人文科学研究科Graduate School of Humanities
HIS500B4(史学 / History 500)東洋史学特殊講義BⅠLecture: Oriental HistoryBⅠ
徳留 大輔
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 人文科学研究科Graduate School of Humanities |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2023 |
授業コードClass code | X1324 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 月6/Mon.6 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | 704 |
配当年次Grade | 院人史・博士後期課程・選択必修科目 |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory |
史学専攻 (博士後期課程) |
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Outline (in English)
(Course outline)Considering Society through Ceramics: Focusing on the History of Chinese Ceramics
(Learning Objectives) Ceramics was the first tool that utilized chemical change for human beings. Northeast Asia has a long history of ceramics. In this class, we will study the historical development and stylistic transition of earthenware and ceramics, focusing on the history of Chinese ceramics. We will also study the role and significance of ceramics in society, in addition to their function as vessels, from the perspectives of "technology," "style," "exchange," "order," and "power," as well as the state of society in each period.
(Learning activities outside of classroom)Visiting exhibitions at museums
(Grading Criteria /Policy)Final report: 60%, homework assignments: 20%, regular marks: 20%.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
【授業の概要】陶磁器から社会を考える——中国陶磁史を中心に
【目的・意義】人類にとって初めて化学変化を利用した道具であるやきもの(陶磁器)。東北アジアは長いやきものの歴史を有する。本授業では中国陶磁史を中心に、土器・陶磁器の歴史的な展開・様式の変遷を学ぶ。そして陶磁器がもつ器としての機能以外に、社会にどのような役割や意義を有してきたのか、「技術」・「様式」・「交流」・「秩序」・「権力」といった視点を持ちながら陶磁器から各時代の社会のあり方を学ぶ。
到達目標Goal
陶磁器の種類・造形・意匠が多様化した背景には、技術の発展と異文化との接触・交流がある。この背景を「考古学」「美術史」「歴史学」の研究方法から探る。つまり本講義では「考古学」「美術史」「歴史学」的研究方法と思考を習得できる。また陶磁史を理解する上で中国・日本・朝鮮や東南アジア・西アジアの歴史・美術の知識の習得もでき、あわせて「国際性」を身につけることが出来る。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」「DP2」「DP3」「DP4」に関連
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
授業の形態は講義方式を中心とする。また授業内での簡単な発表、リアクションペーパーの提出があります。また陶磁器に関する展覧会を1〜2回、博物館・美術館にて見学する予定(事前に予定は調整します。また交通費は各自で準備すること)
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
あり / Yes
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[対面/face to face]:イントロダクション
「陶磁器(やきもの)」とはいったいどのような物質なのか。やきものは何のために、なぜ生まれたのか?素材の特徴や分類など、陶磁器の基本的な基礎知識について理解を深める。
第2回[対面/face to face]:中国新石器時代の土器文化ーその1
中国考古学における陶磁器研究の学史と枠組み(「区系類型論」など)を理解した上で、紀元前8000年頃〜3000年頃における新石器時代前中期の土器文化について理解を深める。とくに彩陶を中心に紹介する。
第3回[対面/face to face]:中国新石器時代の土器文化ーその2
