法学部Faculty of Law
POL200AC(政治学 / Politics 200)コミュニティ政策(日本)コミュニティ政策(日本)
名和田 是彦Yoshihiko NAWATA
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 法学部Faculty of Law |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2022 |
授業コードClass code | A0522 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 月2/Mon.2 |
科目種別Class Type | 講義 |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | 各学部・研究科等の時間割等で確認 |
配当年次Grade | 1~4 |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
他学部公開科目Open Courses | ○ |
他学部公開(履修条件等)Open Courses (Notes) | |
グローバル・オープン科目Global Open Courses | |
成績優秀者の他学部科目履修制度対象Interdepartmental class taking system for Academic Achievers | ○ |
成績優秀者の他学部科目履修(履修条件等)Interdepartmental class taking system for Academic Achievers (Notes) | 成績優秀者の他学部科目履修制度で履修する学生:履修を希望する場合は、所定の手続きに従って申請すること。 |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
SDGsCPSDGs CP | |
アーバンデザインCPUrban Design CP | |
ダイバーシティCPDiversity CP | |
未来教室CPLearning for the Future CP | |
カーボンニュートラルCPCarbon Neutral CP | |
千代田コンソ単位互換提供(他大学向け)Chiyoda Campus Consortium | |
カテゴリー(法律学科)Category (法律学科) | |
カテゴリー(政治学科(2021年度以降入学者))Category (政治学科(2021年度以降入学者)) | |
カテゴリー(政治学科(2020年度以前入学者))Category (政治学科(2020年度以前入学者)) | |
カテゴリー(国際政治学科(2021年度以降入学者))Category (国際政治学科(2021年度以降入学者)) | |
カテゴリー(国際政治学科(2020年度以前入学者))Category (国際政治学科(2020年度以前入学者)) |
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Outline (in English)
I start in this lecture from the theoretical idea that the "community" in the context of Japanese policy making means the neighborhood unit which lost its institutional framework through the merge. I will analyze the history and the recent tendency of Japanese community policy, paying special attention to international comparison with those in European, American and Asian countries, especially Germany.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
政治学科の科目の中では行政・地方自治科目群に属します。「コミュニティ」及び「コミュニティ政策」とは何であるか、日本のそれはどういう特徴を持っているかを理解することが、この「コミュニティ政策(日本)」のテーマであり、到達目標です。結論から言うと、日本の「コミュニティ」は、欧米なら地方自治体等として政治制度の中に位置づけられているはずの身近な地域単位です。それが日本では長らく民間サイドに放置されてきました。高度成長期後にこうした「コミュニティ」を再び制度化する政策が試みられ、コミュニティは政治社会の構成要素となっていきました。そして、バブル経済崩壊の1990年代以降の厳しい時代においては独特な役割を期待され、また新たな法制度のもとに展開してきています。本講義はこうした日本特有の身近な地域社会の構造を解明することを目指しています。なお、本講義は、一昨年度までの「コミュニティ論Ⅰ」を改称したものです。
到達目標Goal
コミュニティ、自治体内分権(都市内分権)、協働といった政策用語が織りなす今日の日本のコミュニティ政策の概要と、その日本的特異性を、理解すること。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」、「DP2」、「DP3」、「DP4」に関連。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
コミュニティ政策はある意味で日本に特有なものです。それを理解するためには、日本と異なった構造をもつ国や比較的類似した国との比較の視点をもつことが不可欠です。外国の状況をそれとして扱うのは「コミュニティ政策(理論・国際比較)」の課題とし、本講義では、諸外国との比較を念頭に置きつつ、コミュニティ政策論の基礎理論を端緒的に提示し、それに基づいて日本のコミュニティとコミュニティ政策について概説します。
各回とも事前に講義資料を配付しますので、受講者は予習をして講義に臨んでください。また、講義中に受講者に投げかけをしたり議論をしたりしますので、受講者はそれに呼応して積極的に発言してください。数回程度リアクションペーパーまたは課題を提出していただきますが、それに対しては原則として次の回にコメントをいたします。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[対面/face to face]:序説 コミュニティ政策というもの、地域的まとまりという発想
