人間環境学部Faculty of Sustainabillity Studies
LAW300HA(法学 / law 300)環境法ⅣEnvironment Law Ⅳ
渡辺 靖明Yasuaki WATANABE
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 人間環境学部Faculty of Sustainabillity Studies |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2024 |
授業コードClass code | C2016 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 秋学期授業/Fall |
曜日・時限Day/Period | 月2/Mon.2 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 / Ichigaya |
教室名称Classroom name | 市Y‐Y406 |
配当年次Grade | 2~4 |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | 環コア:経,ロ |
他学部公開科目Open Program | |
他学部公開(履修条件等)Open Program (Notes) | |
グローバル・オープン科目Global Open Program | |
成績優秀者の他学部科目履修制度対象Interdepartmental class taking system for Academic Achievers | ○ |
成績優秀者の他学部科目履修(履修条件等)Interdepartmental class taking system for Academic Achievers (Notes) | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
SDGsCPSDGs CP | |
アーバンデザインCPUrban Design CP | |
ダイバーシティCPDiversity CP | |
未来教室CPLearning for the Future CP | |
カーボンニュートラルCPCarbon Neutral CP | |
千代田コンソ単位互換提供(他大学向け)Chiyoda Campus Consortium | |
カテゴリー(一般・総合型選抜、編入学試験入学者)Category |
展開科目 コースコア科目/コース連環科目 |
カテゴリー(社会人RSP入試入学者)Category |
展開科目 法律・政治関連科目群 |
カテゴリー(2022年度以前)Category (~2022) |
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Outline (in English)
【Course outline】 We will study about “environmental criminal law”.
We will learn about the various meaning's environment and purposes of environmental conservation through law.
And we will think the relationship and differences between criminal law and other laws, and especially the role and limitations of criminal law in environmental conservation.
【Learning Objective】 Our goal is able to consider from a broader perspective about why and how the environment should be conserved, taking into account the role and limits of environmental conservation (criminal-)laws.
【Learning activities outside of classroom】 Before/after each class meeting, students will be expected to spend four hours to understand the course content.
【Grading Criteria /Policy】 Your overall grade in the class will be decided based on the following Termed examination:80%, mini exam:20%
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
この講義では「環境刑法」、すなわち「環境」の保全について、刑法がどのような役割を果たし、またそこにどのような限界があるのかを学びます。
もっとも、ひとくちに「環境」といっても、私たちが生きている地球全体の「環境」もあれば、生態系や生物の多様性といった自然の「環境」もありますし、私たちが毎日快適に過ごしたいと願う生活上の「環境」もあります。これらの様々な「環境」は、相互にどのような関係に立つのでしょうか。また、環境を保全するのは、いま生きている現在の世代の人間だけのためなのでしょうか、それともまだ生まれていない将来の世代の人間のためでもあるのでしょうか。刑法をはじめ法による環境保全を理解する前提として、こうしたことをよく考えておく必要があります。
他方、刑法は、「犯罪」と「刑罰」を定める法律であり、環境保全のためにも、刑法上様々な行為が犯罪とされ、刑罰(罰則)の対象となっています。しかし、環境を著しく汚染、破壊した人を犯罪者として重く罰しても、失われた環境は回復しません。しかも、憲法を最高法規として、刑法以外にも、民法や行政法があります。それにもかかわらず、環境保全のために刑法(罰則)を用いることが本当に必要かつ有用なのでしょうか。さらに言えば、「環境」は、身近なゴミのポイ捨てによっても、生成AIの利用増加によっても、また兵器を用いた戦争によっても害されます。刑法を含めた「法」だけがこうした多様な環境破壊を防ぐための「最適解」なのでしょうか。これらのことを考えるためには、刑法自体の目的・役割・機能と限界や他の法律での環境保全の規制との関係を正しく理解し、さらに現在の環境保全のための刑法(罰則)ひいては法の制度全体あるいは社会の在り方を広い視野で見ることが欠かせません。それは、(生成AIは決して教えてくれないであろう)「環境」を「なぜ」、「どのように」保全すべきなのかについて、深く考えることにきっとつながるでしょう。
