社会学研究科Graduate School of Sociology
SOC500E1-2217(社会学 / Sociology 500)メディア研究実習2Methods of Media Studies2
北原 利行Toshiyuki KITAHARA
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 社会学研究科Graduate School of Sociology |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2024 |
授業コードClass code | X6029 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 秋学期授業/Fall |
曜日・時限Day/Period | 木7/Thu.7 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | 市院棟‐703 |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | 旧カリ「調査報道実習2」 |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience |
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Outline (in English)
We are exposed to a vast amount of information every day through all kinds of media, but very little of it is available to us. And even this information is subject to various problems such as fake news, flaming, defamation, slander, and so on. However, this is not a problem unique to the Internet. It has existed since the days when traditional media, mainly mass media, were mainstream, and the Internet has merely brought it to the surface to an excessive degree. The media itself has parts that are specific to that media and parts that are universal to other media. By conducting comparative research on many media, rather than focusing attention on one media only, we can discover the unique and universal aspects of each media.
People's information intake behavior has shifted to the Internet over time, and the position of mass media seems to have declined relatively, with the rise and dominance of Internet SNS and various other media and services. On the other hand, mass media outlets continue to be the main providers of news, and a variety of visual content is provided by broadcasting and film. It has become difficult to capture various media and communication events with the traditional independent approach of each individual media outlet. Furthermore, the Internet has dismantled the traditional vertically integrated media structure, and the concept of media has changed as it can now be accessed through a single platform, the Internet. The old concept of media has become fluid, and content itself is now considered as media. At the same time, senders and receivers are becoming more relative and there is no longer a fixed and clear division between them. Through comparative research of conventional media and the Internet, we will reconsider the social functions of media and communication, and examine the state of media, communication, and content, including the business structural perspectives that support them. The Lecture will discuss methods of analysis and solutions to the various communication problems occurring on these media in today's society. In particular, we aim to acquire a critical perspective that enables us to compare and discuss the relationship between mass media and social media from both perspectives.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
あらゆるメディアを通して我々は日々膨大な情報に接しているが、その中で利用できる情報はごくわずかである。そしてその情報もフェイクニュースや炎上、あるいは名誉毀損、誹謗中傷などさまざまな問題が指摘されて。しかしこれはインターネット固有の問題ではなく、マスメディアを中心とした伝統的なメディアが主流だった頃から存在しており、インターネットはそれが過剰なまでに顕在化したに過ぎないとも考えられる。メディア自体にはそのメディア固有な部分と、他のメディアにも普遍的な部分が存在する。一つのメディアにだけ関心を向けるのではなく、多くのメディアを比較研究することでその固有な部分と普遍的な部分が現れてくるのだ。
