文学部Faculty of Letters
HIS200BE（史学 / History 200）日本史特講ⅣSpecial Lecture on Japanese History IV
中山 学Manabu NAKAYAMA
授業コードなどClass code etc
| 学部・研究科Faculty/Graduate school | 文学部Faculty of Letters |
| 添付ファイル名Attached documents | |
| 年度Year | 2024 |
| 授業コードClass code | A3157 |
| 旧授業コードPrevious Class code | |
| 旧科目名Previous Class title | |
| 開講時期Term | 秋学期授業/Fall |
| 曜日・時限Day/Period | 水3/Wed.3 |
| 科目種別Class Type | |
| キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
| 教室名称Classroom name | 市Y‐Y504 |
| 配当年次Grade | 2～4 |
| 単位数Credit(s) | 2 |
| 備考（履修条件等）Notes | |
| 他学部公開科目Open Program | ○ |
| 他学部公開（履修条件等）Open Program (Notes) | |
| グローバル・オープン科目Global Open Program | |
| 成績優秀者の他学部科目履修制度対象Interdepartmental class taking system for Academic Achievers | ○ |
| 成績優秀者の他学部科目履修（履修条件等）Interdepartmental class taking system for Academic Achievers (Notes) | |
| 実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
| SDGsCPSDGs CP | |
| アーバンデザインCPUrban Design CP | |
| ダイバーシティCPDiversity CP | |
| 未来教室CPLearning for the Future CP | |
| カーボンニュートラルCPCarbon Neutral CP | |
| 千代田コンソ単位互換提供（他大学向け）Chiyoda Campus Consortium | ○ |
| カテゴリーCategory | 史学科 |
| 他学科公開科目 | ○ |
| クラスGroup | |
| 昼夜表記Day or Night |
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Outline (in English)
（Course outline）
In this course, we will focus on the activities of Tokugawa Yoshimune, the eighth shogun of the Edo shogunate.During his time as a shogun, this person focused on proofreading books collected by successive shoguns since Tokugawa Ieyasu.He himself proofread the texts of historical books originating from ancient or medieval times that teach the origins of the rituals of court nobles and samurai families, while also ordering book magistrates and scholars to inspect and scrutinize the texts of books in various fields.
In this course, we will examine Tokugawa Yoshimune's own activities in the course of his business from a reconstructive perspective. Then, consider why such work was carried out.While paying attention to the centralization that gives and preserves authority to historical texts themselves, I would also like to think about how they relate to us.
As a side note, the lecture will proceed while reading early modern Japanese historical materials related to this theme.
(Learning activities outside of classroom)
1.Preparatory study/review: 2 hours each
2.Report creation 2 times during the course: approximately 4 hours each
3.In addition, tours of historical materials preservation facilities and viewing of original historical materials: Approximately 2 to 3 hours led by a teacher (separate guidance will be provided during the class period)
(Grading Criteria /Policy)
Several reports submitted during the course:50%
Course-end report:50%
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的（何を学ぶか）Outline and objectives
当科目では、江戸幕府第８代の将軍、徳川吉宗の活動に注目します。この人物は、次期将軍に内定してから間もない正徳６年（1716）６月３日における「御代々の御書物目録」の閲覧を手始めとして、在職中は実は一貫して徳川将軍家伝世の諸書籍の校合、校勘に注力しました。具体的には、自らも武家方や堂上方の儀礼の成り立ちに関して示唆的な書籍の「御見合」、「御引合」を行いつつ、御書物奉行や幕府内外の諸学者にも命じて諸書籍のテキストを点検、精査させました。当科目では、その事業過程における吉宗本人の活動を復元的に考察するところから、こうした作業がいったい何のために実施されたものか検討します。歴史的なテキストそれ自体に権威を付与、温存させしてゆく中心化のあり方に注意を払いながら、私たちとの連関についても考えたいと思っています。
到達目標Goal
