法学部Faculty of Law
LAW200AB(法学 / law 200)法律学特講(コンテンツビジネスの実相と知的財産権)法律学特講(コンテンツビジネスの実相と知的財産権)
安田 和史Kazufumi YASUDA
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 法学部Faculty of Law |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2022 |
授業コードClass code | A0575 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 秋学期授業/Fall |
曜日・時限Day/Period | 火4/Tue.4 |
科目種別Class Type | 講義 |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | 各学部・研究科等の時間割等で確認 |
配当年次Grade | 3~4 |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
他学部公開科目Open Program | |
他学部公開(履修条件等)Open Program (Notes) | |
グローバル・オープン科目Global Open Program | |
成績優秀者の他学部科目履修制度対象Interdepartmental class taking system for Academic Achievers | ○ |
成績優秀者の他学部科目履修(履修条件等)Interdepartmental class taking system for Academic Achievers (Notes) | 成績優秀者の他学部科目履修制度で履修する学生:履修を希望する場合は、所定の手続きに従って申請すること。 |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
SDGsCPSDGs CP | |
アーバンデザインCPUrban Design CP | |
ダイバーシティCPDiversity CP | |
未来教室CPLearning for the Future CP | |
カーボンニュートラルCPCarbon Neutral CP | |
千代田コンソ単位互換提供(他大学向け)Chiyoda Campus Consortium | |
カテゴリー(法律学科)Category (法律学科) | |
カテゴリー(政治学科(2021年度以降入学者))Category (政治学科(2021年度以降入学者)) | |
カテゴリー(政治学科(2020年度以前入学者))Category (政治学科(2020年度以前入学者)) | |
カテゴリー(国際政治学科(2021年度以降入学者))Category (国際政治学科(2021年度以降入学者)) | |
カテゴリー(国際政治学科(2020年度以前入学者))Category (国際政治学科(2020年度以前入学者)) |
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すべて閉じるHide All
Outline (in English)
Lectures on content business and intellectual property law.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
「デジタルコンテンツ白書2021」(デジタルコンテンツ協会)の調査によると、2020年の日本のコンテンツ産業の市場規模は11兆6975億円で、前年比9.3%のマイナスだった。covid-19問題により、コンテンツのカテゴリごとに大きく明暗が別れた結果となった。
コンテンツビジネスは、流通や収益構造などに大きな変化があらわれており、毎年キープレイヤーが入れ替わっている。また、コンテンツビジネスは多岐の分野にわたるが、授業では大きな変化が見られているゲーム市場、出版市場、および、近年エンタテインメント化が進む広告をテーマに、法的な課題等を交えて解説を行う。
また、授業では、ゲストスピーカーとして各分野の専門家および実務家を招致し、受講者の理解を深めたいと考えている。
(なお、ゲストスピーカーのスケジュールによりシラバスの順番が入れ替わる場合がありますのでご了承ください。また、COVID-19の影響により、インタビュー動画の配信になったり、LIVE配信を行う場合がありますのでご了承ください。)
この授業は,知的財産法に分類される法律のうちコンテンツビジネスに関連するものを中心として学ぶことを内容とするが、知的財産法を横断的に取り扱うことになる。従って、知的財産法Ⅰ~Ⅲ[武生昌士]および法律学特講(知的財産法の今日的課題)[武生昌士]を受講している(あるいは、将来受講する)と全体的な理解が深まるようになると思われることから推奨する。
「裁判と法コース」,「企業・経営と法コース(商法中心)」,「行政・公共政策と法コース」,「文化・社会と法コース」などを中心に幅広く関連を有し得る。
到達目標Goal
コンテンツビジネス(ゲーム、出版、広告)にかかる法的問題について理解し、それを解消するための考え方を身につける。授業では、判例や実務的な解決手段等を紹介するが、問題解決の手段はそれだけに留まらない。この授業あるいはそれ以外で得た知識をフル活用して、自分であればどのような解決手段を提案できるかということを考えられるようになってほしい。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」、「DP2」、「DP3」、「DP4」に関連。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
授業では、コンテンツビジネス市場についてゲーム、出版、広告を主要なテーマに掲げ、最新技術の動向を交えながら、コンテンツと法に関する解説を行う。また、ある程度ビジネス環境等の理解ができたところで、法的問題について海賊版サイト問題や、ゲームのチートに関する法的な問題など、皆さんに身近なケースを紹介しながら解説し理解を深める。知識を深めるということも重要であるが、問題解決のための考え方を養ってもらいたい。
