国際文化学部Faculty of Intercultural Communication
FRI200GA(情報学フロンティア / Frontiers of informatics 200)文化情報の哲学Philosophy of Cultural Information
ジュディス・バトラーの思想——性的マイノリティの挑戦
森村 修Osamu MORIMURA
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 国際文化学部Faculty of Intercultural Communication |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2023 |
授業コードClass code | C0832 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 水3/Wed.3 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 市ヶ谷 / Ichigaya |
教室名称Classroom name | 学部HP「2023年度時間割について」を確認 |
配当年次Grade | 2~4 |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
他学部公開科目Open Program | ○ |
他学部公開(履修条件等)Open Program (Notes) | |
グローバル・オープン科目Global Open Program | |
成績優秀者の他学部科目履修制度対象Interdepartmental class taking system for Academic Achievers | ○ |
成績優秀者の他学部科目履修(履修条件等)Interdepartmental class taking system for Academic Achievers (Notes) | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
SDGsCPSDGs CP | |
アーバンデザインCPUrban Design CP | |
ダイバーシティCPDiversity CP | |
未来教室CPLearning for the Future CP | |
カーボンニュートラルCPCarbon Neutral CP | |
千代田コンソ単位互換提供(他大学向け)Chiyoda Campus Consortium | |
旧科目との重複履修Duplicate Subjects Taken Under Previous Class Title | |
人数制限・選抜・抽選Capacity/Selection/Rondom | |
毎年・隔年Frequency | 毎年開講 |
すべて開くShow all
すべて閉じるHide All
Outline (in English)
【Couse outline】
This class aims to examine various aspects of various cultures as philosophical problems from the viewpoint of the "informatics of culture". Therefore, we will first focus on "Life", which underlies "I" or "self". When we go about our daily lives, we do not pay much attention to the fact that we are alive.
However, when we suddenly get sick or injured, we realize that the fact that we are alive is very important. Our life is possible because we are "alive". So what is life? At the end of the course, students are expected to think about our life, and between philosophically.
In this class, we will focus on the philosophy of Judith Butler (1956-). From the standpoint of sexual minorities, she philosophizes about the relationship between our lives and sexuality, as well as about society and politics.
【Leaning Objectives】
By the end of the course, students should be able to do the followings:
−A. to learn how important it is for us to philosophize.
-B. to learn to think philosophically.
【Learning activities outside of classroom】
Students will be expected to have completed the required assignments after each class meeting. Your study time will be more than two hours for a class.
【Grading Criteria /Policies】
Final grade will be calculated according to the following process term-end examination (50%), and in-class contribution (50%).
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
《授業の概要》
本科目は、国際文化学部が提唱する「文化情報学」という新しい学問を哲学的に基礎づけるための科目です。そもそも「文化情報学」とは、様々な文化現象を「文化情報」として捉え直し考察する学問として新しく構築するために考案された学問です。この学問では、それぞれ固有の文化現象のなかに共通する新しい〈意味〉や〈価値〉を見出し、「文化情報」として編集しなおして解釈し、「文化情報」としての〈新しい意味〉や〈新しい価値〉を創出したり、さらにそれらの〈意味〉や〈価値〉を付加して新しく発信することを目指します。
それでは、なぜ「文化情報学」を学ぶ必要があるのでしょうか。私たちは動機をもって物事に取り組むことで、手に入れたい「文化情報」を取捨選択できます。そうすることで不必要な情報を誤って手に入れることが減ったり、害悪になる情報を鵜呑みすることを少しでも減らしたりすることができるようになります。
しかしそのためには、取捨選択するための「自己=自分(self)」としての「主体性=主観性(subjectivity)」が確立している必要があります。それでは、そもそも「私(自分)」とは何でしょうか? 「私」はどのような存在で、どうして存在しているのでしょうか? あるいは、「私」はどうして「他者(the other)」とは異なるでしょうか? これらは哲学的な難問です。「私」とか「主観」とかを問うと、これらの根本的で哲学的な問いが立ちはだかってきます。
そこで、本授業では、まずは「私」あるいは「自己」を根底で支えている「人生・生・生命(Life)」に焦点を当てて考えてみます。その際に、私たちが日常生活を営むとき、自分が「生きていること」に、それほど意識を向けていません。
でも、突然、病気になったり怪我をしたりすると、自分が「生きている」という当たり前のことがとても重要なことであることに気づきます。私たちの「生活(Life)」も「無事に生きている」からこそ営めるのです。
【授業の目的】
そこで、本授業では、ジュディス・バトラー(1956-)の思想を取り上げ、性的マイノリティを通じて、私たちの「生」と「性」、さらには社会のあり方について哲学的に考えてみることを試みます。
到達目標Goal
(1)21世紀を生きる私たちにとって、「哲学する」ことがいかに重要であるかを学ぶことができる。
(2)哲学的思考を身につけることができる。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
国際文化学部のディプロマポリシーのうち、「DP2」「DP3」「DP4」に関連。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
【授業の方法】
テキストの読解を基本にする。さらに教員による解説を行ない、受講生と討議していく。また、リアクションペーパーなどを使用することも考えている。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
1[対面/face to face]:イントロダクション
・本科目の意図の説明など
・ジュディス・バトラーとは誰か
2[対面/face to face]:序 なぜバトラーなのか?
