face to face]：世阿弥による古作の改作
《柏崎》の改作について整理し、検討する。
第11回[対面/face to face]：世阿弥による古作の改作
《通盛》の改作について、さまざまな可能性を考える。
第12回[対面/face to face]：舞に関するきまりごと
能のシテはどのような舞を舞うか、舞を舞うシテはどのような役柄かを整理し、その意味を考える。
第13回[対面/face to face]：筋を進めるための決まりごと
「文」の利用・「ヲカシ」の役割・「脇の為手」の役割など。
第14回[対面/face to face]：まとめ
授業を振り返り、作品研究上考えられるさまざまなテーマについて紹介する。
授業時間外の学習（準備学習・復習・宿題等）Work to be done outside of class (preparation, etc.)
謡本（古写本）の翻刻・解読、関連論文の調査など、能楽研究所の閲覧室等での自習時間は多くなるはずです。
テキスト（教科書）Textbooks
使わない
参考書References
月曜会編『世阿弥自筆能本集』（岩波書店 1997）
日本古典文学大系（旧版）『謡曲集 上下』（岩波書店）
成績評価の方法と基準Grading criteria
授業内での発言や授業への貢献度（30％）、分担したレポートや作品解釈の精度（70％）
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
演習形式にして出席者に発表を任せると、うまく調べられない場合もあったので、限定的に課題を出し、翻刻、関連論文の紹介など、少しずつ担当してもらいながら、教員主導で作品を読み進め、能の作品研究をおこなう上での重要なポイントをみなで共有していこうと思います。
担当教員の専門分野等
＜専門領域＞中世文学 能楽研究
＜研究テーマ＞能の作品研究・演出研究
＜主要研究業績＞
・「修羅能以前の『平家の能』―〈経盛〉の再検討を通して―」、『無常の鐘声 平家物語』（松尾葦江編、花鳥社、2020.7）、pp.213-229
・「〈二人静〉―音阿弥の演出・元章の解釈」、『観世』 85巻3号、檜書店、2018.3、pp.28-35
・ 「『御世話筋秘曲』の解読と復元の記録」、『能楽研究』 41、法政大学能楽研究所、2017.3、pp.91-112
・ 「能の「習事」と番組上の小字注記―「小書」という語の意味するところ―」、『能楽研究』 40、能楽研究所、2016.3、pp.135-160
・ 「能〈通小町〉遡源」、『国語と国文学』 93巻3号、東京大学国語国文学会、2016.3、pp.3-16