国際文化学部Faculty of Intercultural Communication
ART200GA(芸術学 / Art studies 200)社会と美術Society and Arts
稲垣 立男Tatsuo INAGAKI
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 国際文化学部Faculty of Intercultural Communication |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2024 |
授業コードClass code | C0222 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 集中・その他/intensive・other courses |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 / Ichigaya |
教室名称Classroom name | オンライン(市ヶ谷) |
配当年次Grade | 1~4 |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
他学部公開科目Open Program | ○ |
他学部公開(履修条件等)Open Program (Notes) | |
グローバル・オープン科目Global Open Program | |
成績優秀者の他学部科目履修制度対象Interdepartmental class taking system for Academic Achievers | ○ |
成績優秀者の他学部科目履修(履修条件等)Interdepartmental class taking system for Academic Achievers (Notes) | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
SDGsCPSDGs CP | ○ |
アーバンデザインCPUrban Design CP | |
ダイバーシティCPDiversity CP | ○ |
未来教室CPLearning for the Future CP | |
カーボンニュートラルCPCarbon Neutral CP | ○ |
千代田コンソ単位互換提供(他大学向け)Chiyoda Campus Consortium | ○ |
旧科目との重複履修Duplicate Subjects Taken Under Previous Class Title | |
人数制限・選抜・抽選Capacity/Selection/Rondom | 受講希望者が1000人を超えた場合、抽選を行います。抽選方法については学習支援システムを通じて連絡しますので、よく確認をしておいてください。 |
毎年・隔年Frequency | 毎年開講 |
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Outline (in English)
Course outline
"Society and Art" is an introductory lecture that will allow you to see and think about the new world of expression that you rarely come into contact with. In particular, we will focus on the world of art, which deals with the relationship between society and art, which has been attracting attention since the 21st century. You will also learn about the points of contact between society and art and their relationships by referring to various examples of performing arts such as theatre, music, and the world of representations such as architecture. Focusing on the two themes of "art history and theory" (first half) and "society and art" (second half), we will examine and discuss each issue and problem from the keywords of each area.
1. Art history and theory Learn about the history and theory of modern and contemporary art from the 18th to 21st centuries, which is the basis for learning about society and art.
2. Society and art Learn about the relationship between media as a mirror that reflects society and the times and artistic expression, with concrete examples.
Learning Objectives
Introducing familiar examples of art history, contemporary society and art from the past to the present. This lecture aims to understand the workings of art history and to find universal and social issues from familiar problems.
Learning activities outside of the classroom
The content delivered on the Google site contains many website links to deepen your learning, so we recommend browsing the ones that interest you. There are also many museums and galleries near the university. If possible, depending on the infection status of the new coronavirus, please watch exhibitions.
The standard preparation and review time for this class is 2 hours each.
Grading Criteria /Policy
Grades will be evaluated based on the total of class activities, assignments and reports. We emphasize the experimentality and positiveness of our efforts. The scoring ratio is as follows.
1. Initiatives for classes (50%)
2. Issues and reports (50%)
See rubrics for specific assessment guidelines.
