法学部Faculty of Law
LAW300AB(法学 / law 300)法と遺伝学ⅠLaw and Genetics 1
和田 幹彦Mikihiko WADA
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 法学部Faculty of Law |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2023 |
授業コードClass code | A0132 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 火3/Tue.3 |
科目種別Class Type | 講義 |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 / Ichigaya |
教室名称Classroom name | F311 |
配当年次Grade | 3~4 |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
他学部公開科目Open Program | ○ |
他学部公開(履修条件等)Open Program (Notes) | |
グローバル・オープン科目Global Open Program | |
成績優秀者の他学部科目履修制度対象Interdepartmental class taking system for Academic Achievers | |
成績優秀者の他学部科目履修(履修条件等)Interdepartmental class taking system for Academic Achievers (Notes) | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | ○ |
SDGsCPSDGs CP | |
アーバンデザインCPUrban Design CP | |
ダイバーシティCPDiversity CP | |
未来教室CPLearning for the Future CP | |
カーボンニュートラルCPCarbon Neutral CP | |
千代田コンソ単位互換提供(他大学向け)Chiyoda Campus Consortium | |
カテゴリー(法律学科)Category (法律学科) | 選択科目 |
カテゴリー(政治学科(2021年度以降入学者))Category (政治学科(2021年度以降入学者)) | |
カテゴリー(政治学科(2020年度以前入学者))Category (政治学科(2020年度以前入学者)) | |
カテゴリー(国際政治学科(2021年度以降入学者))Category (国際政治学科(2021年度以降入学者)) | |
カテゴリー(国際政治学科(2020年度以前入学者))Category (国際政治学科(2020年度以前入学者)) |
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Outline (in English)
【Course outline】:To learn the new issues of "Law and Genetics" which emerged in our domestic and international society of 21st Century.
【Learning Objectives】:To learn and to think on your own, further to express your own understanding of the new issues of "Law and Genetics" with the backdrop of most recent developments of genetics, medicine and cytology.
【Learning activities outside of classroom】: Read the class material in advance and as review, taking 2 hours each, making the activity 4 hours per a weekly class.
【Grading Criteria/Policy】: Class participation for 50/100 points. Final exam for 50/100 points.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
★この授業は、「他学部公開科目」でもあります!
●テーマ:21世紀の遺伝学・医学・細胞学と 法・法学・政策
そこの人! ハイ、この頁に目をとめたあなたです。ちょっと考えてみて下さい。
【授業の概要】
①デザイナー・チャイルド:ヒトの受精卵の遺伝子操作によって生まれる「理想的な?」子どもって法的・政策的にアリでしょうか? 2018年に中国において現実に誕生したデザイナー・チャイルド3人はどうなったのでしょうか?
②同性婚の法制度が議論されています。それとは別に「同性間の実子」つまり女性2人の遺伝子を、あるいは男性2人の遺伝子を継ぐ子どもってありえるのでしょうか?
③イギリスでは2015年に既に「3人のDNAを受け継ぐ子ども」が法制度上認められました。日本ではどうなっているのでしょうか?
【授業の目的・意義】
以上の中の一つでも関心があれば…これらの問いを解明するのが本授業の目的・意義です。ただ、ちょい待ち…正しい答は一つではない。世界中で誰もこの3つの問に絶対的な答を出した人はいないのです。答は一人一人が「独自の思考で考察する(自分の頭で考える)」のです。論理的に、法学的に。法学部生以外の方も市民の目線で。
