人文科学研究科Graduate School of Humanities
PHL500B1(哲学 / Philosophy 500)近代倫理学史特殊講義1Lecture on History of Modern Ethics 1
菅沢 龍文
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 人文科学研究科Graduate School of Humanities |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2021 |
授業コードClass code | X0065 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 金3/Fri.3 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory | 哲学専攻(博士後期課程) |
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Outline (in English)
Reading Kant's Critique of Pure Reason: The Antinomy of Freedom and the Resolution of it
The "Dialectic" of Kant's Critique of Pure Reason treats so-called "the antinomy of freedom" and the resolution of it. We read the concerned texts on the Critique of Pure Reason and inquire closely into them. As a result Kant's idea of this resolution will be clear and we consider the meaning of it.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
カント『純粋理性批判』を読む
――自由のアンチノミーとその解決――
カントの『純粋理性批判』の「弁証論」ではいわゆる「自由のアンチノミー」が提示され、その解決が論ぜられている。この箇所を詳しく読み解くことで、その「解決」を明らかにし、カントの「解決」の意味について考える。
到達目標Goal
カントの古典的テキストに関して、次のような態度・技能・知識を身につける。
(1)原典テキストへ立ち返り、思想家の思想そのものを掘り起こす。
(2)対象について、疑問点を発見、調査、考察して、理解を深める。
(3)他人の意見も参照して、いっそう説得力のある意見を形成する。
(4)テキストから掘り起こした思想と他の思想とを比較対照できる。
(5)レポートにおいて、内容を分かりやすく、しかも正しく伝えられる。
(6)ドイツ語テキストを訳読する参加者は、ドイツ語原典を正確に読み解ける。
(7)翻訳書での参加者は、翻訳語や翻訳文の意味を適切に理解できる。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
初回からオンラインで授業を開始するが、状況に応じて対面授業に切り替える。なお、オンライン授業の接続(ZOOMを予定)の仕方については学習支援システムの本授業の「お知らせ」を参照してください。
(1)最初に前回ゼミのまとめをして質問に答える。
(2)参加者がテキストの訳読を進め、適宜参考資料も用いて、質疑応答により、ドイツ語文章の内容の理解を深める。
(3)テキストに秘められた思想を読み取って話し合い、その思想について考えを深める。
(4)ドイツ語の初学者も、プロトコル(前回のまとめ)やレポート発表などで積極的に参加できるようにする。
(5)初めてカントのテキストに挑戦する人にも内容がよく分かるように解説する。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
春学期
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回:オリエンテーション
(1)ゼミの方式、テキスト等について
(2)カントの『純粋理性批判』の背景・全体像
(3)これから読む「自由のアンチノミー」およびその「解決」の位置づけ
第2回:定立の証明
カント『純粋理性批判』原典テキストPhB548ページ
第3回:定立に対する注
同上550ページ
第4回:定立に対する注(続)
同上552ページ
第5回:反定立の証明
同上554, 549ページ
第6回:反定立の証明(続)
同上549, 551ページ
第7回:反定立に対する注
同上551, 553ページ
第8回:二種類の原因性
同上553, 555, 620-621ページ
第9回:宇宙論的な意味での自由
同上621-622ページ
第10回:実践的意味での自由
同上622-623ページ
第11回:現象と物自体
同上623-624ページ
第12回:叡知的原因
同上624-625ページ
第13回:叡知的と感性的
同上625-626ページ
第14回:全体を振り返っての考察
期末レポート発表
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とします。
前回の内容を復習すること。次回テキストの内容の全体を把握しておくこと。そして疑問点や問題点について調べておくこと。ドイツ語原典の訳読担当者は訳読の準備をし、プロトコル担当者は前回のまとめのプリントを用意すること。
テキスト(教科書)Textbooks
I. Kant, Kritik der reinen Vernunft. Herausgegeben von Jens Timmermann. Felix Meiner Verlag.
(邦訳書)『カント全集』岩波書店版・第5巻、理想社版・第5巻、その他多数。ゼミのなかで紹介する。
(英訳書) ケンブリッジ版 I. Kant, Critique of Pure Reason (The Cambridge Edition of the Works of Immanuel Kant)ほか多数。
参考書References
<カントの著作>
『プロレゴメナ』1783年
<関連性の高い文献>
ヨハン・シュルツ『カント『純粋理性批判』を読むために』菅沢・渋谷・山下訳(梓出版社)
御子柴善之『カント 純粋理性批判』(角川選書)
その他、ゼミで適宜紹介します。
成績評価の方法と基準Grading criteria
(1)プロトコル(前回のまとめ)発表、テキスト読解や質疑応答で観察される到達目標達成度
(2)レポート課題で確認される到達目標達成度
(1)を70 %、(2)を30 %で評価する。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
言葉を明瞭に発音するように心がける。
定刻どおりに終わるように心がける。
担当教員の専門分野等
<専門領域>
西洋近代の哲学・倫理学
<研究テーマ>
カント哲学・倫理学
<主要研究業績>
「カントにおける「人間性の権利」概念について――カントの『法論』は批判哲学に基づくのか――」『法政大学文学部紀要』第80号、2020年。
「世界平和と基本的人権、その指標としての「訪問権」――カントによる世界市民権概念について――」『法政大学文学部紀要』第76号、2018年。
「ヨブの幸福とカント――最高善概念を手がかりに――」『法政大学文学部紀要』第70号、2015年。
(欧文)Kant und das Problem des Lügens. Über Nebeneinanderbestehen der moralischen Pflichten, in; Kant und die Philosophie in weltbürgerlicher Absicht, Akten des XI. Internationalen Kant-Kongresses Bd. 3, Berlin, De Gruyter, 2013.
(翻訳:共訳)マンフレッド・キューン『カント伝』(春風社)、2017年。