経営学研究科Graduate School of Business Administration
MAN500F1－0054（経営学 / Management 500）国際経営論Global Management
洞口 治夫Haruo HORAGUCHI
授業コードなどClass code etc
| 学部・研究科Faculty/Graduate school | 経営学研究科Graduate School of Business Administration |
| 添付ファイル名Attached documents | |
| 年度Year | 2023 |
| 授業コードClass code | X7170 |
| 旧授業コードPrevious Class code | |
| 旧科目名Previous Class title | |
| 開講時期Term | 秋学期授業/Fall |
| 曜日・時限Day/Period | 土 3/ Sat.3,土 4/ Sat.4 |
| 科目種別Class Type | |
| キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
| 教室名称Classroom name | 各学部・研究科等の時間割等で確認 |
| 配当年次Grade | |
| 単位数Credit(s) | 4 |
| 備考（履修条件等）Notes | |
| 実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
| カテゴリーCategory |
修士課程（夜間）授業科目 コース共通 |
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Outline (in English)
"International Business" is the general term for an academic approach to solving various problems associated with the internationalization of corporate management. The overseas expansion of companies has become a management strategy adopted by small and medium-sized enterprises as well as large enterprises. However, many companies may not be able to gain a competitive advantage by pursuing the same strategies and practices in their home countries abroad due to various differences between their home and foreign countries. By studying International Business, MBA students can understand the challenges associated with the internationalization of corporate management. This course will review the fundamentals necessary for business managers at the upper echelons of their functional divisions and will touch on cutting-edge topics.
[Goal]
This course is designed to provide MBA students with an understanding of the realities of corporate management based on international management theory and the ability to analyze overseas business activities. Students will learn the theory of multinational corporations and use it to understand various issues in international management; learn the fundamentals of business strategy, business organization, and business management as the common language of MBAs; and acquire the ability to read, understand, and discuss cases in English.
Students will acquire the skills to read academic articles published in Kokusai Bijinesu Kenkyu (International Business Studies), Asian Economy, the Journal of International Business Studies, Strategic Management Journal, Research Policy, etc., according to their own research interests. Students will be able to acquire skills and aim to develop more advanced research capabilities. Students will be introduced to a variety of research methods for writing a master's thesis and will be guided through the research process with specific examples.
[Work to be done outside of class (preparation, etc.)]
The standard preparation and review time for this class is 200 minutes each. Since this is an intensive semester-long class, it is recommended that students do their preparatory work during the summer vacation. The preparatory study requires (1) purchasing and understanding of the structure of the textbook, (2) reading of the literature on theories of the study of international business strategy, (3) reading of assigned literature and distributed cases, (4) prior research on global strategic alliances, and (5) study of statistics. A review will be required after each lecture and before the exam.
[Grading criteria]
Class participation (attendance and participation in class discussions): 28%
Contribution to class (homework, presentations, etc.): 12%
Mid-term exam: 20%.