本授業「法と遺伝学I」の内容は、21世紀の人類社会の構図を決める問題なのです。ならば、遺伝学・医学・細胞学という自然科学の発展を踏まえ、「法と遺伝学」の関係を、法学の専門家だけでなく、市民が自ら考察し、理解を深めましょう。それこそがこの授業の問いかけであり、目的・意義なのです。
★この科目は「文化・社会と法コース」に属します。
到達目標Goal
学生は、21世紀の遺伝学・医学・細胞学の発展の中で、新たな法的問題を発見し、その法的・政策学的・社会的な解決法を、「正しい答えは一つではない」という大前提の下に、「独自の思考で考察する(自分の頭で考える)」能力を身につけます。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP2」、「DP4」に関連。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
●法学部生・他学部生の皆さんには馴染みが薄い遺伝学・医学・細胞学の分野を、まず解りやすく解説します。
●講義形式に加えて講義内容のディスカッション形式を取ります。教室で、そして学習支援システム上の「掲示板」を用いた学生の自由な発言・質問・投稿を歓迎します。
●学生は、学期中に数回、「掲示板」にリアクションペーパー提出の方法で、授業の質問、感想、批判、自分の説などを書き、提出します(匿名です)。次回の授業でこれを教員が発表し、質問には応え、その他にはコメントします。
●リアクションペーパー提出の方法については【成績評価の方法と基準】も参照してください。
●授業の進め方の基本方針:「自分の頭で考える:正しい答は一つではない!」日々の生活で実践できる、論理的・法学的思考を訓練します。<法と遺伝学>の問題には、いまだに世界中のどこにも「一つの正しい答」はありません。だから「誤った発言」はありえない。安心して自分の心の中で議論して下さい。その中で、法学的思考が少しずつ身に付くように、教師が工夫します。発言・掲示板投稿が恥ずかしいという学生も、毎年、皆すぐ慣れて発言・投稿しています。それに「モノ言う能力」は21世紀を生きていく中で必須です!これこそ国際市場と日本の社会で、今、求められている技能です。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[対面/face to face]:「法と遺伝学」を学ぶに当たっての「遺伝学入門」
テーマに基づく講義&質疑応答・ビデオ動画教材による遺伝学入門;および最新遺伝学に基づく過去の遺伝学の誤解と現在の理解;さらに21世紀社会を生き抜く我々にとって、特に法学を学ぶ学生にとって、なぜ「遺伝学の基礎的知識」が必須か、そして「法と遺伝学」の学びが必要か、の解説とディスカッション
第2回[対面/face to face]:デザイナー・チャイルド:ヒトの受精卵の遺伝子操作によって生まれる「理想的な?」子どもの是非(1)
2001-02年の国際連合の「ヒトクローン禁止条約」の試みで、デザイナーチャイルド問題は、どのように取り上げられていたか?を解説した上で、ディスカッションを行う。
第3回[対面/face to face]:デザイナー・チャイルド:ヒトの受精卵の遺伝子操作によって生まれる「理想的な?」子どもの是非(2)
2003-05年の日本で、デザイナー・チャイルド問題はどのように取り上げられていたか?を解説した上で、ディスカッションを行う。
第4回[対面/face to face]:デザイナー・チャイルド:ヒトの受精卵の遺伝子操作によって生まれる「理想的な?」子どもの是非(3)
2015-17年の中国における研究で、デザイナー・チャイルド問題は、どのように取り上げられていたか?そして2018年、ついに中国でも規程違反とされたデザイナー・チャイルドの現実での誕生に世界はどう応じたか?を解説した上で、ディスカッションを行う。
第5回[対面/face to face]:デザイナー・チャイルド:ヒトの受精卵の遺伝子操作によって生まれる「理想的な?」子どもの人権・法的権利
2018年に中国において現実に誕生したデザイナー・チャイルド3人が日本国籍を取得し、日本在住である事例を想定し、子の人権・法的権利、特に「出自を知る権利」、その父・母の「出自を知らせる権利・義務」について考え、ディスカッションを行う。
第6回[対面/face to face]:同性間の実子(1)
多くの国で同性婚が立法化され、日本を含む諸国でも立法が検討される中、本授業「法と遺伝学I」は近未来のテーマとして≪同性2者から精子と卵子が細胞学により作成可能となり、同性間の実子誕生があり得る場合≫を想定し、法的・倫理的・社会的問題を考察する。関連するビデオ動画教材も見て、ディスカッションを行う。
第7回[対面/face to face]:同性間の実子(2)
現時点で既に哺乳類で可能となっている≪同性2者から精子と卵子が細胞学により作成され、同性間の実子が誕生している≫マウス(ネズミ)、試行中のサイ(絶滅危惧種)、政府の委員会でも議論中のヒトの現実を解説する。その法的・倫理的・社会的問題についてディスカッションを行う。
第8回[対面/face to face]:同性間の実子(3)
法的に同性婚をした2者の≪遺伝子を受け継いだ子の姿をデジタルアーティストがシミュレーション≫した例(動画)を見て、「人工主体」の観点も交えて解説し、解説を踏まえたディスカッションを行う。
第9回[対面/face to face]:「人工主体」と「法と遺伝学」
ブレイン・マシン・インターフェース(Brain Machine Interface; BMI)を超えて、自己・各自の脳の記憶が死後も完全に「人工主体」として保存される「新たな遺伝」の可能性を解説し、その法的・倫理的・社会的問題についてディスカッションを行う。
第10回[対面/face to face]:3人のDNAを受け継ぐ子どもの正当性と法的・倫理的・社会的諸問題:イギリスの新「ヒト受精及び胚研究法」2015年改正とアメリカ・メキシコでの初出産例(1)
