GISDepartment of Global and Interdisciplinary Studies

　この授業は、「大学を知ろう ＜法政学＞への招待」（旧科目名「法政学への招待」）をすでに受講し、法政大学が経てきた140余年の歴史と現状について一通りの理解をもつ学生を主対象にして、本学ゆかりの特定の人物を媒介に、法政大学についてより深く考える場を提供する発展科目として設定しました。
　「大学を知ろう ＜法政学＞への招待」における学習を前提に、本授業では、法政大学で教えた教員や、学んだ学生を具体的に取り上げます。教員の場合なら、その人物が法政大学でどういう教育研究に携わったのか、そのことで本学や社会の発展にいかに貢献したか、などを追います。卒業生の場合なら、本学で何を学んだのか、あるいは学んだことをその後の本人の人生や、社会に向けてどう役立てたかなどについて、探究することになるでしょう。
　法政大学ゆかりの特定の人物を詳しく追うことで、「自由と進歩」の理念や、時代のフロントランナー養成を掲げる本学の歴史と現在が、より具体性を帯びて理解できるようになるはずです。

　本学の経てきた道を、具体的な人物に即して、実証的・実感的に把握できることを目指します。時代の大きな流れの中で、本学ゆかりのその人物が何に興味をもち、どんな活動をし、何を目指し、何に悩んだかなど、時代の潮流や雰囲気を受講生個々人の知性と感性で感じられるようにします。それを、自分の学生生活や将来像へとつなげて考える契機を得るよう努めます。

日本語 / Japanese

　科目責任者の教員2名が毎回同席し、授業をコーディネートします。講義は、毎回のテーマに最適な本学内外の講師陣（科目責任者を含む）が、分担して担当します。
　授業の最後に毎回、リアクションペーパーを書いていただきます。受講生の声を反映した参加型・双方向型授業になるよう努めます。なお、質問やリアクションペーパーに対するフィードバックは授業中に行います。
　対面を基本としますが、講師の都合等により他の形式で行う回が生じた場合は、事前にお知らせします。

なし / No

なし / No

授業形態/methods of teaching：対面/face to face

※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。

1[対面/face to face]：導入

この授業の狙いや、全体の構成について説明する。
あわせて、本学の経てきた歴史の概略を復習する。（科目責任者=髙栁俊男、北口由望）

2[対面/face to face]：本学草創期を支えた日本近代法の父・ボアソナードとその門人たち

1873年に政府顧問として来日したフランス人法学者ボアソナードは、刑法・民法などの近代法典の整備のかたわら、法学教育にも尽力した。その門人の薩埵正邦に焦点を当てて、明治初期の法典整備・法学教育の意義を考える。（岡孝）

3[対面/face to face]：世界を知りつくした本学の祖 箕作麟祥

本学の前身である和仏法律学校の初代校長の箕作麟祥は、明治期の有数の啓蒙家であった。彼は、洋学を学んで、西洋の法律や歴史を日本に紹介し、日本の「民権」のために活躍した。彼の仕事を振り返って、そこから学ぶものを探りたい。（南塚信吾）

4[対面/face to face]：「民法の父」・和仏法律学校初代総理 梅謙次郎

日本民法典起草者の一人であり、帝国大学法学部教授、法政大学の初代総理（総長）であった梅謙次郎について、韓国（大韓帝国、1897～1910年）政府の法律顧問として活動していた頃の足跡を辿る。（李英美）

5[対面/face to face]：能楽研究の開拓者である野上豊一郎

法政大学は古典芸能の「能楽」と深い結び付きがあるが、その縁は、戦後間もなく総長を務めた野上豊一郎が創出したものである。本回は、野上と能楽との出会いから、彼が残した功績を概観する。（伊海孝充）

6[対面/face to face]：夏目漱石門下生たちに学んで作家になった椋鳩十

伊那谷出身の椋鳩十（本名：久保田彦穂）は、とくに動物物語の作者として広く知られる。初の詩集を出し、学生結婚もした法政大学時代をはじめ、戦前戦後にわたる椋の歩みを時代の中で振り返る。（髙栁俊男）

7[対面/face to face]：作家井本健作とその日記

野上豊一郎の推挙で本学教員になり、戦前・戦後にかけて、予科長、 第二中学校長（初代）、図書館長を歴任するなど大学運営にも深くかかわった作家・俳人の井本健作。
井本が長年にわたり書き残した日記（「自省録」）を紐解き、知られざる戦前期法政大学の歴史を明らかにする。（北口由望）

