法学部Faculty of Law
POL200AC(政治学 / Politics 200)ジェンダー論ⅠGender Studies 1
中野 洋恵Hiroe NAKANO
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 法学部Faculty of Law |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2024 |
授業コードClass code | A0249 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 木5/Thu.5 |
科目種別Class Type | 講義 |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 / Ichigaya |
教室名称Classroom name | S205 |
配当年次Grade | 1~4 |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
他学部公開科目Open Program | ○ |
他学部公開(履修条件等)Open Program (Notes) | |
グローバル・オープン科目Global Open Program | |
成績優秀者の他学部科目履修制度対象Interdepartmental class taking system for Academic Achievers | ○ |
成績優秀者の他学部科目履修(履修条件等)Interdepartmental class taking system for Academic Achievers (Notes) | 成績優秀者の他学部科目履修制度で履修する学生:履修を希望する場合は、所定の手続きに従って申請すること。 |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
SDGsCPSDGs CP | |
アーバンデザインCPUrban Design CP | |
ダイバーシティCPDiversity CP | ○ |
未来教室CPLearning for the Future CP | ○ |
カーボンニュートラルCPCarbon Neutral CP | |
千代田コンソ単位互換提供(他大学向け)Chiyoda Campus Consortium | |
カテゴリー(法律学科)Category (法律学科) | 自由科目(他学科主催科目) |
カテゴリー(政治学科(2021年度以降入学者))Category (政治学科(2021年度以降入学者)) |
選択必修科目(26単位以上) 展開科目(12単位以上) |
カテゴリー(政治学科(2020年度以前入学者))Category (政治学科(2020年度以前入学者)) |
選択科目(84単位以上) 選択科目(政治学科主催科目) |
カテゴリー(国際政治学科(2021年度以降入学者))Category (国際政治学科(2021年度以降入学者)) |
選択必修科目(44単位以上) コース別科目(18単位以上) グローバル・ガバナンスコース科目 |
カテゴリー(国際政治学科(2020年度以前入学者))Category (国際政治学科(2020年度以前入学者)) |
選択必修科目(44単位以上) コース別科目(18単位以上) グローバル・ガバナンスコース科目 |
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Outline (in English)
Gender is one of the most important concepts in social science discourse. In the lecture, I will critically discuss political phenomena, events and institutions through gender lens.
Course outline
This course introduces gender concept, gender policy and gender issues in Japanese society to students taking this course.
Learning Objectives
The goals of this course are to understand Japanese gender issues and develop the ability to think critically about social phenomena.
Lecture/Exercise(two-credits)
Students will be expected to have completed the required assignments after each class meeting. Your study time will be more than four hours for a class.
Grading Criteria /Policies
Your overall grade in the class will be decided based on the following Term-end examination: 50%、Short reports : 50%