2015年2月、イギリスで改正されたこの法律が及ぼした波紋の解説と、ディスカッション;アメリカ・メキシコで、法改正に先行して「3人のDNAを受け継ぐ子ども」が出生した意味・意義・法的諸問題の解説と、ディスカッションを行う。日本政府の対応も検討する。
第11回[対面/face to face]:3人のDNAを受け継ぐ子どもの正当性と法的・倫理的・社会的諸問題:イギリスの新「ヒト受精及び胚研究法」2015年改正とアメリカ・メキシコでの初出産例(2)
2015年2月、イギリスで改正されたこの法律の模範性の評価の解説と、ディスカッション;アメリカ・メキシコで、法改正に先行して「3人のDNAを受け継ぐ子ども」が出生した諸問題、および日本政府の対応の適否についてディスカッションを行う。
第12回[対面/face to face]:授業内試験【その振り返り:第13,14回】
本授業「法と遺伝学I」「到達目標」に達したかを、問題を通じて考え、論述する。
第13回[対面/face to face]:本授業「法と遺伝学I」の総括;および授業内試験の振り返り(1)
デザイナー・チャイルド、同性間の実子、「人工主体」、3人のDNAを受け継ぐ子ども等のトピックを通じ、「法と遺伝学I」の分野を通じて「独自の思考で考察」した内容を、授業内試験の出題意図と合わせて総括し、ディスカッションを行う。
第14回[対面/face to face]:授業内試験の講評;授業内試験の振り返り(2)
本授業「法と遺伝学I」「到達目標」に達したかを、問題の模範解答・解答例の講評・採点基準を通じて考え、振り返る。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
●学生は、各回に必ず教科書の予習箇所を指定するので、各自自宅で予習をすること。
●学生は、授業で扱った教科書の箇所と授業内容を必ず復習すること。
●準備(予習)・復習時間は、1回の授業につき各々2時間(合計4時間)である。
テキスト(教科書)Textbooks
●【教科書】経塚淳子(監修)『遺伝のしくみ』新星出版社、2021年刊、1,400円+税
●【教材】追加的に、必須の教材文献を初回および各回の授業で指示する。教員の和田がネット上のURLを教示、またはPDF化して学習支援システムの「教材」にアップロード・配布する予定。【教材の例】のPDF配布は以下の通り:
★和田幹彦著『法と遺伝学』2005年より、抜粋した教材。
★和田幹彦著「『デザイナー・ベビー』『同性間の実子』再訪:実現性高まる――『ゲノム編集』『男性iPS細胞からの卵子作製』の新技術と法規制・立法の要否:同性婚認容のアメリカ連邦最高裁判決」2015年
★和田幹彦著「3人のDNAを継ぐ子を認める法改正――英国の新『ヒト受精及び胚研究法』」2015年
★ほかに、2020-2023年の「内閣府生命倫理専門調査会」の最新公表資料など
参考書References
必要に応じて指示する。【購入は必須では無い。】
成績評価の方法と基準Grading criteria
【予定】:
[1]平常点【配点40点上限】:【授業計画】の各回参照:初回授業で指示するとおり、履修者を約5グループ[グループ1, 2, 3, 4, 5]に分け、学習支援システム上の「掲示板」でリアクションペーパーとして各指定回の授業内容についての「独自の考察」を書いて提出してもらう。1回10点満点で評価;ただし病気その他やむを得ない事情で欠席した学生にも予習・復習指定内容について同様に書けば評価する。以下のように全履修者に少なくとも4回の提出機会を与えるが、病気欠席者などの例外は初回の授業で詳しく説明する。
以下の回には【必ず】指定の履修者はリアクションペーパーを提出すること:
全員:第1回、第13回 グループ1:第2回、第7回 グループ2:第3回、第8回
グループ3:第4回、第9回 グループ4:第5回、第10回
グループ5:第6回、第11回
[2]期末の「授業内試験」【配点50点】。
[3]試験採点後の第14回「授業内試験の講評」1回出席で【講評の平常点10点】
●[2]の期末試験では、到達目標である:≪21世紀の遺伝学・医学の発展の中で、新たな法的問題を発見し、その法的・政策学的・社会的な解決法を、「正しい答えは一つではない」という大前提の下に、「独自の思考で考察する(自分の頭で考える)」能力を身につけた≫かどうかを基準として、評価します。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
●質問をしやすい環境をより良く整備します。
●授業のスピードを速くしすぎず、ゆったりしたテンポで、学生がフォローし、ついていきやすいように工夫します。
●ビデオ、DVD、ブルーレイ教材を多用する予定です。
●時々、教科書や参考書にもないが、法学・法そのものの理解、遺伝学・遺伝子操作・最先端医学・細胞学などの理解に役に立つ「手がかり」を挿入し、授業を聞きやすくします。
その他の重要事項Others
●「実務経験のある教員による授業」に該当します。日本・スイスにおける銀行業務で日本法・英米法・スイス法・ドイツ法に基づく法務を経験しており、それに関連して、各国の法・法律・法制度・政策・政治が本科目のテーマにどのように対応しているかを、実務の観点からもこの授業で取り上げます。
●法学部以外の学生は、誰でも履修ができます。この科目を履修以前の、他の法律科目の履修も必要ありません。
●法学部法律学科生は、通常の選択必修科目・選択科目を適正に履修していれば、準備は十分です。
●法学部政治学科・国際政治学科生は、他の法律科目履修の必要はありません。本授業で「政策と同時に、法学も学ぶ!」姿勢をしっかり持って下さい。
●全学部生に、同じく私による秋学期の「法と遺伝学II」との合わせての履修を強く勧めます。義務ではありません。