Based on this grade evaluation method, those who have achieved 60% or more of the achievement target of this class will be accepted.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語・英語併用 / Japanese & English
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
国際文化学部基幹科目「社会と美術」は、普段接する機会の少ない、先進的な表現領域に対する理解を深めるための入門的な授業です。この講義では、特に21世紀以降に関心を集めている社会と芸術との関係に焦点を当て、パフォーミング・アーツ、音楽、建築などの表象の世界の様々な事例を参照し、社会と芸術の接点や関係性について探求します。
本授業は、「近現代美術の歴史と理論」と「現代社会の課題と美術」という2つのテーマで構成されており、各領域のキーワードからそれぞれの課題や問題を検討、議論します。
第一部 「近現代の芸術史と理論」では、18世紀以降から21世紀までの美術史と理論を包括的に学び、芸術表現の変遷とその背後にある思想や理論を探求します。
第二部 「現代社会の課題と美術」では、社会や時代を映す鏡としての芸術表現と現代社会との関係について具体例を交えながら学びます。21世紀以降に注目されている社会と芸術との関係を扱ったアートの世界に焦点を当てていきます。
到達目標Goal
近現代の美術史と現代社会と美術に関する課題の事例を紹介していきます。近現代美術史の基本を理解すること、各時代の社会的課題と芸術との関連を見いだすことがこの講義の目標となります。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
国際文化学部のディプロマポリシーのうち、「DP1」「DP2」「DP3」「DP4」に関連。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語・英語併用 / Japanese & English
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
オンデマンド方式により授業を行います。
授業当日の流れ(重要)
1. 指定された公開日に、Google Classroomにその日の学習内容を掲載した資料(Google sites)のリンクを掲載する。
2. 資料を見ながら学習を進める。(当日であれば、授業時間外に学習しても構いません。)
3. サイト内に小テストや授業内レポートのリンク(Google Forms)が掲載されているので、回答して提出する。
4. 授業内容に関する質問については、Google Formsに書き込んでおくと回答します。
授業の方法
授業時間になるとGoogle Classroomを通じて受講に必要なリンク先や課題の提出について公開します。公開したウェブサイトに授業に関連したテキストや授業概要の映像(YouTube、40−60分程度)、必要な画像やウェブサイトのリンク先などが掲載されていますので、そのサイトを見て学習を進めてください。ウェブサイトは年度末まで公開しておきます。
課題
受講後、Google Formsで課題(小テストと簡単なレポート)を提出してもらいます。提出期間は授業終了後数日程度です。
質問・相談
一般的な質問や相談についてはGoogle Classroomのチャット機能を使ってください。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:オンライン/online
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[オンライン/online]:オリエンテーション
講義内容について、進め方と方法、評価方法と基準
第2回[オンライン/online]:近代美術の誕生
古典主義、ロマン派、写実主義、印象派
近代の始まりと芸術運動に関する講義を行います。近代は、市民革命と産業革命によってその幕が開けられました。この時期の重要な出来事や社会の変遷が、芸術にも深い影響を与えました。市民革命によって生まれた新しい社会秩序や価値観、そして産業革命による技術の進化が、芸術家たちに新たな表現の手段を提供しました。古典主義、ロマン主義、写実主義、印象派などの芸術運動は、単なる美的表現にとどまらず、社会の変動や文化の転換を反映し、近代というコンセプトを徐々に体現していきます。授業では、これらの芸術運動を通して、近代社会の多様性や複雑性に迫り、芸術が社会と相互の作用について学んでいきます。
第3回[オンライン/online]:アバンギャルドの時代Ⅰ
フォービズム、表現主義、キュビズム
