通信教育部(スクーリング)School of Correspondence Education (Schooling)
BSP100TA(初年次教育、学部導入教育及びリテラシー教育 / Basic study practice 100)基礎特講(冬期スクーリング)Basics in Arts and Sciences
白根 裕里枝
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 通信教育部(スクーリング)School of Correspondence Education (Schooling) |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2022 |
授業コードClass code | 40008 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
担当教員(自由記述)Instructor name | 白根 裕里枝 |
科目種別Class Type | スクーリング |
教室名称Classroom name | |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory | 冬期 |
期間Period | 2群午後 |
定員Capacity | |
予備登録の有無Presence or Absence of Preliminary Registration | |
受講可能な学科・学年Eligible Courses / Grade | 『法政通信』受講申込み等関連頁を参照 |
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Outline (in English)
【Course outline】 The aim of this course is to help students understand how important philosophy is by studying the philosophical thoughts in ancient Greece and their relation to happiness.
【Learning Objectives】 By the end of the course students should be able to understand what philosophy is and the relation between happiness and philosophy.
【Learning activities outside of classroom】 Before/after each class meeting, students will be expected to spend two hours to understand the course content.
【Grading Criteria /Policy】 Final grade will be calculated according to the following process: Mid-term report (40%), term-end examination (30%), and in-class contribution(30%).
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
哲学は、紀元前5世紀頃(日本が縄文時代の頃!)に、古代ギリシアで生まれました。この授業では、哲学の源流である古代ギリシアにおいて、哲学がどのようなものとして生まれたのか、その誕生の姿を探ってみたいと思います。古代ギリシア哲学の源流を探ることを通して、西洋哲学の基礎知識を得ることを目的とします。
講義の前半では、「哲学とは何か」というテーマで、西洋哲学の基礎を扱います。後半では、トピックとして、今日大いに問題となっている「独裁者」や「独裁政」について、哲学の観点から、プラトンの主著『国家』や『ゴルギアス』萹を中心に、「幸福論」という切り口から考えてみたいと思います。「何でもできる権力を持つ独裁者は、はたして幸福なのか?」、皆さんはどう思いますか?
哲学というと難しいという印象があるかもしれませんが、何も特別のことではありません。私たちが善く生きて幸福になるためには、よりよく正しく考えることが必要であり、それが哲学なのです。人間の尊厳は考えるということにあります。哲学を学ぶことで、私たちが幸せによく生きるためにはどうしたらよいかを考えてみたいと思います。哲学とは、本来、学ぶものではなく、自分で考えるものなのですから。
到達目標Goal
講義の前半ではまず、古代ギリシア哲学を中心にして「哲学とは何か」という西洋の哲学の基礎を学びます。哲学は古代ギリシアで、どのような考えのもとに生まれたのか、その後、どのような変遷を辿ったのか、そもそも哲学が問題としたことは何であるのかなど、古代ギリシアにおける哲学の源流を探ります。学生は、哲学とは何か、なぜ哲学が必要とされるのかといった、哲学の基本的なあり方を理解することができるでしょう。
講義の後半では、新たなトピックとして、今日大いに問題となっている「独裁者」と「独裁政」について、その性格付けを考えてみたいと思います。政治的観点ではなく、哲学の観点から、プラトンの主著『国家』や『ゴルギアス』萹を中心に、「幸福論」という切り口から考えてみます。
プラトンは、『国家』篇の第8〜9巻で「政体の変遷」について語っています。その箇所では、貴族政、名誉支配政、寡頭政、民主政、そして独裁政へという国制の変遷が語られ、そしてプラトンはまさに「民主政から独裁政が生まれる」という警告を発しています。ある意味、ナチスドイツがそれを実証しました。今日もまた同じようなことが起こらないためには、我々はどうしたら良いのか、指針を得ることを目指したいと思います。
また『ゴルギアス』という作品の中でも、政治家のあり方や性格づけが、権力や欲望、快楽との関わりから論じられています。「独裁者タイプの人間とははたしてどのような人間なのか?」、「何でもできる権力を持つ独裁者は、はたして幸福なのか?」など、「幸福論」という切り口から考えてみたいと思います。
学生は、政治や世の中がどうあるべきかということを見る目や、我々はいかなる生き方を選ぶべきかといった問題を考える一定の視点を、主としてプラトンの哲学から、養うことができるでしょう。講義を通じて学生は、自分が生きていく上で、哲学というものが、より一層、身近で切実なものであることを理解するでしょう。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「法律学科:DP5」「日本文学科:DP3」「史学科:DP1, DP3」「地理学科:DP1」「経済学科:DP5」「商業学科:幅広い教養」に関連
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
授業は基本的にプリントを用いた講義形式です。哲学者たちの生き方をめぐるエピソードなども交えながら、オーソドックスな哲学の考え方をわかりやすく講義してゆきます。補助資料によって著名な哲学者たちの言葉に直接に触れることで、理解を深めてゆきたいと思います。できるだけ、わかりやすい授業を目指します。毎回の課題(リアクションコメント)の提出を重視します。課題のコメントの提出によって、自分の考えをまとめ、確認する機会にもなると思います。優れたコメントは次の授業の冒頭で紹介してゆきます。(オンライン実施の場合は、YouTubeなどで配布資料の解説をする予定です。自分で配布資料を読んで、リアクションコメントを提出してください。)
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
なし / No
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
1[対面/face to face]:序論 足の裏に影はあるか?
