人文科学研究科Graduate School of Humanities

カント『純粋理性批判』を読む
――自由のアンチノミーとその解決――

　カントの『純粋理性批判』の「弁証論」ではいわゆる「自由のアンチノミー」が提示され、その解決が論ぜられている。この箇所を詳しく読み解くことで、その「解決」を明らかにし、カントの「解決」の意味について考える。

カントの古典的テキストに関して、次のような態度・技能・知識を身につける。
（１）原典テキストへ立ち返り、思想家の思想そのものを掘り起こす。
（２）対象について、疑問点を発見、調査、考察して、理解を深める。
（３）他人の意見も参照して、いっそう説得力のある意見を形成する。
（４）テキストから掘り起こした思想と他の思想とを比較対照できる。
（５）レポートにおいて、内容を分かりやすく、しかも正しく伝えられる。
（６）ドイツ語テキストを訳読する参加者は、ドイツ語原典を正確に読み解ける。
（７）翻訳書での参加者は、翻訳語や翻訳文の意味を適切に理解できる。

日本語 / Japanese

授業形態がオンラインか対面かは、学習支援システムの本授業の「お知らせ」を参照してください。
（１）最初に前回ゼミのまとめをして質問に答える。
（２）参加者がテキストの訳読を進め、適宜参考資料も用いて、質疑応答により、ドイツ語文章の内容の理解を深める。
（３）テキストに秘められた思想を読み取って話し合い、その思想について考えを深める。
（４）ドイツ語の初学者も、プロトコル（前回のまとめ）やレポート発表などで積極的に参加できるようにする。
（５）初めてカントのテキストに挑戦する人にも内容がよく分かるように解説する。

あり / Yes

なし / No

秋学期

※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。

第1回：叡知的性格と経験的性格

カント『純粋理性批判』原典テキストPhB626-627ページ

第2回：ヌーメノンとしての主体

同上627-628

第3回：生起とその原因

同上628-629

第4回：自然結果と自由に基づく結果

同上629-630

第5回：フェノーメノン的原因

同上630-631

第6回：経験的性格の超越論的原因である叡知的性格

同上631-632

第7回：命法、「べし」（当為）

同上632-633

第8回：生起しなかった行為の必然性

同上633-634

第9回：同一行為について、観察と、理性との関係における考察

同上634-635

第10回：時間

同上635-636

第11回：理性

同上636-637

第12回：あらゆる選択意志に基づく行為の無条件的条件である理性

同上637-638

第13回：理性の統制的原理

同上638-639

第14回：全体を振り返っての考察

期末レポート発表

本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とします。
前回の内容を復習すること。次回テキストの内容の全体を把握しておくこと。そして疑問点や問題点について調べておくこと。ドイツ語原典の訳読担当者は訳読の準備をし、プロトコル担当者は前回のまとめのプリントを用意すること。

I. Kant, Kritik der reinen Vernunft. Herausgegeben von Jens Timmermann. Felix Meiner Verlag.
(邦訳書)『カント全集』岩波書店版・第５巻、理想社版・第５巻、その他多数。ゼミのなかで紹介する。
(英訳書) ケンブリッジ版 I. Kant, Critique of Pure Reason (The Cambridge Edition of the Works of Immanuel Kant)ほか多数。

＜カントの著作＞
『プロレゴメナ』1783年
＜関連性の高い文献＞
ヨハン・シュルツ『カント『純粋理性批判』を読むために』菅沢・渋谷・山下訳（梓出版社）
御子柴善之『カント　純粋理性批判』（角川選書）
その他、ゼミで適宜紹介します。

（１）プロトコル（前回のまとめ）発表、テキスト読解や質疑応答で観察される到達目標達成度
（２）レポート課題で確認される到達目標達成度
（１）を70 ％、（２）を30 ％で評価する。

言葉を明瞭に発音するように心がける。
定刻どおりに終わるように心がける。

＜専門領域＞＜研究テーマ＞＜主要研究業績＞