人文科学研究科Graduate School of Humanities
LIT500B7(文学 / Literature 500)サブカルチャー論ⅡSubcultural Studies II
倉本 さおり
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 人文科学研究科Graduate School of Humanities |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2022 |
授業コードClass code | X1075 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 秋学期授業/Fall |
曜日・時限Day/Period | 水2/Wed.2 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | 各学部・研究科等の時間割等で確認 |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory | 国際日本学インスティテュート(修士課程)-基幹科目 |
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Outline (in English)
【Course outline】
Modern pop culture spreads through multiple media such as the Internet, social media, television, magazines and games, and has various influences on social norms and our self-formation. In this class, you focus on "Weekly Shonen Jump" one of the magazine media that has been characterized from the perspective of gender, and learn about issues facing modern society and suggestions for leading criticism of pop culture to a prosperous future.
【Learning Objectives】
At the end of the course, students are expected to think about pop culture from a variety of perspectives by applying the gender-related perspectives learned in class to discover issues on their own, and by using information formed by various media., and identify research problems based on the differences and commonalities among different cultures.
【Learning activities outside of classroom】
In addition to researching literature and viewing art related to each theme, students will be expected to take notes on pop culture-related news and other topics of interest and use them in class discussions.
The standard preparation and review time for this class is 2 hours each.
【Grading Criteria /Policy】
The overall grade for the class will be determined based on the following
Attitude toward class participation: 30%, assignments to be written and submitted in class: 30%, final report: 40%.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
現代のポップカルチャーはインターネットやSNSをはじめ、テレビ、雑誌、ゲームといった複数の媒体を通じて連動するように浸透し、社会的規範やわたしたちの自己形成にさまざまな影響を与えています。後期の授業では「ジェンダー化されたマンガ・コンテンツ」としての側面を持つ『週刊少年ジャンプ』に注目し、現代社会の論点をあぶりだすと共に、ポップカルチャー批評が豊饒な未来へとつながるような提言を模索していきます。
到達目標Goal
・授業中に学んだジェンダーに関わる視座を応用して自ら問題を発見し、多様なメディアで形作られる情報を用いて、多角的にポップカルチャーについて考えることができるようになる)
・先行研究を体系的に理解した上で批判的に評価し、論点を整理しながら建設的な意見を述べることができるようになる
・異文化間の差異や共通性を踏まえながら、研究上の問題を発見することができるようになる。
・先行研究を踏まえ、一次資料を発掘して検証しながら、客観的な説得力をそなえた論文を書いたり、口頭発表したりすることができるようになる
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
履修生の人数と各自の状況を考慮したうえで、対面での授業を基本としつつオンラインを併用した講義を行う予定です。
講義では画像や映像サンプルをふんだんに用いながら表象分析の具体的な方法をいくつか紹介し、歴史的・文化的な背景を踏まえてポップカルチャーとジェンダーをめぐる諸問題について学んでいきます。
授業中の質問やコメント、取り上げたいトピックの提案、フィールドワークの希望も歓迎。履修者の意見を取り入れつつ選んだコンテンツを実際に鑑賞し、ディスカッションを行い、論点を整理していくことで、プレゼン能力も同時に養っていきます。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
あり / Yes
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[対面/face to face]:オリエンテーション
自己紹介と授業の進め方についての説明。また、ジェンダーをめぐるいくつかの論題を紹介し、サブカルチャーないしポップカルチャーと呼ばれているものから社会規範や人びとの自己認識をかたちづくるプロセスを読み解くための有効な視点や手法について考えていきます。
第2回[対面/face to face]:マンガ雑誌とジェンダー、メディア文化と再帰性