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
この授業は、政治学科科目の中で現代政治科目群に属する科目で、ジェンダーの視点から政治・政策を考察することを目的としています。ジェンダーは、現代社会を読み解くうえで、極めて有効な概念です。今日では、社会科学や人文科学における鍵概念の一つになっています。ジェンダーの概念とは何か?一言でいえば、権威化され、硬直化した既成の観念を批判し、新鮮かつ柔軟な見方を提示するための「ものの見方」であり、「考え方」と言うことができます。ジェンダーの概念は、これまで主流派政治学が見過ごしてきた社会の周縁や見捨てられた人びと、あるいは生活世界の問題に光を当て、停滞した既存の学問や固定化し融通性を失った通説への挑戦だといっても過言ではありません。本講義は、このような政治学における新しい領域としてのジェンダーの視点に光を当てます。このジェンダー論Ⅰでは、ジェンダーとはどのような考え方なのか、その意味や意義、アプローチなどを学びます。言わば、ジェンダー論の基礎編になります。
到達目標Goal
授業では、この「ジェンダー」を、現代社会を読み解く分析概念として位置づけ、政治や政策を、従来にない新しい観点から再考することを目指します。すなわち、既存の理論や考え方、あるいは通説を批判的に検討し、それらとは異なった、そして意外性のある見方や考え方を学びます。そしてそれがそれがどのような政策につながっているのかを理解してほしいと考えます。このような学びを通して、学生にはこれまでの概念を批判的に問い直し、自分自身の解答に到達する能力を身につけることを目指します。政治や政策は机上の理論ではなく、私たちの政策に密接にかかわっています。だからこそ参画して変えていくことが可能になるのです。そのために、ものごとの本質を見抜く、能力を磨くことを目標としています。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP2」に強く関連。「DP1」、「DP3」、「DP4」に関連。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
ジェンダーの視点から政治、政策の中心的な課題を問い直します。
(1)ジェンダー概念
本講義では、政治、政策の課題をジェンダーの視点から検討し、どのような変化がみられるのか、そのそしてその要因はどのような政治的、社会的と関わっているのかを理解します。
この作業の前提として、講義ではまずジェンダーとは何か、ジェンダーに基づく見方や考え方、またジェンダー分析の射程について学びます。従来、ジェンダーは男女の役割や関係を表す用語として用いられてきましたが、今にちでは様ざまな社会関係に応用され、また性の多様性を表現する概念に発展しています。
(2)様々な政策からジェンダー問題を理解する
1999年に可決された男女共同参画社会基本法、2020年12月に閣議決定された「第5次男女共同参画基本計画」をもとに様々な分野で推進されている政策を理解することによって. 政策決定過程やあらゆるレベルの政策及びシステムをジェンダー平等にするための政策理念「ジェンダー主流化(Gender Mainstreaming)」概念を明確にします。
(3)ジェンダー平等を進めるために
平等であることに異議を唱える人はあまりいないと思います。また、平等は人権が尊重され、誰もが幸福に生きるため社会的基盤といっても良いでしょう。しかし、いまだに、性別、人種や民族、性的マイノリティ、障がいのある人びとが差別的に取り扱われているという現実があります。
どうすればいいのか、国内の動きや海外の動きを見ることによって考えます。
授業ではパワーポイントの資料や行政で作成されている動画などを随時活用して講義を進めます。課題ごとのレポートを提出していただきます。また、提出していただいた課題ごとのレポートについては授業の初めに,いくつか内容を取り上げ,全体に 対してフィードバックを行います。
レポートの提出は「学習支援システム」通じて行う予定です。
また、対話やグループワークなどを取り入れ、参加型の授業を試みます。
授業は対面で実施します。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[対面/face to face]:序:本講義の目的、講義の見取り図
講義の全体像の理解
本講義の概要、全体を通して学ぶべきこと、受講の姿勢
第2回[対面/face to face]:ジェンダーとは?①
ジェンダーについての理解を深める
ジェンダーとは「社会的・文化的に形成された性別」のこと。人間には生まれついて の生物学的性別(セックス/sex)とは異なる。どうしてジェンダーについて考える必要があるかを理解する。
第3回[対面/face to face]:ジェンダーとは?②
ジェンダーをめぐる最近の動向について考える
現在ジェンダーをめぐる課題が大きく取り上げられるようになっている。
多様性をどう考えるかLGBTQやパートナーシップ制度等に関する法制度の整備も進んでいる。政策の動向についても考察する。
第4回[対面/face to face]:家族とジェンダー
未婚化、少子化が進んでいる。家族を形成する結婚や子育ての状況が変化している。歴史的な動向を説明すると主に現状の問題を考えるとともに。少子化に対応する子育て支援施策(異次元の少子化対策)についてジェンダーの視点から考える。