8[対面/face to face]：戦争の中を生きた学友たち～久納好孚を例に

終戦直前のわずか10ヶ月足らずの間に5,845名もの戦死者を出した「特攻」。その第一号となったのが、本学に学んだ学友の一人・久納好孚であった。彼はなぜ「特攻」を志願したのか。その短い生涯を辿りながら、戦前戦中の本学の歴史と学友たちの生きざまを追体験してみたい。（鈴木靖）

9[対面/face to face]：城戸幡太郎、波多野完治、宮原誠一、乾孝～生涯学習の時代を切り拓いた人々

戦前の法政大学高等師範部教授の城戸幡太郎、波多野完治、宮原誠一らは、本学を舞台に教育科学研究会や保育問題研究会を組織したが、そのねらいは現場の教員と研究者とが共同して教育実践を研究することにあった。キャリアデザイン学部へと引き継がれるこの伝統を明らかにしたい。（笹川孝一）

10[対面/face to face]：南北朝鮮と日本の狭間に生きた尹学準

尹学準は朝鮮戦争最中に韓国から日本に密航し、法政大学の小田切秀雄ゼミで近代文学を学んだ。晩年、母校の教授となり、現役のまま亡くなった尹学準の波乱万丈の歩みを追いながら、その一生が投げかけるものを考えたい。（髙栁
俊男）

11[対面/face to face]：「女性である前にまず人間であれ」 野上弥生子と法政大学

日本を代表する作家野上弥生子。法政大学女子高等学校名誉校長もつとめた弥生子は、同校の生徒たちに「女性である前にまず人間であれ」という言葉をのこした。弥生子の思想と人物像を探るとともに、その日記に記された法政大学の逸話を紹介する。（古俣達郎）

12[対面/face to face]：法政スポーツの伝統を探る

法政スポーツは100年以上の歴史をもつ。HOSEIミュージアムで開催された展示「HOSEIスポーツの原点」をもとに、その歴史と伝統を振り返る。（北口由望）

13[対面/face to face]：校舎と建築学科の礎を築いた建築家 大江宏

法政大学の幾つもの校舎を設計し、また教育者として建築学科の礎を築いた建築家・大江宏（1913～89年）。残された建築と資料を参照しながら、その思想と足跡に迫る。（藤本貴子）

14[対面/face to face]：学生の目と教員の目から見る法政大学

学生として本学で学び、のちに本学で教えるに至った方を授業にお招きし、2つの立場から見た法政大学について体験的に語っていただき、授業全体のまとめとする。（根崎光男、明田川融）

　毎回の講師が授業内で言及した文献は、積極的に参照してください。また、2020年に開館したHOSEIミュージアムの展示、および同ミュージアムデジタルアーカイブ (https://museum.hosei.ac.jp/archives/Users/Top)には、授業で取り上げた人物や事象に関するコンテンツが豊富に含まれていますので、準備学習・復習に活用してください。
　その他、授業に関連する特別展示などが学内外で開催される場合には、随時お知らせしますので、極力足を運んでみましょう。
　なお、本授業の準備学習・復習時間は、各2時間を標準とします。

　特定のテキストはありません。講義担当者が適宜、プリント配付やパワーポイント提示を行います。それらを基本的に、学習支援システム上にアップします。

　各担当教員が、その都度お知らせします。
　本学の歴史を通史的にまとめた書籍には、『法政大学1880-2000：そのあゆみと展望』のほか、『法政大学参拾年史』『法政大学八十年史』 『法政大学百年史』『法政大学と戦後五〇年』などがあります。図書館などで適宜参照してください。

　毎回のリアクションペーパーに反映された授業に取り組む姿勢 40 ％、学期末のレポート60 ％を基準にして、総合的に評価します。受講者数によっては若干の変更があるかもしれませんが、その場合は授業の場（もしくは学習支援システム上）でお知らせします。この成績評価の方法をもとに、本授業の到達目標の 60%以上を達成した者を合格とします。
　なお、レポートの作成に際しては、典拠となる文献に必ず当たり、実証的な内容になるよう心がけてください。
　

　学術的でありながら、同時に本学で学ぶ自分自身の生き方の参考になるような、興味深い授業を目指します。

　とくにありません。学習支援システムを積極的に活用します。

　上述のように、「大学を知ろう ＜法政学＞への招待」で学んだ内容を前提に進めます。したがって、原則として同科目の既修者か、それと同程度の前提知識がある方が受講対象者になります。無い方の受講も認めますが、この授業と並行して、自ら積極的に補うよう努めてください。
　「大学を知ろう ＜法政学＞への招待」とこの「法政学の探究LA」を履修し、さらに学びを深めたい方には、より演習に近い少人数の科目として、「法政学の探究LB」（春学期）も用意されています。ただし、2023年度に限り、休講です。