人文科学研究科Graduate School of Humanities
GEO500B5（地理学 / Geography 500）自然地理学特殊講義ⅠSpecial Lecture on Physical Geography Ⅰ
苅谷 愛彦
授業コードなどClass code etc
| 学部・研究科Faculty/Graduate school | 人文科学研究科Graduate School of Humanities |
| 添付ファイル名Attached documents | |
| 年度Year | 2022 |
| 授業コードClass code | X0416 |
| 旧授業コードPrevious Class code | |
| 旧科目名Previous Class title | |
| 開講時期Term | 春学期集中/Intensive(Spring) |
| 曜日・時限Day/Period | 集中・その他/intensive・other courses |
| 科目種別Class Type | |
| キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
| 教室名称Classroom name | 各学部・研究科等の時間割等で確認 |
| 配当年次Grade | |
| 単位数Credit(s) | 2 |
| 備考（履修条件等）Notes | |
| 実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
| カテゴリーCategory | 地理学専攻(修士課程)-専門科目 |
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Outline (in English)
<Course outline> Among the natural environments in cold regions (i.e., high altitude mountainous regions, high latitude regions), we will focus on various landforms and understand their historical development and morphogenetic processes. The subject matter is mainly referred from Japan, but if there are no typical examples in Japan, we will also take up overseas cases. One day trip to the Okutama Area west of central Tokyo will be planned as fieldwork.
<Learning Objectives> By taking this lecture, you will be able to understand the variety of landforms in cold regions, their formation processes, as well as their relationships with global environmental changes in the Quaternary period.
<Learning activities outside of classroom> Students will be expected to have completed the required assignments after each class meeting. Your study time will be more than four hours for a class.
<Grading Criteria /Policies> Grading will be decided based on classroom and fieldwork reports (90%), and the quality of the students' experimental performance in both the lab and the fieldwork (10%).
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的（何を学ぶか）Outline and objectives
【授業概要】寒冷地域（高標高山岳地域や高緯度地域）の自然環境のうち、主として地形に着目し、様々な地形種の形成作用や発達史の基礎を解説します。題材は日本を中心とする予定ですが、典型的な例が国内にない場合は海外の事例も積極的にとりあげます。授業は集中形式で行いますが、開講日のうち1日はフィールド・ワークに充てる予定です（後述）。
【授業目的・意義】寒冷地域に特徴的な地形の種類と、それらの形成過程・形成作用、第四紀地球環境変動との関連について理解できるようになることを第一の目標とします。そのうえで、地球温暖化に対して脆弱な寒冷地域の自然環境の成り立ちと特性を正しく理解し、その保護・保全に役立てることができるようになることを第二の目標とします。
到達目標Goal
・寒冷地域の自然環境の特性と分布が理解できるようになる。
・寒冷地域に特有な主な地形種について、地形の重要な属性である形態、物質、作用、年代のそれぞれが適切に理解できるようになる。
・寒冷地域に特有な自然地理学的景観要素（地形、植生、土壌、微気候等）の相互作用や自然史について理解できるようになる。
・寒冷地域の自然景観を解読し、地形はもちろんのこと、その全体的成り立ちについても科学的に推理できるようになる。
・山岳地におけるフィールドワークの技法や着眼点が修得できるようになる。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)（学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. ）
・講義及び日帰り実習（1日）
・必要に応じて授業内での簡単なプレゼンテーション（現在受講者が取り組んでいる研究の紹介等）を指示します。
・現地日帰り実習についてはレポートの提出を指示し、評価対象の一部とします。その評価（フィードバック）については電子メール等を用いて受講者に伝達する予定です。
アクティブラーニング（グループディスカッション、ディベート等）の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
なし / No
フィールドワーク（学外での実習等）の実施Fieldwork in class
あり / Yes
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching：オンライン/online
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[未定/undecided]：寒冷地域の定義
寒冷地域や周氷河地域はどのような自然環境的特性によって定義されるのかを、地形学、気候学、植生学などの広範な観点から探ります。寒冷地域の分布も確認します。
