人文科学研究科Graduate School of Humanities
PSY500B6(心理学 / Psychology 500)学習心理特論Advanced Lecture in Learning Psychology
藤田 哲也
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 人文科学研究科Graduate School of Humanities |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2023 |
授業コードClass code | X0520 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 金3/Fri.3 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | BT1101 |
配当年次Grade | 院人心・修士課程・基礎科目 |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory |
心理学専攻 (修士課程)-基礎科目 |
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Outline (in English)
[Course outline]
In this class, students understand "memory" that supports human learning activities mainly from the viewpoint of measurement method of memory.
[Learning Objectives]
By the end of the course, students should be able to do the following:
1.Students will understand how to measure human memory (experimental paradigm) to the extent that they can explain it.
2.Students can generalize their measurement method ideas and precautions to psychological fields other than memory.
3.Based on the above 1 and 2, students can make research plans such as experiments, surveys, and observations in their own areas of interest.
4.Students can describe their research plans in objective and appropriate sentences that can be accurately communicated to others.
[Learning activities outside of classroom]
The standard preparation and review time for this class is 2 hours each.
[Grading Criteria /Policy]
The overall grade of the class is determined based on the following.
In-class contribution 40%, presentation 30%, report 30%.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
人間の学習活動を支えている「記憶」について,主に記憶の測定法という観点から捉える。これまでの記憶研究の主要な成果を,単なる知識として獲得するだけでなく,それぞれの知見が導かれた研究の過程についても理解し,自分自身の研究計画をより洗練させるのに役立たせる。
到達目標Goal
半期の授業が終了した時点で,以下の各要素を身につけていることが,授業の具体的な到達目標となる。
1.人間の記憶を測定する方法(実験のパラダイム)について,説明ができる程度に理解する。
2.その測定法上の工夫や留意点を,記憶以外の心理学領域に一般化できる。
3.上記1,2をふまえて,自分自身の興味・関心のある領域で,実験・調査・観察等の研究計画を立てることができる。
4.研究計画を,第三者にも正確に伝えることができるような,客観的で適切な文章で記述できる。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」「DP3」「DP4」「DP5」「DP6」に関連
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
短期記憶および作動記憶の性質を検討する上での二重課題法,意味記憶の構造を明らかにするための間接プライミング,エピソード記憶の伝統的な測度である再生・再認について,理論的な背景と実験手続との関連から,実際に使用する際の注意点を説明する。さらに,無意識的であるが故に測定が困難であった潜在記憶の測度である直接プライミングをはじめとした,近年の記憶研究の動向にも触れる予定である。測定法が妥当であるかどうかについて判断を下すためには,理論との整合性が重要であることから,様々な種類の記憶のモデルについても理解を深めることになる。とりわけ長期記憶においては,符号化と検索の過程の一致度が重要であることを強調する。
半期の前半の授業では,主に講義形式によって,上記の内容について解説を行う。後半の授業では,授業で得た知識を活用して,各自が研究計画を立て,それを発表し,教員と受講生全員で討論を行うという形式をとる。