史料に基づき、徳川吉宗が実施した将軍家蔵書の校合・校勘の目的とその歴史的意義を論じることができる。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか（該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連）Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」「DP4」に関連
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)（学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. ）
本テーマにかかわる近世史料を読み解きながら講義を実施します。また、学習内容の整理と理解確認のために授業実施期間中にリポート作成を２回課し、それへのフィードバックによって理解を助けます。
アクティブラーニング（グループディスカッション、ディベート等）の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
なし / No
フィールドワーク（学外での実習等）の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching：対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[対面/face to face]：はじめに（ガイダンス）
当科目の目的、進め方、成績評価の方法等ついて概要を説明します。
第2回[対面/face to face]：徳川将軍家の「御文庫」(1)
先行研究を参照して、御文庫と将軍家蔵書の沿革を確認します。
第3回[対面/face to face]：徳川将軍家の「御文庫」(2)
前回に引き続き先行研究を参照し、御文庫と将軍家蔵書に関する吉宗の実績がどのように把握されてきたか批判的に検討します。
第4回[対面/face to face]：参照史料
徳川吉宗の活動を復元的に考察するために使用する史料について一通り確認します。
第5回[対面/face to face]：吉宗の初動(1)
紀州藩出身の徳川吉宗が次期将軍に内定した頃の様子を江戸幕府日記の中に確認します。また、その頃の吉宗の活動を探るべく御書物奉行の業務日誌に注目し、その正徳６年６月３日の日誌を読解します。そして、次期将軍に内定して間もない吉宗が真っ先に御文庫の書物目録に目を通していたことを確証します。
第6回[対面/face to face]：吉宗の初動(2)
前回に引き続き、御書物奉行が書き残した正徳６年６月４日の日誌を読解し、吉宗が「御文庫」からいくつかの書物を取り寄せていたことを確証します。
第7回[対面/face to face]：吉宗による書物「御見合」とその意義(1)
江戸時代後期に近藤重蔵が諸記録に基づいてまとめた徳川吉宗の文事に関する年表に注目し、先に見た吉宗による将軍家蔵書への接触がどのような作業に連続していった可能性があるか示唆を得ます。ここでは、近藤が正徳６年６月４日の吉宗の行動の意義に触れ、旗本小笠原家伝来の家伝書の上覧との間に関連があるとみていたことに注目します。
第8回[対面/face to face]：吉宗による書物「御見合」とその意義(2)
前回の作業で確認した近藤重蔵の示唆に従い、旗本小笠原家が江戸時代後期に幕府に提出した先祖書を取り上げます。そして、その先祖書に収録された享保時代の当主の経歴書を読み、吉宗が閲覧を開始した書物に関連していったい何をしていたのか検討します。ここでは、吉宗が書物の「御見合」を行っていたという指摘に注目すると共に、中世由来の武家の弓馬術の復興に尽力していた様子を確認します。
第9回[対面/face to face]：吉宗による書物「御見合」とその意義(3)
前回確認したことに示唆を得て、正徳６年６月４日に取り寄せていた書物を再度点検します。そして、それらの中に弓馬術に関するものが含まれていたことを確認し、御書物奉行の日誌をもとに吉宗が当該の書物をその後どのように閲覧していたか追跡します。また、それら閲覧書物の出所にも注目し、それらの出所となったいくつかの武家の先祖書にもアクセスします。こうして、この回では吉宗が20年近くにわたって武家故実に関する書物の「御見合」を継続していたという事実を確証し、その意義について考えます。
第10回[対面/face to face]：「師古日記」に見る吉宗の活動の内実(1)
これから３回にわたり、吉宗が注力した書物の「御見合」とは具体的にどのような作業であったと考えられるか検討します。そのために享保時代に御書物奉行を務めた下田師古の日記（写）を取り上げます。その初回となるこの回では、吉宗が京都から有職故実に通じた学者を呼び寄せていたという事実をまず確認します。
第11回[対面/face to face]：「師古日記」に見る吉宗の活動の内実(2)
前回に続き下田師古の日記を読み、享保10年当時、吉宗が「令義解」を通じて知られる「衣服令」の正確な読解に努めていたことを確証します。
第12回[対面/face to face]：「師古日記」に見る吉宗の活動の内実(3)
前回に続き下田師古の日記を読み進め、吉宗が下田師古を通じて有職故実の専門家に対して投じていた質問の内容を詳しく検討し、吉宗が本質的に何に関心を向けていたのか考察します。
第13回[対面/face to face]：歴史的テキスト・権力
これまで検討してきた吉宗の活動を整理し、吉宗が「御文庫」蔵書の歴史的テキストに対していったいどのような態度を示していた可能性があるか考えます。また、吉宗が歴史的テキストに対して示したと考えられる態度の歴史的意義について理解を深めると共に、現今の私たちが歴史的テキストに対して示す関心や態度との共通性について考えます。
第14回[対面/face to face]：まとめ
今期授業の内容を振り返り、理解範囲を確認します。
授業時間外の学習（準備学習・復習・宿題等）Work to be done outside of class (preparation, etc.)
①本授業の準備学習・復習：各2時間
②授業実施期間中のリポート作成2回：各4時間程度
③その他、史料保存機関の見学及び史料の原本実見：教員引率２～３時間程度（これについては授業実施期間中に別途案内します）
テキスト（教科書）Textbooks
特に指定しません。史料を配付します。
参考書References
辻 達也『徳川吉宗公伝』東照宮（1962年）
福井 保『江戸幕府の参考図書館 紅葉山文庫』郷学舎(1980年)
辻 達也『徳川吉宗』吉川弘文館(1985年)
吉岡 孝「吉宗政権における古式復興と儀礼」『国史學』第200号所収（2010年）
小川剛生『日本史リブレット78 中世の書物と学問』山川出版社(2013年3刷)
成績評価の方法と基準Grading criteria
授業実施期間中リポート２回（50％）、期末リポート（50％）
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
論証過程を見通しやすいものとするために、毎回の講義テーマの編制を見直しました。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
パソコン（リポート提出等に学習支援システムを使用するのため）
ノート１冊（講義メモ用）
ファイルまたはフォルダ（配布史料の保管と毎回授業への持参のため）
その他の重要事項Others
テーマ関連科目・日本史特講Ⅰ