市ヶ谷リベラルアーツセンター（ILAC）ILAC Course
SOS100LA（その他の社会科学 / Social science 100）社会思想ⅠSocial Thought I
熊沢 敏之Toshiyuki KUMAZAWA
授業コードなどClass code etc
| 学部・研究科Faculty/Graduate school | 市ヶ谷リベラルアーツセンター（ILAC）ILAC Course |
| 添付ファイル名Attached documents | |
| 年度Year | 2023 |
| 授業コードClass code | Q2219 |
| 旧授業コードPrevious Class code | P2209 |
| 旧科目名Previous Class title | 社会思想Ⅰ |
| 開講時期Term | 春学期授業/Spring |
| 曜日・時限Day/Period | 月3/Mon.3 |
| 科目種別Class Type | |
| キャンパスCampus | 市ヶ谷 |
| 教室名称Classroom name | 市Y‐Y801 |
| 配当年次Grade | 文1年A～B・L～R、国1年／法文営国環キ2～4年 |
| 単位数Credit(s) | 2 |
| 備考（履修条件等）Notes | |
| 他学部公開科目Open Program | |
| 他学部公開（履修条件等）Open Program (Notes) | |
| グローバル・オープン科目Global Open Program | |
| 成績優秀者の他学部科目履修制度対象Interdepartmental class taking system for Academic Achievers | ○ |
| 成績優秀者の他学部科目履修（履修条件等）Interdepartmental class taking system for Academic Achievers (Notes) | |
| 実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
| SDGsCPSDGs CP | |
| アーバンデザインCPUrban Design CP | |
| ダイバーシティCPDiversity CP | |
| 未来教室CPLearning for the Future CP | |
| カーボンニュートラルCPCarbon Neutral CP | |
| 千代田コンソ単位互換提供（他大学向け）Chiyoda Campus Consortium | |
| 選択・必修Optional/Compulsory | |
| カテゴリー（2017年度以降）Category (2018~) |
2017年度以降入学者 ILAC科目 100番台 基盤科目 2群（社会分野） |
| カテゴリー（2016年度以前）Category (2017) |
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Outline (in English)
Course outline: The History of Rhetorical Criticism in the Postwar Period--Rhetoric is not just a technique for decorating a text, but a means of shaping the framework of thought. Especially during the war years, when freedom of speech was deprived, many writers and critics used rhetoric to write their works. This style of writing, which is secretive and open, flourished in the postwar world and produced many outstanding works. This lecture will be a fresh and interesting "reading of texts" selected from high school textbooks.
Learning Objectives: By reading basic postwar criticisms, which are now becoming classics, you will be able to think critically and fundamentally about society, thought and media under capitalism. In addition, by learning the history of capitalism, it will be possible to judge and evaluate the current ideological situation on grounds. By doing these critical readings, you will be a critically conscious member of society.
Learning activities outside of classroom: Read the class resume carefully and answer the assignments for each session. The standard preparation and review time for this class is 2 hours each.
Grading Criteria /Policy: Grading will be based on responses to the assignments in each class (30 points) and the final report exam (70 points). Students will be judged on their understanding of the lecture content, depth of thinking ability, and accuracy of written expression.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的（何を学ぶか）Outline and objectives
レトリックの戦後批評史――レトリックはたんなる文飾ではなかった。人はレトリックによって、思考の枠組みを形づくるのではないか。とりわけ言論の自由が奪われていた戦中期、多くの文学者や批評家がレトリックを駆使して作品を書いた。秘匿しながら開陳するその文体は、戦後世界で大きく開花し、すぐれた作品を数多く生み出すことになる。高等学校のテクストから選り抜いた、もう一つの「文章講読」講義。
到達目標Goal
