人文科学研究科Graduate School of Humanities
PHL500B1（哲学 / Philosophy 500）近代ドイツ哲学史特殊講義２Lecture on History of Modern German Philosophy 2
吉田 敬介
授業コードなどClass code etc
| 学部・研究科Faculty/Graduate school | 人文科学研究科Graduate School of Humanities |
| 添付ファイル名Attached documents | |
| 年度Year | 2023 |
| 授業コードClass code | X0072 |
| 旧授業コードPrevious Class code | |
| 旧科目名Previous Class title | |
| 開講時期Term | 秋学期授業/Fall |
| 曜日・時限Day/Period | 火4/Tue.4 |
| 科目種別Class Type | |
| キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
| 教室名称Classroom name | BT1006 |
| 配当年次Grade | 院人哲・博士後期課程・選択必修科目 |
| 単位数Credit(s) | 2 |
| 備考（履修条件等）Notes | |
| 実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
| カテゴリーCategory |
哲学専攻 （博士後期課程） |
すべて開くShow all
すべて閉じるHide All
Outline (in English)
Course outline: This course deals with Adorno's philosophical method in his Negative Dialectics (1966).
Learning Objectives: The goals of this course are to (A) understand Adorno's philosophical method, (B) discuss its significance in the history of philosophy, and (C) examine it in the contemporary context.
Learning activities outside of classroom: Before/after each class meeting, students will be expected to spend four hours to understand the course content.
Grading Criteria/Policies: Grading will be decided based on in-class contribution (60%), and in-class presentations (40%).
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的（何を学ぶか）Outline and objectives
この授業では、テオドール・Ｗ・アドルノの『否定弁証法』（Negative Dialektik, 1966）「序論」の精読を通して、アドルノの哲学的方法論やその土台にある近現代哲学の解釈について、考察します。
『否定弁証法』は、アドルノが亡くなる3年前の1966年に出版された、彼の哲学的主著です。その「序論」においてアドルノは、カントやヘーゲル、マルクスやキルケゴール、ベルクソンやフッサール、ベンヤミンやサルトルらに言及しながら、「否定弁証法」と名指されうる自らの哲学的方法論を提示しています。
授業では、「序論」の精読を通して、アドルノの方法論を正確に理解するとともに、その哲学史上の意義を考察することを試みます。また同時に、アドルノから読み取れる哲学的思考のあり方について、現代のコンテクストを見据えつつ、批判的に議論することも目指されます。秋学期には、春学期に引き続き、「序論」の中盤から後半についてドイツ語原文を講読し、議論をする予定です（英語訳での参加も可能です）。
到達目標Goal
（Ａ）『否定弁証法』の「序論」におけるアドルノの議論をテクストに即して精確に理解できる。
（Ｂ）アドルノの哲学的方法論の思想史・哲学史的意義を考察できる。
（Ｃ）理解・考察したことを、現代のコンテクストから批判的に再検討できる。
※修士課程と博士後期課程では、それぞれ相応の学修と成果が求められます。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか（該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連）Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」「DP2」「DP3」「DP4」に関連
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)（学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. ）
はじめに春学期の講読内容を確認した後、引き続き、『否定弁証法』（Negative Dialektik）の「序論」（Einleitung）のドイツ語原文を輪読形式で講読します（英語訳での参加も可能です）。
講読に際しては、受講者全員が事前にテクストを十分に予習していることを前提とします。予習した内容に基づき、テクストを精確に訳読し、意味内容を厳密に確認した上で、疑問点や議論したい点を発言してもらいます。また各回に記録担当者を設定します。該当者には、担当する回の講読内容やなされた議論を記録し、レジュメにまとめて次回の冒頭に発表してもらいます。その他、進捗や要望に応じて、受講者による発表を行ってもらう可能性があります。受講する皆さんには積極的な参加を望みます。
