理工学研究科Graduate School of Science and Engineering
INE500X1(総合工学 / Integrated engineering 500)宇宙飛行体特論Spacecraft Engineering
中村 揚介Yosuke NAKAMURA
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 理工学研究科Graduate School of Science and Engineering |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2024 |
授業コードClass code | YA026 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 土2/Sat.2 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 小金井 / Koganei |
教室名称Classroom name | 小西館‐W301 |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory | 機械工学専攻 |
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Outline (in English)
【Course outline】This course introduces the basics of satellites in general and the fundamentals of satellite missions, orbits and operations. Project management of development of the satellite are explained. Some subjects are issued and students make presentation of the results and discuss. Seven exercises are issued and students make report with power point. Second purpose of this lecture is to make attitude of students for future engineer or researcher.
Students will be motivated by understanding the background of the space development activities.
【Learning Objectives】 At the end of the course, students are expected to understand how satellites help people's lives and how satellites are designed. By understanding the background of the space development activities, students will be motivated themselves for future researcher or engineer.
【Learning activities outside of classroom】 Before/after each class meeting, students will be expected to spend 4 hours to understand the course content and to answer to a subjects.
【Grading Criteria /Policy】 The total score of 60 or more out of 100 is considered acceptable.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
(授業概要)人工衛星全般の基礎知識と人工衛星のミッション、軌道や運用の基礎を説明します。また一般的な衛星開発プロジェクトの進め方とプロジェクトマネジメント技法のなかから、文系・理系に共通的に活用できる技法を紹介します。いくつかの課題を提起してその回答を発表してディベート練習の場を設けます。
(授業の目的・意義)人工衛星は人々の生活にどのように役に立っているのか、またそのために人工衛星はどのように設計しているのかを理解します。また、衛星開発プロジェクトにおいて利用頻度の高いいくつかのマネジメント技法の効果を演習を通して体感します。更にいくつかの課題を提起してその回答を学生自身で発表・討論することでディベートに慣れます。この講義全体を通して、物の設計解は一意ではなく前提条件や視点が異なると解が違ってくることを感覚的に理解し、柔軟な発想を持って関係者と議論できるマインドを修得して、将来のリーダとしての心構えの大枠を把握します。
到達目標Goal
(1)宇宙開発に関わる基礎技術を理解し、宇宙開発活動を身近に感じることができる。(2)衛星のミッション・目的の理解し、そのために必要な軌道、通信、姿勢制御などの概念を理解できる。(3)実際の衛星開発プロジェクトにおいて頻繁に活用するマネジメント技法を習得する。(4)講義全般を通して、何らかのアグレッシブな姿勢になり、さらに,卒業後に社会人としての成長を加速する動機を得ることができる。(5)いくつかの課題を提示してパワポ形式のレポートを提出、発表してグループ討議することで、集団においての自己表現やディベートに慣れることができる。(6)個々の課題に対する回答をパワーポイントで作成して発表する。正解答が一義ではないので、問題設定や前提条件の定義、アプローチ、結論、考察などの論理的な展開度合いを評価する。
課題はプレゼンテーション資料の印刷物を提出し、授業で発表する。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」「DP3」に関連
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
講義内容は人工衛星全般に関わる基礎知識、人工衛星の簡単なミッション設計、理系文系に関わらず活用できるプロジェクトマネジメントの3分野に渡りますが、授業用に教科書を準備する必要はありません。各分野で講義する内容をまとめた講義資料の電子ファイル(pdfファイル)を学習支援システムを通じて受講生に配布します。紙媒体が必要な人は各自でプリントアウトしてください。講義は対面を想定しています。ミッション設計の課題では解析ツール「STK」を活用する機会を提供し、STKの基礎的な操作のヒントを資料に含めています。また、課題の結果を少なくとも各自1回発表できるようにします。課題発表の場を利用して相手の考えに対して自分の意見や感想を述べることでディベートに慣れることを狙っています。また、課題回答発表の場を活用して発表資料の文字サイズや配色などの視覚効果、発表姿勢、ポインタの使用などプレゼンテーションの要領を解説します。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[対面/face to face]:はじめに、衛星システム
・ オリエンテーリングとして講座の概要と狙いを説明。
・宇宙飛行体の分類、宇宙開発の歴史を説明。
第2回[対面/face to face]:人工衛星の軌道と運用
・人工衛星の軌道力学全般の説明。
・人工衛星の運用方法の説明。
・課題1を提示(概算要領の解説を目的として、人工衛星の速度を概算)
第3回[対面/face to face]:人工衛星のミッション
・観測センサや通信機器などの人工衛星に搭載されるミッション機器や、取得したデータを地上でどのように利用するかを説明。
・課題1の回答を数名が各々発表し、グループ内で質疑応答、コメント、討議する。
・課題2を提示(世界でどのような宇宙利用が行われているか、英文ニュースを調べてまとめる)
第4回[対面/face to face]:システムズエンジニアリングと衛星を構成するサブシステム(1)
・複雑なシステムを構築するためのシステムズエンジニアリングの考え方の説明。
・人工衛星を構成するサブシステムの概要(1).
