法務研究科Law School
LAW500A2(法学 / law 500)地方自治法Law of Municipality
原島 良成Yoshinari HARASHIMA
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 法務研究科Law School |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2024 |
授業コードClass code | V5121 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 金2/Fri.2 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | 各学部・研究科等の時間割等で確認 |
配当年次Grade | 2~ |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | 選択 |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory |
展開・先端科目群 先端 |
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Outline (in English)
In this course, we will focus on the general theory regarding legal status of local government (LG). Referring to specific legal materials in administrative law, students will learn functions of the decentralized and autonomical administrative organization established by the Local Autonomy Act and apply it to the analysis of actual cases in LG administration. Such course work provides effective training in improving the qualifications of legal profession who are asked by LG for advice, or attorneys for residents in the citizen suit seeking to redress the treatment of LG financial accounting.
Before each class meeting, students will be expected to have completed the required assignments. It will take about 2 hours per week. And after the lecture, students must review the cases or materials in it by reading relevant handbooks (about 2 hours working).
Your overall grade in the class will be decided based on the following.
Short reports: 20%, final report: 60%, in-class contribution: 20%.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
本科目では、自治体の法的地位に関する一般理論が講義される。学生は、個別行政法およびその争訟事案を参考にしながら、地方自治法が構築した行政組織法制の分権機能および自治機能を読み取り、現実の自治体行政現象の分析に応用する。そうした作業は、自治体から運営上の助言を求められる弁護士、あるいは自治体財務会計の適正化を求める住民訴訟の代理人弁護士としての資質を高める上で、有効なトレーニングとなる。
到達目標Goal
1:自治体原告訴訟を類型ごとに整理し、判決文に自治体の法的地位を探る手掛かりを見出すことができる。
2:住民訴訟が政策過程に与えうる影響を、判例と地方自治法改正経緯を踏まえ議論することができる。
3:法令の執行における自治と分権の機能について、地方自治法の条文に触れつつ説明することができる。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP6」に関連
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
講義方式で進める。提出されたレポートにはコメントを付して返却する。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
なし / No
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[対面/face to face]:自治体の法的地位(概観)
地方自治法を参照して、自治体の組織と運営の基本構造を把握する。特別区の法的地位に関する判決と自治「会」の法的地位に関する判決を対照し、住民結社ではなく地方政府として自治体を把握する。付随して「住民とは誰か」も問いたい。
[準備学習等]
自治会をめぐる法的紛争について調査検討してくること。住民自治の意義について調査検討してくること。
第2回[対面/face to face]:自治体原告の可能性
いわゆる「自治権」論を概説した上で、自治体が原告となった古典的判決を分析し、学説に対する判例理論の位相を測る。後半は、自治体原告民事訴訟を素材に、行政実体法上の自治体の「権利」について議論する。
[準備学習等]
予習用シートの指示に従って予習。
第3回[対面/face to face]:自治体原告訴訟の最先端(概観)
自治体が原告として提起する民事訴訟には、司法過程をつうじた公益実現の目論見が「伏在」するが、必ずしも却下されないことを前回確認した。公益実現を全面に出した行政訴訟を更に検証し、自治体の法的地位に関する認識を深める。
[準備学習等]
予習用シートの指示に従って予習。
