人文科学研究科Graduate School of Humanities
PSY500B6(心理学 / Psychology 500)言語心理特論Advanced Lecture in Language Psychology
福田 由紀
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 人文科学研究科Graduate School of Humanities |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2021 |
授業コードClass code | X0530 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 秋学期授業/Fall |
曜日・時限Day/Period | 火3/Tue.3 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory | 心理学専攻(修士課程)-基礎科目 |
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Outline (in English)
What is the text comprehension? What should I do to lengthen it? It is the theme of this class to examine from a psychological point of view. Students will be expected to perform a trial lesson and make a presentation about methods to promote text comprehension.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
読解力とは何か?それを伸ばすために何をしたらよいか?について,心理学的な観点から検討することが本授業のテーマである。具体的には,まず,日本やそれ以外の国で行われている指導法について,模擬授業を通して体感する。次に,文章読解のプロセスやそれに影響する要因について学習をする。それらをもとに読解力を高めるためにどのようにしたらよいかを考える。
到達目標Goal
①日本とそれ以外の国で行われている読解力向上の指導法を理解し,説明できる。
②文章読解に影響する要因に関する文献を探すことができる。
③文章読解に影響する要因について理解し,説明できる。
④文章読解のプロセスを理解し,説明できる。
⑤読解力向上のための指導法を提案する。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
授業の前半は日本とUKで使用されている学習指導方法にそって,模擬授業を行う。その後,読解のプロセスや読解力の定義,読解力に影響を与える要因に関する文献を講読し,発表を行う。授業の最終段階では,各自が考える読解力の定義とそれを向上させるための指導方法を発表する。また,提出された課題のフィードバックは,授業中ないしは授業支援システムを通して行う。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
秋学期
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回:オリエンテーション
授業の目的と方法の確認。グループ分け。
第2回:日本式模擬授業1
指導本にしたがって,模擬授業を行う。最後に,読解力のどの側面を伸ばす意図があるのかを発表する。
第3回:日本式模擬授業2
指導本にしたがって,模擬授業を行う。最後に,読解力のどの側面を伸ばす意図があるのかを発表する。
第4回:UK式模擬授業1
指導本にしたがって,模擬授業を行う。最後に,読解力のどの側面を伸ばす意図があるのかを発表する。
第5回:UK式模擬授業2
指導本にしたがって,模擬授業を行う。最後に,読解力のどの側面を伸ばす意図があるのかを発表する。
第6回:読解力を伸ばすための指導法の日英比較の発表
模擬授業を通して実感したUKと日本の目指している読解力の相違点と共通点を比較検討した結果を発表する。
第7回:読解力に影響する要因に関して考える1:読解力の発達の様相
読み書きの発達の様相に関する論文を全員が読み,担当者が説明する。
第8回:読解力に影響する要因に関して考える2:語彙量,ワーキングメモリ
読解力に影響を与える要因として語彙量とワーキングメモリを取り上げる。具体的には,それらの要因がどのように読解力に影響を与えるかの概略を担当者が説明する。
第9回:読解力に影響する要因に関して考える3:認知・思考の発達
読解力に影響を与える要因として認知・思考力を取り上げる。具体的には,文章理解時にどのような推論をしているのか,発達的な観点に関して概略を担当者が説明する。
第10回:読解力に影響する要因に関して考える4:文書の理解
読解力に影響を与える要因として非連続型テキストである文書の理解を取り上げる。具体的には,文書の理解と文章の理解の相違や共通点に関して概略を担当者が説明する。
第11回:読解力に影響する要因に関して考える5:PISAの読解力
PISAが提案している読解力と,日本の教育で目指している読解力の相違や共通点に関して概略を担当者が説明する。
第12回:私が考える読解力の定義とその伸ばし方についての発表1
読解力の定義を明確にし,それを伸ばすための方法を発表する。その際,対象はだれか,具体的な方法を発表する。
第13回:私が考える読解力の定義とその伸ばし方についての発表2
読解力の定義を明確にし,それを伸ばすための方法を発表する。その際,対象はだれか,具体的な方法を発表する。
第14回:講評会
12回と13回で行った発表に関して全員で講評する。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とします。
第1回~第4回 模擬授業を行うための準備を行う。
第5回 指導法の日英比較発表の準備を行う。
第6回~第10回 発表者は論文の発表準備を行う。それ以外の院生は,発表予定の論文を読み込んでくる。
第11回・第12回 次週の発表の準備を行う。
第13回 授業での発表や議論を振り返り,講評を作成する。
テキスト(教科書)Textbooks
教科書は特に指定しない。毎授業時にプリントを配付する。また,課題に必要な文献はその都度伝える。
参考書References
福田由紀(編)(2012). 言語心理学入門 培風館
大村彰道(監修)(2001). 文章理解の心理学 北大路書房
成績評価の方法と基準Grading criteria
発表40%,発表への質問・コメント30%,討論への参加30%などを総合的に評価する。特に,討論への積極な参加姿勢を重視する。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
2020 年度はオンライン授業が行われ,授業アンケートは実施されませんでした。そのため,2019 年度の授業のアンケート結果を紹介します。
春の入学ガイダンス時に「この授業は『考える授業』です。その対象は『読解力』です」と紹介しました。コメントをみると「たくさん「考える」ことがあり,とても楽しかった・・・」考えたのですね。「有意義だった」活発な意見交換などで「モチベーションを高く保てた」よかった。
修士課程の皆さんはすでにいろいろなスキルを持っているでしょう。それを使ってもらいました。そうすると・・・,対象を「読解力」ではなく,自分のテーマに置き換えたら・・・?そう,修論道筋が見えるのでは?という話を最後にしたら,授業中にはそこまで理解が至らなかった,というコメントをもらいました。ということは,授業の最初にこのメタ目的を伝えた方がいいのかな?うーん,悩みどころです。自力で気づいてもらうと嬉しいけど,学期の途中くらいだといいかな?考え中です。
その他の重要事項Others
グループ分けや発表論文の割り当てをするので,受講希望者は初回の授業に必ず出席してください。
なお,心理学専攻の大学院生は,この授業の履修単位を学会連合資格「学校心理士/補」の受験資格として申請できます(領域:「3. 発達心理学の領域」)。
担当教員の専門分野等
<専門領域>言語心理学
<研究テーマ>読みと感情,コミュニケーションにおける言語活動の役割
<主要研究業績>
①福田由紀(2019). 読みと感情 日本読書学会(編) 読書教育の未来 Pp.144-154.
②福田由紀・蘒原遥・菊池理紗(20018). 言語心理学で何を学べるか?―言語学との学問イメージ比較― 法政大学文学部紀要,76,115-127.
③福田由紀・佐藤志保(2017). ポジティブな文章を読むと気分が良くなるのか?読書科学,59,161-171.
<HP>
「ことばのこころ研究室」http://www.zc.em-net.ne.jp/~psy-language/