人文科学研究科Graduate School of Humanities
LIT500B7(文学 / Literature 500)サブカルチャー論ⅠSubcultural Studies Ⅰ
倉本 さおり
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 人文科学研究科Graduate School of Humanities |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2022 |
授業コードClass code | X1074 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 水2/Wed.2 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | 各学部・研究科等の時間割等で確認 |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory | 国際日本学インスティテュート(修士課程)-基幹科目 |
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Outline (in English)
【Course outline】
Modern pop culture spreads through multiple media such as the Internet, social media, television, magazines and games, and has various influences on social norms and our self-formation. In this class, you will critically appreciate and discuss pop culture content such as manga, animation, light novels, movies, TV dramas, 2.5dimentional musicals, and idols. By identifying and analyzing problems from various angles, you will learn perspectives and methods for actively grasping dynamic reality and social situations without stopping thinking.
【Learning Objectives】
At the end of the course, students are expected to apply the perspectives learned in class to discover problems on their own, and to think about pop culture from multiple perspectives using information formed by a variety of media, and identify research problems based on the differences and commonalities among different cultures.
【Learning activities outside of classroom】
In addition to researching literature and viewing art related to each theme, students will be expected to take notes on pop culture-related news and other topics of interest and use them in class discussions.
The standard preparation and review time for this class is 2 hours each.
【Grading Criteria /Policy】
The overall grade for the class will be determined based on the following
Attitude toward class participation: 20%, assignments to be written and submitted in class: 30%, final report: 50%.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
現代のポップカルチャーはインターネットやSNSをはじめ、テレビ、雑誌、ゲームといった複数の媒体を通じて連動するように浸透し、社会的規範やわたしたちの自己形成にさまざまな影響を与えています。この授業では漫画やアニメ、ライトノベル、映画、ドラマ、2.5次元舞台、アイドルなどのポップカルチャーを中心に、具体的な作品やコンテンツを取りあげ批評的に鑑賞するスタイルを採用します。さまざまな角度から積極的に楽しみつつ、ときに批判を交えた分析を行うことで、思考停止に陥らず、流動的な現実や個々の社会そのものの在り方を主体的に捉えるための視点や方法を学んでいきます。
到達目標Goal
・授業中に学んだ視座を応用して自ら問題を発見し、多様なメディアで形作られる情報を用いて、多角的にポップカルチャーについて考えることができるようになる
・先行研究を体系的に理解した上で批判的に評価し、論点を整理しながら建設的な意見を述べることができるようになる
・異文化間の差異や共通性を踏まえながら、研究上の問題を発見することができるようになる。
・先行研究を踏まえ、一次資料を発掘して検証しながら、客観的な説得力をそなえた論文を書いたり、口頭発表したりすることができるようになる
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
履修生の人数と各自の状況を考慮したうえで、対面での授業を基本としつつオンラインを併用した講義を行う予定です。
講義では画像や映像サンプルを用いながら表象分析の具体的な方法をいくつか紹介し、歴史的・文化的な背景を踏まえて諸問題について検討していきます。
授業中の質問やコメント、取り上げたいトピックの提案、フィールドワークの希望も歓迎。履修者の意見を取り入れつつ選んだコンテンツを実際に鑑賞し、ディスカッションを行い、ミニレポートの発表等もまじえながら論点を整理していくことで、プレゼン能力も同時に養っていきます。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
あり / Yes
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[対面/face to face]:オリエンテーション
