国際文化研究科Graduate School of Intercultural Communications
HIS500G1-211(史学 / History 500)多民族共生論ⅡBMultiethnic Coexistence II B
朝鮮・在日朝鮮人と日本社会
髙栁 俊男Toshio TAKAYANAGI
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 国際文化研究科Graduate School of Intercultural Communications |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2024 |
授業コードClass code | X2031 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 秋学期授業/Fall |
曜日・時限Day/Period | 木2/Thu.2 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | 市BT‐0702 |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience |
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Outline (in English)
This class aims to study about Japanese multicultural coexistence, by reading of my own papers on Japan-Korea relations or Korean minority in Japan.
This year, we plan to begin with satirical cartoon from newspapers, with a view to continuity from the spring semester, followed by tanka poems and other articles.
Final grade will be calculated according to the following process. In-class presentation 35%, in-class contribution 30%, and term-end report 35%.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
日本と朝鮮半島との関係史や、在日朝鮮人(総称)が経てきた歴史を明らかにする。その際、政治史や運動史のみならず、生活史・文化史・精神史の解明にも重点を置く。
日朝関係や在日朝鮮人の事例を追うことが、広く国際関係や日本国内の多民族共生全般について考える際、示唆が得られるようにしたい。
なお、一次資料を含めた各種文献に関して、当時と現在の2つの視点から丁寧な読解ができるよう努める。
到達目標Goal
上記「授業の概要と目的」にある各項目について、大学院修士課程の学生として求められるレベルに達することを目標とする。
具体的には、在日朝鮮人の経てきた歴史・文化やその日本社会との関わりを、自らの知性と感性により時間的・空間的広がりの中で理解し、受け売りや図式的把握ではなく、自らの言葉で具体的・実証的に語れるようになることを目指す。
また、「研究」という自らの行為を、より客観的・多面的に眺める契機を得るようにする。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
秋学期のこの授業では、日本社会に大きな比重を占める「異民族集団」である在日朝鮮人を素材に、日本における異文化摩擦や多民族共生の姿を具体的に考察している。
2012年度から8年間、戦後、各種の民族団体・政党・社会運動団体ないし日本政府関係機関などが出した朝鮮関係のパンフレット・小冊子を読み解きながら、戦後の朝鮮・在日朝鮮人をめぐる論調や運動の系譜を追う作業を行った。
定年前最後のサバティカルを経た2021年度からは、私自身が大学生以来、このテーマで執筆してきた各種の文章を取り上げている。研究者としての自己の歩みを俎上に載せるのは、必ずしも受講者に範を垂れる意味ではなく、その試行錯誤や紆余曲折の歩みを示すことで、同じく「研究」に携わる立場である受講生に、何らかの参考や示唆となることを期待するからである。
今年度は、春学期からの継続を視野に入れ、まず新聞に掲載されたポンチ絵から始め、その後に短歌やその他の内容に入る予定である。取り上げるそれぞれの著作は、その時代の社会潮流や研究動向の産物であり、また当然のこととしてその後のことは書いていないので、現在からみたら不十分な箇所もある。受講者は、テキスト内容を正確に読み解くとともに、それらを「当時」と「現在」という2つの文脈の中に置いて、客観的・学術的に分析していく。すなわち、なぜこのような主張がなされたか、「当時」の背景を明らかにすると同時に、「現在」の目から見た認識の問題点や、当該課題のその後の推移、さらには研究史の進展などもフォローしつつ報告するよう努めること。
授業の進め方としては、テキストをレポーターの報告と全員の討論で読んでいく。受講者が少なければレポーター無しの回も設けたい。毎回、冒頭で前回の振り返りをすることでフィードバックとし、また関連する映像を観ながら既習事項を定着させる回も、数回設ける。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[対面/face to face]:導入
受講者の自己紹介、授業計画の解説、当面のテキスト配付、など
第2回[対面/face to face]:日本の新聞におけるポンチ絵①
ハーグ密使事件、義兵闘争
第3回[対面/face to face]:日本の新聞におけるポンチ絵②
伊藤博文暗殺事件、韓国併合
第4回[対面/face to face]:映像による学習内容の振り返り①
映像上映とそれをめぐる議論
第5回[対面/face to face]:日本の新聞におけるポンチ絵③
武断統治、二個師団増設問題
第6回[対面/face to face]:日本の新聞におけるポンチ絵④
三一独立運動、「不逞鮮人」像
第7回[対面/face to face]:『朝鮮時論』解題
在朝日本人の雑誌『朝鮮時論』を読む
第8回[対面/face to face]:映像による学習内容の振り返り②
映像上映とそれをめぐる議論
第9回[対面/face to face]:在日朝鮮人と短歌①
韓武夫の作歌活動に関する論文を読む
第10回[対面/face to face]:在日朝鮮人と短歌②
河羲京の作歌活動に関する論文を読む
第11回[対面/face to face]:帰化者による文学
松本富生の本への解説を読む
第12回[対面/face to face]:映像による学習内容の振り返り③
映像上映とそれをめぐる議論
第13回[対面/face to face]:法政二高の11・3事件
法政二高の11・3事件に関する講演会の記録を読む
第14回[対面/face to face]:まとめ
これまでの全13回の授業をまとめる
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
テキストに登場する文献や授業中に指示する関連文献の講読、関連映像の視聴、関連箇所への訪問など。
本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とする。
テキスト(教科書)Textbooks
その都度、紙媒体もしくはpdfで配付する。
参考書References
『韓国朝鮮を知る事典』(平凡社)、『朝鮮人物事典』(大和書房)、『在日コリアン辞典』(明石書店)などの事典類で、韓国・朝鮮を本格的に研究したい人は購入すること。
成績評価の方法と基準Grading criteria
レポーター時の報告35%、普段の授業への貢献度30%、および学期末の授業総括報告書35%を目安に、総合的に判断する。本授業の到達目標の 60%以上を達成した者を合格とする。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
私の授業では教員を含む参加者全員が、最後に自分なりの授業総括報告書を作成し共有化しており、それを次年度の授業改善に活かすよう努めている。
近年、留学生の受講も増えてきたが、一般学生も留学生もともに意義を感じ、自身の研究にも役立つような授業を目指したい。
担当教員の専門分野等
<専門領域>
朝鮮近現代史、とくに在日朝鮮人(広義)の歴史や文化の研究、日朝関係史
<研究テーマ>
在日朝鮮人の歴史や文化を、従来の「差別問題」という視角からでは抜け落ちてしまう諸側面も含めて、多面的に描き出し、新しい時代に合わせた等身大の在日像と、日本社会のあるべき姿を考察すること。そのために文献収集や聞き書きを行ない、これまで光が当てられなかったような個人の事例を数多く集めること。
<主要研究業績>
・「渡日初期の尹学準―密航・法政大学・帰国事業」(法政大学国際文化学部『異文化』第5 号論文編、2004 年)
・「短歌と在日朝鮮人―韓武夫を手がかりとして」(日本社会文学会『社会文学』第26 号、2007 年)
・「飯田・下伊那研修を意義あるものとするために―国際系学部の事前学習授
業の実際から」(「学輪IIDA」機関誌『学輪』第2号、2016年)
*詳細は、本学の「学術研究データベース」をご参照のこと。