人文科学研究科Graduate School of Humanities
PSY500B6(心理学 / Psychology 500)精神保健特論Advanced Lecture in Mental Health
高橋 敏治
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 人文科学研究科Graduate School of Humanities |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2021 |
授業コードClass code | X0531 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 金3/Fri.3 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory | 心理学専攻(修士課程)-基礎科目 |
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Outline (in English)
1. We will learn the basic knowledge necessary for school mental health.
2. We will learn how to identify mental problems and how to approach through concrete cases occurring at the school site.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
1.学校精神保健に必要なそして基本的な基礎知識を習得します。
2.学校現場で生じる具体的なケースを通したメンタルな問題の見分け方やアプローチの仕方を学びます。精神科医として30年以上活動している臨床現場での経験をもとに,学生が知っておくべき臨床の知識,対処法や予防法を取り上げます。
到達目標Goal
1.ライフサイクルと学校精神保健の関係を説明し,学校精神保健と関連する法律や関係機関との連携機関の仕方を具体的に述べることができるようにすること。
2.臨床場面でもっとも使用頻度の高いDSM-5を各障害について調べて,その診断基準を使用し,運用方法について具体例を通しながら実際に示すことができるようにすること。
3.学校心理士の実践的な活用に向けた精神保健学の知識や技能を習得し,具体例に即して対策や解決策を提示できるようにすること。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
学校保健学や精神保健学での基本問題を,具体的な症例などを交えながら,障がいの理解と同時に関連機関との連携の仕方を学びます。特に学童期に顕在化しやすい不安障害,パニック障害,強迫障害,摂食障害,解離性障害,そして青年期後期以降の統合失調症,気分(うつ病)障害,人格障害,ストレス関連障害などをライフサイクルの観点から取り上げます。自殺,不登校,いじめ,児童虐待,引きこもりなどのトピックスについても理解を深め,具体例を通しながら実際の運用に触れながら学びます。その過程で学校精神保健の現場でのケース,実際の場面での困難事例など,実践に即した対策や解決策を個人,あるいはグループで考えていきます。授業時間内に,必ず質疑応答の時間を設け,生じた疑問や問題を討論します。発表後には,振り返りレポートを提出してもらい,疑問点などを授業内でフィードバックします。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
春学期
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回:オリエンテーションと学校精神保健の基礎
授業の目的と方法の確認します。精神保健学の歴史・基礎知識・現状や問題点を,担当者が説明します。
第2回:学校教育の基盤としての精神保健学的なアセスメントと援助について
心理面・行動面の問題で学校生活の困難をもつ児童生徒が,良質の学校生活を送れるように,アセスメントの仕方と援助の方法の概要を,担当者が説明します。
第3回:精神保健学の症候とその見かた―表情・行動・思考―
実際にこころと行動の問題がどのように分類・整理されるかをDSM-5を用いながら表情・行動・思考などの面を分担と決めて発表し,全員で検討します。
第4回:神保健学の症候とその見かた―感情・記憶・意識―
実際にこころと行動の問題がどのように分類・整理されるかをDSM-5を用いながら感情・記憶・意識などの面を分担と決めて発表し,全員で検討します。
第5回:学校における児童生徒の問題―家庭内暴力・虐待―
学校現場で児童生徒の問題としてよくみられる家庭内暴力・虐待の問題について,分担と決めて発表し,全員で検討します。
第6回:学校における児童生徒の問題―不登校,いじめ,非行―
学校現場で児童生徒の問題としてよくみられる不登校,いじめ,非行の問題について,分担と決めて発表し,全員で検討します。
第7回:学校における精神保健の実際の問題点―発達障害・注意欠陥障害―
DSM-5のテキストとケースを基に,学校でみられる発達障害・注意欠陥障害を分担と決めて発表し,全員で検討します。
