経営学研究科Graduate School of Business Administration
MAN500F1－0108（経営学 / Management 500）会計学基礎Fundamental Accounting Theory
川島 健司Kenji KAWASHIMA
授業コードなどClass code etc
| 学部・研究科Faculty/Graduate school | 経営学研究科Graduate School of Business Administration |
| 添付ファイル名Attached documents | |
| 年度Year | 2023 |
| 授業コードClass code | X7161 |
| 旧授業コードPrevious Class code | |
| 旧科目名Previous Class title | |
| 開講時期Term | 春学期授業/Spring |
| 曜日・時限Day/Period | 火 6/ Tue.6 |
| 科目種別Class Type | |
| キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
| 教室名称Classroom name | 各学部・研究科等の時間割等で確認 |
| 配当年次Grade | |
| 単位数Credit(s) | 2 |
| 備考（履修条件等）Notes | |
| 実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
| カテゴリーCategory |
修士課程（夜間）授業科目 コース共通 |
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Outline (in English)
This lecture provides knowledge of "How to make" and "How to read" corporate financial statements. In order to learn how to prepare financial statements, it is necessary to learn the realities of transactions, learn techniques of bookkeeping, and learn basic principles and thought methods concerning accounting procedures. On the other hand, in order to learn how to read, it is necessary to learn the traditional method of financial statement analysis and further to acquire and apply basic knowledge of finance necessary for evaluating corporate value.
In this lecture, students study the most fundamental elements for understanding such financial statements, "bookkeeping" "accounting principle and accounting principle" "financial statement analysis" and "corporate finance necessary for accounting practice". It explains mutual relations among those elements and aims to comprehensively understand modern accounting practices.
The goals of this course are the following four points. (1) Acquire bookkeeping skills and basic vocabulary (concepts) in accounting, consider how economic activities can be expressed in terms of accounting, and create appropriate financial statements using these skills and vocabulary (2) Acquire the ability to understand the actual state of corporate activities using financial statement analysis techniques and knowledge of finance, using financial statements and various types of IR information published by the company.
Securities reports and IR materials are used as supplementary teaching materials in class. Each student should download these from the company's website. Details on how to obtain them will be explained in class. The standard time for preparation and review for this class is 2 hours each.
Grade evaluation is based on the following four points (weights are in parentheses).
① Attendance at face-to-face classes (10%)
(2) Speech during face-to-face classes (20%)
③ Confirmation test for each class (40%)
④Description status in the questionnaire for each class (30%)
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的（何を学ぶか）Outline and objectives
本講義では財務諸表の「作り方」と「使い方」を体系的に学習する。財務諸表の作り方を学ぶには、取引の実態を知り、簿記の技術を学び、会計処理の手続きに関する基本的な原理・原則や思考法を学ぶことが必要である。一方、使い方を学ぶには、伝統的な財務諸表分析の技法を知り、さらには企業価値の評価に必要な基礎的なファイナンスの知識を習得して応用することが必要である。
本講義では、こうした財務諸表の理解に必要な諸要素である「複式簿記」「会計学」「財務分析」「価値分析」について、それぞれのもっとも基礎的な内容と各要素間の相互関係について解説し、会計について総合的に理解することを目的とする。
