通信教育部(スクーリング)School of Correspondence Education (Schooling)
ART200TC(芸術学 / Art studies 200)日本文芸研究特講・祭りと芸能(夏期スクーリング)Special Study of Japanese Literary Arts
今泉 隆裕
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 通信教育部(スクーリング)School of Correspondence Education (Schooling) |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2023 |
授業コードClass code | 34012 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
担当教員(自由記述)Instructor name | 今泉 隆裕 |
科目種別Class Type | スクーリング |
教室名称Classroom name | |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory | 夏期 |
期間Period | 2群午後 |
定員Capacity | |
予備登録の有無Presence or Absence of Preliminary Registration | |
受講可能な学科・学年Eligible Courses / Grade | 『法政通信』受講申込み等関連頁を参照 |
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Outline (in English)
In this lecture, we will discuss the relationship between festivals and performing arts. Performing arts were generated from the ceremony. This is also the theory. Eventually, the religiousness is lost from the performing arts, and interest in the performing arts itself shifts. Think about the historical background in this lecture.
Before/after each class meeting, students will be expected to
spend four hours to understand the course content.
Final grade will be calculated according to the following process
term-end examination (80%), and in-class contribution(20 %).
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
1896年近代オリンピックはギリシアで開催された。いうまでもなく、近代オリンピックはフランス人・クーベルタン男爵によって発案された。とはいえ近代オリンピック以前、ヨーロッパで「オリンピック」を冠した運動競技会は開催されていた。
じつはルネサンスの影響はフィレンツェから遠く離れた島国イギリスにも波及し、古代ギリシア研究はかの地でも花開く。イギリスの歴史学者や考古学者は古代ギリシアの研究に強い関心を示し、古代オリンピックの故事に関しても研究発表が行われていた。それが一般の人々にも知られるようになると1612年イギリス中部バーミンガムにほど近いチッピング・カムデンに住む弁護士ロバート・ドーバーは、自ら所有していた牧場を古代オリンピアのクロノスの丘に見立て「コッツワルド・オリンピック」という運動競技会を毎年春に開催しはじめる。大会はピューリタン革命の影響を受けて、1643年には中止され、1660年の王政復古でチャールズ2世が王位につくと、一時的に再開されるが、長くつづくことはなかった。また1850年にイギリス中西部のシュロンプシャー州マッチ・ウェンロックでウィリアム・ブルック博士が「マッチ・ウェンロック・オリンピック」なる運動競技会をはじめている。
のちにチッピング・カムデンにひとつの記念碑が建てられた。そこには「ロバート・ドーバーの有名なオリンピック競技大会は、およそ1612年から1852年まで行われた」と記されている。これはコッツワルド・オリンピックが中断をはさんで、マッチ・ウェンロック・オリンピックで復活したとの理解らしい。この記念碑を訪れたクーベルタンは近代オリンピックのアイディアを膨らませ、今日のオリンピック大会となったのである。
オリンピックが再生したように「ルネサンス」は「再生」を意味する。では、古代ギリシアにおけるオリンピックとは何だったのか。
古代ギリシアにおけるオリンピックは、聖なる場所で、聖なる時間に実施される、聖なるゲームであり、神々を称える崇拝行事であった。さらにいえば、古代ギリシアにおいては死者を弔うために運動競技会が開催されていたのである(これをしばしば「葬祭競技」という)。われわれは運動競技を芸能や芸術と同列に扱うことがあまりない。しかし、これらはすべて同列に扱われてきたのである。そして運動競技も、芸能も、芸術もすべて宗教と未分化であったのである。
芸能の起源は宗教儀礼にあるという理解は一般的である。
