連帯社会インスティテュートInstitute for Solidarity-based Society
POL500Q1-306(政治学 / Politics 500)国際労使関係論International and Comparative Industrial Relations
鈴木 玲Akira SUZUKI
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 連帯社会インスティテュートInstitute for Solidarity-based Society |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2024 |
授業コードClass code | X9938 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 木6/Thu.6 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | YS501 |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory | 選択科目 |
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Outline (in English)
In social science, the purpose of cross-national studies is to gain an insight into commonalities and differences in social organizations/institutions between countries. This course examines the development of the labor movement and industrial relations in the United States from the 1930s to the present. It also examines "intersectionality" of the labor movement and social issues (e.g., environment and racial issues). In examining these topics, the course considers implications of the U.S. experiences in the field of industrial relations for their Japanese counterparts.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
社会科学における外国研究の目的は、その国の社会制度を学ぶこと、それとの比較で、日本の社会制度を考える際にそこから何を学ぶことができるのかを明らかにし、日本の労使関係制度が抱える諸問題を考える際の手がかりを得ることにある。そのために本講義は、主に1930年代以降からのアメリカの労働運動と労使関係制度の歴史や現状について学ぶ。また、アメリカの労働運動と社会問題との「交叉」についても検討する。
到達目標Goal
アメリカの労働運動と労使関係について、1.運動志向や制度的特徴や変遷を把握し、2.背景要因としての政治、経済、社会等の諸制度をも含めたトータルな文脈を理解し、3.労働問題と社会問題(とくに環境問題と人種問題)との「交叉」あるいは相互関係の側面から考察できるようにすること。また、4.日本の労働運動と労使関係についても国際比較の観点から分析できるようにする。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP2」に関連。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
対面授業を中心としつつ、受講生と相談の上、必要に応じてzoom等によるon-line授業も行う。また、受講者数にもよるが、講義を中心としつつ、双方向的な議論を活発におこない、ともに考えながらアメリカおよび日本の労働運動と労使関係について学ぶ。
課題(レジュメ、レポート等の提出物)について講評する。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[対面/face to face]:比較労使関係研究の分析枠組み
労使関係についての基本的な分析枠組み、労使関係の「脱制度化」、比較労使関係の代表的な研究(収斂論、逆収斂論)について検討する。
第2回[対面/face to face]:アメリカの労働運動・労使関係の歴史(1):アメリカ労働運動の初期の歴史(1930年代初めまで)
労働騎士団、AFL、IWW 等の組合組織の結成・発展・衰退の文脈を概観する。経営者が労働運動に対してとった敵対的政策も検討する。
第3回[対面/face to face]:アメリカの労働運動・労使関係の歴史(2):産業別組合の発展(1930年代半ば~60年代まで)
ワグナー法制定後のCIOに代表される産業別組合の発展、戦後の団体交渉の範囲をめぐる労使間のせめぎあい、ビジネス・ユニオニズムに基づいた労使関係制度の確立などについて検討する。
第4回[対面/face to face]:トピック:アメリカの労働組合と環境問題(1)
1960年代から70年代にかけて、アメリカの労働運動が職場やコミュニティの環境、職業病問題にどのように取り組んだのかを検討する。
第5回[対面/face to face]:トピック:アメリカの労組合と環境問題(2)
