人文科学研究科Graduate School of Humanities
PSY500B6(心理学 / Psychology 500)発達行動特論Advanced Lecture in Behavioral Theories of Child Development
島宗 理
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 人文科学研究科Graduate School of Humanities |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2021 |
授業コードClass code | X0533 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 火4/Tue.4 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory | 心理学専攻(修士課程)-基礎科目 |
すべて開くShow all
すべて閉じるHide All
Outline (in English)
The purpose of this course is to master basic principles, procedures, and research methods pertaining to applying behavior analysis in schools or in other educational or therapeutic settings. Focus will be placed on knowledge and skills in applying basic concepts of learning to interpret behavioral phenomena in real-world educational or societal settings.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
社会の問題や個人の悩みは、よくよく考えてみると何らかの行動の問題であることが多いものです。心理学は行動の科学として“行動の予測と制御”に関わる法則を見いだしてきました。こうした法則をうまく適用すれば、社会の問題を解決し、個人の悩みを解消することも可能です。この授業では、社会的・個人的に重要な課題を行動問題としてとらえ、個人攻撃の罠に陥らず、環境を整備しながら問題を解決していく行動分析学の考え方を学びます。
到達目標Goal
行動分析学の基礎的な概念を理解し、人や動物の発達や認知に関する様々な現象を、強化や弱化の随伴性を分析することで解釈できるように学びます。基礎的な概念を説明できるようになり、それらの概念を応用して、社会や学校、家庭における行動問題の解決方法を立案できるようになること、そうした解決方法を基礎的な概念を使ったコミュニケーションを介して討議し、協調すること、さらに、課題分析やABC分析、行動の観察・記録法を実施できるようになることを目指します。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
毎週、教科書の指定された章を読んで、関連する課題を行い、それについて授業中に討論したり、演習します。課題へのフィードバックは授業中の討論を介して行います。
【重要】新型コロナ感染拡大防止のために,この授業は感染状況に応じてオンラインと対面を適宜組み合わせて行います。学習支援システムのこの授業科目のトップページで,対応状況やそれに伴うシラバスからの変更点について案内しますのでご確認ください。
学習目標や参考図書などの教材は下記のURLを参照してください。
https://docs.google.com/document/d/1XqZ7yScRRs24S2HJX8g1DLKW7CDnLTwm6FvUotXHZT8/edit?usp=sharing
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
春学期
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
1:オリエンテーション
行動分析学の概説、教科書の紹介、プロジェクトについての話し合いなど。
2:好子、嫌子とは
好子、嫌子、行動随伴性の定義や具体例について学ぶ(教科書、第1-2章):行動の定義、死人テスト、医学モデル、説明のレベル、循環論。
3:強化と弱化
基本的な4つの随伴性について学ぶ(教科書3-5章):PTSDや汚言症の治療における強化、社会的悪循環、科学における節約性、自閉症の療育における代替行動の分化強化、社会的妥当性、学級経営のための集団随伴性、反応コストとタイムアウト。
4:消去と復帰、分化強化 と分化弱化
消去と復帰、分化強化と分化弱化について学ぶ(教科書6-7章):精神科病棟での問題行動修正、夜泣きの消去、バーストと自発的回復、自閉症児の自己刺激行動、消去と忘却の区別、スポーツのコーチング、課題分析、カウンセラーによる無意識の条件づけ、創造性。
