国際文化学部Faculty of Intercultural Communication
ARSx200GA(地域研究(その他) / Area studies(Others) 200)世界とつながる地域の歴史と文化Regional Historical and Cultural Studies in a World Context
髙栁 俊男Toshio TAKAYANAGI
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 国際文化学部Faculty of Intercultural Communication |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2023 |
授業コードClass code | C0902 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 火1/Tue.1 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 / Ichigaya |
教室名称Classroom name | 学部HP「2023年度時間割について」を確認 |
配当年次Grade | 2~4 |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
他学部公開科目Open Program | |
他学部公開(履修条件等)Open Program (Notes) | |
グローバル・オープン科目Global Open Program | |
成績優秀者の他学部科目履修制度対象Interdepartmental class taking system for Academic Achievers | ○ |
成績優秀者の他学部科目履修(履修条件等)Interdepartmental class taking system for Academic Achievers (Notes) | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
SDGsCPSDGs CP | ○ |
アーバンデザインCPUrban Design CP | |
ダイバーシティCPDiversity CP | |
未来教室CPLearning for the Future CP | |
カーボンニュートラルCPCarbon Neutral CP | |
千代田コンソ単位互換提供(他大学向け)Chiyoda Campus Consortium | |
旧科目との重複履修Duplicate Subjects Taken Under Previous Class Title | |
人数制限・選抜・抽選Capacity/Selection/Rondom | 選抜 |
毎年・隔年Frequency | 毎年開講 |
すべて開くShow all
すべて閉じるHide All
Outline (in English)
This course is primarily designed for students who participate in the SJ(Study Japan) program in summer session. Therefore this class aims to gain a basic understanding of history, culture, and ethnic issues of South Nagano, where the SJ program is implemented.
Students who will not participate in the SJ program are also able to take this class. For those students, the goal is to develop an eye for perceiving Japan from multiple perspectives.
Self-study assignments will be given in the handouts distributed in each class. Please try each time if possible to deepen what you have learned.
Final grade will be calculated according to the following process. Reaction papers for each class 40%, mid-semester report 20%, and term-end report 40%.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
この授業は、2012年度から夏休みに長野県南部の飯田・下伊那地域で実施している「SJ国内研修」(SJ=Study Japan)に参加する留学生・ボランティア補助員および希望する一般学生を主対象に、その事前学習用として開講されるものである。
「SJ国内研修」とは、一般学生のSAに相当するもので、地方の中山間地域での諸活動を経験することで、留学生にとってのSAとも言えるこの日本を、東京からの発想とは別に、地方の視点でも考えうる目を養うことを趣旨としている。
したがって、この授業の目標も、飯田・下伊那地域の歴史・社会・文化・民俗・自然などについて、一通りの前提知識を身につけることで、8日程度の「SJ国内研修」を有意義に送れるようにすることにある。国際文化学部の研修であることに鑑み、とりわけこの地域における国際化や異民族との関係、および文化に重点を置きながらみていく。
到達目標Goal
授業の進展につれ、南信州の中山間地域の飯田・下伊那にも、東京とはまた異なる歴史・文化・自然があり、固有の国際関係があることが理解できるであろう。最終的には、「SJ国内研修」に際して探求すべき自分なりのテーマをみつけ、夏休み中の自己学習を経て、研修本番につなげられるようにすることが目標である。
「SJ国内研修」に参加せず、単なる一授業として受講することも可能だが、そうした受講者にとっては、飯田・下伊那を例に、日本のなかに存在する多様性や多文化を考える視点を得ることが到達目標となる。そこで得られた視点やアプローチは、日本の他地域を考える際にも有効に機能するであろう。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
国際文化学部のディプロマポリシーのうち、「DP1」「DP2」「DP3」「DP4」に関連。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
大学の行動方針レベルが2となった場合、この授業は原則としてオンラインで行う。詳細は学習支援システムで伝達する。
教員による講義が中心だが、受講生に随時発問しながら進める。関連する映像の上映も、適宜織り交ぜる。
特定の地域の細かな事実にとことんこだわるが、それは「個別を極めることを通して普遍に至る」こと、すなわちこの授業のタイトルのように、「飯田・下伊那から日本がみえる、世界とつながる」ことを具体的に知るためである。そのためには最低限、理解すべき事項は理解し、覚えるべき固有名詞(地名、人名など)は覚えていただく。
毎回、授業の最後に、感想や疑問・質問などをリアクションペーパーに書いてもらい、それを次回の授業冒頭で活用するなど、双方向的な授業になるよう心がけたい。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