1960年代から70年代にかけて、アメリカの労働運動が職場やコミュニティの環境、職業病問題にどのように取り組んだのかを検討する。
第6回[対面/face to face]:トピック:アメリカの労働組合と人種問題(1)
アフリカ系アメリカ人の職場および組合内での差別とそれを是正する運動について検討する。
第7回[対面/face to face]:トピック:アメリカの労働組合と人種問題(2)
アフリカ系アメリカ人の職場および組合内での差別とそれを是正する運動について検討する。
第8回[対面/face to face]:アメリカの労使関係制度の衰退と労働運動への影響(1)(1970年代~90 年代初め)
国際競争激化による労使関係の変化、労働運動の衰退について検討する。とくに、80 年代以降経営者が組合に譲歩を求め、さらに組合を潰そうとした事例、そのような強硬策に対する労働組合の抵抗について具体的事例を通じてみる。
第9回[対面/face to face]:アメリカの労使関係制度の衰退と労働運動への影響(2)(1970年代~90 年代初め)
国際競争激化による労使関係の変化、労働運動の衰退について検討する。とくに、80 年代以降経営者が組合に譲歩を求め、さらに組合を潰そうとした事例、そのような強硬策に対する労働組合の抵抗について具体的事例を通じてみる。
第10回[対面/face to face]:アメリカの労働運動・労使関係の近年の動向(1):労働組合の再活性化努力
AFL-CIO の改革と傘下組合の革新的な組織拡大活動、社会運動ユニオニズムの広がり、およびその限界について検討する。
第11回[対面/face to face]:アメリカの労働運動・労使関係の近年の動向(2):労働組合の再活性化努力
AFL-CIO の改革と傘下組合の革新的な組織拡大活動、社会運動ユニオニズムの広がり、およびその限界について検討する。
第12回[対面/face to face]:アメリカの労働運動・労使関係の近年の動向(3):ワーカーズセンター
労働組合組織率が激減するなかで、労使関係制度枠外で活躍する主に移民労働者を対象とする労働NGO(ワーカーズセンター)について検討する。
第13回[対面/face to face]:アメリカの労働運動・労使関係の現状と今後の展望
教員などの公務部門の労働運動の活性化や近年の民間部門における労働争議(例えば、UAWのスト)について、その背景や今後の労働運動への含意を検討する。
第14回[対面/face to face]:まとめ
これまでの授業の内容のまとめと、日本の労働運動・労使関係への含意について検討する。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とします。
テキスト(教科書)Textbooks
特定の教科書は使用しないが、事前学習ができるよう文献(本の章や論文)を講義の前に提示する。
参考書References
・チャールズ・ウェザーズ『アメリカの労働組合運動―保守化傾向に抗する組合の活性化』昭和堂、2010 年。
・アメリカの労働運動・労使関係を扱った日本語の図書中論文や学術雑誌論文(適宜指示)
・Fantasia, Rick and Kim Voss (2004) Hard Work: Remaking the American Labor Movement, University of California Press.
・Lichtenstein, Nelson (2013) State of the Union: A Century of American Labor. Princeton University Press.
成績評価の方法と基準Grading criteria
評価は、授業への出席、教材を読んだ感想(リアクションペーパー)の提出、授業での議論への参加等(20%)、および期末レポート(80%)に基づいて行う。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
外国語文献の扱いに留意する。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
必要に応じて指示する。
その他の重要事項Others
講義が中心となるが、それ以外にも授業内で双方向の議論を行うため、受講生の積極的な議論への参加が求められる。また、必須ではないが、英語文献を理解できることが望ましい。
担当教員の専門分野等
<専門領域>労働社会学
<研究テーマ>労働運動、社会運動、公害・職業病問題
<主要研究業績>
「職業病の定義と補償をめぐる論争と紛争:アメリカの石炭じん肺の事例を中心に」『経済志林』第89巻第3号(2022年3月)171~193頁。
『労働者と公害・環境問題』(法政大学出版局、2021年)(大原社会問題研究所・鈴木玲編著)
「企業別組合の公害問題への対応と住民運動との関係―富士市の公害問題を事例として」『日本労働社会学会年報』第30号(2019年)、26~49頁。
"Japanese Labour Unions and Nuclear Energy: A Historical Analysis of Their Ideologies and Worldviews", Journal of Contemporary Asia published on line, 03 May 2016.
"The Changing Relationship between Labor Unions and Civil Society Organizations in Postwar Japan", Development and Society, Vol.44, Number 2, September 2015, pp.219-246.