印象派以降のフォービズム、表現主義、キュビズムを中心に、第一次世界大戦前の芸術運動の流れについて学びます。画家たちはより自由な表現を求めて様々な実験を始めます。フォービズムは色彩や筆触を強調し、視覚的な効果を追求しました。表現主義は主観的な感情の表現に力点を置きました。また、キュビズムは立体的視点から物体を捉える手法についての実験をしました。ポスト印象派と呼ばれた画家のゴーギャン、ゴッホ、セザンヌは、印象派以降のこれらの20世紀の前衛芸術運動に大きな影響を与え、新しい視点やアプローチを提示しました。授業ではこれらの芸術運動に関する理解を深め、背後に潜むアイディアや文化的な文脈にも焦点を当てて学んでいきます。
第4回[オンライン/online]:アバンギャルドの時代Ⅱ
未来派、ダダイズム シュルレアリズム、ロシア構成主義、バウハウス
第一次世界大戦前後のアバンギャルド芸術運動(前衛芸術)である未来派、ダダイズム、シュルレアリズムについて、またロシア革命前後のロシア構成主義とシュプレマティズムについて学びます。この時代登場した芸術運動は、現代アートの基となるコンセプチュアルな発想や、パフォーマンスやインスタレーションの原型となるような新しいアイディアが登場します。
第5回[オンライン/online]:ワークショップ1
単元の復習とワークショップ
近代美術の誕生、アバンギャルドの時代Ⅰ、アバンギャルドの時代Ⅱの復習及びワークショップを行います。
第6回[オンライン/online]:第二次世界大戦と戦後アメリカ美術
抽象表現主義、ネオダダ、ポップアート
第二次世界大戦により、ヨーロッパ各地は大きなダメージを受け、芸術の中心地としての地位をアメリカに譲ることとなりました。アメリカではその経済力を背景に、現代芸術の躍動的な拠点となり、さまざまな芸術運動が登場します。抽象表現主義、ネオダダ、ポップアート、ミニマル、コンセプチュアルアートなど、アメリカを中心として登場した芸術運動に加え、アンフォルメル、ヌーボー・レアリズム、アルテ・ポーヴェラなどヨーロッパの動向についても学びます。
第7回[オンライン/online]:1960年代の市民運動と新しい動向
フルクサス、パプニング、ビデオアートミニマリズム、コンセプチュアルアート、ランド・アート、アルテ・ポーヴェラ
1960年代になるとアフリカ系アメリカ人公民権運動、ベトナム反戦運動、女性解放運動、LSDを使った平和を訴えるフラワーパワージェネレーションなどの市民運動が盛んになります。1960年代の芸術シーンでは、伝統的な絵画や彫刻に留まらず、さまざまな新しい表現手法が登場しました。物質生よりも思想や概念に焦点を当てたミニマルアートやコンセプチュアルアート、ハプニングやパフォーマンスアートは身体や行為を介して会への関与をするなど、新しい芸術の動向が登場します。
第8回[オンライン/online]:多文化の時代
ポストミニマリズム、新表現主義、関係性の美術 、ソーシャリー・エンゲージドアート
1989年にベルリンの壁が崩壊して東西ドイツの境界線がなくなり、さらに東ヨーロッパ全体が消滅、冷戦構造が終焉を迎えます。東西対立の時代からアフリカやアジア、南米などを含んだ多文化の時代に移行します。アートの世界でも、1980年代以降アメリカやヨーロッパ中心からグローバルな考え方が一般的になります。アメリカのコマーシャリズムにより生まれた新表現主義の時代を経て、ミレニアム前夜にイギリスとヨーロッパで発生した二つのムーブメント、ヤング・ブリティッシュ・アーティスト」(YBA)とリレーショナルアートについての理解を深めます。21世紀に入り、芸術はますます社会に関与する方向へと進化しています。ソーシャリー・エンゲージド・アートやソーシャル・プラクティスといった社会に関与する芸術運動が盛んになっています。
第9回[オンライン/online]:ワークショップ2
・単元の復習とワークショップ
戦後アメリカ美術、1960年代/市民運動と新しい動向、多文化の時代の講義内容に関する確認をします。
第10回[オンライン/online]:政治とアート
退廃芸術展と大ドイツ展、戦争画、東日本大震災とアート、表現の不自由展
第二次世界大戦前には社会主義国のソビエト連邦が国家となり、ドイツにはナチス党が台頭しました。戦争に至る思想統制の中、これらの国々の自由な芸術の精神は、弾圧を受けることになります。ベルリンの壁崩壊以降のアートの動きや近年の表現の自由をめぐる論争、文化政策の変化など、政治とアートについてプロパガンダ、社会主義リアリズム、ヨーゼフ・ボイスの社会彫刻、表現の不自由展などの具体的な事例を通じて、アートが政治的な状況にどのように対応し、影響を与えてきたのかについて理解します。
第11回[オンライン/online]:ジェンダーとアート
社会的・文化的な性区別を指す「ジェンダー」、性的マイノリティ(性的少数者)を表す総称である「LGBTQ」についての言及は一般的になってきていますが、現在でもジェンダーフリーや性的マイノリティの自由は十分に実現されていません。こうした課題に芸術が関与し、社会的な枠組みを拡大し、偏見や差別に対抗するための意識を喚起する役割を担い、社会が自由を獲得するためのプロセスについて考えます。