人々の情報摂取行動は時代とともにインターネットに移行しており、マスメディアの地位は相対的に低下し、インターネットのSNSやさまざまなメディア、サービスが興隆・支配しているようにも見える。その一方でニュースの提供者はマスメディアの報道機関が主流を占めており、放送や映画からさまざまな映像コンテンツか提供されている。従来のメディアごとに独立したアプローチでメディア、コミュニケーション上のさまざまな事象を捉えることが困難になっているのである。さらにはインターネットによって従来の垂直統合型のメディア構造が解体され、インターネットという一つのプラットフォームでアクセスできるようになったことでメディアの概念が変わってしまい、旧来のメディアの概念が流動的になり、コンテンツそのものがメディアとして捉えられるようにもなってきている。同時に発信者、受信者は相対化し固定化した明確な区分もなくなりつつある。従来のメディア、インターネットを比較研究することで、メディア、コミュニケーションの社会的機能を捉え直し、それを支えるビジネス構造的な視点も含めて、メディアやコミュニケーション、さらにはコンテンツのあり方について考察し、現代社会におけるそれらの上で起きているさまざまなコミュニケーション上の諸問題への分析手法、解決の方策について論じる。特にマスメディアとソーシャルメディアの関係について双方の立場から比較して論じることができるクリティカルな視点の獲得を目指す。
到達目標Goal
メディア、コミュニケーションについての基礎的な理論の習得。メディア、コミュニケーションの全体像の俯瞰、個々のメディアの構造比較のために多種・多様なメディアについての俯瞰や理解、インターネット上のコミュニケーション、ソーシャルメディアなどについての理解、消費者・生活者の情報摂取行動についての基礎的な知識の習得を最初に講義形式で行うその上でマスメディア、インターネット上でのコミュニケーションなどの現状におけるさまざまな諸問題についての調査・分析力の習得および課題解決のための論理的構築できるスキルを習得する。必要に応じて具体的な調査手法や調査実践などについてもとりあげる。また、プレゼンテーションスキルの向上も目標とする。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP5」に関連
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
講義と演習形式で行う。
講義については、レジュメを配布し、内容に沿って説明し、受講者に対して問題提起し、リアクションについての議論を行うことで、インタラクティブな形式で進行させる。講義が終了した後に復習もかねてリアクションペーパー的な課題を課する予定。
受講者の問題意識をもとに、課題解決のための演習形式を取り入れて、受講者との間でのディスカッションを行い、課題解決のための思考を深めスキルの向上を図る。
授業内容については、受講者の関心領域などに対して柔軟に対応するので、下記の授業計画からの変更の可能性もある。
アクティブラーニングに関しては、途中に設ける予定。
授業形式については対面講義を基本とするブレンド授業形式またはハイフレックス授業形式を想定しているが、受講者の要望、社会環境の変化などに柔軟に対応する。便宜的に講義形式は対面としてあるが、受講生と相談の上形式を決定する。
第一回目の講義に関しては学生の対面参加での可否を確認するためにオンラインで実施する。その結果をもとに二回目以降の講義の仕方について対応を検討する。
課題等に関しては適宜必要に応じて実施するが、フィードバックに関しては講義内もしくは学習システムを通して行う。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[対面/face to face]:ガイダンス
受講者の問題関心の確認
メディア、コミュニケーションについての全体像の俯瞰、基礎理論の確認
第2回[対面/face to face]:メディア論
メディア論の基礎、マスメディア論について
第3回[対面/face to face]:コミュニケーション論①
コミュニケーション論の基礎、多種多様なコミュニケーションの形態について
第4回[対面/face to face]:コミュニケーション論②
インターネットを中心としたコミュニケーションの解析
第5回[対面/face to face]:新聞
新聞産業の構造、新聞の受容、ジャーナリズムなどの諸問題について
第6回[対面/face to face]:テレビ・ラジオ
テレビ・ラジオ産業の構造、テレビの受容、視聴率などの諸問題について
第7回[対面/face to face]:出版
出版産業の構造、書籍・雑誌の受容、電子出版などの諸問題について
第8回[対面/face to face]:映画・アニメ、その他
映画産業、アニメ産業の構造、その受容、その他メディアなどの諸問題について
第9回[対面/face to face]:インターネット
インターネットの構造、消費者の情報摂取行動、コミュニケーションの諸相
第10回[対面/face to face]:インターネットサービス、コンテンツ
インターネット上のメディア、サービスを他のメディアとの対比で分析する。インターネット上での諸問題の検討。
第11回[対面/face to face]:ソーシャルメディア
ソーシャルメディアの現状、多のメディア、コミュニケーションとの関係性
第12回[対面/face to face]:コンテンツ
音楽、ゲームなど上記メディアでは捉えきれなかった部分について
第13回[対面/face to face]:演習
受講者の問題意識にそって演習形式で課題の検討を行う。
第14回[対面/face to face]:まとめ
まとめ
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
積極的に、新聞やテレビなどの多くのメディアに幅広く意識的に接触すること。
インターネット上のサービス等についても積極的に把握する。特にSNSの活用を通じて現状の諸問題についての理解を深めておくこと。
講義内容に沿って生じた疑問などを参考書などを中心に予習・復習する。
日常より問題意識を持って、メディア、コミュニケーション上の諸問題について批判的に捉えることで受講者自身が設定した演習課題についての考察を深める。
授業の準備学習・復習時間は各2時間を標準とする。準備よりも復習に重点を置くこと。
テキスト(教科書)Textbooks
指定した教科書は使用しない。講義の都度レジュメ、資料等を配布する。
参考書References
吉見俊哉『メディア文化論-メディアを学ぶ人のための15話』(有斐閣)、佐藤卓己『メディア社会―現代を読み解く視点』(岩波書店)、 M.マクルーハン『メディア論』(みすず書房),L.レッシグ『REMIX』(翔泳社)、電通メディアイノベーションラボ『情報メディア白書』(ダイヤモンド社)など。
講義内でも関連参考書について紹介する。
成績評価の方法と基準Grading criteria
平常点(講義、課題への参加度) 60%
期末レポート 40%
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
アニメーション市場関連などエンターテインメント市場についての要望が多い。また既存のメディアとソーシャルメディアの関係についての関心が高い。また、マスメディアについての現状の整理についても一定のニーズが存在している。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
諸連絡、資料配布・課題提出等のために学習支援システムを利用する。
その他の重要事項Others
電通総研、電通コミュニケーションラボにおいて、マスメディア、コミュニケーションについてのリサーチ、コンサルティングなどに従事。それらの経験に基づいて、多角的・俯瞰的に講義を行う。
担当教員の専門分野等
<専門領域>
メディア、コミュニケーション、広告
<研究テーマ>
マスメディア企業の戦略、企業の広告戦略、広告市場の変遷
<主要研究業績>
「経営リポート】問い直す新聞とデジタルの価値──「2022年日本の広告費」を読み解く」、2023年4月、新聞研究
{地方紙が地域課題解決の核にカギは当事者報道にあり}、2017年7月、朝日新聞 Journalism
「2018広告コミュニケーションの総合講座理論とケーススタディー」(共著)、2017年12月、日経広告研究所
「情報メディア白書」(共著)、2007年~、ダイヤモンド社