到達目標Goal
①簿記の技術と会計学における基礎的な語彙（概念）を習得し、その技術と語彙を用いて、経済活動をどのように会計的に表現しうるかを考察し、適切な財務諸表を作成する能力をつける、②財務諸表分析の技法とファイナンスの知識を用いて、会社が公表する財務諸表と各種IR情報を利用しながら、企業活動の実態を推論する能力をつける。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか（該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連）Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」「DP2」「DP3」に関連、特に「DP2」「DP3」は強く関連している。
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)（学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. ）
【授業の構成】
本授業は、対面授業とYouTubeによる授業録画配信（オンデマンド型授業）を併用する予定している。講義全体を以下の４つのパートに分割する。
第1部「複式簿記」（第1回〜第3回）
第2部「会計学」（第4回〜第6回）
第3部「財務分析」（第7回〜第9回）
第4部「価値分析」（第10回〜第12回）
第1部と第2部は財務諸表の作り方、第3部と第4部は財務諸表の使い方に関する内容である。第4部の基礎的なファイナンスの内容は、財務諸表の読み方のみならず、近年では財務諸表を作成するためにも必要な知識である（例えば、社債償却、リース会計、減損会計、退職給付会計、ストック・オプション会計等）。
【仮想ではないリアルな教材】
会計という「ビジネスの言語」の仕組みを理解し、会計を通して会社のリアルを見たり表現したりする方法を学ぶために、教材は仮想ではなく、リアルの会社・人物・取引を用いる。授業の終盤では、その当事者と実際に対話する機会も設ける予定である。ルールを暗記するしかないと思われがちな会計を、理屈・実話・実データによって学習する。会計を学ぶにつれて、会社の実態の見え方が変わっていく感覚を体験してもらえるはずである。
【本講義で学習する主な財務指標】
売上高利益率、流動比率、自己資本比率、固定長期適合率、インタレスト・カバレッジ・レシオ、総資本回転率、棚卸資産回転率、総資産利益率、自己資本利益率(ROE)、1株当たり当期純利益(EPS)、時価簿価比率(PBR)、経済的付加価値(残余利益)
【問題意識の共有と質疑応答】
受講生の理解度の確認と受講生間の問題意識の共有化を目的として、質疑応答の機会を設定する。受講生は受講する中で理解できなかった点や関心をもった点などを作文し、その内容を一覧にして共有し、それに対して受講生間で意見交換を行う。このため、受講にあたっては、原則的にスマートフォン、タブレット、またはPCなどによって、オンラインに接続可能であることとする（ただし、それらの機器を会場に持参する必要はない）。
アクティブラーニング（グループディスカッション、ディベート等）の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク（学外での実習等）の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching：オンライン/online
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[オンライン/online]：ガイダンス
会計を学ぶ意義、有効な方法、学習の目標、成績評価などについて説明する。
第2回[対面/face to face]：会社経営と財政状態
会社の経営に関わる利害関係者との権利・義務の関係を財政状態として記録し、貸借対照表を作成する方法を学ぶ。貸借対照表から利益を計算する「財産法」という利益計算式を理解する。
第3回[オンライン/online]：収支計算と損益計算
現金の記録と要約である収支計算を基礎に、経営の成果・努力の観点から「損益法」という利益計算式を学ぶ。その利益計算から貸借対照表を導出する過程を理解する。
第4回[対面/face to face]：複式簿記の方法
財産法と損益法を結合させて複式簿記の原理を導出し、収支計算書、損益計算書、貸借対照表の3書類を効率的に作成するための体系的な記録と要約の方法を学ぶ。
第5回[オンライン/online]：利益計算の会計
利益の概念について、会計に期待される役割や機能の観点から考察したうえで、利益計算の方法や、その構成要素である収益と費用の認識・測定の考え方について理解する。
第6回[対面/face to face]：資産の会計
資産の基礎概念を理解したうえで、その認識・測定の考え方について考察する。時価評価（有価証券）、原価配分（固定資産）、繰延処理（税効果会計）の具体例について学習する。
第7回[オンライン/online]：負債と資本の会計
負債と資本の基礎概念を理解したうえで、会計的負債としての引当金や、準備金と剰余金の概念整理、新株予約権の処理などについて学ぶ。また、連結財務諸表の考え方も学習する。
第8回[対面/face to face]：貸借対照表の分析
貸借対照表の様式と分析方法を理解する。項目の並び順、分類基準、金額の意味を踏まえた上で、流動比率や自己資本比率などの代表的な分析指標について学ぶ。
第9回[オンライン/online]：損益計算書の分析
損益計算書の様式と分析方法を学習する。段階的利益の意味を理解し、ROSや損益分岐点などの分析指標の他、貸借対照表のデータを併用するROA、回転率、ROEなどの指標を学ぶ。
第10回[対面/face to face]：キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フロー計算書の様式と分析方法を学習する。営業活動・投資活動・財務活動に分類した収支データの見方のほか、CCC分析により資金回収の速さを可視化する方法を学ぶ。
第11回[オンライン/online]：会社の価値と資本コスト
会社の価値を金額として測定・評価する基本的な考え方を理解する。そこで鍵になる概念である資本コストの概念や計測方法について学習する。
第12回[対面/face to face]：DCFモデル
割引現在価値（DCF）モデルとよばれるキャッシュ・フローにもとづく価値評価モデルを学習する。このモデルを用いた会計処理である減損会計や退職給付会計についても解説する。
第13回[オンライン/online]：残余利益モデル
残余利益モデルとよばれる損益計算書と貸借対照表のデータにもとづく価値評価モデルを学習する。モデルの利用にあたり、インプットの会計情報の性質についても理解を深める。
第14回[対面/face to face]：期末試験と解説
重要な内容について復習し、発展的な学習について説明する。
授業時間外の学習（準備学習・復習・宿題等）Work to be done outside of class (preparation, etc.)
