政策創造研究科Graduate School of Regional Policy Design
ARSl520R1(地域研究(援助・地域協力) / Area studies(Regional cooperation ) 500)地域コミュニティ論Theory of local community
中島 由紀Yuki NAKAJIMA
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 政策創造研究科Graduate School of Regional Policy Design |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2024 |
授業コードClass code | XW109 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 秋学期後半/Fall(2nd half) |
曜日・時限Day/Period | 月6/Mon.6,月7/Mon.7 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
教室名称Classroom name | 各学部・研究科等の時間割等で確認 |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | ○ |
選択・必修Optional/Compulsory | 選択 |
カテゴリーCategory |
(修士課程)プログラム科目 経済・社会・雇用創造群 |
所属群1Affiliation group 1 | 経済・社会・雇用 |
経済・社会・雇用創造群Economic/Social/Employment/ Creation Group | |
所属群2Affiliation group 2 | 文化・都市・観光 |
文化・都市・観光創造群Culture/City/Tourism/ Creation Group | |
所属群3Affiliation group 3 | |
地域産業・企業創造群Regional Industry and Business Creation Group |
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Outline (in English)
The first half organizes the classic concept of community theory and its transition.From there, we will look at how it was treated in Japanese society.The second half will focus on today's "community" subject. With reference to concrete examples and phenomena, we will consider how to solve the "community".By the end of the course, students should be able to do the following:
· The point of discussion of the "community" will be clarified when preparing the paper.
· To be clear what you are focusing on in the ambiguous "community".
· Learn the basic knowledge of statistics used in questionnaire surveys.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
地域コミュニティは多様な使われた方があり、その定義や理解も非常に多岐にわたる。本講義では、昨今使われている「地域コミュニティ」の本質を複数の観点から掘り下げていき、最後は最新事例をみながら考察を深める。
▼前半はコミュニティの理論の古典的概念とその変遷を整理していき、それらが日本社会でどのように扱われ、それによって社会生活の中でどのような位置づけで語られてきたかをみていく。
▼後半は、今日的「地域コミュニティ」の課題に焦点を当て、具体的な事例や現象から「地域コミュニティ」の何が問題で、どう解決していくべきかを考えていく。特に、コロナは私たちの生活や価値観に大きな影響を与え、この変化はコミュニティの在り方にも大きく影響を与えている。論点となるのはネット社会と新しいコミュニティ形成についてである。この点について考えていく。
▼最終回の2回は、ここ数年で激変している日本社会。これからの社会に求められているコミュニティの在り方を考えて、グループ討議する。
到達目標Goal
①自身の問いが明確になり調査研究の方向性が固まること。
②自身の論文で「地域コミュニティ」を扱う場合に、コミュニティの何にアプローチし、どの観点から論じるのか、論点が明確になること。
以上の2点が到達できることが目標である。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
政策創造研究科修士課程のディプロマポリシーのうち、「DP1」「DP2」「DP4」に関連
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
・講義形式を中心に、各回のテーマに沿った参考文献、資料、論文を読んだり、映像視聴や事例をみていき、適宜グループディスカッション形式も取り入れる。
・また、講義資料と参考論文から、社会科学でよくでてくるアンケート調査の統計処理方法を提示する。ここから、論文作成に必要な基礎的な統計データの読み方(主にクロス集計、多変量解析)について触れる時間も設けるので、各自論文作成に役立ててもらいたい。
・事前に読んでおいて欲しい資料は適宜提示する。その場合は、次の講義で同資料の輪読を中心にディスカッションを行うため必読である。
・毎回、講義終了時にコメントシートを配布するので、授業で得た気づきや疑問、論点整理などを記載して提出してもらうが、これが出席カードの代わりとなるので留意して記入いただきたい。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
1回[対面/face to face]:〇イントロダクション
〇コミュニティとは何か?─理論の系譜─
〇近代から現代の変化
R.M.マッキーバー、F.テンニエス、ジンメル、ワース、バージェスらの古典的コミュニティの概念を整理する。
