法学部Faculty of Law
POL200AC(政治学 / Politics 200)コミュニティ政策(理論・国際比較)コミュニティ政策(理論・国際比較)
名和田 是彦ナワタ ヨシヒコ
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 法学部Faculty of Law |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2022 |
授業コードClass code | A0523 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 秋学期授業/Fall |
曜日・時限Day/Period | 月2/Mon.2 |
科目種別Class Type | 講義 |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | 各学部・研究科等の時間割等で確認 |
配当年次Grade | 1~4 |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
他学部公開科目Open Courses | ○ |
他学部公開(履修条件等)Open Courses (Notes) | |
グローバル・オープン科目Global Open Courses | |
成績優秀者の他学部科目履修制度対象Interdepartmental class taking system for Academic Achievers | ○ |
成績優秀者の他学部科目履修(履修条件等)Interdepartmental class taking system for Academic Achievers (Notes) | 成績優秀者の他学部科目履修制度で履修する学生:履修を希望する場合は、所定の手続きに従って申請すること。 |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
SDGsCPSDGs CP | |
アーバンデザインCPUrban Design CP | |
ダイバーシティCPDiversity CP | |
未来教室CPLearning for the Future CP | |
カーボンニュートラルCPCarbon Neutral CP | |
千代田コンソ単位互換提供(他大学向け)Chiyoda Campus Consortium | |
カテゴリー(法律学科)Category (法律学科) | |
カテゴリー(政治学科(2021年度以降入学者))Category (政治学科(2021年度以降入学者)) | |
カテゴリー(政治学科(2020年度以前入学者))Category (政治学科(2020年度以前入学者)) | |
カテゴリー(国際政治学科(2021年度以降入学者))Category (国際政治学科(2021年度以降入学者)) | |
カテゴリー(国際政治学科(2020年度以前入学者))Category (国際政治学科(2020年度以前入学者)) |
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Outline (in English)
I start in this lecture from the theoretical idea that the "community" in the context of Japanese policy making means the neighborhood unit which lost its institutional framework through the merge. In this lecture I focus on an international comparison of Japanese community policy with that in European, American and Asian countries, especially Germany so that students can understand the characteristics of the Japanese community policy as well as the Japanese society itself.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
政治学科の科目の中で、行政・地方自治科目群に属する科目です。コミュニティないしコミュニティ政策は、ある意味で日本特有の現象といえます。諸外国は,日本でコミュニティ政策として処理している課題を、別な形で処理しているからです。この「コミュニティ政策(理論・国際比較)」では、諸外国(特にドイツ)との比較を正面から行なうことによって、日本でコミュニティ政策が必然化してくることを明らかにできる、普遍的な理論枠組を提示したいと思います。
なお、本講義は、一昨年度までの「コミュニティ論Ⅱ」を改称したものです。
到達目標Goal
日本のコミュニティ政策の概略を理解した上で、こうした政策的営みが国際的に見てきわめて特異なものであることを理解し、日本社会の特異な構造の一側面を考えることができるようになること。
具体的には、近代地方自治制度のもとでは、市町村こそがコミュニティを運営する基本的な仕組みであることの理解、市町村合併を経たのちコミュニティにどのような制度的枠組を付与するかで国際比較的な偏差が生ずることの理解、その中で日本はきわめて特異な経過をたどったことの理解、こうした理解を可能にする理論枠組である「地域的まとまり論」の理解、が到達目標です。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」、「DP2」、「DP3」、「DP4」に関連。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
基本的に講義形式ですが、時折受講者からの発言を求め、受講者の問題意識を共有したり、理解度や知識水準を確認したりして、授業内容を受講者の能力とニーズに合ったものにするように努めます。また、配布資料を充実し、事前事後の学習に役立つようにします。数回程度課題を提出していただきますが、それに対しては原則としてその次の回にコメントをいたします。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[対面/face to face]:地域的まとまり論の概略とドイツの政治制度概説