第12回[オンライン/online]:環境とアート
私たちは古くから自然を観察し、芸術作品の主題としてきました。自然が提供する様々な風景や生態系は、画家や彫刻家などのアーティストにとって永遠のインスピレーション源となっています。また、19世紀の自然主義の考え方や、近年のランドアートの試みなど、自然は芸術において重要な役割を果たしてきました。しかし、近年では地球規模での環境問題が深刻化し、私たちは自然との関係性を再評価せざるを得なくなっています。地球の温暖化、生態系の破壊、資源の枯渇など、環境問題は私たちの生活に直接関わるものとして認識されるようになりました。地球温暖と関連するエネルギー問題は、世界の大きな課題となっており、日本においては東日本大震災をきっかけとした自然災害と原発問題が今でも続いています。
アートの世界では環境問題への関心を高め、作品を通じて社会に対話を呼びかけます。アートを通じた環境問題へのアプローチは、単なる美的な観点だけでなく、社会的な意識を喚起し、持続可能な社会を喚起します。
第13回[オンライン/online]:感染症パンデミックの時代
2020年以降、私たちは新型コロナウィルス感染症の拡大という未曾有の状況に直面しました。現在では、私たちにとってパンデミックはすでに少し以前にあった出来事のように感じています。過去にも天然痘、ペスト、スペイン風邪、エイズなどが世界中に大きな打撃を与えました。感染症が引き起こす社会的課題は、その時代背景や科学技術の進歩によって異なる側面を持ちます。アートはその時代の複雑な感情や社会的な変化を反映してきました。感染症の起こす社会的課題と各時代のアートが感染症をどのように表してきたのかを関連づけて学びます。
第14回[オンライン/online]:ワークショップ3
単元の復習、ワークショップ
14回の講義について振り返り、芸術と社会の問題についてディスカッションをします。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
Google sitesで配信する授業コンテンツには、学習を深めるためのウェブサイトのリンクが多く紹介されていますので、興味のあるものについては閲覧することをおすすめします。。また、大学の近くには美術館やギャラリーが多くあります。可能であれば企画展、常設展などの展覧会などを多く鑑賞してください。
本授業の準備学習・復習時間は各2時間を標準とします。
テキスト(教科書)Textbooks
Google sitesを通じて授業に必要な資料を配布します。いくつか参考書を紹介しますので、それらのうち少なくとも一冊を選んで購読することを勧めます。また各分野の研究に関して必要となる資料についてはその都度紹介します。
参考書References
山本浩貴『現代美術史-欧米、日本、トランスナショナル』中央公論新社、2019年
デイヴィッド・コッティントン(著者)、松井 裕美(翻訳)『現代アート入門』名古屋大学出版会、2020年
『改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト』美術出版社、2014年
『続 西洋・日本美術史の基本』美術出版社、2016年
『新・アートの裏側を知るキーワード』美術出版社、2022年
成績評価の方法と基準Grading criteria
成績評価については、平常点(授業への取り組み)、課題とレポートの合計で行います。取り組みの実験性、積極性を重視します。採点比率は以下の通りです。
1. 平常点(50%)
2. 課題とレポート(50%)
この成績評価の方法をもとに、本授業の到達目標の60%以上を達成した者を合格とします。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
ワークショップではスケッチによるプランや写真作品など簡単な実践に取り組みますが、受講される皆さんは例年課題について積極的に取り組まれているようです。楽しく解りやすい授業を心がけたいと思います。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
資料配布・課題提出等のためにGoogle classroomを使いますが、履修に関する情報については学習支援システムを併用しますので、よく確認しておいてください。
その他の重要事項Others
受講希望者が1000人を超えた場合、抽選を行います。抽選方法については学習支援システムを通じて連絡しますので、よく確認をしておいてください。
実務経験のある教員による授業
稲垣立男はコンテンポラリーアーティスト。フィールドワークによる作品制作と美術教育に関する実践と研究を国内外で実施しており、これらの現場での経験を毎回の講義に反映させています。