その上で、日本でいかに「コミュニティ」が捉えられ、議論されてきたか根幹を確認する。
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2回[対面/face to face]:〇近代から現代
都市論からみたコミュニティ
〇日本の共同体から都市化の変化
第1回に続き、コミュニティ論の変遷を都市論の観点でみていく。その上で、日本の共同体の概念から都市化を経た社会変化を背景に、現代的日本の課題は何かをディスカッションする。
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3回[対面/face to face]:〇コミュニティ政策の変遷
〇自治体における地域コミュニティ活性化への取り組み
1970年代から始まった旧自治省のコミュニティ政策の変遷をたどり、政府が意図していたコミュニティの活性化と現実がどのように乖離したのか、なぜ乖離したのかを考えていく。本回は特に、町内会・自治会といった機能組織の側面からの変遷を捉えていく。
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4回[対面/face to face]:〇コミュニティ参加の問題
〇「かかわり」の意識と「共同性」「公共性」の問題
日本のNPOや公共を担う団体組織の現状を概観し、どのような政策が進められてきたかをみていく。 ここから日本人の「個」と「共同性」「公共性」の問題について考える。人々の公共性はいかに醸成されるのか、行動にうつすにはどうしたらいいのか。今日的コミュニティへの「参加」の問題を扱う。
5回[対面/face to face]:〇日本人の生活と価値観の変化
〇「ウチ/ソト」「タテ/ヨコ」社会、「信頼と安心」
○ネット社会がもたらしたコミュニティの変化
日本的生活様式、価値観はどのように変化してきたか。生活と価値観の変化は、そのまま「コミュニティの在り方の変化」と捉えることができる。
旧来型の地縁型コミュニティの特性は何か、その後のネット社会とコロナがあたえたコミュニティへの影響。今日的地域コミュニティの変化の問題を考えていく。
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6回[対面/face to face]:〇「新しい地域コミュニティ」を考える
〇関係人口、DAOといった新しい形のコミュニティ形成を考える
2020年以降のコロナ禍は、私たちの生活様式や価値観に大きな変化を与えた。さらに、ここ数年連続して起きている自然災害や、働き方が多様になり副業社会へと移行していきている日本。私たちの生活環境はここ数年で激変してきている。この社会変化の中で、コミュニティの存在意義を考える。これから求められているコミュニティの在り方は?特に、最近の新しいコミュニティの形として、関係人口創出事業やDAOについても触れる。
第6回は、これらの変化を念頭にグループに分かれてディスカッションし、各グループが描く「新しい地域コミュニティの在り方」をまとめていく。
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7回[対面/face to face]:〇コミュニティの行方
〇新しいコミュニティの形はどこへ向かうのか?
第6回目でディスカッションしたグループの「新しい地域コミュニティの在り方」を発表。
さらに、これからの日本社会における、新しい地域コミュニティの在り方を議論していく。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
各講義で参考資料や論文を配布するので、それらを次回講義までに必ず読了しておく。本授業の準備学習・復習時間は各 2 時間を標準とする。
また、授業欠席者は資料を受取れるようにしておくため適宜キャッチアップして参加するのが望ましい。
テキスト(教科書)Textbooks
以下の【参考書】の中で「●」は授業中に必ず使う。授業中に使う部分のみ一部をコピーして配布するが、全文を読了しておくことが望ましいです。
参考書References
《必読》
●『安心社会から信頼社会へ』山岸俊男,1999(中公新書)
●『共同体の基礎理論』内山節,2010年(農山漁村文化協会)
●『生き心地の良い町』岡壇,2013(講談社)
『都市コミュニティの社会学』中村八朗, 1973(有斐閣双書)
『都市コミュニティ論』倉田和四生,1985(法律文化社)
『タテ社会の人間関係』中根千枝,1967(講談社現代新書)
『都市的共同性の社会学』中道實、神谷国弘,1997(ナカニシヤ出版)
『われらの子ども ─米国における機会格差の拡大』ロバート・D・パットナム,2017(訳(創元社)
『コミュニティを問いなおす』広井良典,2009(ちくま新書)
『集団と組織の社会学―集合的アイデンティティのダイナミクス』山田真茂留,2017(世界思想社)
『サードプレイス 「コミュニティの核になるとびきり心地よい場所」』レイ・オルデンバーグ,2013(みすず書房)
成績評価の方法と基準Grading criteria
・授業の参加とコメントシートの提出(60%)
・6回目のグループワーク&7回目の発表(20%)
・最終レポート提出(20%)
※グループワークへの参加が難しい場合は個別取組みでの対応も可、但し事前に要相談
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
●今日的「コミュニティ問題」の扱い方について
コミュニティの変化は時代の変化に呼応している。本講義の後半は今日的「コミュニティの問題」を扱う訳であるが、本講義はシラバス公開後半年以上先の開講となるため、実際の講義は時代の変化に合わせた内容に適宜変更している。この時代感にマッチした内容の討議、事例の検討が学生からは非常に有益であったという意見があったため、今年度も継続して行う。
●毎年、講義以外に調査方法として多くの学生が良かった点で挙げてくれるのは以下の3点がある。実際にもらったコメントと併せて紹介する。
①コミュニティの歴史と年表について「コミュニティの概念を歴史を遡り各時代での意味と意義を考える行為は非常に参考になった。年表を作成して考えを整理する方法も、別のテーマでも応用できる」
②文献の探し方「国会図書館や公文書検索について「論文作成に非常に参考になった」
③統計データの探し方について「e-statは少しいじったことがあったが、具体的なリサーチ方法や入口を聞けて非常に役に立ちました」
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
授業で使う資料を都度、共有するため、各種資料を正確にダウンロードし一読した上での受講をお願いする。