文学部Faculty of Letters
HIS200BE(史学 / History 200)日本史特講ⅦSpecial Lecture on Japanese History VII
山田 康弘Yasuhiro YAMADA
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 文学部Faculty of Letters |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2024 |
授業コードClass code | A3160 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 金1/Fri.1 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | 市Y‐Y405 |
配当年次Grade | 2~4 |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
他学部公開科目Open Program | |
他学部公開(履修条件等)Open Program (Notes) | |
グローバル・オープン科目Global Open Program | |
成績優秀者の他学部科目履修制度対象Interdepartmental class taking system for Academic Achievers | ○ |
成績優秀者の他学部科目履修(履修条件等)Interdepartmental class taking system for Academic Achievers (Notes) | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
SDGsCPSDGs CP | |
アーバンデザインCPUrban Design CP | |
ダイバーシティCPDiversity CP | |
未来教室CPLearning for the Future CP | |
カーボンニュートラルCPCarbon Neutral CP | |
千代田コンソ単位互換提供(他大学向け)Chiyoda Campus Consortium | |
カテゴリーCategory | 史学科 |
他学科公開科目 | ○ |
クラスGroup | |
昼夜表記Day or Night |
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Outline (in English)
【授業の概要(Course outline)】
This course introduces “What is History?”, and “Historical research methods” to students taking this course.
【到達目標(Learning Objectives)】
The goals of this course are to know and understand what History is and how we study it.
【授業時間外の学習(Learning activities outside of classroom)】
Students will be expected to have completed the required assignments after each class meeting. Your study time will be more than 2 hours for a class.
【成績評価の方法と基準(Grading Criteria /Policy)】
Your overall grade in the class will be decided based on the following Term-end examination: 70%. Short reports: 20%.in class contribution: 10%
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
本講義では、戦国期足利将軍たちの生涯と、その周辺の情勢をわかりやすく解説していくことで、受講生の皆さんが次の二つのことを理解できるようにしていく。
まず一つは「歴史学とは何をする学問か」ということである。よく「何百年も昔のことを知って、それが何になるのか。歴史学には有用性がない」という人がいる。そのような人は、歴史学を誤解している。歴史学は、過去を解明するだけの学問ではない。過去を知り、この過去を使って「現代(現在)をより深く知る」という学問なのだ。
私たちは現代に生きている。それゆえ「現代をよく知らない」というのは危険なことである。しかし、私たちにとって現代はあまりにも「当たり前」すぎるので、私たちには現代の姿が意外に見えにくい。そこで、過去を使うのである。たとえば、過去を明らかにし、それと現代とを比較していく。すると、過去の特徴とともに現代のさまざまな特徴もあぶり出され、私たちにも「当たり前すぎて気づきにくい」現代の姿が見えてくる。こういったことをするのが歴史学なのだ。そこで本講義では、こうした「面白いだけでなく、現代において役に立つ」歴史学の真の姿を示していく。
もう一つは「研究はどのような手順でおこなうのか」を受講生の皆さんが理解できるようにしていくことである。歴史学の研究は「(何かと何かを比較することで)疑問を見つける」⇒「疑問に基づいて、信頼できる史料を集めたうえこれを正しく分析する」⇒「自分なりの仮説を立てる」⇒「他者と議論して仮説を修正する」といった手順で進めていく。本講義では、こういった歴史学の手法を受講生たちが身につけることのできるよう、わかりやすく解説していく。なぜならば、こうした歴史学の手法――自分で問題を見つけ、信頼できるデータを集めてこれを正しくあつかい、そこから事実と論理に基づいた結論を導きだす、という手法は、さまざまな情報(偽情報・誤情報を含む)が氾濫する現代社会で生きていくうえで、きっと強力な武器になっていくだろうからである。
到達目標Goal
歴史学の存在意義を認識しうるとともに、論理整合性と事実立脚性という歴史学の決まりごとを理解することができる。また、データ(史料)の正しい取りあつかい方や、問題設定から歴史像の構築にいたるまでの手法を把握することができ、さらに、歴史学研究の「社会的使命」をきちんと理解したうえ、歴史学の隣接諸科学におけるさまざまな理論の使い方などを身につけることができる。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」「DP4」に関連
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
3部構成とし、講義形式で進める。具体的には、まず第1・2回において「歴史学とは何を目的とする学問なのか」、「歴史学研究の「型」はどのようなものか」を解説していく。次いで第3~7回では「難解な事柄も、ストーリー形式にすることで分かりやすくなる」ということを、戦国時代の足利将軍たちの生涯を例にして示していこう。そして第8~13回において、「過去を知ることで現代をより深く知る」ことを、戦国時代の日本列島と現代の世界(国際社会)とを比較しながら具体的に説明していく。