授業の進め方について説明したのち、各自「サブカル歴」をまじえつつ自己紹介をしてもらいます。これまで自分がどんな文化の中で育ってきたのか、どんなジャンルやコンテンツに興味があるのか改めて意識することで、サブカルチャーないしポップカルチャーというものの存在がどのような手続きを経て人びとの自己形成に関わっていくのか主体的に確認していきます。
第2回[対面/face to face]:メディアとポップカルチャーの現況
『鬼滅の刃』や『呪術廻戦』といった最新のメガコンテンツをイントロダクションに、「サブカルチャー」と呼ばれてきたものの変遷、そして複数のメディアと連動して成長していく現代ポップカルチャーの特徴について概説します。
第3回[対面/face to face]:大衆とカルチャーと「物語」
日本の昔噺「桃太郎」と、その受容の歴史、そして現代の広告表現などに見られるイメージの変容を検証しながら、「物語」というものがポップカルチャーにおいてどのように援用/転用されてきたか考えていきます。
第4回[対面/face to face]:ポップカルチャーの諸相①
2013年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞した雲田はるこ『昭和元禄落語心中』を教材に、漫画・アニメ化作品それぞれで描かれる落語シーンの演出の違いに着目しつつ、各ジャンルの表現形態の特徴についてディスカッションしながら立体的に検分していきます。
第5回[対面/face to face]:ポップカルチャーの諸相②
『昭和元禄落語心中』に登場する落語が落語家によって実際に上演されている様子を「語り」ないし「語り手」という枠組みに注目しながら鑑賞します。その後、前回の授業を踏まえ、「枠組み」や「場」の形成というものがポップカルチャーの中で果たす意味について考えます。
第6回[対面/face to face]:ポップカルチャーの諸相③
『昭和元禄落語心中』に登場する演目「死神」と、サゲ(=落ち)のバリエーションを中心に、第3回の授業で検証した「物語」の変容について改めて考察を深めていきます。
第7回[対面/face to face]:ミニレポート発表会
これまでの授業を踏まえ、自分が興味のあるモチーフを選び、簡単なレポート発表を行ってもらいます。その後クラス内で論点を洗い出しディスカッションを重ねることで期末レポートに各自フィードバックします。
第8回[対面/face to face]:テクストとコンテクスト①
日本のアニメーション映画『天気の子』(新海誠監督)と韓国の映画『パラサイト』(ポン・ジュノ監督)における〈水〉ないし〈豪雨〉の表象の差異に着目し、同じ言葉やモチーフが異なる文脈に置かれることでまったく別の表象を伴ってたちのぼる事例について検討します。
第9回[対面/face to face]:テクストとコンテクスト②
『天気の子』を実際に鑑賞した上で、前回の授業を踏まえてディスカッションを行い、社会背景とポップカルチャーにおける表象の相関について考察を深めていきます。
第10回[対面/face to face]:テクストとコンテクスト③
『パラサイト』を実際に鑑賞した上で、前回の授業を踏まえてディスカッションを行い、社会背景とポップカルチャーにおける表象の相関について考察を深めていきます。
第11回[対面/face to face]:解釈とアダプテーション①
田辺聖子の短篇小説「ジョゼと虎と魚たち」(1985年)を読んだうえで、犬童一心監督の実写映画『ジョゼと虎と魚たち』(2003年)を鑑賞し、原作となったテクストがどのような解釈を経て映像化作品へと翻案されたのか分析していきます。
第12回[対面/face to face]:解釈とアダプテーション②
前回の授業を踏まえ、タムラコータロー監督のアニメ―ション映画『ジョゼと虎と魚たち』(2020年)を鑑賞し、どのようなプロセスを経て翻案に至ったのか、特に時代背景や社会環境の変化に着目しディスカッションしながら考察していきます。
第13回[対面/face to face]:解釈とアダプテーション③
キム・ジョングァン監督によるリメイク版『ジョゼと虎と魚たち』(2020)を鑑賞し、「テクストとコンテクスト」の回で検討した要素を念頭に入れたうえで、アダプテーションの様相についてディスカッションします。
第14回[対面/face to face]:まとめとレポート指導
期末レポートや研究発表に向け、授業中に提示された視点と論点を整理しつつ、各自の研究テーマを設定、互いにアドバイスします。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
授業内で扱うコンテンツは各テーマに文献調査や作品鑑賞をはじめ、ポップカルチャーをめぐるニュース、話題になっているコンテンツで気になったものは積極的にメモしておき、授業内での議論に役立ててください。
本授業の準備学習・復習時間は各2時間を標準とします。
テキスト(教科書)Textbooks
必要に応じて資料を配布します。
参考書References
※無理にそろえる必要はありません
・橋本陽介『ナラトロジー入門――プロップからジュネットまでの物語論』(水声社)
・東浩紀『動物化するポストモダン――オタクから見た日本社会』(講談社現代新書)
・三原芳秋、渡邊英理、鵜戸聡=編著『クリティカル・ワード 文学理論 読み方を学び文学と出会いなおす』(フィルムアート社)
・倉橋耕平『歴史修正主義とサブカルチャー 90年代保守言説のメディア文化』(青弓社)
・堀あきこ、守如子=編『BLの教科書』(有斐閣)
・永田大輔、松永伸太朗 =編『アニメの社会学―アニメファンとアニメ制作者たちの文化産業論』(ナカニシヤ出版)
・山田奨治『マンガ・アニメで論文・レポートを書く――「好き」を学問にする方法』(ミネルヴァ書房)
他、授業ごとに参考書や参考作品を提示します。
成績評価の方法と基準Grading criteria
授業への参加態度20%、授業内で執筆・提出する課題30%、期末レポート50%
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
特に対面とオンラインを併用する場合は、個々の学生の発言が建設的な意見交換へとつながるよう、適宜調整を行いながら活発な議論の場を用意する。
また授業ごとに論点の整理を行い、議論の足場をわかりやすく設定していく。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
パソコンやタブレット等、オンライン授業に対応した機器(※難しい場合は応相談)
その他の重要事項Others
本科目は他専攻学生の履修も受け入れます。
授業は原則的に教室での対面形式で行う予定ですが、新型コロナウィルスの影響で通学が困難な学生がいることも鑑み、ハイフレックス形式を採用します。
担当教員の専門領域等
国内外の小説やマンガを中心に、雑誌や新聞、ラジオ等で書評やポップカルチャー批評を担当。共同通信文芸時評「デザインする文学」、週刊新潮「ベストセラー街道をゆく!」連載中。他、小説トリッパー、ダ・ヴィンチ誌レビュアー。『文學界』新人小説月評(2018)、毎日新聞文芸時評「私のおすすめ」(2019)。TBSラジオ「文化系トークラジオLife」サブパーソナリティ。