法学研究科Graduate School of Law
LAW500A1(法学 / law 500)法制史特殊講義ⅡLegal History II
川口 由彦Yoshihiko KAWAGUCHI
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 法学研究科Graduate School of Law |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2024 |
授業コードClass code | X4013 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 秋学期授業/Fall |
曜日・時限Day/Period | 金3/Fri.3 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | 市BT‐0603* |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience |
すべて開くShow all
すべて閉じるHide All
Outline (in English)
It is a course work subject to analyze a legal system in the Meiji period by Japanese documents historically.
I may change historical documents depending on the interest of the student attending a lecture, and a following classes plan is one case to the last.
Why is only a specific norm called "law" although law is a kind of a norm? ow on earth is the other norm distributed and what kind of relationship with law does it have in the actual condition?It enables a participant to carry out these themes by investigation and study in this seminar.
In this lesson, literature is specified and a reporter reports the specified range of the book . All participants debate after that.
The participant has to read a textbook and a reference book. A participant needs to spend 2 hours, respectively for preparation and review of this lesson.A grade evaluation is performed based on attendance to a lesson, and fulfillment of the directed report subject and a presentation subject(100%).
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
日本の法を明治期の法を素材に歴史的に分析するためのコースワーク科目であり、この目標の下で、『法制史特殊講義Ⅰ』での学習成果を進展させる。扱う史料・文献は受講者の興味関心に応じ変更する場合があり、以下の授業計画はあくまで一例である。
到達目標Goal
明治期の司法制度形成史を、史料を読解することによって理解できる。
史料読解には古文、漢文の知識も必要であるが、史料を読み込むことができれば、近代法の歩みを正確に理解することができる。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」「DP2」「DP3」「DP4」に関連、特に「DP1」と「DP3」は強く関連している。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
人類社会は、生まれたときから何らかのルールをもってきた。それは、形態、内容、実質、執行システム等いずれも多様なものである。
法といわれているものは、こうしたルールの中のあるグループのことなのだが、こうしたグループは、歴史上発生を見た社会もあれば、発生しなかった社会もある。日本社会は、幸か不幸か、この法というグループをもつにいたった社会である。
講義では、単元が終わる都度、質問を募り、それに回答する。また、授業支援システム上でも質問を募り、講義時間内に回答する。また、最終授業で、質問内容を含めた履修者の授業理解について講評を行う。
講義では、単元が終わる都度、質問を募り、それに回答する。また、授業支援システム上でも質問を募り、講義時間内に回答する。また、最終授業で、質問内容を含めた履修者の授業理解について講評を行う。
しかし、そうはいっても、この法という社会規範は、国により民族により、時代によりきわめて多様で、簡単に一般論を語らせてくれない難物である。
この難物を扱うには、いろいろな方法があるが、各時代の人々から「法」と呼ばれたものをピックアップして相互に比較し、そのうえで、おのおのの特徴を捉えるというのは有効なアプローチの方法である。法史学という学問の意義も一つには、そのあたりにある。
講義では、明治以降の、通常「近代法」と呼ばれる「法」のあり方を座標軸とした、今日の法の特徴を考えてみたい。
現代日本法は、ほとんどが明治期に作られたものである。試みに六法をみてみよう。すると、民法の制定年は明治29年(1896年)となっていて19世紀の産物であることがわかる。商法も明治32年(1899年)と19世紀の産物である。刑法は、明治40年(1907年)制定だから、何とか20世紀の所産といえるが、いずれにせよ明治時代の産物で、しかも、この刑法は、明治13年(1880年)に制定された刑法(旧刑法)の条文をかなりひきずっているから、やはり、歴史ある法典といえる。日本の法典には、一世紀以上の長い歴史があるのである。
このような法は、一体どのようにして、どのような考え方の下でつくられたのか。考えてみれば、これら諸法典は、封建領主支配が解体してから、ほんのわずかの年数を経て外国法を摂取しつつつくられているのだから、その営為たるや驚異的といえる。
この急速な法の形成は、当然ながら、江戸時代にみられた法との「断絶」を生み出した。この「断絶」には、封建法から近代法への変化という他国にも共通してみられるものと、日本的なものから西欧的なものへの変容という二様のものがある。
しかも、こうした「近代法」の形成は、一概に既存の法との「断絶」とのみは特徴づけられず、すぐれて日本的なもの・東アジア的なものの継承という要素を多分に残したものであった。
講義では、このような諸契機、諸要素が、どのように絡み合っているかに焦点をあてつつ、日本の「近代法」の形成過程を考察したい。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:オンライン/online
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[対面/face to face]:オリエンテーション
講義の進め方、テキストに関する指示
第2回[対面/face to face]:内田貴『法学の誕生』の講読⑥
「民衆運動の社会的願望」
第3回[対面/face to face]:内田貴『法学の誕生』の講読⑦
「民衆的平等主義の思想構造」
第4回[対面/face to face]:内田貴『法学の誕生』の講読⑧
「平等主義的ラディカリズムの一典型」
第5回[対面/face to face]:内田貴『法学の誕生』の講読⑨
「〈日本社会党の発生〉とジャーナリズム」
第6回[対面/face to face]:内田貴『法学の誕生』講読⑩
「焼カルヽモノハ不徳ナル者」
第7回[対面/face to face]:笠原英彦『明治留守政府』の講読①
「〈保護―忠誠〉関係と近世社会」
第8回[対面/face to face]:笠原英彦『明治留守政府』の講読②
「私有権の確立と増税と」
第9回[対面/face to face]:笠原英彦『明治留守政府』の講読③
「開化と蒙昧」
第10回[対面/face to face]:笠原英彦『明治留守政府』の講読④
「〈自由〉と〈制限〉をめぐって」
第11回[対面/face to face]:笠原英彦『明治留守政府』の講読⑤
「民衆運動史研究の方法的視角」
第12回[対面/face to face]:笠原英彦『明治留守政府』の講読⑥
「非文字文化への旅」
第13回[対面/face to face]:笠原英彦『明治留守政府』の講読⑦
「文字文化への離陸」「近代の教育と学校」
第14回[対面/face to face]:笠原英彦『明治留守政府』の講読⑧
「教育の貧困の現在」
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
テキスト、参考書を読んでくること。固有名詞等を読み方を含めて事典等で調べてくること。
本授業の準備・復習時間は、各2時間を標準とする。
テキスト(教科書)Textbooks
授業の際に指示する(上記授業計画では、一例として、内田貴笠『法学の誕生』(筑摩書房)、笠原英彦『明治留守政府』(慶應義塾大学出版会)を挙げた)。
参考書References
川口由彦『日本近代法制史(新法学ライブラリ)〔第2版〕』(新世社、2014)。このほかは授業の際に指示する。
成績評価の方法と基準Grading criteria
平常点100%(授業での発言内容等と、指示された報告課題、提出課題の履行をもとに評価する)。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
学生によって歴史知識の有無がかなり異なることがわかってきたので、この点に留意したい。
担当教員の専門分野等
<専門領域> 日本法制史
<研究テーマ> 土地所有権、調停制度、判決執行システムの
法史学的研究
<主要研究業績> 著書「近代日本の土地法観念」
(東京大学出版会)
編著「調停の近代」(勁草書房)