人文科学研究科Graduate School of Humanities
LIT500B2（文学 / Literature 500）能楽作品特殊研究ＡResearch: The Texts of Noh Plays A
山中 玲子
授業コードなどClass code etc
| 学部・研究科Faculty/Graduate school | 人文科学研究科Graduate School of Humanities |
| 添付ファイル名Attached documents | |
| 年度Year | 2024 |
| 授業コードClass code | X0636 |
| 旧授業コードPrevious Class code | |
| 旧科目名Previous Class title | |
| 開講時期Term | 春学期授業/Spring |
| 曜日・時限Day/Period | 木3/Thu.3 |
| 科目種別Class Type | |
| キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
| 教室名称Classroom name | BT23F能研会議室 |
| 配当年次Grade | 院人日・博士後期課程・選択必修科目 |
| 単位数Credit(s) | 2 |
| 備考（履修条件等）Notes | |
| 実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
| カテゴリーCategory |
日本文学専攻 （博士後期課程） |
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Outline (in English)
《Outline》 Students will learn what kind of theatre Noh is by reading the scripts of Noh plays, which have been performed uninterruptedly for nearly 700 years. The focus will be on the changing seasons, the devastation of places, ageing and death depicted in Noh plays, and while reading the scripts carefully, students will also increase their knowledge of the devices used in staging Noh plays and the characteristics of the individual Shōdan.
Learning objects of this class are as follows:
(1) To become familiar with the rhetoric specific to Noh texts and to be able to grasp the content accurately.
(2) Learn about the representation of impermanence in Noh.
(3) Acquire basic knowledge of the kodan structure of Noh and the characteristics of each kodan.
(4) Learn about the basic staging of Noh and the variations in kosho.
(5) Doctoral students will be able to find problems in each work and write essays on them in connection with their own research topics.
《Learning activities outside of classroom》Deciphering old manuscripts and researching previous studies should be carried out by each student at the Noh theatre Research Institute.
《Grading Criteria》Presentation on the part you have been assigned 70%. Ordinary marks 30%.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的（何を学ぶか）Outline and objectives
700年近く途切れることなく演じ続けられてきた能の脚本を読み、能がどのような演劇であるのかを学ぶ。能作品に描かれる、季節の移ろい、場所の荒廃、老い、死などに注目し、一言一句もゆるがせにせず精読しつつ、演出上の工夫や各小段の特徴についての知識も増やしていく。
到達目標Goal
１）能のテキストに特有のレトリックに慣れ、内容を正確に把握できるようになる。
２）能における無常の表象について学ぶ。
３）能の小段構造、各小段の特徴に関する基礎知識を得る。
４）能の基本的な演出や小書によるバリエーションについて知る。
５）博士後期課程の学生は、各作品の中から問題点を見つけ出し、自分の研究課題に結びつけて小論が書けるようになる。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか（該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連）Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」「DP2」に関連
