人文科学研究科Graduate School of Humanities

この授業では、（認知）言語学的な研究手法を学ぶことができる雑誌記事・学術論文を読む。論文ごとに担当者を決め、担当者には、論文の要旨を分かりやすくレジュメにまとめたものを授業で配付し、口頭でリポートしてもらう。その後、質疑応答・ディスカッションを行い、論文の分析手法について批判的に検討する。

(1) 論文における主張と根拠を的確に理解し、分かりやすく要約してリポートができるようになる。
(2)言語学の諸概念が言語分析においてどのように応用されているのかを理解し、具体例を挙げながら、それらについて説明できるようになる。

日本語 / Japanese

演習形式で行う。発表者はレジュメを作って、論文の内容を分かりやすく伝える。それ以外の受講者は、論文の不明点や欠点について容赦なく質問し、発表者とひたすらディベートを行う。最後に皆でその論文の欠点と改善点について考える。
▼必要に応じて、ZOOMを用いたオンライン授業を行う。その場合は、学習支援システムの「お知らせ」でURLや事前課題などを連絡する。チャット機能を利用した双方向授業になるため、通信環境を整えておくこと。
▼課題やリアクションペーパー等における良いコメント・質問は授業内で紹介・フィードバックして、さらなる議論に活かす。

あり / Yes

なし / No

秋学期

※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。

第1回：論文リポートの方法について

論文の要約の仕方を学ぶ

第2回：論文リポート(1)

動詞の多義について

第3回：論文リポート(2)

形容詞の多義について

第4回：論文リポート(3)

接続詞の多義について

第5回：論文リポート(4)

言いさし文と文法化について

第6回：論文リポート(5)

モダリティ副詞と文法化について

第7回：論文リポート(6)

接続詞の文法化について

第8回：論文リポート(7)

談話標識について

第9回：論文リポート(8)

若者言葉と対話表現について

第10回：論文リポート(9)

待遇表現について

第11回：論文リポート(10)

活用の変化について

第12回：論文リポート(11)

新語の発生について

第13回：論文リポート(12)

コーパスについて

第14回：まとめ

総括をする

【宿題】
(1) 課題論文の要約レポート（A4用紙一枚）。毎週、授業開始時に提出する。
(2) 課題論文に出てきた分からない概念・専門用語について、授業で質問されても答えられるように、調べておく。（２時間程度）
(3) 当日の授業で質問できるように、課題論文への反論・疑義・その他不備と思われる点をまとめておく（２時間程度）。

使用しない。（必要に応じて、教員が資料を配付する。）

『認知言語学大事典』（朝倉書店）
『意味論キーターム事典』（開拓社）
『新編　認知言語学キーワード事典』（研究社）
『ことばの認知科学事典』（大修館書店）
『日本語学キーワード事典』（朝倉書店）
『言語学大辞典』（三省堂）
『日本語文法大辞典』（明治書院）
『日本語学研究事典』（明治書院）
『語用論キーターム事典』　（開拓者）
『日本語研究のための認知言語学』（籾山洋介著、研究社）
『認知意味論: 言語から見た人間の心』（ジョージレイコフ著、紀伊国屋書店）
『認知意味論のしくみ』（籾山洋介著、研究社）
『認知意味論の新展開―メタファーとメトニミー』（谷口一美著、研究社）
『概念化と意味の世界　認知意味論のアプローチ』（深田智・仲本康一郎著、研究社）
『認知言語学　基礎から最前線へ』（森雄一・高橋英光編著、くろしお出版）

宿題(1)　「要約レポート」（40％）
宿題(2)(3)　質疑応答・ディスカッションへの参加態度（40％）
学期末レポート（20％）

論文の書き方が具体的に理解できた、というコメントが多かったので、今年度の実際に多くの論文を取り上げる予定である。

＜専門領域＞
　現代日本語における意味論、文法論、語用論、認知言語学
＜研究テーマ＞
　認知言語学からみた意味拡張、文法化、構文ネットワーク
＜主要研究業績＞
　「アマルガム構文としての『「全然」＋肯定』に関する語用論的分析」（『言葉と認知のメカニズム』pp.103-115. ひつじ書房、2008年）
　「構文文法の歴史的背景と今後の展望」（『人間情報学研究』第11巻、pp.25-43. 2006年）
　「接続詞ケドの手続き的意味」（『語用論研究』第7号, pp.17-30. 2005年）
　『構文ネットワークと文法　―認知文法論のアプローチ』（共著、研究社、2011年）