いまや古典となりつつある基本的な戦後批評の文献を概観しながら、社会と思想とメディアの機能について「批評的」「根源的」に考える力を培う。また、批評の興亡を通時的に見極めることで、現代の思想状況に対しても主体的に、根拠を示しながら判断・評価することができるようにする。こうした読書と研究の実践によって、批評意識をもった社会人へと成長する。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか（該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連）Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
各学部のディプロマ・ポリシーのうち、以下に関連している。法学部・法律学科：DP3・DP4、法学部・政治学科：DP1、法学部・国際政治学科：DP1、文学部：DP1、経営学部：DP3、国際文化学部：DP3、人間環境学部：DP2、キャリアデザイン学部：DP1
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)（学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. ）
配布テキストの精読と、パワーポイントによる解説を中心に講義する。講義のレジュメとパワーポイントの内容は、授業の前に《Hoppii》（学習支援システム）の「教材」に掲げる。各回の授業で出された「課題」のなかから優秀なもの、視点の面白いもの、鋭い質問等を次回以降の授業で発表し、フィードバックとする。受講学生の数が一定以下ならば、こうした双方向性をもつ授業を各回ごとに行うことができる。
アクティブラーニング（グループディスカッション、ディベート等）の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
なし / No
フィールドワーク（学外での実習等）の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching：対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
1[対面/face to face]：オリエンテーション：授業の概観
授業の進め方を提示しながら、批評的文章を読むことの意義を再確認する。
2[対面/face to face]：はじめに：レトリックに何ができるのか？
レトリックがたんなる技術ではなく、思想の枠組みの形成にかかわることを確認する。
3[対面/face to face]：「堕落」のすすめ：坂口安吾（1906-55年）
戦後世界にとどろいた無頼派の逆説的な宣言は、多くの人々の喝采を受けた（「堕落論」1946年）。
4[対面/face to face]：演じられる「弱さ」：太宰治（1909-48年）
自意識との葛藤を作品化した作家が、パロディに託したものは何だったのか？（「瘤取り」1945年）。
5[対面/face to face]：「饒舌」体の反骨：石川淳（1899-1987年）
膨大な知識と教養に裏打ちされた作家の創作の秘密を、独自の文章で読み解く（「文章の形式と内容」1940年）。
6[対面/face to face]：「警句（アフォリズム）」の快楽：小林秀雄（1902-84年）
短く言い切ることで数々の名言を残した批評家の文章を堪能する（「無常という事」1942年）。
7[対面/face to face]：プロレタリア文学の「側面」：中野重治（1902-79年）
言い切らない表現の奥に見える人間性と、強靭な精神の在り処を探る（「ささやかな記憶」1957年）。
8[対面/face to face]：「反語（イロニー）」を生きる思想：林達夫（1896-1984年）
戦時下に反語的順応主義を貫いた編集者の真の意図とは何だったのか？（「反語的精神」1946年）。
9[対面/face to face]：「仮託」という目くらまし：花田清輝（1909-79年）
目くるめくような知識と韜晦の後ろに隠されていた真理を見極める！（「極大・極小——スウィフト」1942年）。
10[対面/face to face]：「たとえ話」で問う真の文学：福田恆存（1912-94年）
左翼的な論調が幅を利かすなか、孤高の保守を貫いた思想家の寓意と文学観（「一匹と九十九匹と」）。
11[対面/face to face]：「比喩」の政治学：丸山眞男（1914-96年）
卓抜な比喩を用いて戦後世界に風雲を巻き起こした政治学のスターの一面（「肉体文学から肉体政治まで」1949年）。
12[対面/face to face]：「転向」したのか、しないのか？：清水幾太郎（1907-88年）
急進的なマルクス主義からの転向は、社会学書のなかで秘かに行われていた（「レジャー」1966年）。
13[対面/face to face]：「美」に殉じる生：三島由紀夫（1925-70年）
耽美的な作品から軍事的組織の結成まで、理念を肉体化した文学者の独白に迫る（「重症者の兇器」1948年）。
14[対面/face to face]：まとめ：授業全体の総まとめ
レトリックが生み出した「真実」とは何か？ レトリカルな文章が潰えてしまったのはなぜか？
授業時間外の学習（準備学習・復習・宿題等）Work to be done outside of class (preparation, etc.)
授業のレジュメを熟読し、各回の「課題」に答える。本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とする。
テキスト（教科書）Textbooks
取り扱う思想家および文献が多岐にわたるため、テキスト（教科書）は指定しない。必要なものは適宜抜粋してコピーを配布する。
参考書References
坂口安吾『堕落論・日本文化私観 他二十二篇』（岩波文庫、2008年）
太宰治『お伽草紙・新釈諸国噺』（岩波文庫、2004年）
『石川淳評論選』（ちくま文庫、2007年）
小林秀雄『モオツァルト・無常という事』（新潮文庫、1961年）
『中野重治評論集』（平凡社ライブラリー、1996年）
『林達夫評論集』（岩波文庫、1982年）
花田清輝『復興期の精神』（講談社文芸文庫、2008年）
福田恆存『保守とは何か』（文春学藝ライブラリー、2013年）
『丸山眞男セレクション』（平凡社ライブラリー、2010年）
清水幾太郎『現代思想』上・下（岩波全書、1966年）絶版
三島由紀夫『小説家の休暇』（新潮文庫、1982年）
成績評価の方法と基準Grading criteria
成績評価は各回の授業の「課題」へのレスポンス（30点）および期末レポート試験（70点）で行う。講義内容の把握の度合いと思考力の深度、および文章表現の的確さについて判定する。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
戦後すぐ（70年以上前）の文章を読むことから始めるので、最初の数回は文体に慣れるのに少し苦労するかもしれない。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
《Hoppii》（学習支援システム）に教材・課題を掲げるので、アクセスしダウンロードできるような準備をしてほしい。