人文科学研究科Graduate School of Humanities
PSY500B6(心理学 / Psychology 500)発達心理特論Advanced Lecture in Developmental Psychology
渡辺 弥生
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 人文科学研究科Graduate School of Humanities |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2021 |
授業コードClass code | X0527 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 秋学期授業/Fall |
曜日・時限Day/Period | 木3/Thu.3 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory | 心理学専攻(修士課程)-基礎科目 |
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Outline (in English)
We will attempt to understand the significance of having a developmental perspective in psychological research. Therefore, we will attempt to understand the systematic flow of developmental psychology research to date. In particular, we will focus on infancy, childhood and adolescence, and emphasize developmental psychology and development of cognition/thinking, self-consciousness, and social competence as the basis necessary for the qualification of school psychologist. Based on this, students will consider research questions related to their future research.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
心理学研究において発達的な視点をもつことにどのような意義があるかについて理解する。そのために、これまでの発達心理学研究の体系的な流れを捉える。特に、乳幼児期、児童期、青年期に焦点を当てるとともに、学校心理士の資格に必要な基盤としての発達心理学および、認知・思考、自己意識、社会性の発達を重点的に理解する。その上で、各自の今後の研究へのリサーチクエスチョンを考える。
到達目標Goal
上記の授業テーマの枠組を意識した上で、
①発達心理学研究史に残る著名な理論を理解し説明することができる。
②身につけた知識をもとに発展的な課題について討議することができる。
③知識や理解をもとに自分の研究に応用できるよう計画することができる。
を到達目標とする。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
従来の先行研究で取り上げられてきた主要テーマのもとに、著名な理論を理解していく。さまざまな理論がどのような研究者によって、どういった方法で提唱されるに至ったのかを詳しく理解することが求められる。本講義では、発達心理学の中でも特に人間の行動の発達に関する理論と研究に焦点を当てる。毎回、ある研究者に焦点を当て、研究の経緯、方法など背景となる点を紹介する。発表担当者は、参考文献や自身で調べた内容を取り入れ、その研究者の研究を他の受講者に説明する。全受講者が自身の研究や経験を重ねながらいくつかのトピックで討論する。これにより、各自が研究知識を広げ、研究態度を学び具体的な研究計画が立てられる力を獲得する。課題などのフィードバックは、学習支援システムで回答したりアドバイスする。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
秋学期
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
1:オリエンテーション
授業のテーマ、到達目標、進め方を説明する。
自己や対人関係のあり方については、各時間で言及する。
2:認知の発達
Cognitive Facets
Piaget & Inhelder(1969): Crain(2011) の6章をもとに認知発達的な理論を理解し、討論する。
3:初期の対人関係
Early Relationships
Bowlby(1982) :Crain(2011)の3章をもとに、乳幼児期の愛着理論を理解し、討論する。
4:成熟に関する理論
Maturation
Gesell(1952):Crain(2011)の2章をもとに、子どもを育てることと成熟の関係を理解し、討論する。
5:発達と教育との関係
Early Education in the Home
Montessori(1949):Crain(2011)の4章をもとに、モンテッソリー教育をもとに教育との関係を考える。
6:学習理論
Learning Theory
Pavlov(1928), Watson(1936), Skinner(1953) Crain(2011)
の8章をもとに人間の行動のメカニズムを考える。
7:道徳性の発達
Moral Development
Kohlberg(1958): Crain(2011)の7章をもとに、道徳性の判断や行動の発達について討論する。
8:社会的学習理論の理解
Social Learning Theory
Bandura(1962):Crain(2011)の9章をもとに、どのように攻撃性や向社会的行動が獲得されるか理解する。
9:記憶、言語、遊びの発達
Social-Historical Theory
Vygotsky(1930): Crain(2011)の10章をもとに、心理学的な道具と行動の関係について学ぶ。言語の役割について考える。
10:精神分析理論と発達
Psychoanalytic Theory
Freud(1910):Crain(2011)の11章をもとに、精神分析理論における発達理論を学ぶ。
11:ライフサイクル
The Eight Stage of Life
Erikson(1968):Crain(2011)の12章をもとに、生涯発達の視点から人間の一生を考える。
12:分離と固体化
Separation / Individuation
Mahler(1968) :Crain(2011)の13章をもとに、母親からの分離について考え、討論する。
13:友だち関係と友情
Friendships and Peers
Hartup(1998): プリントをもとに、友情の発達や友だち関係の形成について考える。
14:親密な関係の形成
Close Relationship
Collins & Sroufe(1999):プリントをもとに、人間の性の発達や親密な関係について考える。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とします。
1.プレゼンテーションの準備:必ず上記理論提唱者についてプレゼンができるよう準備する。必要な内容は、a.理論やアイデア、b.個人の生き方と研究の関係、c.各理論が反映された最近の研究紹介、d.学問の応用について、e.発達についての個人の考え(キーとなるポイント)。事前に、担当教員にメールで提出しておく。当日の発表の要約(A42枚以内)。ただし、昨年と同じ発表方法にせず、今年は新しいスタイルを考える。
2.担当していない週では、その週のトピックに関する討論に参加できるようテキストや論文を読んでおく。また、最終的に提出するレポート課題を適宜準備しておく。
テキスト(教科書)Textbooks
Crain,W. (2011). Theories of Development: Concepts and Applications およびプリント。受講者の人数や専門によって選ばれる発達理論は異なる。他の研究者の自伝を活用する可能性はある。
参考書References
渡辺弥生監修(2019).まんがでわかる発達心理学 講談社
二宮克美・渡辺弥生(編)(2017)『発達心理学』 北大路書房
渡辺弥生(2019) 『感情の正体』筑摩書房
成績評価の方法と基準Grading criteria
平常点(単に出席という意味ではなく、毎回自分の意見を述べることを基準とする)を80%、担当した部分のレジュメ作成とパワーポイントでの発表を20%とする。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
評価も高く時間外の勉強を動機づけることができたと考えられるが、発表内容の厚みについて個人差が見られた。また、発表者が集団で討論できるようなリサーチクエスチョンを見つけられていない場合があることから、単に調べたことを発表するというのではなく、批判的な視点や発展的な意識をもち、討論できるような水準で発表できるよう支援していきたい。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
特になし。毎回機器を授業に間に合うよう準備することを徹底したい。
その他の重要事項Others
シラバスを変更することもあると理解してください。今の所、下記の予定である。
担当教員の専門分野等
https://sites.google.com/site/emywata/Home
<専門領域> 発達心理学、発達臨床心理学、学校心理学
<研究テーマ> 社会性の発達といじめなどの予防教育の展開
<主要研究業績>
(1)世界の学校予防教育 2013 金子書房
(2)子どもの10歳の壁とは何か?乗り越えられる発達心理学 2011 光文社
(3)子どもの感情表現ワークブック 2011 明石書店
(4)10代を育てるソーシャルスキル教育 2009 北樹出版
(5)幼児・児童における分配の公正さに関する研究 1992 風間書房、など。