この授業では、刑法の基礎知識を身に着けつつ、刑法そして法による環境保全のあり方と限界を理解して、私たち一人ひとりが環境保全のために何をすべきかを多角的な観点から考えられるようになることを目指します。
到達目標Goal
法の保全の対象となる「環境」の意義や、環境保全をめぐる「刑法」(罰則)の体系、関連する基本的な判例(裁判所の法的判断)や学説を正しく理解して、環境保全への実践的な法の基礎知識を修得することが、この授業の到達目標です。
基礎知識修得の目安は、各回の教科書やその補充・追加のレジュメの内容を理解し、事例や確認の問題について、文章(言語)できちんと説明できるようになることです。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
人間環境学部のディプロマポリシーのうち、「DP3」に関連
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
教科書とその補充・追加のレジュメをもとに、各回のテーマごとの理解をはかります。適宜授業内で、支援システムを通じて意見などを提出してもらうこともあります。
小テスト(4回予定)については、回答期限後の授業ないし学習支援システムを通じて、簡易な解説を行う予定です。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[対面/face to face]:「刑法」の意義と限界
法(律)の意義、法の体系及び「刑法」の意義と限界を学ぶ。
第2回[対面/face to face]:「公害罪法」の挫折
「公害罪法」の意義と問題点を具体的な刑事裁判例を通じて学ぶ。
第3回[対面/face to face]:環境保全と刑法(1)-「環境」の意義
「環境」の意義をめぐる「生態系中心」と「人間中心」との対立や、「現在世代」と「未来世代」との対立などを学ぶ。
第4回[対面/face to face]:環境保全と刑法(2)-罰則の基礎
環境保全のための罰則の基礎として、刑罰と行政罰との区別、両罰規定、直接罰と間接罰、侵害犯と危険犯さらに累積危険犯などの基礎を学ぶ。
第5回[対面/face to face]:環境保全と刑法(3)-自然生態系の保護
自然生態系(大気・水・土)の保護に関する法律と罰則の基礎を学ぶ。
第6回[対面/face to face]:環境保全と刑法(4)-動物愛護
人と動物をめぐる法の体系と罰則を通じて、「動物愛護」の意義を学ぶ。
第7回[対面/face to face]:廃棄物処理法の罰則(1)-廃棄物の処理体系と罰則
廃棄物処理法の廃棄物の処理体系及びこれに関する罰則の基礎を学ぶ。
第8回[対面/face to face]:廃棄物処理法の罰則(2)-「廃棄物」
廃棄物処理法上の「廃棄物」の意義を刑事裁判例を通じて学ぶ。
第9回[対面/face to face]:廃棄物処理法の罰則(3)-廃棄物の「再生・循環利用」
廃棄物の「再生・循環利用」の法体系と関連する刑事裁判例を学ぶ。
第10回[対面/face to face]:廃棄物処理法の罰則(4)-不法投棄罪
廃棄物の不法投棄罪の基礎と特に「捨てる」の意義に関する刑事判例及び学説を学ぶ。
第11回[対面/face to face]:廃棄物処理法の罰則(5)-不法焼却罪と業法違反の罪
廃棄物の不法焼却罪及び業法違反の罪の基礎と関連する刑事裁判例を学ぶ。
第12回[対面/face to face]:リサイクル法・省エネ法の罰則
各種リサイクル法と省エネ法の体系と罰則を学ぶ。
第13回[対面/face to face]:刑事手続の概要
環境法上の犯罪を素材として、捜査・起訴・公判の刑事手続の基礎を学ぶ。
第14回[対面/face to face]:まとめにかえて―環境保全と民主政治・社会倫理
環境保全を支える民主政治の機能と社会倫理とは何かを学ぶ。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
教科書、配布レジュメで予習・復習をしてください。本授業の準備学習・復習時間は、各2時間が標準となります。
テキスト(教科書)Textbooks
長井圓編著、渡辺靖明ほか『未来世代の環境刑法1 Textbook 基礎編』(信山社、2019年)4,620円(税込)。
※下記参考書の『2』と間違えないように注意してください。
参考書References
長井圓『未来世代の環境刑法2 Principles 原理編』(信山社、2019年) 4,180円(税込)。
成績評価の方法と基準Grading criteria
成績評価は、授業で扱った基礎知識を問う定期試験 80 %、支援
システム上での小テスト 20 %の総合評価で行う予定です。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
本年度授業担当者変更によりフィードバックできません。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
コロナウィルスの感染予防及び省資源の観点から、レジュメを印刷
して直接配布をすることはしません。支援システムで事前にレジュ
メをアップするので、自身でプリントアウトをして持参するか、また
は電子機器で閲覧、書き込み等ができるように準備をしてください。
その他の重要事項Others
本年度から担当教員が変更となりますので、授業の進め方・方法・内容も変わります。
「憲法の基礎」、「行政法の基礎」、「刑法の基礎」、「民事法Ⅰ・Ⅱ」や、本授業以外の「環境法」等の他の法律系科目もあわせて履修しておくと、本授業の内容の理解が一層深まるでしょう。特に私が担当する春学期開講の「刑法の基礎」を履修しておけば、本授業の理解が容易になるかと思います。
なお、刑法に限らず、法律学は、条文、判例、学説を充分に理解せずに、自分のこれまでの断片的な知識・思い込みによる私見だけを一方的に主張しても、修得したことにはなりません。受講にあたり、また小テスト・定期試験受験時には、このことをよく理解しておいてもらいたいと思います。