政治学研究科Graduate School of Politics
POL500A3(政治学 / Politics 500)コミュニティ論研究2Study of Community Theory 2
名和田 是彦Yoshihiko NAWATA
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 政治学研究科Graduate School of Politics |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2024 |
授業コードClass code | X5020 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期後半/Spring(2nd half) |
曜日・時限Day/Period | 月 6/ Mon.6,月 7/ Mon.7 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | 市BT‐0802 |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | 公共政策学「コミュニティ制度論」と合同 |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory |
政治学専攻 修士専門科目 |
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Outline (in English)
I start in this lecture from the theoretical idea that the "community" in the context of Japanese policy making means the neighborhood unit which lost its institutional framework through the merge. I will analyze the history and the recent tendency of Japanese community policy, paying special attention to international comparison with those in European, American and Asian countries.
Your overall grade in the class will be decided based on the following:
Term-end examination or Repoting in the class: 80%、Discussions in the class : 20%.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
コミュニティとは、合併によって制度的枠組を失った身近な地域的まとまりである、という観点から、このコミュニティを再制度化する政策ないし制度である都市内分権や小規模町村の連携制度などを国際比較的に考察する。これによってコミュニティ政策というものについて基礎的な理解を得ることが目的である。
到達目標Goal
「地域的まとまり」論、地域社会運営の制度的条件論を基礎に、現代コミュニティ政策の諸相を理解すること。特に、「地域的まとまり」とその重層構造という理論枠組を基礎として理解した上で、合併によって市町村としての制度的枠組を失う身近な地域的まとまりが制度的にどのように取り扱われたかを国際比較的に検討する。日本では、合併によって失われた制度枠組を自治会・町内会が民間的に回復するという特異な経過を辿ったが、1970年代からいわゆるコミュニティ政策によって再制度化が開始され、1990年代以降は新たな段階を迎える。そこにおいては、「協働」や「新しい公共」という政策理念が採用された点に、ヨーロッパと比較したときに大きな特徴があることを理解する。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」「DP2」「DP3」に関連、特に「DP1」は特に強く関連、「DP2」「DP3」は強く関連している。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
公共政策研究科のこの修士課程科目「コミュニティ制度論」は、同博士後期課程科目「コミュニティ政策特殊研究」及び政治学研究科の「コミュニティ論研究1」との合併開講である。授業の進め方は、開講時に相談して決めたい。基本的には講義形式で進めていくが、各回とも、受講者自らが考えることのできるような材料(政策文書や事例)を提示して進め、受講者に報告してもらうという形式を取り入れる、というやり方を想定している。1回あたり2コマを使用する4期制科目であるが、以下の「授業計画」では、一コマずつ14回分の内容を示している。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[対面/face to face]:地域的まとまり論の着想
「地域的まとまり」とその重層構造。その日本的特質。
第2回[対面/face to face]:地域的まとまりを「運営」するための制度的条件について
ミルトン・コトラーに学びつつ、地域社会運営の制度的必要上条件として、管轄領域の公的画定、法人格、課税権、条例制定権を析出する。また、これを失った地域社会がこれを回復するためにコトラーが考えた戦略を、日本的な観点から検討する。
第3回[対面/face to face]:地域的まとまり論の理論史と理論構成
オットー・ギールケ、フーゴ・プロイス、マックス・ヴェーバーらの諸説を参考に、理論的概念としての「地域的まとまり」を構成する。
第4回[対面/face to face]:自治会・町内会論
コトラーの4条件を民間的原理の上に回復する地域組織として自治会・町内会を捉え、その組織的特質と歴史とを論ずる。
第5回[対面/face to face]:コミュニティ政策の歴史 開始から1980年代まで
1969年の国民生活審議会の著名な文書を端緒として、その後展開されたいくつかの分野のコミュニティ政策を分析する。
第6回[対面/face to face]:コミュニティセンター自主管理政策
1980年代までの定番政策であったコミュニティ・センターを核とするコミュニティ形成の政策が持った意味を考える。
第7回[対面/face to face]:1990年代のコミュニティ政策
地域福祉的な新しい様相を持ったコミュニティ政策が登場し始める場面を、具体的な事例をもとに検討する。
第8回[対面/face to face]:第27次地方制度調査会答申と地域自治区制度の成立
地域自治区制度の設計思想を分析し、今世紀のコミュニティ政策の基本的傾向を探る。
第9回[対面/face to face]:日本型都市内分権の現代的傾向
地域自治区制度や独自条例方式など、様々な現代の事例を通じて現在の都市内分権の共通の特徴を探る。
第10回[対面/face to face]:日本の都市内分権制度の事例研究
いくつかの自治体で実践されている都市内分権の事例を分析する。
第11回[対面/face to face]:ドイツ都市内分権
日本の協働型都市内分権とは対極にあるといえるドイツの参加型都市内分権を紹介する。
第12回[対面/face to face]:その他の国の都市内分権
ドイツの都市内分権は、特にその政治的性格においてかなり特異であるので、それ以外の国、例えばイギリス、スコットランド、フランスといった国々、あるいはフィリピンなどのアジア諸国の都市内分権制度を取り上げ、国際比較的に位置づけておく作業を行う。
第13回[対面/face to face]:まちづくり条例論
普遍的な都市内分権制度とはいえないが、コミュニティ・レベルに決定権を分散しているといえる事例として、都市計画分野のまちづくり条例を取り上げ、いくつかの事例を検討することを通じて、コミュニティ制度論の視野を広げる。
第14回[対面/face to face]:個別分野のコミュニティ政策
さらに、地域福祉、社会教育、学校教育などの分野にも目を広げ、コミュニティ政策の現代的様相を分析する。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
講義で述べた内容を十分に復習し、関連参考文献を読むこと。また、ほぼ毎回、事前に授業支援システムを通じて読んでおいてほしい文献を提供するので、これを読んで授業に臨んでほしい。本授業の準備学習・復習時間は各2時間を標準とします。また、授業で報告をすることになったときには、とりわけ十分に準備を行なってください。
テキスト(教科書)Textbooks
教科書は使用しない。
参考書References
授業中に指示するが、拙著の『コミュニティの法理論』(創文社、1998年)や『コミュニティの自治』(日本評論社、2009年)に、本科目の基本的なアイデアが展開されている。また、拙著『自治会・町内会と都市内分権を考える』(東信堂、2021年)は、一般向けのブックレットで、平易に解説されている。
成績評価の方法と基準Grading criteria
開講時に相談して決めたいが、受講者が一度ずつ授業中に報告をしてもらうことを想定しており、その場合には授業での報告80%、授業中での討論・発言20%mと考えている。期末レポート方式になった場合には、そのレポートが80%としたい。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
この授業を担当するのは久しぶりであるから、学生・院生からの直接の反応から気づいたことというものはない。このところ院生たちの間でコミュニティ政策への関心はやや強まっていると感じているので、ここ数年の研究を活かし、またこの数年の新しい動きにも留意していきたい。
担当教員の専門分野等
<専門領域>コミュニティ政策、公共哲学、法社会学
<研究テーマ>都市内分権。地域法人制度。コミュニティカフェ。「領域団体」及び「市民社会」の概念史。
<主要研究業績>
単著『コミュニティの法理論』(創文社、1998年)
編著『コミュニティの自治』(日本評論社、2009年)
単著『自治会・町内会と都市内分権を考える』(東信堂、2021年)