なお、配布プリントを使って解説する。出席カードやリアクションペーパー記入された疑問点については、次回の授業で回答する。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
なし / No
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[対面/face to face]:歴史学は何のためにあるのか――「面白いだけ」「過去を学ぶだけ」なのか。
何百年も昔の過去を知って何か役に立つのか。過去を知れば、現代に活きる教訓を得たり、未来を予言したりすることができるのか……。ここでは、歴史学とは何をする学問であり、何のためにあるのかといった、 歴史学の「存在意義」を説明していく予定である。
第2回[対面/face to face]:歴史学研究の「型」はどのようなものか。
歴史学の研究は、どのように進めていくのか。疑問はどうすれば見つけられるのか。「知る」と「考える」はどう違うのか。データを正しく扱うにはどうすればよいのか……。ここでは、歴史学研究の基本的な「型」を初学者向けに解説し、これを身につけられるようにしていく。
第3回[対面/face to face]:足利将軍はなぜ「弱小」政権だったのか。
歴史学の成果は、有用なだけでなく面白い。この面白さの源泉は「物語(ナラティブ)性」にある。難解な事柄でも、物語形式にすることで誰でも理解しやすくなるのだ。そこで第3回~第7回では、戦国期足利将軍たちの生涯を素材に取りあげ、「どう物語ればよいのか」を考えていこう。
第4回[対面/face to face]:戦国時代の将軍たちは何をしていたのか(前編)。
戦国時代、将軍はどこで、何をしていたのか……。戦国期においても、将軍はなお「日本列島全体の存在」であった。それゆえ、戦国日本を知るためには将軍を理解することが欠かせない。そこでここでは、戦国時代に活躍した将軍7人をとりあげ、その生涯を概説していく。
第5回[対面/face to face]:戦国時代の将軍たちは何をしていたのか(中編)。
戦国期に生きた将軍たちは、いずれもさまざまな事件に巻きこまれ、時には京都から地方に流浪した。しかし、それでもしぶとく生き残り、京都・畿内に一定の平和をもたらすこともあった。ここでは前回に引きつづき、こうした戦国期将軍7人の生涯を概説していく。
第6回[対面/face to face]:戦国時代の将軍たちは何をしていたのか(後編)。
昨今、歴史学は細分化し、難解となり、一般社会から遊離して研究者とマニアだけのものになりつつある。これは歴史学の危機だ。では、歴史学の成果を、一般の人たちにもわかるように伝えるにはどうしたらよいのか…。ここでは、戦国期将軍たちの生涯を素材にこの問題を考えよう。
第7回[対面/face to face]:「信長包囲網」はなぜ機能しなかったのか――足利義昭と織田信長。
足利義昭や毛利・武田・上杉・本願寺といった反織田信長の連合は、なぜ信長の封じこめに失敗したのか…。ここでは、現代でも当てはまる「対等な者同士が団結しつづける」ことの困難さを、心理学や行動経済学、社会学の知見も援用しながら考えていく予定である。
第8回[対面/face to face]:戦国期の将軍は、なぜすぐに滅亡しなかったのか。
足利将軍が戦国末まで存続しえた理由は何だろうか…。ここでは、「大名たちにとって、将軍にはいかなる利用価値があったのか」という問題を考えていくことによって、 将軍がすぐに滅亡しなかった謎を解き明かしていく。
第9回[対面/face to face]:戦国期日本列島「全体」の見取り図はどのようなものか。
戦国期日本列島は、全体としてどのような姿をしていたのだろうか…。ここではまず、戦国社会の「構造」(=骨組み)に注目していくことで、全体の見取り図を描きだしていく。そしてそのうえで、戦国社会と現代世界(国際社会)とを比較し、現代世界の特徴をあぶり出していく。
第10回[対面/face to face]:統一権力がないと「平和」は成り立たないのか(前編)。
戦国時代といっても、戦国大名間で日常に戦争が継起していたわけではなかった。それは、大名たちが戦争を回避する「工夫」をしていたからである。では、その工夫とはどのようなものか…。ここでは、大名間で戦争が起きた原因と大名たちの戦争回避策を考えていこう。
第11回[対面/face to face]:統一権力がないと「平和」は成り立たないのか(後編)。
戦国大名たちは「互いに相手の真意がわからない」という状況下、近隣の者同士でいかにして戦争を回避し、協調しあっていたのか…。ここでは、前回に引きつづいて大名たちの「自律型協調生成の仕組み」を考察するとともに、統一権力がなぜ成立していくのか、その要因を模索していく。
第12回[対面/face to face]:天皇はなぜ存続したのか――武家政権にとっての天皇の「利用価値」とは何か。
武家政権は、なぜ天皇を存続させたのだろうか…。ここでは、「歴代武家政権と天皇との関係」を「中世における英・仏王権と教会との関係」と比較しながら考察し、「権威があったからだ」といったことで片づけられがちな、天皇存続の謎を解き明かしていく。
第13回[対面/face to face]:「過去を知る」だけが歴史学の目的にあらず(全体のまとめ)。
過去を知ることは面白い。そして、現代を意識することで過去はもっと面白くなる。過去を知っても、教訓を得たり、未来を予言したりすることはできないが、過去を知ることで私たちが生きている現代(現在)をより深く知ることができるのだ。このことを、あらためてここで確認する。
第14回[対面/face to face]:試験・まとめと解説
論述式の試験を行う予定である。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
プリント、ノートを見直して復習する。また、毎日、必ず新聞を読むこと。歴史学は「現代(現在)をより深く知る」ことを目的の一つとしている。それゆえ、「現代に無関心」というのでは歴史学は学べない。現代に関心をもつためには、毎日、新聞を読むことが最適である。それゆえ、受講生には新聞を読むことを求める(全国紙ならどれでもよい。なお、読み方は授業時に教示する)。
本授業のために、準備学習・復習時間は、合計2時間を標準とします。
テキスト(教科書)Textbooks
指定しない。毎回、プリントを配布する。
参考書References
山田康弘『足利将軍たちの戦国乱世』(中公新書、2023年)。これ以外は授業中に指示する。
成績評価の方法と基準Grading criteria
学期末試験の点数70%、レポート20%、平常点10%の合計で評価する予定である。正当な理由による欠席の場合、自作の「欠席理由書」を提出すれば考慮する。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
出席カードやリアクションペーパーなどで授業に関する疑問点などを書いて もらえれば、次回授業の際に取り上げていきたい。