人文科学研究科Graduate School of Humanities
PHL500B1（哲学 / Philosophy 500）論理学研究Ⅱ－１Study on Logic II - 1
計良 隆世
授業コードなどClass code etc
| 学部・研究科Faculty/Graduate school | 人文科学研究科Graduate School of Humanities |
| 添付ファイル名Attached documents | |
| 年度Year | 2022 |
| 授業コードClass code | X0012 |
| 旧授業コードPrevious Class code | |
| 旧科目名Previous Class title | |
| 開講時期Term | 春学期授業/Spring |
| 曜日・時限Day/Period | 水6/Wed.6 |
| 科目種別Class Type | |
| キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
| 教室名称Classroom name | 各学部・研究科等の時間割等で確認 |
| 配当年次Grade | |
| 単位数Credit(s) | 2 |
| 備考（履修条件等）Notes | |
| 実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
| カテゴリーCategory | 哲学専攻(修士課程)-専門科目 |
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Outline (in English)
The aim of this course is to give participants the understandings of the Indian Buddhist way of persuasion (rhetoric) used for persuading audience their doctrinal truth and their way of proof used for rationally justifying that truth.
By the end of the course, participants should be able to understand the followings:
1. The logical structure of the three statements expressing the seals of the dharma (dharmamudrA).
2. The characteristic(s) of Buddhist view of truth.
3. Buddhist linguistic theory (apoha theory) and logic.
Before/after each class meeting, participants will be expected to spend four hours to understand the course content.
Your overall grade in the class will be decided based on the following: Presentation (30%), Term-end report (40%) and Contribution in class (30%).
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的（何を学ぶか）Outline and objectives
インド仏教思想における真理説・レトリック（説得方法）・真理説論証・真理観。
インド初期仏教は自らが示す真理説を聞き手に納得させるためにどのようなレトリックを用いたのか、またインド大乗仏教は真理説を根拠付け合理的に正当化するためにどのような論証を行ったのか、そのレトリックと論証方法を、初期経典の『無我相経』等、大乗経典の『稲芉経』とそれに対する後期中観派の注釈、『中論』等の大乗論書の原典からの英訳または和訳を輪読しながら、分析し理解していく。他方、インド仏教の真理観について、その特徴と西洋の哲学思想における真理観との差異とを、比較思想的方法を用いることにより、理解する。加えて最後に、仏教の言語観・言語理論（アポーハ論）を取り上げ、文献資料を用いながら、仏教の真理観と言語観との関係、アポーハ論と仏教論理学との関係、自身の言語観に基づくとも考えられる仏陀の教育指導法とその論理、そして大乗仏教の真理説論証（法無我・無自性性論証）で用いられる、帰謬法・自立論証等の論証方法についても学習し、理解する。
到達目標Goal
・インド仏教が提示する三法印等の真理説の論理的構造を理解する。
・真理説を聞き手に納得させるために初期仏教が用いたレトリック、そして真理説を根拠付けるために大乗仏教が採用した論証方法とを理解する。
・仏教思想における真理観の特徴を理解する。
・仏教の言語観と言語理論（アポーハ論）、そしてアポーハ論と仏教論理学との連関を理解する。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)（学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. ）
授業形態：オンライン授業（リアルタイム配信型）。講義と演習の両形態を採る。
授業の進め方：基本的には、各回、まずテーマについて概説し、文献資料を一緒に読み（もしくは担当者に訳文を発表してもらい）、その後で、学生に意見・感想を述べてもらう、という形になる。
仏教の基本思想や関連する西洋哲学思想について、しばしば課題を出す予定である。課題等の提出・フィードバックは 「学習支援システム」を通じて行う予定。
アクティブラーニング（グループディスカッション、ディベート等）の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク（学外での実習等）の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching：対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[オンライン/online]：仏教思想の出発点（１）
東西両哲学思想の比較研究の可能性，ウパニシャッドの哲学
第2回[未定/undecided]：仏教思想の出発点（２）
ブラフマニズムへの不信感，絶対神・創造神の否定
第3回[未定/undecided]：仏教の真理説「諸行無常」（１）
無常性の根拠，「諸行無常」から導出されること，無常性の解釈と根拠付け
第4回[対面/face to face]：仏教の真理説「諸行無常」（２）
「諸行無常」の真理観，西洋の真理観との比較
第5回[対面/face to face]：仏教の真理説「諸行無常」（３）
西洋の真理観との比較（続き），ニーチェの仏教評価
第6回[対面/face to face]：仏教の真理説「一切皆苦」（１）
苦と苦の根拠，四諦説（苦諦・集諦），十二支縁起
第7回[対面/face to face]：仏教の真理説「一切皆苦」（２）
苦の滅と苦の滅に至る方法，四諦説（滅諦・道諦），八支聖道，中道，「苦からの解放」についてのニーチェの評価，苦滅と生の充実
第8回[対面/face to face]：仏教の真理説「諸法無我」（１）
我（アートマン）説，『無我相経』講読，非我と無我，無我説の説得方法（レトリック）
第9回[対面/face to face]：仏教の真理説「諸法無我」（２）
大乗仏教の無我解釈，中観思想（縁起・空・中），中観派が提示する法無我の論理的根拠とその根拠の論理的構造
第10回[対面/face to face]：大乗仏教の縁起思想（１）
『稲芉経』・『稲芉経註』英訳講読（１），外縁起と内縁起，縁起の二種観察法
第11回[対面/face to face]：大乗仏教の縁起思想（２）
『稲芉経』・『稲芉経註』英訳講読（２），刹那滅論証，刹那滅と縁起・此縁性
第12回[対面/face to face]：大乗仏教の縁起思想（３）
『稲芉経』・『稲芉経註』英訳講読（３），真理説に関する大乗仏教と小乗仏教との思想的差異，世俗と勝義の関係，これまでのまとめ
第13回[未定/undecided]：仏教の言語観・言語理論
インド版普遍論争，仏教の言語理論と仏教論理学
第14回[未定/undecided]：仏教の教育指導法とその論理
仏陀の対機説法と論理，帰謬法，自立論証と帰謬論証，否定対象と否定
授業時間外の学習（準備学習・復習・宿題等）Work to be done outside of class (preparation, etc.)