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)（学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. ）
前半は現行曲をまずは活字本で読み、謡曲独特のレトリックや「小段」の概念を身につけるとともに、そこに描かれる廃虚の描写や老いの嘆き、無常感、懐旧の情等を読み取っていく。後半では古写謡本の読み方を学び、後期に繋げていく。教員が主導して授業形式で進めていくが、途中、先行論文についてのレポートや問題のある箇所の解釈などは、参加者に割り振って担当してもらうことになる。
アクティブラーニング（グループディスカッション、ディベート等）の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク（学外での実習等）の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching：対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[対面/face to face]：能の概説と能楽研究所の資料紹介
能について学ぶ際の基礎資料、能楽研究所の使い方の紹介。
第2回[対面/face to face]：能に描かれる廃虚
能作品の中に現れる廃墟の描写について概観する。
第3回[対面/face to face]：能に描かれる無常
能作品の中で描かれる無常について概観する。
第4回[対面/face to face]：能《融》の前半を読む。
能《融》のテキストを精読しながら、廃虚の描写に使われる素材、老いの嘆きのレトリック等を学ぶ。
第5回[対面/face to face]：能《融》の後半を読む。
能《融》のテキストを精読しつつ、小段の名称や特徴などにも慣れる。
第6回[対面/face to face]：河原院・源融のイメージ
文学史上の河原院やその主であった源融について説話・和歌等を通して知り、それがどう能に反映しているかを考える。
第7回[対面/face to face]：能《井筒》の前半を読む。
能《井筒》のテキストを精読し、廃虚のイメージがどのように作られているかを学ぶ。
第8回[対面/face to face]：能《井筒》の後半を読む。
能《井筒》のテキストを精読しつつ、『伊勢物語」の注釈が謡曲にどのように取り入れられているかを学ぶ。
第9回[対面/face to face]：金春禅竹の作品に現れる「無常」
《野宮》《定家》《芭蕉》など、禅竹作と考えられている作品に現れる「無常」について考える。
第10回[対面/face to face]：古写謡本の翻刻の仕方を学ぶ 上掛リ（ワキ登場段・シテ登場段）
すでに精読した能《井筒》を、今度は古写謡本で読む。まず上掛リの謡本を選んで、翻刻の仕方を学ぶ。
第11回[対面/face to face]：古写謡本の翻刻の仕方を学ぶ 下掛リ（ワキ登場段・シテ登場段）
能《井筒》の古写謡本のうち、下掛リの謡本を選んで翻刻し、先に翻刻した上掛リ謡本との校合の仕方を学ぶ。
第12回[対面/face to face]：古写本を校合してテキストを作る
翻刻・校合した本文に、ルールに従って句読点を付けるやり方や、小段の分け方を学ぶ。
第13回[対面/face to face]：小段についての復習
今まで扱ってきた小段を整理し、その他の小段についても概要をつかむ。
第14回[対面/face to face]：まとめとミニ発表
授業で扱った様々な曲、小段、古写謡本、謡曲特有のレトリック等々、少しでも授業に関係するトピックを自由に選び、各自、15分のミニ発表をする。
授業時間外の学習（準備学習・復習・宿題等）Work to be done outside of class (preparation, etc.)
謡本（古写本）の翻刻・解読、関連論文の調査など、能楽研究所の閲覧室等での自習時間は多くなるはずです。
テキスト（教科書）Textbooks
使わない
参考書References
月曜会編『世阿弥自筆能本集』（岩波書店 1997）
日本古典文学大系（旧版）『謡曲集 上・下』（岩波書店）
成績評価の方法と基準Grading criteria
授業内での発言や授業への貢献度、分担した作業の精度（40％）、ミニ発表（60%)
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
「出席者の希望により担当曲を決めて発表」という形にすると、うまく調べられない場合もあったので、教員が主導で作品を読みつつ、限定的に課題を出し、翻刻、関連論文の紹介など、少しずつ担当してもらおうと思います。
担当教員の専門分野等
＜専門領域＞中世文学 能楽研究
＜研究テーマ＞能の作品研究・演出研究
＜主要研究業績＞
・「修羅能以前の『平家の能』―〈経盛〉の再検討を通して―」、『無常の鐘声 平家物語』（松尾葦江編、花鳥社、2020.7）、pp.213-229
・「〈二人静〉―音阿弥の演出・元章の解釈」、『観世』 85巻3号、檜書店、2018.3、pp.28-35
・ 「『御世話筋秘曲』の解読と復元の記録」、『能楽研究』 41、法政大学能楽研究所、2017.3、pp.91-112
・ 「能の「習事」と番組上の小字注記―「小書」という語の意味するところ―」、『能楽研究』 40、能楽研究所、2016.3、pp.135-160
・ 「能〈通小町〉遡源」、『国語と国文学』 93巻3号、東京大学国語国文学会、2016.3、pp.3-16