人文科学研究科Graduate School of Humanities
LIT500B2(文学 / Literature 500)能楽資料特殊研究BResearch: Documentary Materials of Noh Drama B
宮本 圭造
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 人文科学研究科Graduate School of Humanities |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2023 |
授業コードClass code | X0639 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 秋学期授業/Fall |
曜日・時限Day/Period | 金4/Fri.4 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | BT23F能研会議室 |
配当年次Grade | 院人日・博士後期課程・選択必修科目 |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory |
日本文学専攻 (博士後期課程) |
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Outline (in English)
The decade-long Ōnin no ran (Ōnin Disturbances) erupted in the fifth month of 1467, four months after the death of Saburō Motoshige. The ensuing war over shogunal succession saw the collapse of the political, economic, social, and cultural order in Kyoto and by extension all of Japan. The conflict led to the eventual downfall of the Ashikaga shogunate and marked the beginning of an era generally referred to as the Sengoku (Warring Provinces) period. This course deals with the situation of No in this Sengoku period, especially in the first half of the sixteenth century. It also enhances the developement of student's skill in reading ancient documments.Before/after each class meeting, students will be expected to have read the relevant books.Grading will be decided based on lab reports (70%), and the quality of the students’ experimental performance in the lab (30%).
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
七百年に及ぶ能楽の歴史の中には、いくつか画期となる時代がある。応仁の乱に始まる戦国時代はまさにそうした画期と呼べる時代であった。度重なる戦乱、不安定な政治状況は、能役者の生活環境を脅かし、新たな活動の場への移行を余儀なくする。戦乱の京都を遁れて地方に下向するものや、この時代新たに勃興した町衆や武士の能楽愛好者に能を教授することで、糊口をしのぐものもいた。能の作品の中にも、従来の世阿弥や金春禅竹らによる幽玄な歌舞能とは対極に位置するようなスペクタクル重視の能が多く作られ、新風をもたらした。そのような能楽界をめぐる新たな動きは、それまで京都や奈良の一部の人々のものであった能楽の受容層を大きく押し広げるダイナミックな革命であったといえよう。それはまた室町物語をはじめとする当時の文学作品とも大きく関わりつつ展開する。この授業では、当時の能楽界の状況を把握した上で、能の作品、演出、演者、上演環境など、様々な視点から戦国時代の能の姿を具体的に明らかにし、その歴史的意義について、担当教員の講義と受講生の発表を通じ、考察する。秋学期には特に金春禅鳳や観世長俊といった十六世紀前半の能作者と彼らを取り巻く状況について考察する。
到達目標Goal
この授業は戦国時代の能楽をテーマに、能と社会、文芸との関わりについての総合的な考察を目的とする。そのため、能楽資料のほか、古記録や当時の様々な文芸作品などを用い、それらの記述を相互に吟味し、当時の実態を明らかにすることを目指す。そうした作業を通じ、テクストや古文書の読解能力、資料批判の能力を獲得できるようにするとともに、その上で受講者各自が能楽に対する歴史的な視点を確立することを最終的な到達目標とする。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」「DP2」「DP3」に関連
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
研究の基礎となるのは資料であり、資料をいかに集め、それをいかに読解・解釈して真実に近づくかが、研究者の腕の見せ所です。それは、能楽研究においても例外ではありません。戦後、能楽研究を大きく推進する原動力となったのは、新しい資料の発掘と、その精緻な解読作業の積み重ねでした。この授業では、能楽研究を進めていく上で必要となる、能楽資料に関する基本的な知識と、資料に基づいて研究を構築する手法を獲得することを目的としています。幸い、法政大学能楽研究所は、日本でも有数の能楽資料のコレクションを所蔵することで知られています。その中には、能のテクストである謡本をはじめ、戦国時代の能役者が残した伝書など、多くの貴重な資料が含まれています。これらを実際の教材として、戦国時代の能について考えていきたいと思います。授業は前半を講義主体で進める予定ですが、後半では学生による発表の場を持ちたいと考えています。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第一回[対面/face to face]:十六世紀前半の能楽界
十六世紀前半の能楽界の状況について文献資料に基づき解説する。
第二回[対面/face to face]:戦国期の能楽資料
能楽資料のうち、戦国期の能役者が書き留めた資料にはどのようなものがあるのかを解説する。
第三回[対面/face to face]:能伝書の成立と展開
戦国期の能伝書から何が読み取れるのかを概観する。
第四回[対面/face to face]:戦国大名と能―畿内の大名と能―
畿内の戦国大名と能との関わりについて考察する。
第五回[対面/face to face]:戦国大名と能―地方の大名と能―
地方の戦国大名と能との関わりについて考察する。
第六回[対面/face to face]:金春禅鳳の生涯
戦国期に活躍した能作者のうち、金春禅鳳の事績を記録類によって考察する。
第七回[対面/face to face]:金春禅鳳の作能
金春禅鳳の能作とその傾向について考察する。
第八回[対面/face to face]:「一角仙人」の構想
禅鳳作の能のうち「一角仙人」について考察する。
第九回[対面/face to face]:「嵐山」の構想
禅鳳作の能のうち「嵐山」について考察する。
第十回[対面/face to face]:禅鳳作の番外曲について
禅鳳作の能のうち、番外曲を取り上げ、その構想について考察する。
第十一回[対面/face to face]:観世長俊の生涯
戦国期に活躍した能作者のうち、観世長俊の事績について記録類に基づき考察する。
第十二回[対面/face to face]:「江野島」の構想
長俊作の能「江野島」の構想について考察する。
第十三回[対面/face to face]:「輪蔵」の構想
長俊作の能「輪蔵」の構想について考察する。
第十四回[対面/face to face]:長俊作の番外曲について
長俊作の能のうち、番外曲を取り上げ、その構想について考察する。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
文献を事前に読み、授業・発表に備える。本授業の準備学習・復習時間は、各2 時間を標準とします。
テキスト(教科書)Textbooks
教科書は使用しないが、毎回プリントを参考資料として配布する。
参考書References
岩波講座『能・狂言』
平凡社『別冊太陽 能』
成績評価の方法と基準Grading criteria
出席平常点30パーセント、発表・レポート課題70パーセント
資料を分析し、自ら問題点を見出すことができているか、それを論理的に説明・文章化することができているかを評価のポイントとする。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
学生の積極的な参加が可能となるよう、討議の時間を十分に設ける。
担当教員の専門分野等
<専門領域> 能楽研究 芸能史
<研究テーマ> 能楽史、能面史など
<主要研究業績>
①『上方能楽史の研究』(和泉書院、2005年)
②『近代日本と能楽』(法政大学能楽研究所、2017年、編著)
③『金春家文書の世界』(法政大学能楽研究所、2017年、編著)