文学部Faculty of Letters

　考古学の基礎である遺物の観察視点・方法を学びとることを目的とします。皆さんが今まで考古学の論文などで学んできた内容が、どのような手続きを経て成り立っているかを知ることになります。春学期では土器を中心に行います。

　土器の製作・使用にかかわる属性を理解し、先史時代人の細部の意識と行動を推定できる能力を身に付け、同時に土器の所属時期を判断できる基礎的基準を習得することを目標とします。

ディプロマポリシーのうち、「DP2」に関連

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　土器や石器などの実際の遺物を観察して情報を読み取り、その結果を図や拓本、写真で表現し、それをもとに資料についての記述を行います。どのような計画でどのような行為が行われるとどのような事実が資料に残されるかを知るため、簡単な実験も行います。これによって有用な情報を確認します。まさしく見る目を養います。遺物とは情報の集合体です。これらは発掘調査報告書や論文の作成を念頭においた作業ですので、実践的な知識と技術を身に付けることになります。
　基本的に室内での作業です。室内では遺物を常時観察します。「授業計画」の各テーマを3、4時間かけて消化していきますが、各テーマの最初の時間に目的・方法を説明します。その後、目と手を使って具体的作業に入ります。技術習得は五感による学習ですので、本や論文を読んでもすぐには習得できません。したがって、遅刻・欠席はいけません。
作業中では常時、質問を受け付けます。また、各自の進行状況・達成度に従って適宜アドヴァイスします。

あり / Yes

あり / Yes

春学期

※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。

第1回：導入

授業計画・土器研究方法・縄の撚り方

第2回：動作研究と縄つくり

縄の撚り方修得と縄・動作の名称

第3回：縄文原体作成　1

1・2段の縄

第4回：縄文原体作成　2

3段の縄、撚り戻し

第5回：縄文原体作成　3

合わせ撚り

第6回：縄文原体作成　4

結束・結節の縄

第7回：縄文原体作成　5

撚り糸文、組紐

第8回：土器の文様復元

縄文原体と圧痕の対応関係の確認、および土器片の模様の復元

第9回：土器の理解と表現　1

土器の観察と実測

第10回：土器の理解と表現　2

土器の外形と実測

第11回：土器の理解と表現　3

土器の模様の実測

第12回：土器片の理解と表現　1

土器片の観察

第13回：土器片の理解と表現　2

土器片の拓本

第14回：総括

レポート作成・提出

　博物館などで考古学資料の観察を行ってください。また、研究室にある発掘調査報告書の中で考古学資料がどのような方法で情報化されているかを検討してください。授業時間外で資料を用いた作業を行う場合、教員や史学科室員の指示にしたがって行動してください。本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とします。

　テキストは使いませんが、必要な資料はコピーして配布します。参考文献などは随時、教室で紹介します。

　参考文献などは随時、教室で紹介します。また参考とする資料はコピーして配布します。

　平常点、作業結果（縄文原体、実測図、拓本）およびレポートで評価し、平常点は30％、作業結果・レポートは70％とします。作業結果は各授業で製作したもの、レポートはそれら製作物についての記述とします。各テーマの作業量はかなり多いので、欠席が多いとレポートを提出できなくなります。また、授業は数学と同様に積み上げ式ですので、休むと次の作業に取り組めません。
　

　具体的資料の操作には慣れていないので、小テーマの最初の授業はゆっくり行います。抽出した要素とその意味は、論文等の関連で解説します。

筆記用具等は各自が準備してください。

　土器や石器は本物ですので、遺物の実習室外への持ち出しは厳禁です。壊れやすい資料ですので、取り扱いには気をつけなければなりません。実測用具・トレース用具などは実習室で準備しますが、鉛筆などは各自が用意することにします。一部に高価な器材がありますので、取り扱いには十分注意してください。
　授業の最初に当日の目的・方法を説明をし、その後、遺物や道具を使っての作業に入りますので、遅刻をして他者に迷惑をかけないようにしてください。