第4回[対面/face to face]:自治体原告訴訟の最先端(個別事案分析)
函館市大間原発訴訟、泉佐野市交付税訴訟等を素材にこれまでの学修内容を確認した上で、辺野古紛争の司法解決可能性について議論する。
[準備学習等]
予習用シートの指示に従って予習。
第5回[対面/face to face]:特殊な自治体機関原告訴訟(機関訴訟)
地方自治法上の「関与」制度について講義した上で、実例(辺野古紛争関係)を検証する。大阪国保最判と辺野古裁決取消訴訟(最一小判令和4年12月8日)を対照し、裁定的関与に係る抗告訴訟の可能性にも触れる。
[準備学習等]
予習用シートの指示に従って予習。
第6回[対面/face to face]:特殊な自治体機関被告訴訟(住民訴訟)
主として四号請求訴訟を念頭に、住民訴訟が自治体の政策過程に与える影響について考察を深める。2002年改正と損害賠償請求権放棄議決に関する判例、さらにその後の地方自治法改正の経緯を素材とする。
[準備学習等]
予習用シートの指示に従って予習。
第7回[対面/face to face]:紛争調停者としての自治体(行政不服審査)
自治体の法的地位は自治権ないし行政権限の主体としてのそれにとどまらない。自治体には、住民等の申立てを受けて公正かつ専門能力のある紛争調停者としての役割も期待される。行政不服審査法の審理員・不服審査会過程を概観した上で、案件処理実務の観点から、とりわけ行政判断「不当」性審査のあり方を検証する。
[準備学習等]
予習用シートの指示に従って予習。
第8回[対面/face to face]:法定自治事務の執行
前回まで、手続法を手掛かりとして自治体の法的地位を総論的に分析してきた。今回から実体法を貫く一般理論として「事務論」「条例論」に触れ、各論的検証に入る。手始めに累次の分権的法改正経緯を概観し、自治事務執行の実態について講義する(いわゆる委任条例の便宜性を中心に)。
[準備学習等]
予習用シートの指示に従って予習。
第9回[対面/face to face]:非法定自治事務の執行
前回に続き国からの自律性に注目する。国からの補助が付く事務事業は非法定事務であることが多く、自治事務でありながら国による統制の密度が極めて高い。このことの是非を議論する。いわゆる並行(自主)条例の制定可能性は第12回の話題とする。
[準備学習等]
予習用シートの指示に従って予習。
第10回[対面/face to face]:法定受託事務の執行
自治体の事務ではあるが「処理基準」による国の統制が及ぶ。公健法に基づく水俣病認定の争訟事例(最三小判平成25年4月16日)を素材に処理基準の機能を概説する。
[準備学習等]
予習用シートの指示に従って予習。
第11回[対面/face to face]:自治体政策の実効性確保
話題を執行法務から政策法務に転換する。条例で刑罰を規定することの是非に関する判例を概観した上で、代執行、過料、公表等の刑罰以外の実効性確保手法の導入可能性について講義する。規制政策におけるインフォーマル手法志向(要綱行政)の経緯と現状にも言及する。
[準備学習等]
予習用シートの指示に従って予習。
第12回[対面/face to face]:規制政策の条例化(地域環境管理を例に)
地域環境管理の分野ではいわゆる自主条例による自治事務のフォーマライズも多く行われてきた。その行政実務的意義(自然保護規制、産廃処理施設規制、旅館業規制等を素材に)を講義した上で、並行条例の法律抵触性審査に関する判例理論を確認し、今日における自治体事務条例の制定可能性について議論する。
[準備学修等]
予習用シートの指示に従って予習。
第13回[対面/face to face]:自治体政策の正統性
統治は正統でなければならない。自治体事務の裁量性を拡大させる論理として住民自治が説かれる半面で、伝統的な公法理論は、行政の民主化を警戒してきた。宗教団体信者の住民票編成を拒否した事案等を素材として、自治体(政策裁量)の存在意義と逆機能を講義する。直接参政制度(町村総会制度を含む)にもここで言及する。
[準備学習等]
予習用シートの指示に従って予習。
第14回[対面/face to face]:自治体の任務・責任・権限
防災・公衆衛生行政等の時事的話題を取り上げ、自治体の法的地位に関しこれまで講義してきたところとの接点を確認する。
[準備学習等]
予習用シートの指示に従って予習。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
全14回分の予習用シートと資料集が開講時に一括配布されるので、学生は、各回の受講前に該当箇所を予習用シートの指示に従って予習する(メモを作成する)。受講後は、予習用シートのメモに講義で得た知識を補完して情報を整理しつつ、必要な補充調査を行う。
学則に照らし、本授業の準備学習・復習時間は各2時間を標準とする。
テキスト(教科書)Textbooks
・教科書は特に指定しない。
・地方自治法が収録されている法令集を持参するか、タブレットないしパソコンで検索できる態勢を整えること。
・予習用シートを持参すること。印刷して持参でもパソコンに入れて持参でも構わない。講義中にメモを取ることになる。
参考書References
・小幡純子ほか編『地方自治判例百選〔第5版〕』(有斐閣、2023年)
・宇賀克也『地方自治法概説〔第10版〕』(有斐閣、2023年)
・曽和俊文『住民訴訟の法理と改革』(第一法規、2023年)
・北村喜宣先生還暦記念『自治立法権の再発見』(第一法規、2020年)
成績評価の方法と基準Grading criteria
評価割合は以下のとおり。小レポートは講義中に随時提出を要求する(原則として予習用シートのメモに情報を補充したものを提出することになる)。
・期末レポートにおける評価 60%
・小レポートの評価 20%
・授業における質疑応答等の評価 20%
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
本年度授業担当者変更によりフィードバックできません。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
資料配布・課題提出等のために学習支援システムを利用する予定です。
その他の重要事項Others
憲法・行政法の基礎知識を随時確認しながら進めます。本科目はあくまで地方自治法の解読を主題としますが、付随して個別行政法の執行を分析しますので、【行政法の習熟度を高める】という目的意識も持って受講してください。