第8回:学校における精神保健の実際の問題点―不安障害・適応障害―
DSM-5のテキストとケースを基に,学校でよくみられる不安障害・身体表現性障害・適応障害を分担と決めて発表し,全員で検討します。
第9回:学校における精神保健の実際の問題点―素行障害・人格障害―
DSM-5のテキストとケースを基に,学校でみられる素行症や人格障害を分担と決めて発表し,全員で検討します。
第10回:学校における精神保健の実際の問題点―統合失調症・気分障害―
DSM-5のテキストとケースを基に,学校でみられる統合失調症・気分障害を分担と決めて発表し,全員で検討します。
第11回:多様な臨床心理学的アプローチ精神分析的(力動的)アプローチ,来談者中心的(パーソンセンタード)アプローチなど
主な心理療法の枠組みをきちんと理解し,児童生徒の学校生活での困難の要因の理解と援助の枠組みを検討します。今回の対象は精神分析的(力動的)アプローチ,来談者中心的(パーソンセンタード)アプローチなどでがあり,グループ発表を行ない,全員で検討します。
第12回:多様な臨床心理学的アプローチ認知行動論的アプローチ,システム論的アプローチ,マインドフルネスなど
前回に引き続き,主な心理療法の枠組みをきちんと理解し,児童生徒の学校生活での困難の要因の理解と援助の枠組みを検討します。今回の対象は認知行動論的アプローチ,システム論的アプローチ,マインドフルネスなどあり,グループ発表を行ない,全員で検討します。
第13回:学校・家庭・地域における精神保健活動の連携-学校・家庭・地域における精神保健活動の実際・連携の仕方
学校・家庭・地域における精神保健活動の実際・連携の仕方を担当者から説明し,その際に生じる問題点などを検討します。
第14回:実際の学校現場のケースを基に問題点のアセスメント・症状のとらえ方・専門機関の連携の仕方,まとめ
実際の学校現場のケースを基に問題点のアセスメント・症状のとらえ方・専門機関の連携の仕方をグループを決めて発表し,全体で検討します。授業を振り返ってのまとめの議論をします。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
本授業の準備学習・復習時間は,各2時間を標準とします。
1.精神保健についての基礎知識,今後の学びたいことについてレポート課題を実施し,それを参考に今後の授業を内容を決めます。
2.実際の症例問題でDSM-Vに関するレポート課題を行ないます。
3~7.授業内容に関する所見を実際の症例を学習しながら要点をレポートとしてまとめます。
8~11.授業内容に関する実際の症例から診断やケア上の問題点をレポート提出します。
12~13.授業内容に関する臨床心理学的アプローチをグループ学習し授業内で発表とともにレポートにまとめます。
14.レポート課題の際には,問題点のアセスメント・症状のとらえ方・専門機関の連携の仕方を必ず自分の学習した視点で記述し,提出します。
テキスト(教科書)Textbooks
教科書は特に指定しません。毎授業時に適宜プリントを配付します。
参考書References
米国精神医学会(編) 日本精神神経学会 (監修)(2014年).DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル,医学書院,東京.
高橋 三郎(著) (2015年).DSM-V ケースファイル,医学書院,東京.
成績評価の方法と基準Grading criteria
平常点40%,個人及び集団課題発表と報告および発表への質問やコメントなど討論への参加姿勢30%,期末レポート(内容評価)30%などを総合的に評価します。特に,討論への積極的な参加姿勢を重視します。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
新型コロナ肺炎流行のため,2020年度は実施しませんでした。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
特にありません。必要に応じパワーポイントを使用します。
その他の重要事項Others
【重要】新型コロナ肺炎に関する状況を考えて授業形態をオンライン授業などに変更する場合があります。皆さんの希望も調査したいと思いますので,初回の授業には必ず出席して下さい。
【オフィスアワー】履修の手引きの教員紹介に記載してあります.担当教員は,厚生労働省精神保健指定医,日本精神学会精神科専門医および日本睡眠学会専門医として30年以上精神科の臨床に携わっています。この経験を生かし,この授業を進めます。
担当教員の専門分野等
<専門領域>精神生理学,精神保健学
<研究テーマ>眠気,睡眠,うつ,ストレス
<主要研究業績>
高橋敏治(2020)時差障害(時差ぼけ).診療所で診るトラベルメデイスン(大越裕文 編著).日本医事新報社,東京,p64-73.
高橋敏治(2019)残業による睡眠不足が引き起こす過剰な日中の眠気.睡眠の診かた―睡眠障害気づくための50症例―(千葉茂 編著).新興医学出版社,東京,p62-63.
高橋敏治(2019)繰り返しの時差フライトが引き起こす睡眠障害.睡眠の診かた―睡眠障害気づくための50症例―(千葉茂 編著).(株)新興医学出版社,東京,p76-77.
高橋敏治(2017). 時差ぼけと光環境 睡眠医療, 11, 525-530.