第2回[未定/undecided]：更新世環境変動（1）
第四紀地球環境変動の基礎を解説します。主に、地球軌道要素の変化や海面変動、古海況などに言及します。
第3回[未定/undecided]：更新世環境変動（2）
第四紀地球環境変動の基礎を解説します。主に、氷河・氷床変動、陸上の古気候、地形変化、植生変化などに言及します。
第4回[未定/undecided]：地形の属性
地形の重要な属性である「形態」、「物質」、「作用、「年代」とは何かについて、受講者の基礎知識を確認しつつ、日本の寒冷地域の諸例を中心にとりあげながら解説します。地形のスケール区分にも言及します。
第5回[未定/undecided]：寒冷地域の地形（1）：氷河地形
氷河作用や氷河の地形システムに着目し、氷河侵食地形と氷河堆積地形とに分けて、日本及び海外の諸例を解説します。氷河地形と紛らわしいマスムーブメント地形も紹介します。
第6回[未定/undecided]：寒冷地域の地形（2）：周氷河地形A
周氷河（凍結融解）作用に着目し、特に永久凍土が主体的に関与する様々な地形について、日本及び海外の諸例を解説します。化石永久凍土地形にも言及します。
第7回[未定/undecided]：寒冷地域の地形（3）：周氷河地形B
周氷河（凍結融解）作用に着目し、特に季節凍土が主体的に関与する様々な地形について、日本及び海外の諸例を解説します。季節凍土性の化石周氷河地形も紹介します。
第8回[未定/undecided]：寒冷地域の地形（4）：周氷河地形C
周氷河（凍結融解）作用に着目し、特に残雪の直接的・間接的作用が主体的に関与する様々な地形について、日本及び海外の諸例を解説します。
第9回[未定/undecided]：寒冷地域の地形（5）：周氷河地形D及びふりかえり
第6～8回目で取り上げたもの以外の様々な寒冷地域の地形（風食地形やマスムーブメント地形等）について、日本及び海外の諸例を解説します。また、ここまでの講義の内容に関して概括的に整理し、理解度を確認します。
第10回[対面/face to face]：野外実習（1）
日帰り実習地の自然環境のあらましを、地形・地質、植生、小気候等にわけて現地で解説します。またそれらの相互作用についても考えます。
第11回[対面/face to face]：野外実習（2）
調査地の地形のうち、斜面崩壊（マスムーブメントの一種）を中心的に観察し、地形の属性を明らかにします。また地質や地形条件との関係や、崩壊の誘因についても議論します。
第12回[対面/face to face]：野外実習（3）
調査地の地形のうち、土石流（マスムーブメントの一種）を中心的に観察し、地形の属性を明らかにします。また地質や地形条件との関係や、土石流の誘因について議論します。
第13回[対面/face to face]：野外実習（4）
調査地の地形のうち、岩塊集積地形（岩塊斜面）を中心的に観察し、地形の属性を明らかにします。また地質や地形条件との関係や、地形の起源（周氷河性/非周氷河性）について議論します。
第14回[対面/face to face]：野外実習（5）
実習内容を整理し、オンサイトで質疑を行います。レポートのまとめ方についても解説します。
授業時間外の学習（準備学習・復習・宿題等）Work to be done outside of class (preparation, etc.)
・指示された文献や参考書を事前によく読み授業に臨んでください。
・質問や議論を予めメモしておき、授業時間中に教員と受講者同士で共有できるようにしてください。
・本授業の準備及び復習時間は1回につき各4時間を標準とします。
テキスト（教科書）Textbooks
教科書は使用しません。
参考書References
1) French, H. M. 2018 The Periglacial Environment 4th ed.
2) Lowe and Walker 2015 Reconstructing Quaternary Environments. 3rd ed.
3）貝塚ほか編 日本の地形（東京大学出版会） 各編
4）地すべりに関する地形地質用語委員会（日本地すべり学会）編2004 地すべり＝地形地質的認識と用語」
5）岩田修二2011 氷河地形学
その他については、授業時間中に適宜指示する予定です。
成績評価の方法と基準Grading criteria
・複数のレポートを課し、それらを総合評価します（合計90％）
・授業中（日帰り実習を含む）に担当教員と受講者間で交わされる質疑やディスカッション等の内容と貢献度を評価します（10％）
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
・地理学を扱う授業のため、本年度も各種の主題図（地図）や景観写真を多用した説得力と臨場感のある授業を展開します。
・新型コロナウィルス感染症拡大予防のため万全な対策を講じ、野外実習が予定通り実施できるよう注意します。また受講者のみなさんの協力もお願いします。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
・講義においてはインターネットに接続可能なノートパソコンまたは大型タブレットまたはスマートフォン（地理地図情報等の参照を想定）
・日帰り実習においては関東地方の標高1500m程度の夏季山岳に適した登山用具・衣類（ザック、雨具、登山靴またはトレッキングシューズ、化学繊維を中心とした速乾性肌着や衣類等）。地図アプリをインストールしたスマートフォン。
その他の重要事項Others
・日帰り実習は奥多摩地域（例：三頭山 都民の森）を想定しています。登山道沿いに4～6時間徒歩移動します。登山道はよく整備されています。都心に比べて冷涼ですが、夏季のため高温多湿な森林内の移動となります。担当教員として危険の予見には十分注意しますが、場所柄と季節柄、夕立や落雷が予想されます。
・三頭山周辺で実施する場合、JR五日市線武蔵五日市駅に午前7時45分頃までに到着し、バスに乗り換える必要があります。移動時間等を検討してください。詳細は講義初日に説明します。
・上記の準備すべき登山用具についても確認してください。
・日帰り実習への出席を単位認定要件の1つとするため、上記諸条件のほか、自己の体力や基礎疾患等を客観視し、履修登録は慎重に行うようにしてください。
・オフィスアワーについては担当教員が非常勤のため授業時間内または前後とします。授業開始前に担当教員と連絡（質問）をとる必要がある場合は、文学部地理学科の受け入れ担当教員にコンタクトしてください。
自然地理学
＜専門領域＞地形学・第四紀学
＜研究テーマ＞山岳地域の斜面変化。とくに大規模崩壊現象とその誘因について地形学・地質学・第四紀年代学の観点で探求しています。
＜主要研究業績＞◆Kariya 2002 Permafrost and Periglacial Processes ◆Kariya 2005 CATENA ◆Kariya et al. 2011 Geomorphology ◆苅谷ほか2012 地学雑誌 ◆苅谷ほか2014 地理学評論 ◆苅谷ほか2016 第四紀研究 ◆苅谷・西井2017 地理学評論 ◆苅谷2019 第四紀研究 ◆山田ほか2021 砂防学会誌