哲学とはどのようなもので、何を考えるのか?
2[対面/face to face]:「哲学」とは何か?
「哲学」という用語をめぐって
3[対面/face to face]:哲学という語の変遷
ギリシアにおける哲学の誕生
4[対面/face to face]:哲学の出発点
ソクラテスの無知の自覚と愛知。驚き、懐疑、絶望…(デカルト〜ヤスパース)
5[対面/face to face]:哲学のすすめ(まとめ)
愛の3つの対象と知への愛
6[対面/face to face]:善き生(幸福)とは何か?
金と名誉と徳と知と!〜幸福は知による。
7[対面/face to face]:ソクラテスの幸福論
ソクラテスのパラドクス、アクラシアー否定論の紹介
8[対面/face to face]:プラトンの幸福論1「善と快」
カリクレス説「快楽の増大こそ幸福だ!」(『ゴルギアス』篇より)
9[対面/face to face]:プラトンの幸福論2「何が独裁者を生むのか?」
「民主制から独裁制へ」
(『国家』篇より)
10[対面/face to face]:プラトンの幸福論3「独裁者と幸福」
最大の権力者・独裁者は幸福か?
11[対面/face to face]:幸福論の歴史
禁欲主義と快楽主義
12[対面/face to face]:正義と幸福
授業内試験(60分)
まとめと解説
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
授業で取り上げた著作を、実際に手に取って読んでみること。本授業の準備・復習時間は、各2時間を標準とします。
テキスト(教科書)Textbooks
特に指定しない。
参考書References
・受講者は、下記の書物を必ず読むこと。
『哲学のすすめ』岩崎武雄、講談社現代新書、1966年
・受講者は、下記の書物をなるべく読むこと。
『はじめてのプラトン』中畑正志、講談社現代新書、2021年
・授業内で下記のプラトンの書物を参考とします。
『国家』岩波文庫(上下)、藤沢令夫訳
『ゴルギアス』岩波文庫、加来彰俊訳、(光文社、中澤努訳)
・その他の参考文献として
『西洋哲学史 古代・中世編―フィロソフィアの源流と伝統』内山 勝利、中川 純男、ミネルヴァ書房
『哲学の歴史』1〜5、中央公論新社
『はじめて学ぶ哲学』渡辺二郎、ちくま学芸文庫
成績評価の方法と基準Grading criteria
毎回の課題(リアクションコメント)の提出などの平常点(30%)と、2本のレポート(前半の「哲学とは何か」について(40%)と、後半の「独裁者と幸福(仮題)」(30%))によって評価します。試験のレポートは、授業で扱った内容を簡単にまとめた上で、自分の考えを書くという論述形式です。ネットから取った文章は認めません。何かを参照した場合は参照元を明記すること。(オンライン実施の場合)他の人と酷似したレポートは、両者ともに減点の対象とします。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
難しそうという印象の哲学だったが、授業は分かりやすく、楽しく哲学を学ぶことができたということなので、引き続き、哲学の面白さ、素晴しさをじっくり伝えてゆきたい。生きて行く上で、哲学をますます身近なものとしてもらいたい。対面授業の場合、授業中の私語には厳しく対処し、板書の写メ、スマホも禁止します。
その他の重要事項Others
オンライン実施に変更となった場合は、Zoom を使用してのリアルタイム型、もしくはYouTube 等による録画配信型で行います。(パソコンやインターネット環境が必要です。)