第5回[対面/face to face]:教育とジェンダー①
一般に教育の場は男女平等だと言われている。問題はないのかを考える。
教育の中に潜むジェンダー問題を明らかにする。
第6回[対面/face to face]:教育とジェンダー②
「理系は男子が得意で女子は文系が得意」という言説について考える。内在しているアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)を理解する。
第7回[対面/face to face]:労働とジェンダー①
「女性の活躍」が政策課題になっている。女性の継続就労が当たり前になりつつある中の課題について言及する。
女性活躍推進法の改正によって、2022年から条件に該当する企業は「男女の賃金の差異」情報の公表が義務付けられることとなった。また、「年収の壁」を意識せず働くことができる環境づくりも進められている。このような動きの中で男女賃金格差問題を考える。
第8回[対面/face to face]:労働とジェンダー②
男女ともに働きやすい職場環境を作るために「ワーク・ライフ・バランス」の取組が進んでいる。2022年に男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設させた。男性が育児に関わることの意味と課題を考える。
第9回[対面/face to face]:メディアとジェンダー
インターネット、テレビ、新聞や雑誌など私たちのまわりは情報にあふれているがジェンダーのステレオタイプを再生産することが少なくない。メディアをジェンダーの視点で分析するとともに「メディア・リテラシー」を理解する。
第10回[対面/face to face]:女性に対するあらゆる暴力の根絶
女性に対する暴力は重大な人権侵害である。その予防と被害からの回復、暴力の根絶を葉来るためのはどうすべきかを考える。
改正された刑法について説明し「性的同意」を考える。
第11回[対面/face to face]:政治とジェンダー
政策・方針決定過程への女性の参画の拡大は現在の日本において大きなジェンダー課題となっている、特に政治分野における女性の参画拡大を進めるためにはどのような方策がとられているかを理解する。
第12回[対面/face to face]:国内のジェンダー平等政策
ジェンダー平等を進めるためにどのような方策がとられてきたのかを「男女共同参画基本計画」を基に理解する。
さらにジェンダー平等に向けた法制度についても概観する。
第13回[対面/face to face]:国際的に見たジェンダー平等の取組
世界の中でも日本のジェンダー平等のランキングは低い。SDGs、GGGI等の国際的な動向を踏まえ日本の課題を考える。ジェンダー平等が達成されていない分野を明確にし。その要因も考える。
第14回[対面/face to face]:授業内試験
持ち込み不可
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
事前の下調べ、授業後のノート整理は不可欠です。また、理解を深めるために、紹介文献等を読むことを薦めます。本授業の準備学習・復習時間は各2時間を標準とします。
テキスト(教科書)Textbooks
毎回レジュメや参考資料を配付する、映像資料も活用する。
参考書References
・三浦まり『さらば、男性政治』(岩波新書2023年)
・牧野百恵『ジェンダー格差』(中公新書2023年)
・第5次男女共同参画基本計画
http://www.gender.go.jp/about_danjo/basic_plans/4th/index.html
・内閣府「仕事と生活の調和」推進サイト ワーク・ライフ・バランスの実現に向けて
http://wwwa.cao.go.jp/wlb/index.html
・女性に対する暴力
若年層を対象とした性的な暴力の啓発教材
http://www.gender.go.jp/policy/no_violence/index.html
NWEC実践研究第9号「ジェンダーに基づく暴力」
・内閣府男女共同参画局女性活躍推進法見える化サイト
http://www.gender.go.jp/policy/suishin_law/index.html
・厚生労働省女性活躍推進法特集ページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000091025.html
・内閣府男女局 理工チャレンジ(リコチャレ)
http://www.gender.go.jp/c-challenge/
・科学技術振興機構 ダイバーシティ推進
http://www.jst.go.jp/diversity/index.html
・初等中等教育における男女共同参画
国立女性教育会館https://www.nwec.jp/about/publish/kyoin-program.html
成績評価の方法と基準Grading criteria
内容ごとの課題レポートの提出(50%)
筆記試験(授業内試験、持ち込み不可)(50%)
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
学生の理解度に注意を払い、受講へのモチベーションを高めるように努力します。ジェンダー平等に向けてどのような社会を構築することが持て目られるのかは様々な意見があります。現状の何が課題となっているのかをデータや理論から丁寧な説明を心がけます。
意見交換の場の充実を検討します。