人文科学研究科Graduate School of Humanities
PHL600B1（哲学 / Philosophy 600）形而上学研究Ⅰ－１Study on Metaphysics I - 1
齋藤 元紀
授業コードなどClass code etc
| 学部・研究科Faculty/Graduate school | 人文科学研究科Graduate School of Humanities |
| 添付ファイル名Attached documents | |
| 年度Year | 2022 |
| 授業コードClass code | X0004 |
| 旧授業コードPrevious Class code | |
| 旧科目名Previous Class title | |
| 開講時期Term | 春学期授業/Spring |
| 曜日・時限Day/Period | 金2/Fri.2 |
| 科目種別Class Type | |
| キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
| 教室名称Classroom name | 各学部・研究科等の時間割等で確認 |
| 配当年次Grade | |
| 単位数Credit(s) | 2 |
| 備考（履修条件等）Notes | |
| 実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
| カテゴリーCategory | 哲学専攻(修士課程)-専門科目 |
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Outline (in English)
In this course, students will read Martin Heidegger's "Being and Time”. On top of deepening their understandings of this book, this course aims for students to acquire the ability to better think in a critical and philosophical manner. Before each class meeting, students will be expected to have read the relevant chapter from the text. Your required study time is at least four hour for each class meeting. Final grade will be calculated according to the following process each reading report on each class meeting (35%), in-class contribution(35%), and term-end report (30%).
授業で使用する言語Default language used in class
その他言語 / Other
授業の概要と目的（何を学ぶか）Outline and objectives
この授業では、マルティン・ハイデガー著『存在と時間』(M. Heidegger, Sein und Zeit）の読解をとおして、学生が批判的な哲学的思考力を獲得することを目指す。
到達目標Goal
この授業では、ハイデガーの主著『存在と時間』の精密な読解と討論をとおして、学生が（１）哲学的文章を原文で読み解き、（２）彼の存在論についての理解を深め、さらに（３）自ら哲学的な批判的考察ができるようになることを目的とする。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語とドイツ語を併用
授業の進め方と方法Method(s)（学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. ）
ハイデガーの主著『存在と時間』は、従来のさまざまな哲学思想を引き受けながら、西洋哲学に対する抜本的批判を企てた書物である。そこには、古代ギリシア哲学にはじまり、中世神学、近世・近代哲学、そして現象学や解釈学をはじめとする当時の同時代の哲学思想との対決が織り込まれている。またその対決をとおして展開された彼の思想は、哲学のみならず、現代の諸学問に今なお甚大な影響を与えている。この授業では、ドイツ語原文の精確な読解をとおして、上述のような多様な位相にわたるハイデガーの存在論的思考の本質を見極めてゆくことに努める。読解にあたっては、のちのハイデガー自身の『存在と時間』に対する自己批判の言及もあわせて検討し、中後期思想への展開の意図についても考察を行う。理解を深めるため、ディスカッション、関連文献の読解、研究報告等も適宜織り交ぜる。ドイツ語以外の言語（日・英・仏）による参加にも配慮する。春学期は、『存在と時間』第一部第二編第59節から読み始める。
アクティブラーニング（グループディスカッション、ディベート等）の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク（学外での実習等）の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching：対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[オンライン/online]：イントロダクション①
授業の進め方の説明・ハイデガー哲学の全体像
第2回[対面/face to face]：イントロダクション②
『存在と時間』の全体像
第3回[対面/face to face]：イントロダクション③
『存在と時間』の基本思想
第4回[対面/face to face]：第59節の読解①
良心の実存論的解釈と通俗的良心解釈との連関
第5回[対面/face to face]：第59節の読解②
通俗的良心解釈に対する反駁
第6回[対面/face to face]：第59節の読解③
通俗的良心解釈の基礎としての良心の根源的意味
第7回[対面/face to face]：第60節の読解①
覚悟性
第8回[対面/face to face]：第60節の読解②
状況
第9回[対面/face to face]：第60節の読解③
良心において証される本来的存在可能の実存論的構造
第10回[対面/face to face]：第61節の読解
現存在の本来的な全体存在の確定から時間性の現象的打開への方法的進路の素描
第11回[対面/face to face]：第62節の読解①
先駆的覚悟性
第12回[対面/face to face]：第62節の読解②
先駆的覚悟性としての現存在の実存的＝本来的な全体存在可能
第13回[対面/face to face]：第63節の読解①
関心の存在意味の解釈のために得られた解釈学的状況
第14回[対面/face to face]：第63節の読解②
実存論的分析論全般の方法的性格
授業時間外の学習（準備学習・復習・宿題等）Work to be done outside of class (preparation, etc.)
事前にテキストを精読したうえで参加すること。また事典や関連文献を参考に、主要な概念や術語の意義についても確認しておくこと。
テキスト（教科書）Textbooks
Martin Heidegger, Sein und Zeit, Max Niemeyer Verlag, Tübingen 1927.
