国際文化学部Faculty of Intercultural Communication
FRI200GA(情報学フロンティア / Frontiers of informatics 200)文化情報学概論Introduction to Philosophy of Information-Culture
森村 修Osamu MORIMURA
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 国際文化学部Faculty of Intercultural Communication |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2023 |
授業コードClass code | C1503 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | 情報倫理学 |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 月3/Mon.3 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 / Ichigaya |
教室名称Classroom name | 学部HP「2023年度時間割について」を確認 |
配当年次Grade | 3~4 |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
他学部公開科目Open Program | |
他学部公開(履修条件等)Open Program (Notes) | |
グローバル・オープン科目Global Open Program | |
成績優秀者の他学部科目履修制度対象Interdepartmental class taking system for Academic Achievers | ○ |
成績優秀者の他学部科目履修(履修条件等)Interdepartmental class taking system for Academic Achievers (Notes) | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
SDGsCPSDGs CP | |
アーバンデザインCPUrban Design CP | |
ダイバーシティCPDiversity CP | |
未来教室CPLearning for the Future CP | |
カーボンニュートラルCPCarbon Neutral CP | |
千代田コンソ単位互換提供(他大学向け)Chiyoda Campus Consortium | |
旧科目との重複履修Duplicate Subjects Taken Under Previous Class Title | ○ |
人数制限・選抜・抽選Capacity/Selection/Rondom | |
毎年・隔年Frequency | 毎年開講 |
すべて開くShow all
すべて閉じるHide All
Outline (in English)
【Outline and objectivies】
This class is an "introduction" of a new academic term "informatics of culture" advocated by the Faculty of Intercultural communication.
In 2023, we will examine the question of what cultural analytics is. Cultural Analytics is a discipline proposed by Lev Manovich (1960-, Professor of Computer Science at the Graduate Center of the City University of New York), a Russian artist, theorist, and critic of new media. In this class, we will consider Manovich's Instagram and Contemporary Image(2017), using his "Cultural Analytics" method to consider the state of contemporary visual culture.
【Learning Objectives】
At the end of the course, students are expected to examine a theory of visual culture.
【Learning activities outside of classroom】
Students will be expected to have completed the required assignments after each class meeting. Your study time will be more than four hours for a class.
【Grading Criteria /Policy】
Your overall grade in the class will be decided based on the following
Term-end examination: 30%、Short reports : 30%、in class contribution: 40%
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
《授業の概要》
本科目は、国際文化学部が提唱する「文化情報学」という新しい学問の「入門(introduction)」にあたる科目です。「文化情報学」とは、様々な文化現象を「文化情報」として捉え直し考察する学問です。そして、それぞれ固有の文化現象のなかに共通する新しい〈意味〉や〈価値〉を見出したり、文化現象を「文化情報」という角度から解釈し直したり、「文化情報」としての〈新しい意味〉や〈新しい価値〉を創出したりすることを目指します。
そこで、2023年度の本授業では、「カルチュラル・アナリティクス(文化分析学)とは何か?」という問いを巡って、文化情報学のあり方を考えていきます。「カルチュラル・アナリティクス(文化分析学)」とは、アメリカ合衆国で活躍しているロシア人のニューメディアのアーティスト・理論家・批評家レフ・マノヴィッチ(Lev Manovich, 1960-, ニューヨーク市立大学大学院センター・コンピュータ・サイエンス教授)が提唱している学問です。
本授業では、マノヴィッチ氏の『インスタグラムと現代イメージ(Instagram and Contemporary Image)』(2017)を中心に、彼の「カルチュラル・アナリティクス」が、現代視覚文化の状況をどのように把握しているかを考えていきます。マノヴィッチ氏は、現代視覚文化の状況を捉えるために、インスタグラムを用います。彼は同書で、現代文化に大きな影響力を持っていながら、これまでの写真論ではほとんど議論されてこなかったインスタグラムを対象にします。彼は、2012年から2015年までにインスタグラムにアップロードされた約1500万枚の画像をデータ分析にかけて、新しい写真論を構築しました。さらに2020年には、その成果を発展させ『カルチュラル・アナリティクス(Cultural Analytics)』(2020)という著作を上梓しています。そこで提唱されているのは、「ニューメディアからモアメディアへ(From New Media to More Media)」ということです。
そこで本授業では、マノヴィッチ氏のインスタグラム論を取り上げ、『カルチュラル・アナリティクス』までの経緯を辿ることで、私たちの「文化情報学」のひとつのあり方を考えていきたいと思っています。
《授業の目的》
本科目では、レフ・マノヴィッチ氏と日本人研究者の共著『インスタグラムと現代視覚文化——カルチュラル・アナリティクスをめぐって』(2017)をテキストにして、マノヴィッチ氏の「カルチュラル・アナリティクス」について考えていきます。
【授業の意義】
本科目の意義は、「文化情報学」を構築するにあたって、マノヴィッチ氏の「カルチュラル・アナリティクスとは何か」という問いを検討していくことで、現代に生きる私たちがいかに視覚情報を重視しているか、また、わたしたちの文化が、ニューメディアに依存しているかを反省的に考察することにあります。
到達目標Goal
(1) 本科目の到達目標は、レフ・マノヴィッチ氏の「カルチュラル・アナリティクス」の思想を学ぶことで、現代の視覚文化を、メディア論や画像分析から解析する超域的思考を身につけることを目指します。
(2) 「カルチュラル・アナリティクス」を学ぶことによって、視覚文化を含む情報文化や表象文化の領域への新しいアプローチができるようになることです。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
本授業は、基本的に講義形式で行います。ただ、テーマに応じて、受講生の意見や考えを積極的に聞くことを試みたいと考えています。
(1) テキストの読解力を確認するために、ほぼ毎回「レジュメ」としてテキストの要約や考察を含む小レポートの提出を義務化しています。
(2) 受講生各自の授業内容に関する理解を確認するために、リアクションペーパーを用います。またリアクションペーパーの内容について、ディスカッションすることも考えています。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
あり / Yes
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[対面/face to face]:イントロダクション
・授業を受ける上でのガイダンスと注意点
・授業概要説明
第2回[対面/face to face]:レフ・マノヴィッチとは誰か?(1)
・マノヴィッチ紹介
・マノヴィッチの取り組み
第3回[対面/face to face]:レフ・マノヴィッチとは誰か(2)——『ニューメディアの言語』読解(1)
・「ニューメディア」とは何か?