・課題2の回答を数名が各々発表し、グループ内で質疑応答、コメント、討議する。
第5回[対面/face to face]:衛星を構成するサブシステム(2)
・人工衛星を構成するサブシステムの概要(2).
・課題2の回答を数名が各々発表し、グループ内で質疑応答、コメント、討議する。
第6回[対面/face to face]:ミッション・軌道設計(1)
・人工衛星コンステレーションなど、複数のシステムを組み合わせたミッションの説明。
・ミッション・軌道設計を行うSystems Tool Kit(STK)の使い方を説明。
・課題3を提示(人工衛星の利用方法、ミッション機器とミッション要求を検討)
第7回[対面/face to face]:ミッション・軌道設計(2)、トレードオフ
・STKを用いたミッション・軌道設計の説明。
・トレードオフを行う意味と技法の説明。
・課題3の回答を数名が各々発表し、グループ内で質疑応答、コメント、討議する。
・課題4を提示(人工衛星のミッションをツール上でモデル化し、ビジュアルで表現する)
第8回[対面/face to face]:衛星通信
・ミッションを実現するための衛星通信の種類、動向、簡易計算手法の説明。
・課題4の回答を数名が各々発表し、グループ内で質疑応答、コメント、討議する。
第9回[対面/face to face]:姿勢軌道制御
・ミッションを実現するための姿勢軌道制御の方式、簡易計算手法の説明。
・課題4の回答を数名が各々発表し、グループ内で質疑応答、コメント、討議する。
・課題5を提示(ミッション要求に基づく通信と姿勢軌道制御の簡易計算)
第10回[対面/face to face]:衛星開発のプロセス
・ 一連のプロジェクトマネジメント技法講義の導入として、人工衛星の開発プロセスの概要を説明。
・課題5の回答を数名が各々発表し、グループ内で質疑応答、コメント、討議する。
第11回[対面/face to face]:プロジェクトマネジメント(1)
・プロジェクトマネジメントの総括的な説明(1)。
・課題6を提示(身近な例を対象にして作業定義(WBS)を実施)
第12回[対面/face to face]:プロジェクトマネジメント(2)
・プロジェクトマネジメントの総括的な説明(2)。
・課題6の回答を数名が各々発表し、グループ内で質疑応答、コメント、討議する。
・課題7を提示(身近な例を対象にしてリスク分析を実施)
第13回[対面/face to face]:信頼性設計
・不具合解析(FTA)技法と、衛星の運用期間を通じて機能を発揮するための設計手法の説明。
・課題7の回答を数名が各々発表し、グループ内で質疑応答、コメント、討議する。
第14回[対面/face to face]:チームビルディングとスケジュール管理
・将来を担うエンジニア・研究者として好ましい姿勢などを解説。
・課題7の回答を数名が各々発表し、グループ内で質疑応答、コメント、討議する。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
【本授業の準備・復習時間は、各4時間を標準とします。】衛星に関しては書籍、科学雑誌,インターネットなどで宇宙開発に関わる情報を事前に入手しておいて下さい。ミッション設計解析ツール「STK」を利用できる解析環境を整えて下さい。課題では基礎的な内容を例題として7項目を提示します。課題1では定量的な把握のための概算の要領を体験し、課題2ではインターネット情報の背景にある社会課題や宇宙政策の理解を深め、課題3と4では設計解析ツール「STK」などを活用して衛星のミッションや軌道をモデル化します。課題5ではミッションを実現するためのシステム検討を体験し、課題6、7では、講義したマネジメント技法を各自の体験例に適用して実施することで技法を適用した場合の効果を体験します。いずれも、課題の定義、前提条件、考え方、アプローチ、結果、考察などの論理的な展開での説明をパワーポイント数枚にまとめて発表し、電子ファイルを提出してもらいます。
