文学部Faculty of Letters
PHL200BB(哲学 / Philosophy 200)社会思想1(社会学概論)2社会思想1(社会学概論)2
岩野 卓司Takuji IWANO
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 文学部Faculty of Letters |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2021 |
授業コードClass code | A2265 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 秋学期授業/Fall |
曜日・時限Day/Period | 木3/Thu.3 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
他学部公開科目Open Program | |
他学部公開(履修条件等)Open Program (Notes) | |
グローバル・オープン科目Global Open Program | |
成績優秀者の他学部科目履修制度対象Interdepartmental class taking system for Academic Achievers | |
成績優秀者の他学部科目履修(履修条件等)Interdepartmental class taking system for Academic Achievers (Notes) | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
SDGsCPSDGs CP | |
アーバンデザインCPUrban Design CP | |
ダイバーシティCPDiversity CP | |
未来教室CPLearning for the Future CP | |
カーボンニュートラルCPCarbon Neutral CP | |
千代田コンソ単位互換提供(他大学向け)Chiyoda Campus Consortium | |
カテゴリーCategory | |
他学科公開科目 | |
クラスGroup | |
昼夜表記Day or Night |
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Outline (in English)
In modern times the relationship between people and society is becoming thin. The spread of video games and the Internet has accelerated the isolation of human beings and the development of communication means such as mobile phones and e - mails, on the contrary, makes the "raw" human relationship less obscure. Even though it is not a withdrawal or a geek, modern society forces people to live "lonely". However, although interpersonal relationships are scarce, we are subject to various social constraints as they try to be conscious of themselves. "Nationality", "Law", "Age", "Fashion", "Media" and so on. In the lesson, it is the goal of the lesson to think about how human beings are "social animals" and to understand this.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
現代では人と社会の関係は希薄になりつつある。テレビゲームやインターネットの普及は人間の孤立化を加速させているし、ケータイやメールというコミュニケーション手段の発展も逆に「生の」人間関係を影の薄いものにしている。引きこもりやオタクでなくても、現代社会は人に「孤独に」生きることを強いるのである。しかし、対人関係が希薄であるとはいえ、私たちは自分が意識しようとしまいと様々な社会的な制約を受けているのだ。「国籍」、「法」、「時代」、「流行」、「メディア」等々。授業では、人間がいかに「社会的動物」であるかということを考えていき、このことを理解していくことが授業の目的である。
到達目標Goal
クリスマスやバレンタインのプレゼントや、お中元やお歳暮といったかたちで、われわれの身近には多くの贈与の習慣が存在している。ところで今日、この贈与が注目を集めている。というのも、ボランティア、臓器移植、ベーシックインカムといった今日的問題を語る際に贈与の論理が使われているからである。また、利益獲得の計算の上に発展した資本主義は、格差の増大、派遣労働者や失業、環境破壊といった今日多くの問題をもたらしており、再び贈与経済を見直そうという動きがあるからでもある。そして、資本主義に対抗する贈与経済の重要性に最初に注目したのは、フランスの人類学者マルセル・モースである。本講義では、まずモースの『贈与論』を分かりやすく紹介し、彼の贈与交換の理論について考えてみる。そのあとで、交換とは異なる贈与についても考察しながら、モースの理論の限界を指摘し、この理論を補ってさらに発展させなければならない必要について説明する。それを踏まえたうえで、日本文化における贈与の重要性について検討する。日本文化は、自然との関係において特異な贈与の考えを生み出してきた。その新たな可能性について考えていきたい。
最終的に、未来の社会における贈与の重要性を理解することが授業の到達目標である。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」「DP2」に関連
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
講義形式
毎回、前回の授業の復習をしたうえで授業をすすめていく。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
なし / No
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
秋学期
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回:イントロダクション:贈与とは何か?
お中元やバレンタインなどの贈与の風習などに潜むわれわれの無意識。
第2回:マルセル・モース『贈与論』(1)
資本主義と贈与経済
第3回:マルセル・モース『贈与論』(2)
未開社会の贈与の慣習(1):ハウ
第4回:マルセル・モース『贈与論』(3)
未開社会の贈与の慣習:(2)ポトラッチ
第5回:マルセル・モース『贈与論』(4)
平和主義や協同組合と贈与の思想
第6回:反功利主義の運動
モースの影響を受けた社会学者たちの活動。
第7回:狩猟時代の贈与
農耕以前の狩猟社会における贈与の役割。
第8回:縄文時代と弥生時代
日本文化の起源を考えながら、狩猟社会の贈与と定住社会の贈与の違いの検証する。
第9回:アイヌと海民
農耕社会の外に位置するアイヌと海民の密接な関係を考察する。
第10回:宮沢賢治の贈与観
賢治が「贈与」を通して何を語ろうとしたか。
第11回:折口信夫における神々の世界
折口が考えた古代の神であるマレビトと産霊の神における贈与の役割。
第12回:吉本隆明『母型論』を読む。
母系の未開社会における贈与の役割の分析。
第13回:日本文化における贈与
日本の慣習の考察
第14回:まとめ
理解の確認のための復習
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
教科書、配布のプリント、参考書をよく読み、復習しておくこと。さらに、自分の日常と照らし合わせながら、よく考えてみること。本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とします。
テキスト(教科書)Textbooks
プリントの配布。
ならびに岩野卓司『贈与論 資本主義を突き抜けるための哲学』(青土社)
参考書References
マルセル・モース『贈与論』(岩波文庫)
アラン・カイエ『功利的理性批判』(以文社)
セルジュ・ラトゥーシュ『経済成長なき社会発展は可能か?』(作品社)
ジョルジュ・バタイユ『呪われた部分』(ちくま学芸文庫)
ジャック・デリダ『他者の言語』(法政大学出版)
マーシャル。サーリンズ『石器時代の経済学』(法政大学出版)
奥野克己『ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと』(亜希書房)
煎川孝『アイヌの熊祭り』(雄山閣)
網野善彦『海民と日本社会』(人物往来社)
山田康弘『縄文時代の歴史』(講談社現代新書)
吉本隆明『母型論』(思潮社)
吉本隆明『共同幻想論』(角川文庫)
『宮沢賢治全集』(ちくま文庫)
『折口信夫全集』(中央公論社)
金山秋男編『日本人の魂の古層』(明治大学出版会)
岩野卓司編『共にあることの哲学と現実』(書肆心水)
中沢新一『カイエ・ソバージュ』(講談社)
桜井英治『贈与の歴史学』(中公新書)
成績評価の方法と基準Grading criteria
平常点(30%)学期末の試験(70%)
到達目標にどれだけ近づいているかが成績に反映される。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
特になし
その他の重要事項Others
外国語の能力は必要とはされない。春学期の授業を取らないでも、理解できる内容である。