人文科学研究科Graduate School of Humanities
HUG500B5(人文地理学 / Human geography 500)空間構成論研究ⅡSpatial Formation Ⅱ
山本 健兒
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 人文科学研究科Graduate School of Humanities |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2021 |
授業コードClass code | X0431 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 秋学期授業/Fall |
曜日・時限Day/Period | 月3/Mon.3 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory | 地理学専攻(修士課程)-専門科目 |
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Outline (in English)
This lecture deals with urban system and intra-city structure in developed countries such as Japan, USA, Gernamy and so on. Attending students should report his or her own research theme at least once within a semester.
授業で使用する言語Default language used in class
その他言語 / Other
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
「空間構成論研究」で扱う空間とは、大は地球規模の空間から、小は例えば都市の一街区に至るまで様々なスケールがあります。どのスケールの空間を扱うにせよ、空間構成諸要素は何か、それら諸要素がどのような関係にあるかを研究することによって、取り扱う空間の全体像を理解することができます。この授業では、諸都市が織りなす空間と、個別の都市内部構成を考察対象とします。今年度のこの授業では、ドイツの諸都市を主たる事例研究対象として、移民をめぐる諸問題を検討します。そこで、国際的な人口移動にも言及することになります。あわせて、院生にも独自に取り組んでいる研究テーマでの報告を求めます。
到達目標Goal
都市とはどのような存在であるかを理解するために、諸都市が構成する空間と、個々の諸都市内部の空間構成に関する諸理論を理解し、そうした諸理論の有効性を批判的に考察する能力を身につけることが、この授業の到達目標です。今年度は特にドイツの諸都市にみられる共通性と各都市の独自性の理解、及びその背景をなす国際的な人口移動の実態理解も到達目標とします。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語、英語、ドイツ語
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
教室での対面でこの授業を行ないます。ただし、COVID-19感染状況に対する国及び東京大都市圏内都県の政策、そして本学の方針を鑑みて、オンライン授業に変更する可能性がああります。その場合には、Zoomを用いて同期双方向通信での授業とします。オンライン授業の場合にはHoppiiを用いてこの科目の履修登録者に連絡します。
最初に、都市という概念、諸都市が構成する空間、個別都市内部の空間構成などに関する諸理論に関する原典を読みます。それを踏まえて、ドイツの諸都市に関する講義を行ないます。山本が講義する場合には60分程度を目途とし、その後はディスカッションにあてます。このディスカッションが学生の疑問に対するフィードバックとなります。山本の講義の前には、事前に読むべき文献を指定しますので、院生はそれを読んで授業に臨むことが求められます。そうした文献のかなりは、掲載学術雑誌発行大学のリポジトリやJ-Stageなどからダウンロードできますので、院生自身でダウンロードし、プリントアウトしてもらいます。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
秋学期
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回:都市の概念
都市論の古典をもとに、都市の概念について考察し、それがドイツの諸都市にどのように適用されうるかを検討する。
第2回:ドイツの都市システム
東西ドイツ統合以前のドイツの都市システムを東西ドイツそれぞれについて概観し、統合以降の変容を検討する。
第3回:EUの都市政策
1990年代から推進されてきたEUによる都市政策の意義を考察する。
第4回:ドイツの都市政策
1990年代以降のドイツで推進された「社会的都市」に関する考え方を、その具体的事例に即して考察する。
第5回:ベルリン
ベルリンの歴史と、その社会経済的な空間構成を考察する。
第6回:ミュンヘン
ミュンヘンの歴史と、その社会経済的な空間構成を考察する。
第7回:ライン・ルール大都市圏
ライン・ルール大都市圏の歴史と、その社会経済的な空間構成を考察する。
第8回:フランクフルト・アム・マイン
フランクフルト・アム・マインの歴史と、その社会経済的な空間構成を考察する。
第9回:ドイツの小都市
ドイツでは活力ある小都市が比較的多い。その理由について考察する。
第10回:縮小する都市
ドイツ諸都市の中で縮小と衰退に苦しむ都市について考察する。
第11回:ドイツにおける「スマートシティ」