Final exam: 40%
The mid-term exam and final exam will be based on a written exam, term paper, or report. Evaluation will be based not only on the paper itself but also on the presentations using PowerPoint in the class.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語・英語併用 / Japanese & English
授業の概要と目的（何を学ぶか）Outline and objectives
国際経営論とは、企業経営の国際化に伴う諸問題を解決するための学問的アプローチの総称です。企業の海外進出は、大企業のみならず中小企業にとっても採用される経営戦略になっています。しかし、本国での戦略やプラクティスを海外で追求しようとしても、本国と外国との様々な相違のために競争優位を得られない場合も多いでしょう。ＭＢＡ学生諸君が国際経営論を学ぶことによって、企業経営の国際化に伴うどのような課題があるのかを理解することができます。職能部門を超えた上位の経営管理者に必要な基礎知識を確認し、最先端の話題に触れます。
到達目標Goal
この授業を通じてMBAの学生諸君が、国際経営の理論に基づいて企業経営の実態を理解することで、海外における事業活動を分析する能力を身につけます。参加学生は、多国籍企業の理論を学習し、国際経営における諸問題の理解に役立てます。ＭＢＡの共通言語としての経営戦略・経営組織・経営管理の基礎を学習するとともに、英文でのケースを読み、理解し、議論できる能力を身につけます。
学生諸君は自らの研究関心に応じて、『国際ビジネス研究』、『アジア経済』、Journal of International Business Studies、Strategic Management Journal、Research Policyなど、国際経営理論を用いて書かれた学術論文を読むスキルを身につけ、さらに高度な研究能力の育成を目指すことができるようになります。学生諸君には、修士論文作成のための様々な研究手法を紹介し、具体例とともに研究の手順を説明していきます。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか（該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連）Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」「DP2」「DP3」に関連、特に「DP1」は強く関連している。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語・英語併用 / Japanese & English
授業の進め方と方法Method(s)（学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. ）
この授業は、講義、ケースの読解、論文の読解、学生相互の議論、学術的な研究方法の紹介、ビデオ教材の理解といった内容から構成されています。国際経営を理解するために必要な理論を講義した後、ケースや論文の内容を確認し、意思決定課題を学生相互で議論します。講義の中盤では、学生が課題についてプレゼンテーションを行い、それについて議論する場合があります。参加学生の英語力に応じて、それを高める形式での会話やリスニングも随時行っていきます。
アクティブラーニング（グループディスカッション、ディベート等）の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク（学外での実習等）の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching：対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
1[対面/face to face]：イントロダクション
講義の概要と国際経営論のオリエンテーション。教科書、資料の紹介。評価方法の説明。教科書第1章。
2[対面/face to face]：国際経営の研究方法
質的調査方法と量的調査方法。近年の話題と研究アプローチの特色。英語学習の方法。教科書第2章。
3[対面/face to face]：国際経営を研究するための経済理論
取引コスト理論、限定された合理性、エージェンシー理論、モラルハザード、機会主義。教科書第2章、第3章。
4[対面/face to face]：国際経営を研究するための経営理論
リソース・ベースト・ビュー、経営資源、制度理論。教科書第3章。
5[対面/face to face]：企業の国際化理論
内部化理論、OLIパラダイム、PLC理論、ボーングローバル。教科書第2章、第3章。HBSケース、Rakuten.
6[対面/face to face]：エントリー戦略としての輸出・輸入
インボイス、輸出信用状と取引費用の関係性、ロジスティックス産業の役割。教科書第1章、第2章、第3章。HBSケース、Rakuten.
7[対面/face to face]：直接投資とコーポレート・ガバナンス
エントリー・モードの類型、グリーンフィールド、Ｍ＆Ａ、エントリー・タイミング。教科書第2章。
8[対面/face to face]：ライセンシングとＯＥＭ
特許、フランチャイズ、ブランド・マネジメント、コンテンツビジネス。教科書第2章。
9[対面/face to face]：国際経営とリスク
国家と政治体制。テロリズム、気候変動、パンデミック。貸借対照表と損益計算書。教科書第4章。
10[対面/face to face]：競争と協力
ゲーム理論入門。ジョイント・ベンチャー、出資比率の意味、商社の役割、現地企業の配当政策。教科書第2章、第4章。
11[対面/face to face]：国際提携戦略
グローバル戦略的提携のマネジメント、アライアンス、ネットワーク構築。教科書第2章。
HBSケース、PayPal.
12[対面/face to face]：投資意思決定
フィージビリティ・スタディ、経済環境、収益性評価、ＮＰＶ、ＩＲＲ。参考書(4)洞口・行本『入門経営学』第7章。HBSケース、PayPal.