Martin Heidegger, Sein und Zeit(Gesamtausgabe Bd. 2), Vittorio Klostermann, 1977.
Martin Heidegger, Zu eigenen Veröffentlichungen(Gesamtausgabe Bd. 82), Vittorio Klostermann, 2018.
原佑・渡邊二郎訳『存在と時間II』中公クラシックス、2003年。
細谷貞夫訳『存在と時間』ちくま学芸文庫、1994年。
熊野純彦訳『存在と時間』岩波文庫、2013年。
高田珠樹訳『存在と時間』作品社、2013年。
参考書References
①木田元『存在と時間の構築』岩波現代文庫、2000年。
②細川亮一『ハイデガー哲学の射程』創文社、2000年。
③齋藤元紀『存在の解釈学――ハイデガー『存在と時間』の構造・転回・反復』法政大学出版局、2012年。
④齋藤元紀（共編著）『始まりのハイデガー』晃洋書房、2015年。
⑤渡邊二郎編『ハイデガー『存在と時間』入門』講談社学術文庫、2011年。
⑥A. Luckner, Martin Heidegger: »Sein und Zeit«, 2. Aufl., Schöningh 2001.
⑦M. King(Author), J. Llewelyn(ed.), A Guide to Heidegger's Being and Time, SUNY Press, 2001.
⑧T. Rentsch(Hg.), Sein und Zeit, 2. Aufl., Akademie Verlag 2008.
⑨M. A. Wrathall(ed.), The Cambridge Companion to Heidegger's 'Being and Time', Cambridge University Press, 2013.
⑩M. Heinz und T. Bender (Hg.), Sein und Zeit neu verhandelt, Felix Meiner Verlag, 2019.
⑪ハイデガー・フォーラム編『ハイデガー事典』昭和堂、2021年。
成績評価の方法と基準Grading criteria
上記「到達目標」で示した達成度を授業中の参加の度合（35％）、貢献度（35％）に加え、レポート（30％）を考慮し、総合的に判断する。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
厳密な読解と徹底した議論をとおして哲学的思考を深める講義は例年好評を得ている。本年も基本的にその形式を踏襲し、ハイデガー存在論のさらなる理解を進めてゆく予定。積極的な授業参加を期待する。
その他の重要事項Others
ドイツ語辞書（紙・電子媒体いずれでもよい）を持参のこと。ただし初級用ではなく、『独和大辞典』（小学館）クラスが望ましい。
担当教員の専門分野等
＜専門領域＞
哲学・倫理学・思想史。
＜研究テーマ＞
ハイデガーをはじめとする現代哲学・現象学・解釈学・実存哲学の研究。環境思想や身体論等の応用哲学・応用倫理学研究。哲学対話をはじめとする哲学教育研究。
＜主要研究業績＞
『ハイデガー事典』（共編、昭和堂、2021年）「『存在と時間』――ハイデガーの衝撃」 （『ドイツ文化事典』丸善出版、2020年）、「存在論の神話」（『現代思想』青土社、2018年2月臨時増刊号）、「気遣いえぬもの」（ハイデガー研究会編『Zuspiel』第1号、2017年）『終わりなきデリダ――ハイデガー、サルトル、レヴィナスとの対話』（共編著、法政大学出版局、2016年）、『21世紀の哲学をひらく――現代思想の最前線への招待』（共編著、ミネルヴァ書房、2016年）、『ハイデガー哲学は反ユダヤ主義か――黒ノートをめぐる討議』(共編著、水声社、2015年)、『現代日本の四つの危機』（編著、講談社選書メチエ、2015年）、『始まりのハイデガー』(共編著、晃洋書房、2015年)、『ハイデガー読本』(共著、法政大学出版局、2015年)『存在の解釈学――ハイデガー『存在と時間』の構造・転回・反復』（法政大学出版局、2012年）、『科学と技術への問い――ハイデッガー研究会第三論集』(共編著、理想社、2012年)、『概説 現代の哲学・思想』(共編著、ミネルヴァ書房、2012年)、『ヨーロッパ現代哲学への招待』（共編著、梓出版社、2009年）、『ハイデッガー『存在と時間』の現在 刊行80周年記念論集』（共著、南窓社、2007年）、『ハイデッガーと思索の将来――哲学への〈寄与〉』（共著、理想社、2006年）。リチャード・J・バーンスタイン『暴力――手すりなき思考』（監訳、法政大学出版局、2020年）、ユルゲン・トラバント『人文主義の言語思想――フンボルトの伝統』（監訳、岩波書店、2020年）、ギュンター・フィガール『問いと答え――ハイデガーについて』（監訳、法政大学出版局、2017年）、トム・ロックモア『カントの航跡のなかで――二十世紀の哲学』（共訳、法政大学出版局、2008年）。