第4回[対面/face to face]:レフ・マノヴィッチとは誰か(3)——『ニューメディアの言語』読解(2)
・デジタル時代のアート、デザイン、映画
第5回[対面/face to face]:レフ・マノヴィッチとは誰か(4)——『ニューメディアの言語』読解(3)
・マノヴィッチ批判としての「ニューメディアのための新しい哲学」(Mark B.N.Hansen)
第6回[対面/face to face]:『インスタグラムと現代視覚文化論』読解(1)
・レフ・マノヴィッチのインスタグラム美学
第7回[対面/face to face]:『インスタグラムと現代視覚文化論』読解(2)
・なぜインスタグラムなのか
第8回[対面/face to face]:『インスタグラムと現代視覚文化論』読解(3)
・カルチュラル・アナリティクスとは何か
第9回[対面/face to face]:レフ・マノヴィッチ「インスタグラムと現代イメージ」(1)
・メディウムとしてのインスタグラム
第10回[対面/face to face]:レフ・マノヴィッチ「インスタグラムと現代イメージ」(2)
・カジュアル写真
第11回[対面/face to face]:レフ・マノヴィッチ「インスタグラムと現代イメージ」(3)
・プロフェッショナル写真とデザイン写真
第12回[対面/face to face]:レフ・マノヴィッチ「インスタグラムと現代イメージ」(4)
・インスタグラミズム
第13回[対面/face to face]:レフ・マノヴィッチ「インスタグラムと現代イメージ」(5)
・美的社会と顔/身体の美学
第14回[対面/face to face]:まとめ
・インスタグラムの行方
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
・各回のテーマによって、各自に意見を聞くことがあるので、頭を柔軟にしておいてください。本授業の準備学習・復習時間は各2時間を標準とします。
テキスト(教科書)Textbooks
・久保田晃弘/きりとりめでる共訳・編著『インスタグラムと現代視覚文化——レフ・マノヴィッチのカルチュラル・アナリティクスをめぐって』、BNN、2017年
※ 受講生は、本書は授業で用いるので、各自が必ず用意すること。
・マノヴィッチ氏の論文「インスタグラムと現代のイメージ」(英文)は、マノヴィッチのサイトでダウンロードできる(http://manovich.net/content/04-projects/161-instagram-and-contemporary-image/instagram_book_manovich_2017.pdf )。
参考書References
(1) レフ・マノヴィッチ『ニューメディアの言語』堀潤之訳、みすず書房、2013年
(2) Lev Manovich, The Language of New Media, The MIT Press, 2001.
(3) Lev Manovich, Software Takes Command, Bloomsbury, 2013.
(4) Lev Manovich, Cultural Analytics, The MIT Press, 2020.
(5) Mark B.N. Hansen, New Philosophy for New Media, The MIT Press, 2004.
(6) W.J.T. Mitchell and Mark B.N. Hansen, Critical Terms for Media Studies, The University of Chicago Press, 2010.
成績評価の方法と基準Grading criteria
(1) 小テスト(テキストのレジュメ)などを行うことで授業の理解度を確認する。
(2) 学期末に試験(レポート)を課すことで、授業における達成度を測る。
(3) リアクションペーパーによって、授業に対する姿勢を問う。
※ 両者の結果から総合的に判断する。
ちなみに、三者の配分は、下記の通り。
(1) 小テスト(30%)
(2) 期末試験(30%)
(3) リアクションペーパーによる平常点(40%)。
※この成績評価の方法をもとに、本授業の到達目標の60%以上を達成した者を合格とします
※要注意
リアルタイム・オンライン授業の場合は成績評価の方法と基準も変更します。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
特になし
その他の重要事項Others
【注意点】
(1)「文化情報学」とは、狭い意味での「情報学(informatics)」や「情報科学(information science)」ではありません。。
・「文化情報学」は、文化の「情報学」ではなく、「文化情報」の「学」を意味しています。したがって、「情報科学」のつもりで「情報学」を理解しないように。
(2) 私たちは、他の国の文化や他の国の人たちから学ぶだけでなく、動物や植物、地球環境から多くのものを学ぶ必要があります。こうした視点を確保するためにも「文化情報学」という考えは重要だと思います。
注意点
・概論としては内容も含めて授業は極めて難しいです。それゆえ、大人数にはならないとは思いますが、「カルチュラル・アナリティクス」を真剣に考え学びたい人以外は、なるべく参加をご遠慮ください。
・受講生数が多い場合は、教室のキャパシティーとは無関係に初回に選抜テストを実施しますので、受講希望者は、初回の授業に必ず出席してください。
・議論は大いに推奨しますが、仲間同士の「私語」は厳禁です。居眠りは「受講拒否」として考えますので、ご退室願います。