・バトラー思想のキーワード
(弁証法・パフォーマティヴィティ)
3[対面/face to face]:第一章 主体①
・ヘーゲル哲学とコジェーヴ
4[対面/face to face]:第一章 主体②
・構造主義とポスト構造主義
5[対面/face to face]:第二章 ジェンダー①
・女性性という問題
6[対面/face to face]:第二章 ジェンダー②
・メランコリーとしてのジェンダー
7[対面/face to face]:第三章 セックス①
・物質としての身体
8[対面/face to face]:第三章 セックス②
・ラカン精神分析における女
9[対面/face to face]:第三章 セックス③
・ファルス「である」こと、ファルスを「もつ」こと
10[対面/face to face]:第四章 言語①
・傷つける言葉
11[対面/face to face]:第四章 言語②
・呼びかけとしての言葉
12[対面/face to face]:第五章 精神①
・権力と精神
13[対面/face to face]:第五章 精神②
・バトラー以降
14[対面/face to face]:バトラー思想のまとめと批判
・バトラーの残したもの
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
・必要に応じて配布された資料に基づいて、レジュメを作成する。
・本授業の準備学習・復習時間は各2時間を標準とする。
テキスト(教科書)Textbooks
・サラ・サリー『ジュディス・バトラー』竹村和子他訳、青土社、2005年
【テキストが手に入りにくい場合は、必要に応じてこちらで準備する】
・ジュディス・バトラー『欲望の主体——ヘーゲルと20世紀フランスにおけるポスト・ヘーゲル主義』大河内泰樹ほか訳、堀之内出版、2019年
・Sara Salih, Judith Butler, Routledge, 2002.
・Judith Butler, Subject of Desire:Hegelian Reflections in Twentieth-Century France, Columbia University Press, 1987/2012.
参考書References
・ジュディス・バトラー『ジェンダー・トラブル』竹内和子訳、青土社、1999年
・ジュディス・バトラー『問題=物質となる身体』佐藤喜幸ほか訳、以文社、2021年
・Judith Butler, Gender Trouble, Routledge,1990.
・Judith Butler, Bodies That Matter:On the Discursive Limits of "Sex", Routledge, 1993.
成績評価の方法と基準Grading criteria
・期末レポート(30%)、授業内レジュメ(30%)、平常点(40%)
※ この成績評価の方法をもとに、本授業の到達目標の60%以上を達成した者を合格とする
※要注意【変更】
リアルタイム・オンライン授業の場合には、成績評価の方法と基準も変更する。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
特になし。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
・リアルタイムオンライン授業の場合には、インターネットなど授業に関係する機材を用意しておいてください。
その他の重要事項Others
・本科目は、哲学的思考の訓練の場であることを銘記すること。自分でいろいろと考えることが哲学の初歩である。
哲学することの姿勢について
・本授業は、テクストを一文一文読解していく原書講読のスタイルをとる哲学の授業である。
・哲学の鍛錬で最も重要なことは、第一にテクストを正確に読めること、第二に、正確なテクスト理解の上に、自らの解釈を組み立てること、第三に、自らの解釈が何を根拠にしているかを明らかにできること、である。