授業形態は、講義形式で行う。ゲストスピーカーを承知する場合がある。また、教室を使うことが可能であれば体験学習やワークショップを行うことも考えている。
講義の後にリアクションペーパーを回収する。その中で、質問等がある場合には記載してもらい、翌週の冒頭で質問に回答する。
第1回と第14回を対面とし、その他をONLINEとしているが、コロナの状況や受講生の希望、ゲストの希望により変更する可能性がある。
詳細は、学習支援システムを通じてお知らせする。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
なし / No
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
1[対面/face to face]:コンテンツビジネスの実相と知的財産の概要
初回講義では、講義の進め方および講師の紹介、成績評価の方法などについて説明を行う。また、現在のコンテンツ市場について、解説を行う。
2[オンライン/online]:コンテンツビジネスの実相と知的財産~プロテクト技術と知的財産法~
ゲームは、ゲーム機側とソフト側双方にプロテクトがかけられており、違法なソフトは起動しない技術的な工夫がされている。しかしながら、このような手段を回避するための装置やプログラムを提供する者が存在しており、この対応として著作権法や不正競争防止法の規定が用いられる。近年においては、民事対応のみならず、不正競争防止法による刑事対応および、関税法における水際措置が効果を上げている。授業では、ゲームの技術的保護と関連法に関する具体例を中心に解説する。
3[オンライン/online]:コンテンツビジネスの実相と知的財産~通信規格・メモリ等のインフラ~
ゲーム機やソフトウェアの流通において、メモリーや通信関連技術、ファイル圧縮技術等の標準化が不可欠となる。標準化は、複数の企業が所有する特許権をプールすることで成立する。これらの特許はFRAND宣言され、公正、合理的かつ非差別的な条件(FRAND条件)でライセンスされることになる。しかしながら、FRAND条件の前提があったとしても、特許権者とこれらの特許を使用する者との間でライセンス交渉が行われるにあたり、具体的な条件等について折り合わず紛争が起きている。FRANDに関する問題は、日本のみならず国際的な問題であることから、日米欧の現状について解説する。
4[オンライン/online]:コンテンツビジネスの実相と知的財産~オンラインゲーム(1)~
オンラインゲーム市場は、コンテンツ市場の中でも極めて好調である。ソーシャルモデルとフリーミアムモデルによる相乗効果もあり、高収益化に成功している。他方で、オンラインゲームは悪質なユーザーによる「チート」行為の被害が深刻化している。チート行為は、ゲーム内の秩序を破壊し、企業に経営上の被害をもたらす。授業では、チート行為の一部が、知的財産法による法的対応が可能であり、民事対応による損害賠償請求や刑事対応が効果をあげていることについて解説する。
5[オンライン/online]:コンテンツビジネスの実相と知的財産~オンラインゲーム(2)~
ゲームアプリは、AppleのApp StoreやgoogleのGoogle Play等を通じてダウンロードされており、その総数は、其々200万以上とも言われている。このように競争が激しいゲームアプリ市場において、自社のゲームコンテンツを知的財産権等により保護することは極めて重要である。AR技術・スマホの位置情報技術を用いたゲームアプリが世界中で大ヒットしているが、関係各社は技術やキャラクターについての知的財産権による保護に余念がなく現在のところ同種のゲームアプリの追随を許していない。また、スタートアップ系の企業に勢いのあるゲームアプリ業界であるが、知的財産権のクリアランスが不十分であれば、将来の経営リスクになる。授業では、具体的な紛争事例等を交えながら、ゲームアプリの知的財産権による保護について解説する。
6[オンライン/online]:コンテンツビジネスの実相と知的財産~xR関連の専門家からのインタビュー1~
バーチャルリアリティ(VR)技術の動向について、解説をするとともに、同分野に詳しい専門家を招致して理解を深めたい。内容及びゲストについては、第1回講義のときにお知らせする。
7[オンライン/online]:コンテンツビジネスの実相と知的財産~出版市場のデジタル化と流通の変化~
デジタル出版が可能となったことで、出版社を介さずに、直接出版をすることが可能になった。出版社を介した出版の場合、作家に入る印税は10%である。他方で、大手の電子出版サービスを利用すると、70%が作家に入ることになる。このような事実から、出版社が将来的に不要になるのではとの考え方も成立し得るが、プロの作家は必ずしもそのようには考えていない。この問題をひも解くために、作品の創作において出版社がどのような役割を担っているのかという点、および、法的立場を明らかにした上で、「デジタル出版時代には出版社は不要か?」という点を考察する。
8[オンライン/online]:コンテンツビジネスの実相と知的財産~海賊版サイトに対する出版社の戦い~
インターネット上の違法コンテンツについては、米国DMCAに準拠した方式(我が国ではプロ責法)による削除申請をサイト事業者にすることで削除される場合がある。また、これらはサイトによっては検出から削除まで自動化されており一定の効果を上げていて作業効率も上がっている。講義では、毎年新しい試みが行われている出版社による海賊版対策の実際と法的対抗手段について解説する。
9[対面/face to face]:令和2年著作権法改正の効果と海賊版対策。
海賊版サイトは、毎年のように姿や国を変え、コンテンツ事業者を翻弄している。講義では、まず新たな対抗手段として導入された令和2年著作権法改正について解説する。法改正により国内を拠点とする多くの海賊版サイトが運営拠点を変更した。これらの実態を明らかにするとともに、今後さらにどのような対抗手段が可能かについて検討する。
10[対面/face to face]:「コンテンツを工学する」とは何か?