13[対面/face to face]：国際Ｍ＆Ａ
国際Ｍ＆Ａの動機、デューデリジェンス、Post Merger Integration、減損、参入と退出。教科書第8章。
14[対面/face to face]：資産評価と収益性評価
有形資産、無形資産、不確実性とリスク、ＲＯＥ、ＲＯＡ。教科書第8章。
15[対面/face to face]：知識管理の理論。
前半の復習と中間試験
暗黙知、形式知、集合知。教科書第6章。基礎概念の復習と学習成果の確認。
16[対面/face to face]：グローバル・ビジネス環境
企業が海外で直面する外部環境、Liabilities of foreignness、文化的距離。教科書第5章、第9章。
17[対面/face to face]：外国為替レートの基礎理論
購買力平価、金利平価、オーバーシューティング、ニュースの役割、ランダムウォーク。教科書第13章。
18[対面/face to face]：外国為替レートの変動要因
直物、先物、オプション、利子率。2019年から2020年における為替レートの動向。教科書第13章。
19[対面/face to face]：確率的変動の理解
二項分布、正規分布、指数関数、ランダムウォークへのドリフト。教科書第13章。
20[対面/face to face]：オプションとリアルオプション
延期の意味、先物への保険、オーバーシューティングの構造。教科書第13章。
21[対面/face to face]：国際企業戦略の類型
ＥＰＲＧの類型。グローバル戦略、マルチ・ドメスティック戦略、インターナショナル戦略。教科書第9章。HBSの英文ケース：Levendary Café
22[対面/face to face]：ホフステッド理論の理解に向けて
ホフステッド論文(1980)の輪読。教科書第5章。HBSの英文ケース：Levendary Café
23[対面/face to face]：イノベーション・マネジメント
生産管理論の進化、要素技術開発と製品開発。教科書第6章、第10～12章。HBSの英文ケース：Levendary Café
24[対面/face to face]：海外子会社の人的資源管理
海外子会社の人材戦略、海外派遣ローテーションとモチベーション。教科書第14章。ホフステッド論文(1980)の輪読。
25[対面/face to face]：国際マーケティング戦略の基礎
事例研究。教科書第9章。HBSの英文ケース：Levendary Café
26[対面/face to face]：国際マーケティング戦略の応用
現地適応とグローバル統合。HBSの英文ケース：Levendary Café。ホフステッド論文(1980)の輪読。
27[対面/face to face]：ダイバーシティ・マネジメント
ハーシュマンの退出・発言・忠誠、CSR、ESG、SDGsと国際経営。企業倫理。
28[対面/face to face]：講義全体の理解確認
筆記試験ないしレポート提出。
授業時間外の学習（準備学習・復習・宿題等）Work to be done outside of class (preparation, etc.)
本授業の準備学習・復習時間は、各200分間を標準とします。半期集中の授業のため、準備学習を夏休み期間に行うことをお薦めします。準備学習としては、①教科書の購入と構成の理解、②国際経営戦略の研究に活用される理論に関する文献の講読、③指定文献・配布ケースの講読、④グローバル戦略的提携に関する事前調査、⑤統計学の学習、などが必要となります。復習としては、毎回の講義の後と、試験前の全講義の復習などが必要となります。
テキスト（教科書）Textbooks
(1)原田順子・洞口治夫編著(2019)『改訂新版 国際経営』放送大学教育振興会。
＜アマゾンなどで購入できます。なお、まったく同じタイトルで同じ著者による、原田順子・洞口治夫編著(2013)『新訂 国際経営』放送大学教育振興会、がありますが、内容が異なるので間違えないように。＞
(2)ハーバード・ビジネススクールの英文ケース：
①Language and Globalization: "Englishnization" at Rakuten(A).
著者Tsedal Neeley.製品番号9-412-002.
②PayPal: The Next Chapter.
著者Michael Porter、Mark Kramer、Annelena Lobb. 製品番号9-721-378.
③Levendary Café: The China Challenge.
著者Christopher A. Bartrett and Arar Han. 製品番号4357．
これらのケースを購入するためには、http://hbr.org/storeのサイトからcaseを選択し、タイトルを記入して検索します。7ドル前後でＰＤＦを購入できます。購入にはクレジットカードが必要です。登録ユーザーとなるにはhttp://cb.hbsp.harvard.edu/cb/registerのサイトからHigher Education Individualに必要事項を記入してregisterをします。その後、上記のタイトルを入力し、show detailからＰＤＦを購入します。著作権が保護されていますのでコピーでの入手は避けて下さい。また、そのほかのケースを利用する場合には授業内で指示します。
(3)Hofstede, Geert. "Motivation, leadership, and organization: Do American theories apply abroad?", Organizational Dynamics, Volume 9, Issue 1, Summer 1980, Pages 42-63. 法政大学のサーバーに接続してGoogle Scholarで論文名を検索するとＰＤＦファイルへのリンクから論文をダウンロードできます。
参考書References
(1)Haruo H. Horaguchi, Foreign Direct Investment of Japanese Firms: Investment and Disinvestment in Asia, c.1970-1989. Academic Research Publication, 2022.