最終的には,学術論文執筆を念頭に置き,研究方法を適切な文章で記述したものをレポートとして作成し,提出することになる。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
1[対面/face to face]:イントロダクション
この授業の概要と到達目標,評価方法を担当者が説明する
2[対面/face to face]:記憶の分類
短期記憶vs.長期記憶,
手続記憶vs.宣言記憶,
意味記憶vs.エピソード記憶について担当者が説明する
3[対面/face to face]:作動記憶の測定法
作動記憶のモデルおよび,そのモデルの根拠となっている研究の詳細を担当者が説明する
4[対面/face to face]:反応時間からわかること
反応時間とモデルによる解釈,意味記憶研究における間接プライミング効果を担当者が説明する
5[対面/face to face]:再生と再認
再生と再認の実施法,再生と再認の違いを担当者が説明する
6[対面/face to face]:再生と再認の理論
自由再生の二段階説,符号化特定性原理,再認の二過程説を担当者が説明する
7[対面/face to face]:潜在記憶の定義・測定法
潜在記憶とは何か,潜在記憶が我々の認知に及ぼす影響を担当者が説明する
8[対面/face to face]:記憶法則の一般性
記銘材料と記憶法則の関係,記憶テストと記憶法則の関係,実験手続きの違いと記憶成績の関係を担当者が説明する
9[対面/face to face]:この授業での課題
「模擬実験計画」のポイント,レポートのポイントを担当者が説明する
10[対面/face to face]:模擬実験計画:発表1
受講生が発表を行い,その内容に,これまでの授業内容が反映されているか全員で討論する
11[対面/face to face]:模擬実験計画:発表2
受講生が発表し,発表された実験計画の内容を,より適切なものにするように全員で討論する
12[対面/face to face]:模擬実験計画:発表3
受講生が発表し,その研究方法が,研究目的から見て妥当かどうかを全員で討論する
13[対面/face to face]:総括+レポート作成
記憶分野の知識の復習と整理を行い,研究法として学んだことの復習と確認,発表の総括をする
14[対面/face to face]:レポート提出
成績評価基準の説明を担当者が行い,各自で確認し,授業内容の応用に向けてのアドバイスを担当者が行う
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
本授業の準備・復習時間は,各2時間を標準とする。詳細は下記の通り。
第1回 以前に学んだことのある「記憶」研究について復習
第2回 それぞれの記憶が,日常生活のどのような場面で活用されているのかを考え,理解を深める
第3回 作動記憶の測定法を,自分の研究分野や自分自身の認知活動・学習活動に当てはめて考える
第4回 反応時間を指標にする際の注意点をまとめ,具体的な研究計画に活かす
第5回 自分の研究で再生あるいは再認を用いる場合の,得られる結果の違いについて考える
第6回 自分の研究に,再生と再認のいずれを用いるべきかを理論的に説明できるよう考える
第7回 潜在記憶が自分の日常生活のどのような現象に関わっているのかを考える
第8回 これまでの授業内容を総括的に復習し,疑問点を整理する
第9回 自分なりの問題設定と発表準備
第10回 自分の発表の振り返り,他者の発表に対するコメント整理,発表の準備
第11回 自分の発表の振り返り,他者の発表に対するコメント整理,発表の準備
第12回 自分の発表の振り返り,他者の発表に対するコメント整理,発表の準備
第13回 レポート作成
第14回 レポートの見直しと修正
テキスト(教科書)Textbooks
教科書は指定しない。授業は配付プリントに沿って行う。
参考書References
藤田哲也(1999).潜在記憶の測定法 心理学評論, 42, 107-125.
藤田哲也(2001).潜在記憶と行為の記憶に関する研究 風間書房
藤田哲也(2006).「無意識」に踊らされるあなた-日常記憶としての潜在記憶研究 太田信夫(編)記憶の心理学と現代社会 有斐閣
その他,各回の授業内容に関連した書籍や論文を授業内で紹介する。
成績評価の方法と基準Grading criteria
平常点40%…授業へ参加し,他者の発表へコメントすることを評価対象とする。
授業内での発表30%…発表の内容,発表資料における記述のしかた,発表のしかたを評価対象とする。
レポート30%…レポートの内容,学術論文としての体裁(書式)を評価対象とする。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
2022年度の授業改善アンケートから:「履修してよかった」は4.67と及第点でした。「理解度」は4.50で,4点の人が3名いました。内容は専門的ではありますが,全員が自信を持って「理解度5」とつけられるように,もっと知識面の定着を図れるよう働きかけと工夫をしたいと感じました。この授業で学んだことを,今後は自主的に自分の研究に反映させてもらえたらと思います。
その他の重要事項Others
授業の運営方針や教育目標について説明を行うとともに,発表の割り当てを行うので,受講希望者は初回の授業に必ず出席すること。心理学専攻以外の所属で受講を希望する者は,必ず事前に相談すること。
担当教員の専門分野等
<専門領域>
記憶
<研究テーマ>
様々な記憶の測定法と,その理論
<主要研究業績>
藤田哲也(1999).潜在記憶の測定法 心理学評論, 42, 107-125.
藤田哲也(2001).潜在記憶と行為の記憶に関する研究 風間書房
藤田哲也(2006).「無意識」に踊らされるあなた-日常記憶としての潜在記憶研究 太田信夫(編) 記憶の心理学と現代社会 有斐閣