文学部Faculty of Letters

自分たちの関心ある問題を設定し，適切な実験計画を立て，実験を実施し，結果を分析して考察します。実験による研究過程を一通り体験することで，心理学の研究方法に関する理解を深めることが目的です。

以下の各要素が到達目標となります。
1.実験計画を立てるのに必要となる，要因計画の基礎知識を理解し説明できるようになること。
2.任意の問題意識に基づいて，２要因以上の実験計画を立てられるようになること。
3.実験を実際に行う際の具体的な方法（手続き）を考案できること。
4.得られたデータに対して適切な統計的手法を用いて分析できること。
5.実験の成果を正確かつ効率よく情報発信できること。

ディプロマポリシーのうち、「DP1」「DP3」「DP4」「DP5」「DP6」に関連

日本語 / Japanese

実験による研究方法を身につけるため，先行研究を参考にしながら自分たちで実験計画を立て，実施するというプロジェクト型学習（PBL）に取り組みます。基本的に班活動（グループワーク）によって授業を進めます。2回目から5回目までの授業では，反転授業の形態を採ります。事前に教科書およびビデオ教材によって予習をし，予習教材に設定されている課題を完成させた上で授業に参加し，授業時間内ではその予習教材の課題に関する話し合いなどの班活動を行うという方法です。6回目以降も事前に予習教材の課題に取り組んだ上で，授業時間内の班活動に臨みます。班ごとに実験計画を立て，計画発表をします。計画発表では，実験の目的・仮説・方法・予定する分析方法を明確にします。計画発表を通じて得られたコメントをふまえて，再度班で実験計画について検討をし，実際に実験を行った上で本発表をします。本発表には，実際に実験で得られたデータに対する分析結果と，その結果に関する考察まで含めます。本発表までは班活動が中心ですが，最終的には卒業論文と同じ形式のミニ論文を個人で作成して提出することになるので，各自で理解を深めておくことが重要です。授業中に，事前課題の回答・班活動・計画発表・本発表などについて，班ごとにまたはクラス全体に向けてフィードバックを行います。

あり / Yes

なし / No

秋学期

※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。

第1回：イントロダクション

シラバス記載事項の確認と補足説明，実験法についての概説，受講上の注意，班構成について

第2回：要因計画の基礎１

研究仮説とは，独立変数・従属変数，操作的定義

第3回：要因計画の基礎２

剰余変数の統制，統制群と実験群，仮説の検証

第4回：要因計画の基礎３

統計的検定の意味，２要因分散分析における主効果と交互作用，単純主効果

第5回：計画発表準備１

研究テーマ決定，先行研究の読解，研究の目的・仮説の決定

第6回：計画発表準備２

実験方法の検討，発表用資料の作成

第7回：計画発表

実験計画の発表

第8回：本発表準備１

実験計画の修正，実験刺激作成等

第9回：本発表準備２

実験の実施

第10回：本発表準備３

データ分析

第11回：本発表準備４

考察

第12回：本発表準備５

発表用資料の作成，パワーポイントのスライド作成

第13回：本発表

実験の発表

第14回：総括

授業の振り返り，到達状況の確認，フィードバック

毎回，学習支援システムを通じて提示される予習教材の課題に取り組み，事前に提出した上で授業に参加してください。特に2回目から5回目の授業では事前にビデオ教材を視聴してから課題に取り組む必要があります。予習課題以外にも，自分たちの班で取り組むテーマの選定や，参考とする先行研究の文献検索や読解，発表準備などは授業外にも行う必要性があります。実験を行えるように実験刺激を作成するなどの作業も必要です。計画発表・本発表とも，発表の練習を授業外で自主的に行うことが有効です。最終的なミニ論文も授業外で作成することになります。従って，本授業の準備時間は3時間，復習時間は1時間を標準とします。

授業はテキストに沿って行うとは限りませんが，次の本を持っていることを前提とします。随時，参照できるように授業に持ってくるとともに，予習をしましょう。
後藤宗理・大野木裕明・中澤　潤（編著）「心理学マニュアル 要因計画法」北大路書房 2003年

レジュメの書き方や引用の仕方，発表の仕方については，参考文献として次の本を持っていることを前提にして説明します。「大学基礎講座」（藤田哲也(編), 北大路書房, 2006年）

平常点40%，計画発表15%，本発表25％，ミニ論文20%の割合で評価を行う予定です。二回の発表とも必須です。平常点は，予習課題の事前提出と，出席して積極的に授業に参加することを評価の対象とします。積極的な授業への参加には，班活動に能動的に関わり，発表時に質疑応答をするなど，受講生相互の交流に貢献することも含みます。計画発表・本発表では，研究内容に加え，レジュメ（本発表ではスライドも含む）の体裁，発表の仕方が評価対象となります。ミニ論文は，班での研究成果を個人ごとに卒業論文に準じた形式でまとめ直すもので，この授業の最終課題として提出は必須です。最終的には個人での理解度が評価対象となるので，班活動に積極的に参加しましょう。いずれの評価観点についても，授業内で詳しく説明を行う予定です。

学生同士がディスカッションする時間をできるだけ多く確保するようにします。