紀元前3000年頃〜2000年頃における新石器時代後期・末期の土器文化について理解を深める。社会の複雑化が進むこの時代における土器様式はどのような展開を見せるのか。また社会の階層化の進展と土器製作における専業化などにとくに注目する。
第4回[対面/face to face]:中国新石器時代の土器文化ーその3
中国新石器時代には日常的な生活具としての土器(煮炊具など)とは異なる土器文化も発達する。動物意匠を中心に中国新石器時代における精神文化などについて考察、多様な新石器時第の文化について理解を深める。
第5回[対面/face to face]:初期王朝時代の土器文化
中国の初期の王朝とされる夏商周時代(なお夏王朝の存在については様々な見解がある)、中でも夏王朝の時代とされる二里頭時代の土器文化、また青銅器の出現し広がりをみせるなかでの土器の有する社会的・機能的な変化について理解を深める。
第6回[対面/face to face]:戦国秦漢時代の陶磁器
この時代、鉛釉陶器や彩色陶器、建築・動物模型など墓に副葬するための陶磁器が数多く作られる。鉛釉はどこから来たのか。また副葬明器にはどのような種類や思想が込められているのかについて理解を深める。さらに陶磁器を含め工芸品に着目すると、海上ルートを利用した東アジアと西アジアの交流がはじまる。青銅器、ガラス製品を含めて東西交流の歴史の始まりについて考察する。
第7回[対面/face to face]:魏晋南北朝時代の陶磁器
南北朝時代、とくに北方地域では明器が中心となるが複雑な造形・意匠の陶磁器文化が展開する。それと同時に中国の南方地域に起源がある青磁が北方地域でも流通し、また生産されるようになる。また中国陶磁史上はじめて白磁が登場する。白磁は後に、青花(染付)が生まれるために必須の陶磁器である。ただしこの白磁の起源については諸説存在しており、この陶磁史上における重要な学説についても認識を深める。
第8回[対面/face to face]:唐宋時代の陶磁器文化ーその1
唐代に唐三彩に代表される新たな陶磁文化が形成される。それらの造形はユーラシア交易の富の象徴や貴族を中心に人々の死後の世界観も大きく反映されている。中でも金銀器、ガラス製品は陶磁器文化と密接な繋がりをもつ。またこれらは国際色豊かな唐時代の社会・文化を極めてよく表すものである。東西交流の中身の理解について陶磁器の造形性や意匠などから迫る。
第9回[対面/face to face]:唐宋時代の陶磁器文化ーその2
遼(契丹)宋金元代の壁画墓に描かれた金銀器・陶磁器はどのような社会的役割を有していたのか。とくに非漢民族の漢化の中で、中国陶磁器がどのように受容されているのか、壁画に描かれた工芸品から考察していく。
第10回[対面/face to face]:元時代の陶磁器文化
中国陶磁器を代表する青花磁器(染付)。西アジア地域の交流の中でその様式は生み出され、西アジアへ輸出されるだけでなく、中国国内でも広く流通する。どのようなインパクトにより、元青花が生まれ、それは他の国・地域にどのような影響を与えたのか。そのプロセスを見ていく。
第11回[対面/face to face]:明清時代の陶磁器文化
中国陶磁史上大きな画期を迎える明時代。陶磁生産を支える官僚機構も整備される。ここでは、どのような多様な陶磁文化が明時代に形成され、それが清時代に継承されていくのか、景徳鎮で生み出された各種作品を通してその大枠を理解することを目的とする。
第12回[対面/face to face]:中国の窯業技術の変遷ー新石器時代から明清時代まで
中国における窯業技術の発展を窯業技術という視点から理解する。とくにハードウェアとして位置づけられる窯構造の変化と技術の伝播、また国家や王朝と主要な手工業生産である窯業の関わりに注目していく。
第13回[対面/face to face]:博物館における陶磁器の見学
展覧会を通して実際の陶磁器作品を見る。またどのようなコンテクストで各時代の陶磁器が位置づけられているのか、理解する。
第14回[対面/face to face]:まとめ
本学期の内容について整理を行う。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とします。
講義の際にレジュメの配布ならびに内容にあわせて参考文献を紹介します。授業の前・後に読んで要点をまとめて授業に臨んでください。また授業では課題を提出しますので、次回の講義時に提出してください。
テキスト(教科書)Textbooks
講義では教科書は使用しません。毎回レジュメを配布します。ただし、【参考書】に関してはぜひ一読してください。
参考書References
葉喆民原著、出川哲朗 監訳、徳留大輔/新井崇之 訳『中国陶磁史』科学出版社東京、国書刊行会、2019年
徳留大輔責任編集『茶の湯の茶碗 唐物茶碗』淡交社、2021年
成績評価の方法と基準Grading criteria
期末レポート60%、各講義時に課す課題(宿題)20%、平常点20%
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
本年度授業担当者変更によりフィードバックできません。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
特になし
その他の重要事項Others
本講義の担当者者は美術館に勤務する学芸員であり、陶芸を中心とする工芸分野を担当しています。可能な限り、実物作品の実見や資料などの観察の方法のレクチャーや資料にふれる機会を設けるようにします。
担当教員の専門分野等
<専門領域>考古学・東洋陶磁史
<研究テーマ>中国初期王朝形成過程の考古学的研究、中国陶磁史
<主要研究業績>
徳留大輔責任編集『茶の湯の茶碗 第一巻 唐物茶碗』淡交社、2021年
葉喆民原著、出川哲朗 監訳、徳留大輔/新井崇之 訳『中国陶磁史』科学出版社東京、国書刊行会、2019年
徳留大輔編集『宋磁ー神秘のやきもの』(展覧会・図録)、出光美術館、2018年