授業では有価証券報告書やIR資料を副教材として用いる。これらは受講生が各自、会社のホームページからダウンロードして持参することとする。入手方法の詳細は授業内で説明する。なお、本授業の準備学習・復習時間は、各 2 時間を標準とする。
テキスト（教科書）Textbooks
川島健司『起業ストーリーで学ぶ会計』中央経済社,2021年
参考書References
1 伊藤邦雄『新・現代会計入門』日本経済新聞社, 2023年4月現在の最新版.
2 桜井久勝『財務会計講義』中央経済社, 2023年4月現在の最新版.
3 飯野利夫『財務会計論』三訂版, 同文舘, 1993年.
4 佐藤信彦他『スタンダードテキスト財務会計論Ⅰ・基本論点編』第9版, 中央経済社, 2015年.同『スタンダードテキスト財務会計論Ⅱ・応用論点編』第9版, 中央経済社, 2015年.
5 W・H・ビーヴァー著・伊藤邦雄訳『財務報告革命』第3版, 白桃書房, 2010年.
6 W・R・スコット著・太田康広他訳『財務会計の理論と実証』中央経済社, 2008年.
7 Craig, D. Financial Accounting Theory, 3rd, McGraw-Hill, 2009.
8 Kieso, D.E. et al. Intermediate Accounting, 15th, Wiley, 2013.
成績評価の方法と基準Grading criteria
以下の4点にもとづいて評価する（括弧内はウエイト）。
①対面授業の出席状況（10％）
②対面授業時の発言状況（20％）
③各授業回の確認テスト（40％）
④各授業回の質問票への記述状況（30％）
質問票は、各回の授業終了後に受講生は質問や感想をGoogle Formを通じて提出する。その内容は全受講生に匿名で公表する。その提出状況と記述内容は、授業への参画と貢献に対する評価として、成績に反映する。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
オンデマンド授業動画については、受講生の学習リズムを乱さないよう、定時配信します。また、受講生間の繋がりが持てるように、受講生の考えをクラス全員で共有しながら授業を進めます。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
授業動画の視聴に必要なパソコン、および分析に用いる表計算ソフト（Excel）。
その他の重要事項Others
簿記を学んだことがない受講生は、予め日商簿記検定3級の内容を学んでおくことが望ましい。その場合、各種専門学校（TAC,大原簿記学校等）が出版する簿記検定の教科書を購入し自習しておくことを薦める。
担当教員の専門分野等
＜専門領域＞ 財務会計論
＜研究テーマ＞ 会計用語の使用法に関する研究
＜主要研究業績＞
1. 川島健司.2022.「「収益」という用語の定義は、なぜ多様に存在するのか」『會計』第202巻, 第1号, pp.67-79.
2. 川島健司.2020.「「収益」という用語は、いつからどのように使われてきたか」『會計』第198巻, 第6号, pp.43-56.
3. 川島健司.2011.「なぜ，損益計算書で「営業収入」と表記されるのか―勘定科目の使用法に関する定性的調査」『経営志林』48 (1):131-148.