コンテンツ市場の成長に工学的なアプローチが不可欠になっている。海外市場を見据えた取り組みや、海賊版対策、新たなプラットフォームの構築などにおいて国内のスタートアップ企業がしのぎを削っている。これらの最新動向について解説する。
11[対面/face to face]:コンテンツビジネスの実相と知的財産~広告コンテンツの創作と法的制約1~
広告は、法的な制約を受けており、その枠組みの中でクリエイターが制作を行っている。
具体的には、他人の知的財産権等をはじめとする権利を侵害しないように留意する必要がある他、広告に関連する法的規制も受けている。さらに、倫理上の制約等も存在している。授業では、これらの法的規制および広告コンテンツの創作との関係について2回に渡って解説する。
12[対面/face to face]:コンテンツビジネスの実相と知的財産~広告コンテンツの創作と法的制約2~
前回の続き
13[対面/face to face]:コンテンツビジネスの実相と知的財産~WEBマーケティングにおけるブランド等名称の重要性と知的財産法による保護~
WEB広告などを中心に行われているマーケティングにおいてリコメンドを行うにあたりブランド等の名称の重要性が増している。ブランド名称を不正に利用されないためにどのような対抗手段が考えられるか具体的なケースを参酌しながら解説を試みる。
14[対面/face to face]:コンテンツビジネスの実相と知的財産 まとめ
コンテンツビジネスの実相と知的財産について総括する。また、この講義の時点で起きている注目すべき事例などがあれば解説を行う。
その他、期末レポートの課題について説明を行う。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
配布レジュメの内容について十分に復習すること。事前配布した資料については、授業当日までに内容について検討しておくこと。本授業の準備学習・復習時間は各2時間を標準とします。
テキスト(教科書)Textbooks
教科書は使用せず、レジュメを必要に応じて配布します。なお、プロジェクターには投影できても、事情により配布できない資料もありますのでご了承ください。
参考書References
経済産業省 商務情報政策局(監修)『デジタルコンテンツ白書2022』一般財団法人デジタルコンテンツ協会(2022年8月)
総務省『令和2年版 情報通信白書』※総務省ウェブサイトで無料で取得可能。
『逐条解説 不正競争防止法』※経産省ウェブサイトで無料で取得可能。
前田健他編著『図録 知的財産法』(弘文堂、2021年02月)
その他、島並良ほか『著作権法入門〔第3版〕』(有斐閣、2021)、田村善之『知的財産法〔第5版〕』(有斐閣、2010)、中山信弘『著作権法〔第3版〕』(有斐閣、2021)、茶園成樹編『知的財産法入門〔第3版〕』(有斐閣、2021)、茶園成樹編『不正競争防止法〔第2版〕』(有斐閣、2020)、土肥一史『知的財産法入門〔第16版〕(中央経済、2019)』、藤野仁三 (著, 編集)=FRAND研究会 (編集)『標準必須特許ハンドブック SEP HANDBOOK〔第2版〕』発明推進協会 (2021年4月)など。
成績評価の方法と基準Grading criteria
毎回のリアクションペーパー[30%]+期末レポート[60%]+平常点[10%]
期末レポートが未提出の場合は、成績を与えません。
リアクションペーパーの回収は期限厳守。公欠を除き、事後提出は認めません。
期末レポートの課題は、12月初旬に学習支援システムから提示します。
リアクションの提出は、学習支援システムを使用します。
平常点は、リアクションの内容や授業への積極的な取り組みなどを評価します。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
コンテンツビジネスと知的財産法の問題の中でも、現在ニュースなどで報じられている問題や、皆さんの身近で起きている問題、皆さんが抱えている疑問などについては、質問をしてもらえれば、可能な限り講義で取り扱うようにします。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
講義資料は各回の冒頭に配布します。授業支援システムにも誤記等を修正したものを適宜アップロードします。
その他の重要事項Others
知的財産法などの科目を履修済みか、並行して履修することが好ましいが、初学者にもわかりやすい講義を心がけます。