人文科学研究科Graduate School of Humanities
LIN500B7(言語学 / Linguistics 500)国際日本学特殊講義BⅡLecture: International Japanese Studies B II
滝浦 真人
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 人文科学研究科Graduate School of Humanities |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2021 |
授業コードClass code | X1170 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 秋学期授業/Fall |
曜日・時限Day/Period | 月2/Mon.2 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory | 国際日本学インスティテュート(博士後期課程) |
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Outline (in English)
Some characteristics of contemporary Japanese will be considered in terms of how it is used and understood by native speakers. In the fall semester, interpersonal aspects like politeness are focused on.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
“日本語らしさ”とはどのようなもので、またそれはどこから生じてくるかを探っていく。「日本語学」の本や授業で触れたことのある事柄でも、それのどこがどう“日本語らしい”のかを考えることは、日本語を複眼的に見ることを可能にしてくれるだろう。秋学期は、日本語に特徴的な対人関係表現をはじめ「語用論的」な面に着目して、“人が言葉で何をなすか?”について、中国語などとも比較しながら考えていく。
到達目標Goal
(1)日本語を語用論的に見るための基礎知識を理解する。
(2)ポライトネスの考え方を理解し説明することができる。
(3)対人関係の表現に関わる諸現象を考察することができる。
(4)現代日本語の成立事情を理解し他言語と比較考察できる。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
毎回、考察のための素材を配布し、受講者自身による考察と講師の解説とを組み合わせながら進行する。授業内で提出する小課題は、グループ・ラインなどを通じて他の受講生の考えも互いに見ながら、ディスカッションし考察していく。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
秋学期
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回:導入
日本語の「性格」とはどういうことかを考え、授業の趣旨や目標を明確にする。
第2回:語用論の基本
グライスの協調の原理と会話の原則をはじめ、語用論の基礎知識を再確認する。
第3回:効率と配慮
伝達効率と対人配慮が反比例の関係にあることを確認し、具体的に考察する。
第4回:ポライトネス
ポライトネスの理論的枠組みを理解し、日本語のポライトネス的性格を考察する。
第5回:呼称
対人関係専用の手段として呼称をとらえ、理論的と具体的の両面から考察する。
第6回:あいさつ
あいさつという行為の意味に立ち返り、あいさつの意味論と語用論を考察する。
第7回:感謝・謝罪
非常に基本的な言語行為を取り上げ、他言語とも対照しつつ日本語らしさを考察する。
第8回:依頼・勧誘と応諾・断り
典型的な言語行為の1つを取り上げ、他言語とも対照しつつ日本語らしさを考察する。
第9回:褒め/褒められ・フェイスワーク
フェイスに直接関わる言語行為を取り上げ、他言語とも対照しつつ日本語らしさを考察する。
第10回:敬語(意味論)
対人関係専用手段としての敬語を取り上げ、それが対人的な〈距離〉の表現として機能していることを理解する。
第11回:敬語(語用論)
敬語は人間関係の像を表現するとの考えに立った上で、敬語の語用論を考察する。
第12回:授受表現
授受動詞を3系列有する日本語話者が、それによって何をやりとりしているのか考察する。
第13回:標準語と日本語
近代日本語の成立事情による影響を確認し、日本語のありかたについて考える。
第14回:日本語はどこへ向かっているか?
“気になる日本語”がいつも取り沙汰され、敬語などの“馬鹿丁寧化”が感じられる日本語の行く末を考える。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とする。
参考書の内容は事前に確認しておき、授業内容に関係の深い箇所について、授業前・授業後に読んで理解を深める習慣をつける。
授業時に配布される資料についても、さらなる考察の出発点として振り返る。
テキスト(教科書)Textbooks
教科書という形では使用しない。毎回授業時に配布する資料を用いる。
参考書References
滝浦真人(2008)『ポライトネス入門』研究社
滝浦真人・大橋理枝(2015)『日本語とコミュニケーション』放送大学教育振興会
滝浦真人編(2018)『新しい言語学』放送大学教育振興会
椎名美智(2021)『「させていただく」の語用論』ひつじ書房
成績評価の方法と基準Grading criteria
平常点(授業内での課題やディスカッション等) 60%
期末レポート 40%
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
学問する楽しさを伝えられる授業にしたいと思います。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
授業資料を印刷すると大部になるため、クラスの共有フォルダを作成し、そこにアップされたファイルを資料として見てもらいながら授業を進めます。受講の際は、パソコンやスマホなど、インターネットに接続できる機器を持参してください。
その他の重要事項Others
昨年度と基本的に同内容なので、去年履修した人は取れません(ゴメン!)。
担当教員の専門分野等
<専門領域>言語学・語用論・コミュニケーション論
<研究テーマ>ポライトネス、日本語語用論
<主要研究業績>(参考書に挙げたもの以外で)
滝浦真人(2013)『日本語は親しさを伝えられるか』岩波書店
滝浦真人(2005)『日本の敬語論 ポライトネス理論からの再検討』大修館書店
加藤重広・滝浦真人編(2016)『語用論研究法ガイドブック』ひつじ書房