なし / No
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[対面/face to face]:導入
本授業と「SJ国内研修」の概要を説明する。受講希望者数によっては、選抜を実施することもあるので、初回の授業に必ず出席すること。
第2回[対面/face to face]:飯田・下伊那の概況①
飯田・下伊那地域にある1市3町10村について、行政区分、地形、気候、交通、物産などの概況をみていく。天竜川の果たした役割や、愛知県東部・静岡県西部との県境を越えたネットワーク(三遠南信)についても考える。
第3回[対面/face to face]:飯田・下伊那の概況②
前回に続いて、飯田市の成り立ちを考える。1937年に成立した当初の市域に、1950年代以降、周辺の15の自治体が合併していまの飯田市が形成されていることの意味、言い換えれば飯田市の統一性と多様性を具体的に考察する。
第4回[対面/face to face]:飯田・下伊那の歴史
飯田・下伊那地域が経てきた歴史の概要を、古代から現代まで通史的に学ぶ。中心的に扱う戦後史部分では、飯田市のアイデンティティの根幹にも関わる飯田大火、りんご並木、三六災害について知る。
第5回[対面/face to face]:飯田線建設史①
現在のJR飯田線、とくに旧三信鉄道の建設史を、アイヌの測量士カネトや朝鮮人労働者に焦点を当ててみていく。飯田駅前に記念碑が建つ伊原五郎兵衛についても知る。
第6回[対面/face to face]:飯田線建設史②
前回学んだカネトについて、近年、住民自身により飯田線沿線各地で上演されている合唱劇『カネト』の映像を鑑賞しながら、再度考える。
第7回[対面/face to face]:満州移民の歴史①
1930年代以降、この地域から多数渡って行った満蒙開拓団や満蒙開拓青少年義勇軍について、その史実と背景を学ぶ。
第8回[対面/face to face]:満州移民の歴史②
前回学んだ満蒙開拓青少年義勇軍について、そのテーマでつくられたアニメ『蒼い記憶』を鑑賞しながら、再度考える。
第9回[対面/face to face]:満州移民の歴史③
現在、この地域の人々が、満州移民の歴史やその結果として生まれたいわゆる中国残留孤児・中国帰国者のことを、どう後世に伝えようとしているかを、阿智村に開館した満蒙開拓平和記念館などを例に探る。また、「残留孤児の父」と称される阿智村の長岳寺住職、山本慈昭についても知る。
第10回[対面/face to face]:飯田・下伊那の多民族共生の現在
外国人が増え、市として外国人集住都市会議に参加している飯田市における外国人の実態や、国際化・多文化共生の取り組みについて考察する。平岡ダム建設における外国人強制労働の歴史を、後世に正しく伝えようと努める天龍村の姿勢についても、あわせて考察する。
第11回[対面/face to face]:飯田・下伊那の文化①
人形浄瑠璃や歌舞伎など、この地域に残る各種の伝統民俗芸能や、それをもとにした現在の文化イベントについて知る。とりわけ、飯田市内で活動する黒田人形・今田人形について、映像で確認する。
第12回[対面/face to face]:飯田・下伊那の文化②
この地域の特色ある文化活動として、通巻1000号超の歴史を誇る郷土雑誌『伊那』の刊行や、活発な公民館活動について知る。あわせて、写真や童画で庶民の生活を記録してきた阿智村の熊谷元一についてもみていく。
第13回[対面/face to face]:飯田・下伊那の文化③
この地域ゆかりの文化人のうち、法政大学で学んだり教えたりした経験をもつ椋鳩十・西尾実・森田草平3人の文化人について、自校教育の観点も含めて取り上げる。
第14回[対面/face to face]:まちづくりや自然との共生
早くからグリーンツーリズム、エコツーリズム、都市農村交流などを唱え、実践してきた飯田市の取り組みについて知る。山村留学がこの地域に果たしている役割や、1970年に廃村となった大平宿の保存活用運動についても探る。地域おこし協力隊など、若者による地域活性化の活動にも触れる。
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
毎回配付するプリントに、「自習課題」を載せる。同じ内容は、ネット上の学習支援システムにも掲載する。これは自習であって、必ずしも提出義務はないが、提出すれば、就職活動などによる欠席を補う参考資料として加味する。可能な限りチャレンジして、学んだことをより深く考察し、定着させることを推奨する(提出期限:ネットへのアップから2週間後)。
従来は授業期間中に、この授業と関連した学部イベントを実施してきたが、コロナの状況を見ながら実施可否を判断したい。
本授業の準備学習・復習時間は各2時間を標準とする。
テキスト(教科書)Textbooks
特定のテキストは使用せず、学習内容に即したプリントを毎回、A3で1枚程度配付する。各回のプリントはファイルないし合冊にしておいて、実際の研修の場にも持参して活用すること。
かつては留学生の自習用として、しんきん南信州地域研究所『いいだ・南信州 大好き』(2010年)を当方で用意していたが、絶版で入手が難しくなっている。資料室に複数冊あるので、そちらで適宜利用してほしい。
参考書References
授業の中で適宜指示する。それらの大半は、BT20階の国際文化学部資料室および書庫に配架された「飯田・下伊那文庫」(書籍2,000冊以上、映像DVD約350点所蔵)に収められている。コロナの状況も見ながら、可能なら大いに利用してほしい。
成績評価の方法と基準Grading criteria
毎回提出するリアクションペーパーに反映された授業に取り組む姿勢40%、途中での中間課題20%、学期末のレポート40%を目安とする。この成績評価の方法をもとに、本授業の到達目標の 60%以上を達成した者を合格とする。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
とくにSJ国内研修に参加せず、1つの授業として受ける人には、「一地域のことをなんでこんなに細かく学ぶのか?」という疑問があるかもしれない。ただし、特定の一地域へアプローチや、「個別を極めることを通して普遍に至る」という学び方は、他の分野にも応用が利くと思われる。
また、自国のことを知り、外国人にも伝えられることは、真の国際人にとって重要な要素であろう。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
上述のように、学習支援システムをもう一つの教室として活用する。コロナ感染の状況により、対面授業が不可になった場合は、zoomを使用する。
その他の重要事項Others
「SJ国内研修」に参加する人は、どのような形であれ、この事前学習授業の履修が前提条件になる。研修の参加経費や単位の有無は、参加資格によって異なるので、詳細は「履修の手引き」の該当頁を参照のこと。
6月末から7月上旬までには今年度のSJの実施可否を判断する。可能となった場合は、ボランティア補助員や一般参加者の募集を開始する。
ちなみに、コロナ禍が始まって以降のSJは、2020年度と21年度が中止、22年度が希望者のみを対象とした、5泊6日の短縮バージョンで実施した。
選抜の有無
留学生、およびSJ参加への強い意欲を有する一般学生を優先し、教室の収容人員を超えた場合は初回授業で選抜を行なうことがある。