本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とします。
授業前学習：文献資料の熟読、仏教専門用語の理解。授業内で出された
課題の発表用意（担当者のみ）。
授業後学習：参考文献の熟読。
テキスト（教科書）Textbooks
『スッタニパータ』：中村元訳『ブッダのことば』、岩波文庫、東京、
１９５８年．
『ダンマパダ』：中村元訳『真理のことば・感興のことば』、岩波文庫、
東京、１９７８年．
『大パリニッバーナ経』：中村元訳『ブッダ最後の旅』、岩波文庫、東京、
１９８０年．
『無我相経』：中村元監修、及川・羽矢・平木訳『原始仏典II 相応部
経典第三巻』、春秋社、東京、２０１２年．
『稲芉経』・『稲芉経註』：Jeffrey Schoening, Çâlistambasûtra and its Indian commentaries, Arbeitskreis für Tibetische und Buddhistische Studien Universität Wien, Wien, 1995．
『ミリンダ王経』：長尾雅人監修，服部・宇野・大地原・その他訳『世界の
名著1 バラモン教典・原始仏典』、中央公論社、東京、１９６９年．
参考書References
・高崎直道監修、桂・齋藤・下田・その他編集『シリーズ大乗仏教９
認識論と論理学』、春秋社、東京、２０１２年．
・桜部・上山『仏教の思想２ 存在の分析・アビダルマ』、角川文庫
ソフィア、東京、１９９６年．
・桂紹隆「概念：アポーハ論を中心に」、『岩波講座・東洋思想１０
インド仏教３』、岩波書店、東京、１９８９年．
・御牧克己「刹那滅論証」、『講座大乗仏教９ 認識論・論理学』、春秋社、
東京、１９８４年．
・齋藤明「中観思想の成立と展開：ナーガールジュナの位置づけを中心
として」、『シリーズ大乗仏教６ 空と中観』、春秋社、東京、
２０１２年、pp. 3-41.
成績評価の方法と基準Grading criteria
評価方法：ゼミでの発表・訳読・質疑応答（30％），議論への参加
度・授業への貢献度（30％），学期末レポート（40％）
評価基準：主として、「到達目標」に掲げた事柄の理解度による。
その他、授業前学習・授業後学習をきちんと行っているか
どうかも基準に含める。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
仏教の認識論・言語理論など、仏教思想の詳細を学んだことのない学生がほとんどだと思いますので、授業では、丁寧な指導・解説を心掛けたいと思います。
その他の重要事項Others
必要な文献資料は学習支援システムにおいて配布する予定。履修者は授業前日までにダウンロードし、文献資料に目を通しておくこと。
担当教員の専門分野等
＜専門領域＞ インド哲学・仏教思想
＜研究テーマ＞ インド後期中観思想
＜主要研究業績＞
① Ryusei Keira, Mâdhyamika and Epistemology: A Study of Kamalashîla's method for proving the voidness of all dharmas; Introduction, annotated translations and Tibetan texts of selected sections of the second chapter of the Madhyamakāloka. Arbeitskreis für Tibetische und Buddhistische Studien Universität Wien, Wien, 2004.
② Ryusei Keira, The proof of voidness and scriptural authority: Kamalashîla's way of adoptiong scriptures. 『法華経と大乗仏教の研究』, 山喜房仏書林, 東京，２００６年，pp. 177-192.
③ Ryusei Keira, The description of niHsvabhâvatâ and its intentional meaning: Kamalashîla's solution for the doctrinal conflict between Mâdhyamika and Yogâcâra, Acta Tibetica et Buddhica 2, Monobusan University, Minobu, 2009, pp. 1-24.
④ 計良龍成，「カマラシーラの中観思想」，『シリーズ大乗仏教６ 空と中観』，春秋社，東京，２０１２年，pp. 89-112.
⑤ 計良龍成，「『中観光明論』(Madhyamakâloka) 後主張第１章「聖典による一切法無自性性の証明」の研究（１）：和訳・註解・チベット語訳校訂テキスト」，Acta Tibetica et Buddhica ９, Monobusan University, Monobu, 2016, pp. 1-121.
⑥ 計良龍成，「『中観光明論』(Madhyamakâloka)が引用する『入楞伽経』 X 256-258について」，Acta Tibetica et Buddhica １２, Monobusan University, Monobu, 2019, pp. 1-33.