ドイツ南西部、ボーデン湖畔に位置する小都市Friedrichshafenで実践されたスマートシティ」に関する文献を読む。
第12回:院生Aによる報告
院生Aが進めている研究テーマに関する報告とディスカッション。
第13回:院生Bによる報告
院生Bが進めている研究テーマに関する報告とディスカッション。
第14回:総合ディスカッション
13回の授業を振り返って、総括的な討論を参加者全員で行う。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とします。
授業に臨む前に、テキストを読み、理解困難な部分があるか否かを明確にすること。復習として、授業中に提示する文献を読むことが求められます。
テキスト(教科書)Textbooks
各回の授業のために事前に院生に読んでもらう文献についてはその都度指示しますが、この授業に関わる文献を参考文献欄に記すので、必要に応じて参照してください。
参考書References
・山本健兒『経済地理学入門 新版』原書房、2005年、第4章「都市システムと経済の空間的連関」。
・山本健兒(2005)「フローの空間」における「場所の空間」としてのミュンヘンとベルリン、『経済志林』(法政大学経済学会)第72巻第4号、pp.87-180。
・山本健兒(2007)「ドイツの都市政策における「社会的都市プログラム」の意義」、『人文地理』第59巻、pp.205-226。
・山本健兒(2009)「ドイツの都市内社会的空間的分極化は激化したか?―ドルトムント市の事例―」、『地理学評論』第82巻、pp.1-25。
・山本健兒(2010)「EUによる都市政策"URBAN Community Initiative"の実態―デュースブルク市マルクスロー地区の事例―」、『経済志林』第77巻第4号、pp.47-105。
・山本健兒(2019)「ドイツにおける都市空間整備と移民の背景を持つ人々―ミュンヘン市における「社会的都市プログラム」の事例―」、『都市計画』336号、pp.14-17。
・山本健兒(2020)「ドイツの大都市における「問題街区」のリノベーションはジェントリフィケーションか?―ミュンヘン市シュヴァンターラーヘーエ(ヴェストエント)の事例―」、コルナトゥスキ・ヒェラルド・水内俊雄・福本拓(編)『『ジェントリフィケーション』を超えて―日本・ドイツの都市住宅市場からみた地域の賦活とイノベーション―』大阪市立大学都市研究プラザ「URP「先端的都市研究」シリーズ21」、pp.237-308。
・Castells, Manuel (1989) The Informational City. Information Technology, Economic Restructuring, and the Urban-Regional Process. Oxford: Basil Blackwell Ltd.
・Häußermann, H., D. Läpple und W. Siebel (2008) Stadtpolitik. Frankfurt am Main: Suhrkamp Verlag.
成績評価の方法と基準Grading criteria
授業に臨む姿勢、即ちディスカッションへの参加程度(50%)とレポートの内容(50%)で評価します。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
特になし。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
特になし。
その他の重要事項Others
質問の発出や自らの研究に関する報告など、積極的な参加が求められます。
担当教員の専門分野等
<専門領域>社会経済地理学
<研究テーマ>周辺的地域における経済発展、移民と都市
<主要研究業績>
・山本健兒『現代ドイツの地域経済-企業の立地行動との関連-』法政大学出版局、1993年。
・山本健兒『国際労働力移動の空間―ドイツに定住する外国人労働者―』古今書院、1995年。
・山本健兒『産業集積の経済地理学』法政大学出版局、2005年。
・山本健兒, 平川一臣(編)『朝倉世界地理講座-大地と人間の物語- 第9巻 中央・北ヨーロッパ』朝倉書店、2014年。
・山本健兒(2018a)「ドイツ経済復活の鍵としてのミッテルシュタントと地域経済」、『経済学研究』(九州大学経済学会)第84巻、第5・6合併号、pp.51-86。
・山本健兒(2018b)「地域経済の4つの支柱とシュタントオルトポリティークの意義」、『経済学研究』(九州大学経済学会)第85巻、第1号、pp.1-26。
・山本健兒(2018c)「地域経済の構造転換と「場所に関する戦略的経営」―オーストリア・フォラールベルク州の事例―」、『経済学研究』(九州大学経済学会)第85巻第4号、pp.59-106。
・山本健兒(2019)「地域経済とイノベーティブな企業群」―オーストリア・フォラールベルク州における製造企業最大4社の事例―」、『経済学研究』(九州大学経済学会)第86巻第1号、pp.61-111。
・山本健兒(2020a)「オーストリア・フォラールベルク州における優良企業」、『経済学研究』(九州大学経済学会)第86巻第5/6号、pp.49-84。
・山本健兒(2020b)「伝統的工業部門で進化したオーストリア・フォラールベルク企業」、『経済学研究』(九州大学経済学会)第87巻第1・2・3号、pp.31-66。
・Yamamoto, Kenji (2020c) Evolution of a Small and Medium-sized Enterprise in a Peripheral Area of Japan into a Hidden Champion. 『経済学研究』(九州大学経済学会)第87巻第4号、pp.23-45。
・山本健兒(2021)「地域経済の発展に関するDouglass C. Northの理論的考察の意義と問題点」、『経済志林』第88巻第4号、印刷中。