テキスト(教科書)Textbooks
一般的な人工衛星の基礎知識から、ミッション固有の知識、プロジェクトマネジメント技法に至るまで、範囲が多岐に渡ります。このような背景により、講義毎に対象部分に的を絞って作成した専用資料の電子ファイルを配布するため、教科書は必須ではありません。設計解析ツール「STK」についてはチュートリアルが豊富に揃っていますので参考になります。また、プロジェクトマネジメントを指向する学生はプロジェクトマネジメント関連のテキストが参考になります。
参考書References
・宇宙工学概論(小林繁夫:丸善)
・GPS技術入門(坂井丈泰:東京電機大学出版局)
成績評価の方法と基準Grading criteria
評点は7件の課題レポート(パワポ形式)で70点、平常点30点とします。課題1は結果の提示のみではなく、その結果に至るプロセスや考え方が明記されていることが重要です。課題2は単なる記事の要約だけでなく関連する情報を調査して、記事の背景を分析することが重要です。課題3は検討するミッションそのものよりも、ミッションを選定した理由やミッション要求の分析などを論理的に説明することが重要です。課題4はミッションの実現方法、軌道設計結果は一義ではないため、設計結果を得るための前提条件、トレードオフの過程、考察などを論理的且つビジュアル的に明確に説明していることが重要です。課題5は単なる計算結果だけでなく、そこから得られる課題、対処法まで分析できることが重要です。課題6、7は技法の狙いを把握していること、アプローチや考え方が明示されていることと、検討が客観的であること、相手を納得させる論理展開であることが重要です。各々の課題には結果が唯一でない特性があるため、課題回答の全般的な評価ポイントは、1.問題設定から検討結果、分析までがまとまった内容になっているか、2.結果に至るまでの考え方やプロセスが示されているか、3.検討のために必要な文献等の調査を行っているか、またその出展が示されているか、4.発表資料として相手の興味を引く表現ができているか、などです。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
まず、自分の普段の生活と宇宙のつながりを説明し、興味をもって講義や課題に取り組めるようにします。プロジェクトマネジメント関係の内容を充実させ、理工系に関わらず事務系業務にも応用できることが伝わるように解説します。また衛星に関する予備知識が少ない学生でも理解しやすいように専門略語の使用を避けて平易な表現を心がけます。実践的な人工衛星の設計、衛星開発プロジェクト経験や技術者の行動指針など、実務経験に基づく知見を紹介します。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
課題については、概算のためのエクセル等の関数機能を使用します。パワーポイントを用いてプレゼン資料形式で解答を作成して課題毎に各々数名がプレゼンするので各自でパソコンを準備してください。ミッション・軌道設計の課題では解析ツールとして「STK」を使用します。STKのインストールの仕方は、講義の中で説明します。
その他の重要事項Others
課題発表のプレゼンテーションでは論理的な回答発表以外にも、受け身の授業ではなく、自己の意見を主張するマインドの醸成を目的としています。これによってディベート力の向上を図ります。
講義では過去の講義で説明した資料を再度参照する場合があるので,配布した資料は適宜参照できるように、電子ファイル等で保有してください。
人工衛星の設計、開発、運用,プロジェクトマネージメントの経験から,社会において自己成長の加速に寄与する技術者としての姿勢、思考形態、行動指針、基礎知識などを伝える授業を目指しています。
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