日本民俗学では折口信夫がそのことについて言及している。またそのアイディアに影響を与えたとされるジェーン・E・ハリソン『古代の芸術と祭祀』(Jane Ellen Harrison”Ancient Art and Ritual”)はよく知られる。芸能史や民俗学におけるハリソンの引用は、多くの場合、芸能の信仰起源を説明する際になされる。しかし原題にあるように宗教儀礼が芸術(芸能を含む)を胎動させたことについて論じられているのであり、ハリソンは芸能のみを射程にしてはいなかった。しかも日本においても卜占行事のなかに綱引きや相撲、流鏑馬などがあるとすれば、われわれが考える運動競技の起源も宗教儀礼と無縁でないことがわかるだろう。
また「スポーツ」なる言葉の原義についても講義では言及するが、一般にスポーツが宗教起源であると考える人は少ないだろう。少なくとも日本ではスポーツは運動とほぼ同義で信仰を結びつけてイメージする人はほぼいないのではないか。
本講義では、今日われわれが競技と考えるものをも含めて芸能と解し、それらと祭り(祭祀儀礼)との関係について、その一端を垣間みることとしたい。
到達目標Goal
芸能が信仰を起源としながらも、芸能そのものに興味が転移し、それ自体が目的と化すことや、それらの芸能が当初の目的とは異なる利用のされ方をすることで生きながらえることなどについて考えをめぐらして欲しい。歴史社会とのかかわりのなかであらゆることは変化する。そのことについて理解を深めてほしい。興味の対象の変化、目的の転移(トランジット)について一緒に考えたい。
また、現代のわれわれからすると一見無関係にみえるものが、じつは深いつながりをもつことを知ってもらいたい。同時に近代化以降の世界が、それまでの人類の営みと断絶していることにも目を向けてほしい。日常では意識されない連続性、あるいは断絶性に想いを馳せてほしい。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」「DP2」に関連
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
授業形態は、講義形式とする。
フィードバックのために毎回リアクションペーパーの提出を求める。
リアクションペーパーの内容についても必要なとき言及する。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
なし / No
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[対面/face to face]:講義概要
講義の進め方についての概要
第2回[対面/face to face]:祭りと芸能
「祭」「芸」「能」の字義について
白川静の議論などを紹介しつつ、その漢字の字義について考える。
第3回[対面/face to face]:「まつり」等の語義について
白川静の議論などを紹介しつつ、「まつり」等の語源や語義について考える。
第4回[対面/face to face]:祭りについて①「祭りと祭礼」
日本民俗学における祭りの諸説について紹介する。おもに柳田国男『日本の祭』の内容に言及することになるであろう。
第5回[対面/face to face]:祭りについて②宗教学にみる祭りについて
宗教学者・竹中信常、および柳川啓一の宗教儀礼、および祭りに関する諸説を紹介する。
第6回[対面/face to face]:芸能信仰起源説について①折口信夫
折口信夫『芸能史六講』について紹介する。あわせて、それに対する疑義についても紹介する。
第7回[対面/face to face]:芸能信仰起源説について②J・E・ハリソン
J・E・ハリソン『古代の芸術と祭祀』について紹介する。ハリソンはJ・フレイザーをよく参照することで知られる。そこで文化人類学についても言及する。
第8回[対面/face to face]:祭礼と競技(オリンピック)
古代オリンピックについて①
古代オリンピックについてVTRなどを見ながら儀礼と運動競技について考える。
第9回[対面/face to face]:祭礼と競技(オリンピック)
古代オリンピックについて②
葬祭競技、および近代五輪についても言及する。
第10回[対面/face to face]:祭礼と競技(日本)
オリンピック以外、日本における祭礼と競技について考える。相撲と鎮魂を取り上げる
第11回[対面/face to face]:祭礼と競技(日本)
オリンピック以外、日本における祭礼と競技について考える。流鏑馬等、弓について取り上げる
第12回[対面/face to face]:まとめ、および試験
講義のまとめ、および授業内レポート
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
復習時間は、各2時間を標準とします。
本授業の準備・授業内で指示した課題にしっかり取り組む。
テキスト(教科書)Textbooks
特に指定しない。必要な際は授業内で指示する。
参考書References
柳田国男『日本の祭』(角川文庫)、折口信夫『芸能史六講』(講談社学術文庫)、ジェーン・E・ハリソン『古代芸術と祭式』(ちくま学芸文庫)
そのほか授業内で紹介する。
成績評価の方法と基準Grading criteria
出席状況と、学期末の授業内レポート(試験)を持って評価する。目安としてはレポート80%、平常20%とする。ただし、出席状況だけでは判断しない。したがって、レポートを提出しないものは評価できないと考えて下さい。出席はあくまでレポートの評価を補うものとします。
また講義内容の曲解や、また講義内容に言及しないレポートの評価は低くなることは言うまでもありません。到達目標を参照し、それを加味したレポートを作成して下さい。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
試験解答をみていると、質問の意味を了解していないものが散見されます。
図書館等を積極的に活用し、自主学習にも取り組んで理解を深めてほしいです。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
使用しません。
その他の重要事項Others
※それぞれのテーマを何回講義するかは未定である。
※取り上げるテーマは進度等、都合により変更されることがあります。