国民国家の中央政府の機能だけでは、民主的な意思決定とはいえないし、身近な公共サービスもきちんと行なわれない。身近な地域社会(本講義ではこれを「コミュニティ」とよぶ)にも運営組織が必要である。それが市町村であった。その制度的特徴はどこにあるかを考えて導入的序論とする。また、本講義ではドイツを主要な対象としているので、ドイツの政治制度について入門的概説を行う。
第2回[対面/face to face]:ドイツの都市内分権制度 その1 ブレーメンの戦後史と都市内分権制度の発展
しばらくドイツの都市内分権制度について説明する回が続く。その初回として、ブレーメン市の都市内分権の歴史的経緯を扱う。
第3回[対面/face to face]:ドイツの都市内分権制度 その2 ブレーメン市の地域評議会制度の実態と仕組み
ブレーメン市の都市内分権制度の実態をまずは入門的に概観し、ついで法令に基づいて制度的仕組みの説明を行う。
第4回[対面/face to face]:ドイツの都市内分権制度 その3 ブレーメン市の地域評議会制度の仕組み
現行法令に基づき、ブレーメン市の都市内分権制度を、前回に引き続き、説明する。
第5回[対面/face to face]:ドイツの都市内分権制度 その4 ブレーメン市地域評議会制度の実態分析
制度的な仕組みが理解されたところで、ブレーメン市の都市内分権の実態を細かく分析していく。
第6回[対面/face to face]:ドイツの都市内分権制度 その5 ノルトライン=ヴェストファーレン州とハンブルク市
ブレーメン市以外の事例として、ドルトムント市ないしノルトライン=ヴェストファーレン州及びハンブルク市の仕組みを説明する。
第7回[対面/face to face]:ドイツの農村部における小規模自治体連携制度 その1 概説
市町村合併を経ても、きめ細かな自治の重層構造をつくり、身近な地域社会を制度化して丁寧に政治に反映させるドイツのやり方は、都市部に限らない。今回は農村部の仕組みを見る。
第8回[対面/face to face]:ドイツの農村部における小規模自治体連携制度 その2 ニーダーザクセン州の「連合自治体」制度
前回に引き続き、ドイツの農村部の仕組みを見るが、今度はニーダーザクセン州にしぼり、その「連合自治体」制度を詳しく説明する。
第9回[対面/face to face]:都市内分権制度の法的性格をめぐる憲法裁判から
考察の材料が出そろったところで、理論的考察に入る。まずは、都市内分権制度をめぐって行われたドイツの四つの憲法裁判を手がかりとする。
第10回[対面/face to face]:ドイツの「協働」政策とボランティア観念
ドイツの都市内分権は基本的に「参加」型で、日本の「協働」型とは好対照であるが、現代ドイツは「協働」的な政策を必要としていないわけではない。ドイツの「市民社会」重視政策を見る。
第11回[対面/face to face]:地域的まとまり論の理論史 その1 ギールケの「領域社団」論
理論的予備考察も終えたところで、本格的な理論編に入る。本講義が提唱している「地域的まとまり」論は、ドイツのゲルマニスト法学派が提唱した「領域社団」概念を淵源としている。その源流をたどる。
第12回[対面/face to face]:地域的まとまり論の理論史 その2 マックス・ヴェーバーの「領域団体」論
ギールケとプロイスによって完成された「領域社団」概念を、社会科学的な分析概念として再構成したマックス・ヴェーバーの理論を説明する。
第13回[対面/face to face]:地域的まとまり論の理論構成
理論史を踏まえ、また自治会・町内会という独自の「領域団体」が展開する日本の現実をも踏まえて、「地域的まとまり論」の基本骨格を提示する。
第14回[対面/face to face]:まとめと展望
本講義をまとめるとともに、都市内分権以外に日本でコミュニティ政策として行われている政策についても、のこされた研究課題として触れる。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
毎回事前に学習支援システムを通じて講義資料を配付します。これの予習・復習が基本です。また講義の中で参考文献や参考資料を提示しますので、それも勉強してください。課題が出された場合には、講義資料の該当箇所を復習することを基本としながらも、自分で資料を探して調べることも必要です。
テキスト(教科書)Textbooks
教科書は特に使用しません。
参考書References
講義の各回に扱うテーマについての文献はその都度示しますが、全体に関わる私の著作として次のものを挙げておきます。
名和田是彦『自治会・町内会と都市内分権を考える』(東信堂、2021年)
名和田是彦『コミュニティの法理論』(創文社)
名和田是彦編著『コミュニティの自治』(日本評論社)
特に最後のものは、共同研究者とともに作った本で、欧米やアジアのコミュニティについても論じています。やや高価ですが図書館で読むことができます。
成績評価の方法と基準Grading criteria
何度か課題を出し、それを採点することによって成績評価を行います。上記のように、課題への解答に当たっては、該当する講義資料の箇所を十分に復習することはもちろん、参考として提示した資料や文献、さらには独自に探して調べた資料などをもとに、取り組んでください。「正解」かどうかよりも、各自が主張する結果にどのようにたどり着いたか、その論証過程が主たる評価の対象となります。社会科学においては、「正解」が複数あったり、そもそも「正解」が不分明だったりすることが、よくあります。大切なのは、そうした問題について、各自が十分に調べて考え抜き、説得力ある論証を提示することです。
なお、何度かの課題ごとに採点して、それを積算して成績評価をしますので、 1 度でも提出を怠るとかなりのハンディとなります。課題には毎回解答を提出するようにしてください。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
この2年間はほぼオンライン授業で、講義資料も充実させ、また頻繁に課題を出して次の回に論評するということをやったので、受講者の反応も比較的よく分かりました。提示の仕方や話す順序によって思わぬ誤解が生ずるなど、気をつけるべき点にも気づきました。今年度も、双方向のコミュニケーションを大切にしたいと思います。また、学期中にグッと力をつけてくるのがわかる受講者も何人かおり、励みになります。