(2)洞口治夫『日本企業の海外直接投資』東京大学出版会、1992年。
(3)洞口治夫『グローバリズムと日本企業』東京大学出版会、2002年。
(4)洞口治夫『集合知の経営－日本企業の知識管理戦略－』文眞堂、2009年。
(5)洞口治夫・行本勢基『入門 経営学』第2版、同友館、2012年。
(6)John Daniels, Lee Radebaugh, Daniel Sullivan, International Business: Environments and Operations, 2011, Pearson Education; Global ed of 14th revised ed版, 2012.
(7)Ａ．Ｃ．チャン、Ｋ．ウエインライト『現代経済学の数学基礎（上）』シーエーピー出版、2010年。
(8)東北大学統計グループ『これだけは知っておこう！統計学』有斐閣、2002年。
(9)岩田暁一『経済分析のための統計的方法』東洋経済新報社、1983年。
(10)P.G.ホーエル『初等統計学』培風館、1981年．
(11)山田剛史・杉澤武俊・村井潤一郎『Ｒによるやさしい統計学』オーム社、2008年．
(12)フィリップ・コトラー他著『ＡＳＥＡＮマーケティング－成功企業の地域戦略とグローバル価値創造－』洞口治夫監訳、マグロウヒル・エデュケーション、2007年．
成績評価の方法と基準Grading criteria
授業参加（出席と議論への参加）：28％
宿題ないしプレゼンテーションなどクラスへの貢献：12％
中間試験：20％
期末試験：40％
中間試験および期末試験は、筆記試験ないしターム・ペーパーないしレポートによって行います。その評価にはペーパー自体の評価だけでなく、パワーポイントによるプレゼンテーションの評価を含む場合があります。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
授業改善アンケートからの示唆を要約すると、より高度な理論をよりわかりやすく講義し、学生相互のディスカッションの時間をとることによって記憶に定着させることが要望されているようです。英語での講義、輪読やディスカッションを望む声と、それを難しいと感ずる声が混ざっています。英語でのディスカッションを増やしていきたいと思いますが、同時に、基礎的な英語の学力を錬成して応用に結びつけていくことを目指しています。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
インターネットを検索・閲覧できるスマホ、授業支援システムにワード・ファイルやパワーポイント・ファイルをアップロードできるパソコンなど。
その他の重要事項Others
この授業を履修する学生諸君には経営学基礎、統計データ解析、経営戦略論、経営組織論の授業を履修することをお薦めします。英語については高校生修了レベルの文法知識と大学生修了レベルの語彙（ボキャブラリー）能力を期待していますが、課題を熱心にこなすことで良い成績を獲得した学生諸君もいます。本授業を通じて英語のリスニング、スピーキングの能力養成を試みていきます。洞口は法政大学経営学部経営戦略学科の教授です。また、東証プライム市場に上場する企業の社外取締役を務めており、日本企業の経営実務にも接している教員です。この授業で実務と経営理論とのつながりを理解してもらいたいと願っています。
担当教員の専門分野等
＜専門領域＞国際経営論
＜研究テーマ＞海外直接投資論、多国籍企業論。
＜主要研究業績＞
①＜単著＞Collective Knowledge Management: Foundations of International Business in the Age of Intellectual Capitalism, Edward Elgar Publishing, 2014.
②＜共編著＞Japanese Foreign Direct Investment and the East Asian Industrial System: Case Studies from the Automobile and Electronics Industries, 2002年版ペーパーバック, Springer, 2014.
③＜論文＞Horaguchi, H.H., Susumago, T.(2022) Global R&D Location Strategy of Multinational Enterprises: an Agent-Based Simulation Modeling Approach. Journal of Industry, Competition and Trade vol.22, pp.457–479. https://doi.org/10.1007/s10842-022-00391-x