人文科学研究科Graduate School of Humanities
PHL500B7(哲学 / Philosophy 500)西欧の思想ⅡWestern Thought II
高田 珠樹
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 人文科学研究科Graduate School of Humanities |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2023 |
授業コードClass code | X1112 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 秋学期集中/Intensive(Fall) |
曜日・時限Day/Period | 集中・その他/intensive・other courses |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | 日程9/11(月)2,3,4時限、9/12(火)2,3,4時限、9/13(水)2,3,4時限、9/14(木)2,3,4時限、9/15(金)2,3時限を予定 |
配当年次Grade | 院人際・修士課程・関連科目 |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory |
国際日本学インスティテュート (修士課程)-関連科目 |
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Outline (in English)
Peter Sloterdijk, one of Germany's leading contemporary philosophers, is considered by some to be the only German philosopher since Heidegger, but he is also regarded as a trickery philosopher because of his rapid succession of major works that are marked by their unique combination of caricatural style and difficult rhetoric. Although little known outside of Germany during the 20th century (two of the first three translations of his books in other languages were Japanese translations made by the lecturer), in recent years however, his works have attracted worldwide attention, and his new works have been translated competitively into English, Spanish, and other European languages as soon as they were originally published. We will introduce the thoughts of this unique philosopher who, at the age of 76, is still writing vigorously and breaking new ground in his thought.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
現代ドイツの有力な哲学者ペーター・スローターダイクは、ドイツ国内でもハイデガー以後、ドイツが生んだ唯一の哲学者と断じる人がいる一方で、戯作者的な文体と難解な修辞とが一体となった独特の文章から成る大著を矢継ぎ早に刊行することから、哲学界の山師のような扱いを受けてもいます。20世紀中には、ドイツ以外ではあまり知られていませんでしたが(彼の著作の外国語訳の最初の3冊のうち2冊が講師による日本語訳)、近年では、原著が刊行されるとすぐに英語やスペイン語をはじめヨーロッパの各国語に競うように訳されるなど、世界的にも注目されています。76歳になった今も旺盛な執筆活動を続けながら新たな思想の境涯を拓きつつあるこの特異な哲学者の思想について紹介するつもりです。
到達目標Goal
ハイデガーの影響下に独特の歴史哲学を展開するスローターダイクの思索を知ることで、哲学が現代世界の問題とどう関わりうるかについて考える機会を得る。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP2」「DP3」に関連
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
ZOOMによる遠隔授業の形態となります。講義と演習を交えるような形を取るつもりです。授業の中では、主にスローターダイク自身のテクストの断片、あるいは引用も用いるつもりですが、集中講義で、各回について予習していただくための十分な時間の確保が難しいと考えられますので、対訳形式にして、これをもとに話をしたり、討論する予定です。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
なし / No
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:オンライン/online
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[オンライン/online]:導入
授業全体の概要、講師の紹介、主題の説明を予定している。
第2回[オンライン/online]:スローターダイクとは
スローターダイクの経歴と著作について概説する。
第3回[オンライン/online]:スローターダイク受容の現状
近年、世界的に大きく注目されているスローターダイクであるが、日本では、四半世紀近くほとんど紹介されていない現状について概観する。
第4回[オンライン/online]:『シニカル理性批判』
それまでドイツ国内でもほぼ無名であったスローターダイクは、『シニカル理性批判』(1983年)で一気に注目される存在となった。同書は、戦後、ドイツで最も売れた哲学書とされている。この本の基本的なテーゼを確認する。
第5回[オンライン/online]:90年代の著作群(「暴力の使者」(1993年)を中心に)
『シニカル理性批判』から『球体圏』に至る時期の数多くの著作群のうち、映画『ターミネーターII』を論じた「暴力の使者」を取り上げる。
第6回[オンライン/online]:90年代の著作群(『同じ船の中で』(1993年)を中心に)
「暴力の使者」と同じ年に刊行された『同じ船の中で』は、後の『球体圏』の原形と言える著作であり、その基本テーゼを確認する。
第7回[オンライン/online]:『球体圏』の構想
『球体圏』は、第一巻「泡袋」(Blasen, 1998)年から第三巻「泡沫(Schäume)2004に至る三部作であり、現時点でスローターダイクの主著と言える。その概要について説明する。
第8回[オンライン/online]:「人間園の規則」とスローターダイク論争
『球体圏』の刊行が本格化した時期に、スローターダイクが行った講演「人間園の規則」が物議をかもし、一大論争がおこる。これについて概説する。
第9回[オンライン/online]:ハイデガー「ヒューマニズム書簡」と「人間園の規則」
「人間園の規則」はもともと、ハイデガーの「ヒューマニズム書簡」への返信として構想された者であり、それぞれの内容や両者の関係について考える。
第10回[オンライン/online]:『球体圏』の概要
2004年、『球体圏』第三巻「泡沫」が刊行され、この三部作が完結する。全体の概要、特に第三部について検討したい。
第11回[オンライン/online]:『球体圏』と水晶宮(『資本の内部空間の中で』)
2005年、スローターダイクは、『球体圏』第二巻「地球体」(Globen)の最終章、約200頁にほぼ同量の新たな内容を追加した『資本の内部空間の中で』と題する単行本を刊行した。これは、『球体圏』の内容を集約すると同時に、これを特に芸術の観点から補強するものと言える。中でも「水晶宮」と題される一節は秀逸で、これについて検討する。
第12回[オンライン/online]:『球体圏』以後。「哲学四重奏」と税金論争
『球体圏』完結に先立つ2002年から2012年にかけてスローターダイクはテレビ討論番組のホストを務めた。この間の活動を紹介するとともに、2010年に発表された「取る手と与える手」が引き起こした論争を取り上げる。
第13回[オンライン/online]:最近の著作群、特に『灰色について語らずして』(2022年)
最近のスローターダイクは、社会の様々な現象、とりわけ宗教に関する著作を次々に発表してきたが、22年にはセザンヌの言葉に触発された『灰色について語らずして』を発表した。これについて紹介したい。
第14回[オンライン/online]:総括と討論
全体を総括するとともに、参加者と授業の内容について討論したい。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
授業では、資料をPDF等の形で配布するつもりです。スローターダイクのドイツ語は極めて難解で、ドイツ人でも一般の読者が一読して文意を取ることはできないとされています。各回の授業に要約を添えた短い引用テクストを用意するつもりでいので、それをあらかじめ精読してください。集中講義の授業のため、各回について時間を確保するのは難しいと思いますが、期間中は、授業後、配布した資料を読み込んでください。一回の授業について1時間から1時間半の準備を要すると考えてください。
テキスト(教科書)Textbooks
特に指定しません。各回の資料はファイル形式で配布します。
参考書References
授業中に適宜指示します。
成績評価の方法と基準Grading criteria
各回の授業の質疑と討論、それとレポートから総合的に評価します。授業で取り上げたスローターダイク思想の全体像が把握されているかが、ポイントとなります。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
本年度新規科目につきアンケートを実施していません
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
ZOOM形式での実施を予定していますので、これに対応した機器を準備してください。
その他の重要事項Others
特にありません。
担当教員の専門分野等
<専門領域>
<研究テーマ>
<主要研究業績>
哲学・ドイツ現代思想
哲学、現代ドイツ思想
主にハイデガー、フロイト、スローターダイクについて研究している。
『ハイデガー 存在の歴史』(講談社学術文庫)、スローターダイク『シニカル理性批判』日本語訳(ミネルヴァ書房)、ハイデガー『存在と時間』日本語訳(作品社)、フロイト『日常生活の精神病理』日本語訳(岩波文庫)