なお、重要なお知らせをすることもありうるので、適宜、授業支援システムHoppiiを確認するようお願いします。
アクティブラーニング（グループディスカッション、ディベート等）の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク（学外での実習等）の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching：対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[対面/face to face]：イントロダクション
春学期の振り返り
授業の進め方の確認
『否定弁証法』9-31頁の内容・論点の確認
第2回[対面/face to face]：『否定弁証法』の講読（1）
31-33頁の精読、検討
第3回[対面/face to face]：『否定弁証法』の講読（2）
33-35頁の精読、検討
第4回[対面/face to face]：『否定弁証法』の講読（3）
35-36頁の精読、検討
第5回[対面/face to face]：『否定弁証法』の講読（4）
36-38頁の精読、検討
第6回[対面/face to face]：『否定弁証法』の講読（5）
38-39頁の精読、検討
第7回[対面/face to face]：『否定弁証法』の講読（6）
39-40頁の精読、検討
第8回[対面/face to face]：『否定弁証法』の講読（7）
40-42頁の精読、検討
第9回[対面/face to face]：『否定弁証法』の講読（8）
42-43頁の精読、検討
第10回[対面/face to face]：『否定弁証法』の講読（9）
43-45頁の精読、検討
第11回[対面/face to face]：『否定弁証法』の講読（10）
45-47頁の精読、検討
第12回[対面/face to face]：『否定弁証法』の講読（11）
47-48頁の精読、検討
第13回[対面/face to face]：『否定弁証法』の講読（12）
48-50頁の精読、検討
第14回[対面/face to face]：秋学期のまとめ
秋学期の講読内容の整理・検討
議論と展望
授業時間外の学習（準備学習・復習・宿題等）Work to be done outside of class (preparation, etc.)
本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とします。
準備としては、訳読ができるよう、わからない単語・熟語に関して辞書を丁寧に引き、欧文テクストを予習しておく必要があります。また復習としては、辞書や専門の事典を参照しつつ、訳読内容や授業で議論された内容を整理しておくことが望まれます。
テキスト（教科書）Textbooks
・Th. W. Adorno, Negative Dialektik, in: Gesammelte Schriften, Suhrkamp, Bd. 6, S. 7-412
・Th. W. Adorno, Negative Dialectics, trans. by Dennis Redmond（英語訳）
参考書References
・テオドール・Ｗ・アドルノ『否定弁証法』木田元／徳永恂／渡辺祐邦／三島憲一／須田朗／宮武昭（訳）、作品社
・アドルノ『否定弁証法講義』細見和之／河原理／高安啓介（訳）、作品社
・麻生博之「アドルノ」（『哲学の歴史 第 10 巻 危機の時代の哲学【20 世紀 I】』中央公論新社、所収）
その他の参考文献は、授業中に指示します。
成績評価の方法と基準Grading criteria
成績配分は、平常点（講読時のテクスト理解、議論への参加、その他の授業への取り組みなどの総合評価）60％、発表への取り組み40％です。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
・わかりにくい概念や思想内容、歴史的背景について、丁寧に説明するよう努めます。
・読解のスピードや方法について、受講者の人数やテキストの進捗度合に応じて、柔軟に無理なく進めるよう努めます。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
オンライン授業の場合に必要となるため、Zoom に接続可能な機器を準備してください。
その他の重要事項Others
春学期・秋学期合わせての履修を推奨します。
担当教員の専門分野等
＜専門領域＞社会哲学、宗教哲学、美学
＜研究テーマ＞キルケゴールの思想、アドルノやホルクハイマーの批判理論、ドイツ近現代思想
＜主要研究業績＞クリストフ・メンケ『力――美学的人間学の根本概念』（共訳、人文書院、2022年）、「『啓蒙の弁証法』から読むキルケゴール」（論文、『社会思想史研究』第45号、2021年）、「隠された内面性から、外的世界との衝突へ――キルケゴールの「内面性」概念を再解釈する試み」（論文、『哲学』第72号、2021年）、 "Adornos Kierkegaard-Aneignung als Säkularisierung des Religiösen"（論文、Der Schein des Lichts, der ins Gefängnis selber fällt: Religion, Metaphysik, Kritische Theorie, 2018, S. 161-178）、「キルケゴール・ルネッサンスの影」（論文、『学習院大学人文科学論集』第22号、2013年）〔ドイツ語版："Der Schatten der Kierkegaard-Renaissance", Kierkegaard Studies Yearbook, 2015〕