今なお日本で最も発行部数の多い雑誌メディアであり、かつ「(区分上)ジェンダー化されたコミック雑誌」という複合的な性格を有する『週刊少年ジャンプ』の今日に至るまでの位置づけと変化について、国内外のメディアにおける言及のされ方を参照しつつ社会的な文脈から検証します。また、読者アンケートが作品の掲載順や内容にまで影響を及ぼす同メディアの特徴を取り上げ、メディアとコンテンツとコミュニティの流動的な関係性に焦点を当てていきます。
第3回[対面/face to face]:「少年マンガ」と〈成長〉のゆくえ①(バトル形式と物語の展開)
週間発行部数653万部を記録し黄金期と呼ばれていた1990年代の『週刊少年ジャンプ』掲載作品(鳥山明『ドラゴンボール』、冨樫義博『幽遊白書』、井上雄彦『SLUM DUNK』等)を取り上げ、その展開と結末の様相をめぐって噴出した言説から、当時の日本の「少年マンガ」の像がどのような論点を社会に提示したのか考えていきます。
第4回[対面/face to face]:「少年マンガ」と〈成長〉のゆくえ②(ヒーローの相対化)
2014年から連載中の堀越耕平『僕のヒーローアカデミア』におけるヒーローとヴィラン(≒敵役)の描き方に着目し、いくつかの論文を参照しながら、近年の「少年マンガ」がどのような文脈で社会に受容されているか検討していきます。
第5回[対面/face to face]:「少年マンガ」と〈成長〉のゆくえ③(チーム化とロジック化)
2013年から連載が開始された葦原大介『ワールドトリガー』の構造に着目し、近年の「少年マンガ」が90年代に提示された〈バトル〉をめぐる論点をどのような形で更新しようと試みてきたか考えてみます。
第6回[対面/face to face]:「少年マンガ」と〈成長〉のゆくえ④(勝者と敗者の解体)
2012年から2020年にかけて連載され、2.5次元ミュージカルという分野でも大きな注目を浴びている古舘春一の『ハイキュー!!』368話「なにもの」にスポットを当て、群像劇としてのスポーツマンガの影響と可能性について多角的に検証していきます。
第7回[対面/face to face]:「少年マンガ」と〈成長〉のゆくえ⑤(ディスカッション)
これまでの授業を踏まえ、自分が影響を受けた/自分が研究対象として興味を持っているコンテンツの主人公/主要キャラクターを取り上げ、その動機付けと物語の展開について、オリエンテーションで紹介した有効な視点を加えながらクラス全体でディスカッションすることで、〈成長〉をめぐるさまざまな表象の在り方を検討していきます。
第8回[対面/face to face]:中間レポート発表会
自分が興味のあるコンテンツや派生したメディアのトピックから期末レポートに向けた論点を見つけ出し、簡単な発表を行ってもらいます。
第9回[対面/face to face]:「少年マンガ」とジェンダーロール①(テクストとしてのキャラクター)
週刊少年ジャンプ掲載作品における「役割語」の様相に着目し、テクストとしてのキャラクターが形成されるプロセスについて検証していきます。
第10回[対面/face to face]:「少年マンガ」とジェンダーロール②(「少年マンガ」における女性性)
前回の授業の踏まえつつ、2018年から連載されている芥見下々『呪術廻戦』における女性キャラクターの様相に着目し、彼女たちがどのようなジェンダーロールを内面化し、あるいはそれを乗り越えようとしているか考察していきます。
第11回[対面/face to face]:「少年マンガ」とジェンダーロール③(ヒーローとヒロイン)
2016年から2020年まで連載されていた白井カイウ原作・出水ぽすか作画『約束のネバーランド』の主人公・エマの造型を逆説的に参照することで、従来の「少年マンガ」の女性キャラクターたちがどんな磁場のもとに登場していたか検証していきます。
第12回[対面/face to face]:「少年マンガ」とジェンダーロール④(ラブコメの類型と逸脱)
過去に掲載されてきた作品のうち「ラブコメ」と呼ばれるジャンルを中心に、読者の反応を参照しつつ、これまで「少年マンガ」の磁場においてジェンダー規範とロマンチック・ラブがどのように受容されてきたか考えていきます。
第13回[対面/face to face]:「少年マンガ」とジェンダーロール⑤(ディスカッション)
これまでの授業を踏まえ、自分が影響を受けた/自分が研究対象として興味を持っているコンテンツを取り上げ、そのキャラクター造型や物語の構造について有効な視点を加えながらクラス全体でディスカッションすることで、〈ジェンダー〉をめぐるさまざまな表象の在り方を検討していきます。
第14回[対面/face to face]:まとめとフィードバック
期末レポートに向け、授業中に提示された視点と論点を整理しつつ、各自の研究テーマを設定・発表し、互いにアドバイスします。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
授業内で扱うコンテンツは各テーマに文献調査や作品鑑賞をはじめ、ポップカルチャーをめぐるニュース、話題になっているコンテンツで気になったものは積極的にメモしておき、授業内での議論に役立ててください。
本授業の準備学習・復習時間は各2時間を標準とします。
テキスト(教科書)Textbooks
必要に応じて資料を配布します。
参考書References
※無理にそろえる必要はありません
・東浩紀『動物化するポストモダン――オタクから見た日本社会』(講談社現代新書)
・足立加勇『日本のマンガ・アニメにおける「戦い」の表象』(現代書館)
・倉橋耕平『歴史修正主義とサブカルチャー 90年代保守言説のメディア文化』(青弓社)
・金水聡『役割語研究の展開』(くろしお出版)
・河野真太郎『戦う姫、働く少女』(POSSE叢書)
・押山美知子『少女マンガ ジェンダー表象論 〈男装の少女〉の造形とアイデンティティ』(アルファベータブックス)
・堀あきこ、守如子=編『BLの教科書』(有斐閣)
・山田奨治『マンガ・アニメで論文・レポートを書く――「好き」を学問にする方法』(ミネルヴァ書房)
他、授業ごとに参考書や参考作品を提示します。
成績評価の方法と基準Grading criteria
授業への参加態度30%、授業内で執筆・提出する課題30%、期末レポート40%
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
特に対面とオンラインを併用する場合は、個々の学生の発言が建設的な意見交換へとつながるよう、適宜調整を行いながら活発な議論の場を用意する。
また授業ごとに論点の整理を行い、議論の足場をわかりやすく設定していく。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
パソコンやタブレット等、オンライン授業に対応した機器(※難しい場合は応相談)
その他の重要事項Others
本科目は他専攻学生の履修も受け入れます。
授業は原則的に教室での対面形式で行う予定ですが、新型コロナウィルスの影
響で通学が困難な学生がいることも鑑み、ハイフレックス形式を採用します。
担当教員の専門領域等
国内外の小説やマンガを中心に、雑誌や新聞、ラジオ等で書評やポップカルチャー批評を担当。共同通信文芸時評「デザインする文学」、週刊新潮「ベストセラー街道をゆく!」連載中。他、小説トリッパー、ダ・ヴィンチ誌レビュアー。『文學界』新人小説月評(2018)、毎日新聞文芸時評「私のおすすめ」(2019)。TBSラジオ「文化系トークラジオLife」サブパーソナリティ。