「地域的まとまり」の「重層構造」について、受講者の直感的了解を掘り起こし、講義の理論的基礎を獲得する。
第2回[対面/face to face]:自治会・町内会の構造と特質
自治会・町内会の理解抜きには日本のコミュニティは語れない。日本独自の地域組織とされる自治会・町内会の基本的な性格を、これまでの社会学等の研究に基づいて整理する。
第3回[対面/face to face]:自治会・町内会の構造と特質 続き
前回に引き続いて、自治会・町内会について整理する。
第4回[対面/face to face]:地域的まとまりを「運営」するための制度的諸条件
ミルトン・コトラーの考え方に学びながら、地域的まとまりを秩序づけるためには、どのような制度的条件が必要かを考える。そして、日本では、自治会・町内会が民間組織であるにもかかわらず、地域的まとまりを運営できてきたことを解明する。
第5回[対面/face to face]:コミュニティ政策の開始
昭和の大合併が終わったあと日本は経済の高度成長に入り、都市化の道を歩む。その結果生じた諸矛盾の激発がコミュニティ政策を促した。その最初の時期から1970年代の様子を概観する。
第6回[対面/face to face]:1980年代のコミュニティ政策とその転換
1980年代のコミュニティ政策はコミュニティ・センター自主管理が主柱であった。これがバブル経済の崩壊とともに変わってくる。この様子を、自治体内分権的な仕組みが登場してくることに即して明らかにすると同時に、地域集会施設の変容についても触れる。
第7回[対面/face to face]:日本型自治体内分権の成立
1990年代からいくつかの自治体で取組まれた新しいコミュニティ政策は、地方自治法に「地域自治区」制度が規定されるあたりからさらに加速してくる。この動きを日本型自治体内分権として捉える。
第8回[対面/face to face]:日本型自治体内分権と自治会・町内会
自治会・町内会は2000年前後から特有の弱体化過程に入ったと私は見る。だからこそ自治体内分権という新しいコミュニティ政策が採用されるのであるが、にもかかわらずその制度が主要にあてにしているのは自治会・町内会である。そのため自治体内分権の実践には独特な困難が伴っている。このことをいくつかの実例に則して考察する。
第9回[対面/face to face]:日本型自治体内分権の類型的特徴
日本型自治体内分権は、参加と協働を基本理念とした、国際比較的に見ても特異な性格のものである。その類型的完成形を高松市の仕組みを分析することによって解明する。
第10回[対面/face to face]:日本型自治体内分権制度としての地域自治区制度の運用
地方自治法上の地域自治区制度を採用している自治体は多くないが、日本型自治体内分権としての特徴をよく観察できる重要な考察対象である。宮崎市を例にとって、日本型自治体内分権の「限界」について考察する。
第11回[対面/face to face]:日本型自治体内分権の事例研究
さらに考察材料を増やすために、どちらかといえば「参加」を重視して始まった上越市の地域自治区制度の運用とその変化を扱う。さらに、地域自治区制度ではない、独自の仕組みを設計して自治体内分権制度を行っている自治体の例も取り上げる。
第12回[対面/face to face]:日本型自治体内分権の限界と可能性
各地の事例を通じて読み取れる、日本型自治体内分権の限界を整理し、現在諸方面で構想されたり試行されたりしている限界突破の構想を吟味する。
第13回[対面/face to face]:現代日本のコミュニティ政策の総体的動向
以上を総括しつつ、現代日本の政策においてコミュニティがどのように見られ扱われているかを整理する。
第14回[対面/face to face]:現代コミュニティの展望
財政危機と不況の中で格差が拡大している。この状況のもとでコミュニティはどのような役割を果たせるのか、総務省や日本都市センターなどが行った全国調査をもとに私見を述べ、受講者と意見交換したい。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
今年度も講義資料を事前に配布し、これに基づいて講義を行いますので、受講者はこれを予習・復習することが基本です。さらに、講義中に参考文献を紹介しますので、これも読んで学習してください。また、課題を何度か出すことを予定していますので、その際には、単に講義資料の該当箇所を復習するだけではなく、課題を解答するに必要な資料を自ら探して調べることも求められます。
テキスト(教科書)Textbooks
教科書は特に使用しません。
参考書References
講義の各回に扱うテーマについての文献はその都度示しますが、全体に関わる私の著作として次のものを挙げておきます。
名和田是彦『コミュニティの法理論』(創文社、1998年)
名和田是彦編著『コミュニティの自治』(日本評論社、2009年)
名和田是彦『自治会・町内会と都市内分権を考える』(東信堂、2021年)
成績評価の方法と基準Grading criteria
成績は、何度か出題する課題を採点して判定します。採点に当たっては、内容の正しさよりも、課題を受け止めてよく調べよく考えたかどうかを重視して採点します。社会科学においては、正解が複数ある、あるいは正解がはっきりしない、という場合もよくあります。どこかにある「正解」なるものを探す、という学習態度では身につきません。
なお、何度かの課題ごとに採点して、それを積算して成績評価をしますので、1度でも提出を怠るとかなりのハンディとなります。課題には毎回解答を提出するようにしてください。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
ここ2年間、ほとんどオンライン授業であったため、頻繁に課題を出して、かつこれを採点するのみならず、次回授業で論評するという双方向的なやりとりがあり、私も多くを学ぶことができました。説明の仕方、提示の仕方によって思わぬ誤解が生じたりすることにも気づきました。今年度の講義資料は、これを生かしてブラッシュアップしたいと思います。課題を見ていると、学期中にグッと力をつけてくる受講者が何人かいて、励みになります。