5:シェイピング、強化スケジュール
シェイピングと強化スケジュールについて学ぶ(教科書8-9章):失語症の行動療法、部分強化と連続強化、累積記録、FI、FR、VI、VR、消去抵抗、強化スケジュールよって生じる反応パターン。
6:生得性好子、生得性嫌子、特殊な確立操作、習得性好子、習得性嫌子
行動分析学における「動機づけ」について学ぶ(教科書10-12章):遮断化と飽和化、確立操作、行動内在的随伴性と付加的随伴性、プリマックの原理、多飲症、攻撃行動と攻撃性好子、依存性好子、妄想を減らす行動療法、価値変容の原理、トークンエコノミーシステム。
7:刺激弁別、刺激般化、概念形成、模倣
弁別学習や概念学習、模倣による学習について学ぶ(教科書13-15章):弁別刺激、概念の行動的定義、読字指導、刺激性制御、学習障害、機械利用型指導法、直感、プロンプトとフェイディング、遅延誘導手続き、リダクション、模倣と般化模倣。
8:阻止による強化、阻止による弱化、並立随伴性
回避行動、選択行動について学ぶ(教科書16-18章):姿勢の矯正プログラム、自閉症における視線合わせ、警告刺激、ADHD、非両立行動の分化強化、対応法則。
9:刺激反応連鎖と反応率随伴性、レスポンデント条件づけ
複雑な行動の学習、レスポンデント条件づけについて学ぶ(教科書19-20章):逆行連鎖化、順行連鎖化、総課題提示法、トイレットトレーニング、自立訓練、早食いの抑制、恐怖症とその治療、高次条件づけ、系統的脱感作法。
10:言語行動
言語行動論について学ぶ(教科書21章):マンド、タクト、イントラバーバル、エコーイック、テクスチャル、書き取り、聞き取り、書き写し、オートクリティック、私的刺激。
11:強化モドキ、ルール支配行動
直接効果的随伴性、間接効果的随伴性について学ぶ(教科書22-23章):拒食症の治療、随伴性形成行動、ルール支配行動、コミュニティ心理学、イメージトレーニング、パフォーマンス・マネジメント、自己管理。
12:ペイ・フォー・パフォーマンス、道徳と法による行動の制御
ルール支配行動によるマネジメントについて学ぶ(教科書24-25章):作文指導、就労支援プログラム、銀行におけるペイ・フォー・パフォーマンス、法律と道徳(倫理)、宗教、性同一性障害。
13:行動の維持、行動の転移
学習した行動を維持させ、転移させる要因について学ぶ(教科書26-27章):行動の罠、般化を促進させる要因、自己教示。
14:研究法
行動分析学における研究法、特にシングルケースデザインについて学ぶ(教科書28章):社会的妥当性、観察法、観察の信頼性、反転法、多層ベースライン法、基準変化法、条件交替法、内的妥当性、外的妥当性。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
○本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とします。
○毎回、次の週の授業で討論する具体的なテーマに関する予習課題を提示するので、受講生は関連する教科書の章を読み、予習課題に取り組み、討論の準備をすること。
○本授業の準備・復習時間は、それぞれ平均3時間を標準とします。
テキスト(教科書)Textbooks
『行動分析学入門』(杉山・島宗・佐藤・マロット・マロット、産業図書、1998)
参考書References
『ワードマップ:応用行動分析学』(島宗、2019)他。適宜、紹介します。
成績評価の方法と基準Grading criteria
○授業参加点 50%、課題点(最終レポート含む) 50%で成績を評価します。
○授業を欠席したときには授業内課題を補完するレポートを書いて提出してください。学期内6回まではこのレポートの得点で授業内の課題得点を補完できるものとします。授業参加点は補填されません。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
(2019年度の授業改善アンケートより)*2020年度は授業改善アンケートを実施していないので過年度の気づきを掲載します。
4人中2人が回答してくれました(50%)。そのうち2人が「この授業を履修してよかった」と回答してくれました(100%)。
大学院に入る前の行動分析学の習得水準がばらばらなところにいつも苦労する授業ですが,みなさんそれぞれよく考えて課題に取り組んでくれました。面白い議論をたくさん楽しめました。
その他の重要事項Others
オフィスアワーは春学期は金曜日の4限、秋学期は火曜日の2限、場所は研究室(富士見坂校舎6F9号室)です。
担当教員の専門分野等
<専門領域> 行動分析学
<研究テーマ>
組織行動マネジメント、広告・消費者行動、教材開発
<主要研究業績>
① 島宗 理 (2019). ワードマップ 応用行動分析学
新曜社
② 島宗 理 (2015). リーダーのための行動分析学入門 日本実業出版社
③ 島宗 理・若松克則 (2016). 会計事務所で働くパート従業員を対象とした参加型マネジメント 行動分析学研究, 31, 2-14.